WPW症候群:隠れた心臓の回路
- WPW症候群とはWPW症候群は、生まれたときから心臓内に、本来電気信号が通る道とは別に、異常な電気信号の通り道(副伝導路)が形成されている病気です。 健康な心臓では、電気信号は洞結節と呼ばれる場所で発生し、心房から心室へと規則正しく伝わります。この電気信号によって心臓の筋肉が収縮し、血液を全身に送り出しています。 しかし、WPW症候群の患者さんの心臓では、副伝導路の存在により、電気信号の一部が通常の経路を迂回してしまいます。 その結果、心室に異常な電気信号が伝わり、心臓が異常に速く収縮してしまうのです。これが、WPW症候群で動悸や脈が速くなる症状が現れる主な原因です。また、この異常な電気信号の伝わり方によって、心臓のリズムが乱れてしまうこともあります。 これを「発作性上室性頻拍症」と呼び、WPW症候群の患者さんに多くみられます。発作性上室性頻拍症は、突然動悸が激しくなる、息苦しくなるなどの症状が現れますが、通常は数分から数時間で自然に治まります。 WPW症候群は、健康診断などで心電図検査を受けて初めて発見されることも少なくありません。 自覚症状がない場合でも、放置すると突然の失神や、稀に心停止に至る可能性もあるため、適切な診断と治療が必要です。