知っておきたい排尿障害:症状、検査、治療法

泌尿器

知っておきたい排尿障害:症状、検査、治療法

病院での用語を教えて

先生、「排尿障害」って膀胱に尿をためるときと、出すときのどっちにも問題が起こることって書いてありますけど、具体的にどんな症状が出るんですか?

体の健康研究家

いい質問ですね。排尿障害の症状は大きく分けて3つあります。まず1つ目は「畜尿症状」といって、尿をためておくことに問題がある場合に、尿が近くなったり、我慢できなかったりする症状が出ます。2つ目は「排尿症状」といって、尿を出すことに問題がある場合に、尿の出が悪くなったり、途中で途切れたりする症状が出ます。そして3つ目は「排尿後症状」といって、排尿後もすっきりしなかったり、残尿感があるなどの症状が出ます。

病院での用語を教えて

そうなんですね。症状によって、尿をためるのと出すの、どっちに問題があるのかがわかるんですね!

体の健康研究家

その通りです。ただし、自己判断は危険なので、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

排尿障害とは。

おしっこのトラブルには、大きく分けて二つあります。一つは、膀胱におしっこをためておくのがうまくいかない『畜尿障害』、もう一つは、ためておいたおしっこを体外に出すのがうまくいかない『排出障害』です。これらのトラブルは、同時に起こることもあります。

おしっこの通り道である膀胱や尿道(男性の場合は前立腺も含む)、尿道括約筋などに原因がある場合は、『下部尿路機能障害』と呼ばれます。

『畜尿障害』の原因としては、おしっこの量が多い場合を除き、膀胱が過敏になっている、おしっこを出すための筋肉が過剰に活動している、尿道を閉じる機能が低下しているなどが挙げられます。

『排出障害』の原因としては、おしっこを出すための筋肉が弱くなっている、尿道括約筋がうまく緩まない、おしっこの通り道が狭くなっているなどが挙げられます。

【症状】
症状は大きく分けて、『畜尿症状』『排尿症状』『排尿後症状』の3つに分けられます。

『畜尿症状』は、おしっこを我慢するのが辛い症状で、具体的には、何度もトイレに行きたくなる、急に我慢できないほどおしっこに行きたくなる、お腹に力を入れると尿が漏れてしまう、夜中に何度もトイレに行きたくなる、などが挙げられます。

『排尿症状』は、おしっこが出にくい症状で、具体的には、おしっこの勢いが弱い、おしっこの途中で途切れてしまう、お腹に力を入れないとおしっこが出ない、などが挙げられます。

『排尿後症状』は、おしっこをした後もすっきりしない症状で、具体的には、おしっこが残っている感じがする、おしっこをした後も少し漏れてしまう、などが挙げられます。

さらに、おしっこをためておくこと、あるいは、出すことがうまくいかないことで、細菌感染や尿路結石、腎臓の機能低下といった二次的な病気を引き起こすこともあります。

【検査】
おしっこのトラブルの診断は、患者さんからお話を伺い、おしっこが残っている量を調べるだけで行える場合もあります。

さらに詳しく症状を調べるためには、『尿流動態検査』と呼ばれる検査を行います。この検査では、膀胱内の圧力、尿道括約筋の活動、尿道の圧力、尿の勢いなどを測定します。また、数日にわたって、おしっこの時間と量を記録することで、おしっこの量や夜間のおしっこの量を把握することも、治療方針を決める上で役立ちます。

【治療】
おしっこのトラブルの治療法としては、『行動療法』と『薬物療法』があります。

『畜尿障害』の治療薬は、『抗コリン薬』が中心となります。その他、『α1受容体刺激薬』『β3受容体刺激薬』『三環系抗うつ薬』などが使用されることもあります。副作用として、尿閉や、尿が過剰に溜まってしまうことによる尿漏れが起こる可能性があります。

『排出障害』の治療には、『コリン作動薬』『α1受容体拮抗薬』などが用いられます。男性の排出障害は、前立腺肥大症が原因であることが多く、その場合は『α1受容体拮抗薬』が中心となります。副作用として、尿漏れが起こる可能性があります。

『畜尿障害』と『排出障害』が同時に見られる場合は、『畜尿障害』の治療薬が『排出障害』を悪化させる可能性が高いため、原則として『排出障害』から治療を行います。治療前に残っているおしっこの量が100mL以上の場合は、『間欠自己導尿』と呼ばれる、自分でカテーテルを挿入して尿を出す方法と併用して薬物療法を行います。

『膀胱留置カテーテル』は、おしっこをためておくのも出すのも困難な場合に有効ですが、尿路感染のリスクが高くなるため、使用する際は慎重に検討する必要があります。

排尿障害の種類

排尿障害の種類

排尿障害は、大きく分けて二つに分類されます。一つは、尿を膀胱にためておくことが困難になる「畜尿障害」です。もう一つは、膀胱にためた尿を体外に排出する際に問題が生じる「排出障害」です。これらの障害は、それぞれ単独で現れる場合もあれば、同時に起こる場合もあります。

畜尿障害は、尿意を感じにくい、我慢するのが難しい、あるいは尿が漏れてしまうといった症状が現れます。一方、排出障害では、尿の勢いが弱くなる、排尿に時間がかかる、残尿感があるといった症状がみられます。

これらの排尿障害の原因は、尿の通り道である下部尿路に存在することが多く、尿道や膀胱、男性であれば前立腺などが挙げられます。このような、下部尿路に原因がある排尿障害は、「下部尿路機能障害(LUTD)」と呼ばれます。LUTDは、加齢や生活習慣、病気など、様々な要因によって引き起こされます。

分類 説明 症状
畜尿障害 尿を膀胱にためておくことが困難な状態 ・尿意を感じにくい
・我慢するのが難しい
・尿漏れ
排出障害 膀胱にためた尿を体外に排出する際に問題が生じる状態 ・尿の勢いが弱くなる
・排尿に時間がかかる
・残尿感がある

排尿障害の原因

排尿障害の原因

おしっこがうまく出ない、あるいは我慢できないといった症状は、医学的には排尿障害と呼ばれ、大きく分けて蓄尿障害と排出障害の二つに分類されます。

まず、蓄尿障害は、本来であればおしっこをためておく膀胱に問題が生じることで起こります。膀胱が過敏になり、少しのおしっこの量でもすぐに「出したい」と感じてしまう膀胱知覚亢進や、膀胱の筋肉が勝手に収縮してしまう排尿筋過活動などが原因として挙げられます。また、本来は膀胱が収縮するのを抑え、尿道を閉じておく役割を持つ尿道閉鎖機能が低下してしまうことも、蓄尿障害を引き起こす要因となります。

一方、排出障害は、膀胱に溜まったおしっこをうまく体外へ押し出すことができない状態を指します。加齢や病気などにより、膀胱の筋肉である排尿筋の収縮力が弱まったり、尿道の一部で尿の出口を調節する筋肉である尿道括約筋が十分に緩まなかったりすることで起こります。また、尿の通り道である尿道が狭くなってしまう下部尿路通過障害も、排出障害の原因となります。

このように、排尿障害には様々な原因が考えられます。症状が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けることが大切です。

分類 説明 原因
蓄尿障害 膀胱に問題が生じて、おしっこをためておけない状態 ・膀胱知覚亢進
・排尿筋過活動
・尿道閉鎖機能の低下
排出障害 膀胱から体外へおしっこをうまく押し出せない状態 ・排尿筋の収縮力低下
・尿道括約筋の弛緩不全
・下部尿路通過障害

排尿障害の症状

排尿障害の症状

– 排尿障害の症状排尿障害は、尿をためておく、排出する、排出を終える、という一連の過程のどこかに異常が生じることで起こります。その症状は大きく分けて三つに分類されます。まず、尿を膀胱にためておくことが困難になる「蓄尿症状」です。代表的なものとして、尿意をもよおしてから我慢できないほど強い尿意に襲われる「尿意切迫感」や、トイレに行く間も待てずに尿が漏れてしまう「切迫性尿失禁」が挙げられます。また、咳やくしゃみなどでお腹に力が入った際に尿が漏れる「腹圧性尿失禁」も、蓄尿症状の一つです。その他、日中に比べて夜間の尿量が多い「夜尿症」や、夜間に何度もトイレに行く「夜間頻尿」も、この症状に含まれます。次に、尿を体外に排出する際に問題が生じる「排尿症状」があります。尿の勢いが弱くなる「尿勢低下」、尿がスムーズに出ずに途中で途切れてしまう「尿線途絶」、さらには、排尿時に意識的にお腹に力を入れなければ尿が出せない「腹圧排尿」なども、この排尿症状に分類されます。最後に、排尿後も不快な症状が続く「排尿後症状」です。排尿後も膀胱内に尿が残っているような感覚に陥る「残尿感」や、排尿を終えた後も尿道から尿が漏れ出てしまう「排尿後滴下」などが代表的な症状です。これらの症状は、原因となる病気によって現れ方が異なります。そのため、自己判断せず、気になる症状がある場合は医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

排尿障害の症状 具体的な症状
蓄尿症状
(尿を膀胱にためておくことが困難)
・尿意切迫感
・切迫性尿失禁
・腹圧性尿失禁
・夜尿症
・夜間頻尿
排尿症状
(尿を体外に排出する際に問題が生じる)
・尿勢低下
・尿線途絶
・腹圧排尿
排尿後症状
(排尿後も不快な症状が続く)
・残尿感
・排尿後滴下

排尿障害の検査

排尿障害の検査

排尿に問題があると感じたら、医療機関を受診しましょう。排尿障害の診断は、まず患者さんへの問診から始まります。いつからどのような症状が現れているのか、排尿の回数や時間帯、尿の量や勢い、残尿感の有無など、症状を詳しくうかがいます。また、飲水量や生活習慣、過去の病気や服用中の薬についても確認します。

問診と並んで基本的な検査に、残尿測定があります。これは、排尿後に膀胱内に残っている尿の量を測定する検査です。超音波検査装置を用いる方法や、カテーテルと呼ばれる細い管を尿道から膀胱に挿入する方法などがあります。

さらに詳しく病状を調べるために、尿流動態検査(ウロダイナミクス検査)を行うこともあります。この検査では、膀胱内にカテーテルを挿入し、膀胱内の圧力や尿道の圧力、尿の流量などを測定します。これにより、排尿時の膀胱や尿道の機能を詳細に評価することができます。尿流動態検査は、排尿障害の原因を特定し、適切な治療法を選択するために非常に役立ちます。

診断方法 説明
患者さんへの問診 症状の出現時期、排尿回数・時間帯、尿量・勢い、残尿感、飲水量、生活習慣、病歴、服用中の薬などを確認
残尿測定 超音波検査装置やカテーテルを用いて、排尿後に膀胱内に残っている尿量を測定
尿流動態検査(ウロダイナミクス検査) 膀胱内にカテーテルを挿入し、膀胱内圧、尿道圧、尿流量などを測定することで、排尿時の膀胱や尿道の機能を評価

排尿障害の治療

排尿障害の治療

おしっこのトラブルである排尿障害の治療法は、大きく分けて二つあります。

一つ目は、日常生活の中で患者さん自身が行う行動療法です。これは、毎日のおしっこの回数や量、食事の内容を見直したり、おしっこの際に使う筋肉を鍛える運動(骨盤底筋体操)などがあります。

二つ目は、症状を抑える薬を使う薬物療法です。薬には様々な種類があり、症状や原因に合わせて使い分けられます。

例えば、おしっこをためておくのが難しい症状(蓄尿障害)には、膀胱の筋肉の緊張を和らげる薬(抗コリン薬)が主に用いられます。状況に応じて、膀胱の出口の筋肉を緊張させる薬(α1受容体刺激薬)や、膀胱を大きく広げる薬(β3受容体刺激薬)、気分を安定させる薬の一種(三環系抗うつ薬)などが使われることもあります。

反対に、おしっこを出し切ることが難しい症状(排出障害)には、膀胱の筋肉の収縮を助ける薬(コリン作動薬)や、膀胱の出口の筋肉の緊張を和らげる薬(α1受容体拮抗薬)などが使われます。特に、男性の排出障害は、前立腺肥大症が原因であることが多く、その場合はα1受容体拮抗薬が中心となります。

治療法 内容 具体的な方法・薬剤
行動療法 日常生活の中で患者さん自身が行う ・おしっこの回数や量、食事の内容の見直し
・骨盤底筋体操
薬物療法 症状を抑える薬を使用
  • 蓄尿障害
    • 抗コリン薬(膀胱の筋肉の緊張を和らげる)
    • α1受容体刺激薬(膀胱の出口の筋肉を緊張させる)
    • β3受容体刺激薬(膀胱を大きく広げる)
    • 三環系抗うつ薬(気分を安定させる)
  • 排出障害
    • コリン作動薬(膀胱の筋肉の収縮を助ける)
    • α1受容体拮抗薬(膀胱の出口の筋肉の緊張を和らげる)

排尿障害と合併症

排尿障害と合併症

– 排尿障害と合併症排尿障害は、放置すると体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。尿がスムーズに排出されない状態が続くことで、細菌が繁殖しやすくなり、尿路感染症のリスクが高まります。 尿路感染症になると、高熱や排尿時の痛み、頻尿などの症状が現れ、日常生活に支障をきたすこともあります。また、膀胱内に尿が長時間溜まることで、尿中のミネラル成分が結晶化し、膀胱結石ができるリスクも高まります。膀胱結石は、血尿や排尿困難、頻尿などの症状を引き起こし、場合によっては手術が必要となることもあります。さらに、排尿障害を長期間放置すると、膀胱だけでなく腎臓にも負担がかかり、腎機能の低下を引き起こす可能性があります。 腎機能の低下は、初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると全身のむくみや倦怠感、食欲不振などの症状が現れ、最終的には人工透析が必要となることもあります。このように、排尿障害は放置すると様々な合併症を引き起こす可能性があります。早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることで、これらの合併症のリスクを減らすことができます。 排尿に関するお悩みがあれば、早めに専門医にご相談ください。

合併症 症状 リスク
尿路感染症 高熱、排尿時の痛み、頻尿 日常生活に支障をきたす
膀胱結石 血尿、排尿困難、頻尿 手術が必要となる場合がある
腎機能の低下 全身のむくみ、倦怠感、食欲不振 人工透析が必要となる場合がある

まとめ

まとめ

毎日の生活に欠かせない排尿ですが、スムーズにできなくなってしまうと、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。このような状態を「排尿障害」と呼びます。排尿障害は、様々な原因で起こり、症状も人によって異なります。頻尿、尿漏れ、残尿感、排尿時の痛みなど、様々な症状が現れることがあります。

これらの症状を放置すると、生活の質が低下するだけでなく、他の病気を引き起こす可能性もあります。例えば、膀胱炎や腎盂腎炎などの感染症、尿路結石、腎機能障害などが挙げられます。

しかし、排尿障害は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、症状を改善し、合併症を予防することができます。そのためには、排尿に関する異常を感じたら、恥ずかしがらずに、早めに医療機関を受診することが重要です。

医療機関では、問診や尿検査、超音波検査などを行い、原因を特定します。そして、原因や症状に応じた適切な治療法が選択されます。治療法としては、生活習慣の改善指導、薬物療法、骨盤底筋体操などが挙げられます。

排尿障害は、決して恥ずべきものではありません。一人で悩まず、まずは専門医に相談してみましょう。適切な治療を受けることで、快適な日常生活を取り戻すことができるはずです。

症状 合併症のリスク 対策
頻尿、尿漏れ、残尿感、排尿時の痛みなど 膀胱炎、腎盂腎炎、尿路結石、腎機能障害など 早期発見・適切な治療

  • 医療機関を受診
  • 問診、尿検査、超音波検査など
  • 生活習慣の改善指導、薬物療法、骨盤底筋体操など

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