よくある病気:尿路感染症とは
病院での用語を教えて
先生、『尿路感染症』って、どんな病気ですか?
体の健康研究家
良い質問だね。『尿路感染症』は、簡単に言うと、おしっこが作られるところや、ためるところ、通るところにばい菌が入ってしまって炎症を起こす病気だよ。
病院での用語を教えて
へえー、じゃあ、おしっこを作るところってどこですか?
体の健康研究家
それは『腎臓』っていうところで、腰のあたりにあるんだよ。背中側から触ると、肋骨の下あたりにあるかな。そこから、尿管を通って膀胱に尿が溜められて、尿道を通って体外に排出されるんだ。で、これらのどこかにばい菌が入ると炎症を起こして、それが『尿路感染症』って呼ばれるんだよ。
尿路感染症とは。
『尿路感染症』っていう病気の言葉について説明するね。腎臓、膀胱、前立腺、尿道って呼ばれる体の部分が、ばい菌みたいな小さな生き物のせいで傷つけられてしまうと、感染症になっちゃうんだ。これが尿路感染症だよ。
尿路感染症の概要
尿路感染症は、腎臓から尿管、膀胱、尿道までの尿の通り道である尿路に、細菌などの微生物が侵入し、増殖することで発症する病気です。通常、健康な状態であれば、尿は腎臓で作られ、尿路を通って体外に排出される過程において無菌状態に保たれています。しかし、様々な要因によってこのバランスが崩れると、微生物が尿路に侵入し、感染症を引き起こすことがあります。
尿路感染症は、性別や年齢に関係なく発症する可能性がありますが、統計的に見ると、男性よりも女性に多くみられる傾向があります。これは、女性の尿道が男性に比べて短く、細菌が膀胱に到達しやすいことが大きな要因の一つと考えられています。また、女性の尿道口は肛門や膣に近いため、これらの部位から細菌が侵入しやすくなっていることも、女性に尿路感染症が多い理由の一つとして挙げられます。
尿路感染症は、その症状や感染部位によって大きく分けられます。例えば、膀胱に炎症が起こる膀胱炎は、頻尿や残尿感、排尿時の痛みなどの症状が現れます。一方、腎臓に炎症が及ぶ腎盂腎炎は、高熱や腰痛、吐き気などの症状が現れ、重症化すると入院が必要になる場合もあります。
項目 | 説明 |
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定義 | 腎臓から尿道までの尿路に、細菌などの微生物が侵入し、増殖することで発症する病気 |
原因 | 尿路への微生物の侵入と増殖 |
罹患率 | 性別や年齢に関係なく発症する可能性があるが、統計的に女性に多い |
女性に多い理由 | – 女性の尿道が男性に比べて短く、細菌が膀胱に到達しやすい – 女性の尿道口は肛門や膣に近く、これらの部位から細菌が侵入しやすい |
分類と症状 | – 膀胱炎:膀胱に炎症が起こる。頻尿、残尿感、排尿時の痛み – 腎盂腎炎:腎臓に炎症が及ぶ。高熱、腰痛、吐き気。重症化すると入院が必要な場合も |
尿路感染症の原因
– 尿路感染症の原因尿路感染症は、細菌などの微生物が尿路に侵入し、炎症を引き起こす病気です。 尿路感染症の原因となる微生物は様々ですが、最も多いのは大腸菌です。 大腸菌は人間の腸内に常在する細菌で、通常は無害ですが、排便後などに尿道から侵入すると、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症を引き起こすことがあります。大腸菌が尿路に侵入する主な原因としては、不適切なトイレの処理が挙げられます。 例えば、排便後、肛門の方向へ拭いてしまうと、大腸菌が尿道付近に付着しやすくなり、感染のリスクが高まります。また、性行為によって細菌が尿道に侵入することもあります。その他にも、免疫力の低下や、尿路結石、糖尿病などの基礎疾患、尿道カテーテルの使用なども、尿路感染症のリスクを高める要因となります。 免疫力が低下すると、細菌に対する抵抗力が弱まり、感染症にかかりやすくなります。高齢者や糖尿病患者は免疫力が低下しやすいため、特に注意が必要です。尿路結石は、尿の流れを妨げ、細菌が繁殖しやすい環境を作り出します。糖尿病は、尿中の糖が増加するため、細菌が繁殖しやすくなるほか、免疫力も低下しやすくなるため、尿路感染症のリスクが高まります。尿道カテーテルは、細菌が尿路に侵入する経路となるため、適切な管理が必要となります。尿路感染症は、適切な予防と早期発見、治療が重要です。日頃からトイレの処理を適切に行い、性行為の前後には注意を払いましょう。また、免疫力を高めるために、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。基礎疾患がある場合は、適切な治療を受けることが大切です。
要因 | 説明 |
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大腸菌の侵入 | – 人間の腸内に常在する大腸菌が、排便後などに尿道から侵入 – 不適切なトイレの処理(肛門の方向への拭き取り)でリスク増加 – 性行為も原因となりうる |
免疫力の低下 | – 細菌への抵抗力が弱まり、感染症にかかりやすくなる – 高齢者や糖尿病患者は特に注意が必要 |
尿路結石 | – 尿の流れを妨げ、細菌が繁殖しやすい環境を作り出す |
糖尿病 | – 尿中の糖が増加し、細菌が繁殖しやすくなる – 免疫力も低下しやすくなる |
尿道カテーテルの使用 | – 細菌が尿路に侵入する経路となるため、適切な管理が必要 |
尿路感染症の症状
尿路感染症は、細菌が尿路に侵入して炎症を起こす病気です。尿路は、尿を作る腎臓、尿を膀胱まで運ぶ尿管、尿をためておく膀胱、尿を体外に排出する尿道からなります。
尿路感染症になると、感染した部位や症状の程度によって様々な症状が現れます。最も多くみられる症状は、トイレに行く回数が増える頻尿、尿を出しても出し切った感じがしない残尿感、排尿時の痛みや熱さを感じる灼熱感です。また、尿の色が濁ったり、血が混じったりすることもあります。
膀胱に炎症が起きる膀胱炎の場合、上記の症状に加えて、下腹部に痛みを感じたり、恥骨の奥に不快感を感じたりすることがあります。腎臓に炎症が起きる腎盂腎炎になると、高い熱が出たり、悪寒がしたり、腰に激しい痛みを感じたり、吐き気や嘔吐などの症状が現れます。腎盂腎炎は、重症化すると血液に細菌が入り込んで全身に炎症が広がる敗血症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
病気 | 部位 | 症状 |
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尿路感染症 | – | 頻尿 残尿感 灼熱感 尿の濁り・血尿 |
膀胱炎 | 下腹部痛 恥骨の奥の不快感 |
|
腎盂腎炎 | 腎臓 | 高熱 悪寒 腰痛 吐き気 嘔吐 (重症化すると敗血症) |
尿路感染症の診断
尿路感染症を診断するためには、まず尿検査を行います。この検査では、尿中に含まれる白血球や細菌の量を調べます。健康な状態であれば、尿中に白血球や細菌はほとんど見られませんが、尿路に炎症が起こるとこれらの数値が増加します。尿検査の結果、白血球や細菌が基準値よりも多く検出された場合は、尿路感染症の可能性が高いと判断されます。
尿路感染症と診断された場合には、さらに尿培養検査を実施します。この検査では、採取した尿を培養し、原因となる細菌の種類を特定します。細菌の種類が分かれば、効果的な抗生物質を選択することができます。適切な抗生物質を適切な量で使用することで、より効果的に治療を進めることができます。
尿路感染症の症状が重い場合や、何度も繰り返し再発する場合は、超音波検査や膀胱鏡検査といった画像検査を行うこともあります。これらの検査では、尿道や膀胱、腎臓といった尿路の構造に異常がないかを詳しく調べます。具体的には、尿路結石や腫瘍などの病気が隠れていないかをチェックします。これらの病気は、尿路感染症を繰り返す原因となることがあるため、注意が必要です。
検査 | 目的 | 詳細 |
---|---|---|
尿検査 | 尿路感染症の可能性を評価する | 尿中の白血球や細菌の量を調べる。これらの数値が多い場合は、尿路感染症の可能性が高い。 |
尿培養検査 | 原因となる細菌の種類を特定する | 採取した尿を培養し、原因となる細菌の種類を特定する。効果的な抗生物質を選択するために実施する。 |
超音波検査、膀胱鏡検査(症状が重い場合や再発時) | 尿路の構造に異常がないか調べる | 尿路結石や腫瘍などの病気が隠れていないかをチェックする。これらの病気は、尿路感染症を繰り返す原因となることがある。 |
尿路感染症の治療
– 尿路感染症の治療尿路感染症は、細菌が尿道から膀胱、そして場合によっては腎臓にまで侵入することで引き起こされる炎症性疾患です。 多くの場合、この感染症は抗生物質によって効果的に治療できます。 治療に用いられる抗生物質の種類は、原因となる細菌の種類や感染の重症度によって異なります。医師は、尿検査の結果に基づいて最適な抗生物質を選択します。 一般的な症状としては、排尿時の痛みや灼熱感、頻尿、尿の濁りなどが挙げられますが、これらの症状が現れた場合は自己判断せず、医療機関を受診し適切な診断と治療を受けることが重要です。通常、尿路感染症の治療には数日間の抗生物質の内服で十分な効果が期待できます。 しかし、自己判断で服用を中止してしまうと、細菌が完全に死滅せず再発のリスクが高まる可能性があります。 医師の指示に従い、処方された期間はきちんと薬を服用することが大切です。また、抗生物質による治療と並行して、十分な水分を摂取することも重要です。 水分を多く摂ることで尿量が増加し、体外に細菌を排出する効果が期待できます。 特に、脱水症状を起こしやすい高齢者や子供は、意識的に水分補給を行うように心がけましょう。症状が重い場合や、合併症のリスクが高い場合は、入院の上で抗生物質の点滴治療を行うこともあります。 入院中は、医師や看護師の指示に従い、安静を保ちながら治療に専念することが重要です。
項目 | 説明 |
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定義 | 細菌が尿路に侵入し、炎症を引き起こす疾患 |
原因 | 細菌感染 |
症状 | 排尿時の痛み、灼熱感、頻尿、尿の濁りなど |
治療法 | – 抗生物質の内服 – 十分な水分摂取 – (重症の場合)入院、抗生物質の点滴治療 |
治療上の注意点 | – 自己判断で服用を中止しない – 処方された期間はきちんと薬を服用する – 脱水症状を防ぐため、水分補給を心がける |
尿路感染症の予防
尿路感染症は、細菌が尿道から膀胱、腎臓などの尿路に侵入して炎症を起こす病気です。日常生活で少し注意するだけで、尿路感染症を防ぐことができます。
まず、トイレは我慢せずに、こまめに行くように心がけましょう。尿を膀胱に溜めている時間が長いほど、細菌が繁殖しやすくなります。また、排尿後は、前から後ろに向かって拭くようにしましょう。これは、肛門周囲には細菌が多く存在するため、誤って尿道口に近づけてしまうことを防ぐためです。
性行為の前後には、排尿を心がけましょう。性行為によって尿道に細菌が侵入しやすくなるため、排尿によって尿道内の細菌を洗い流すことが重要です。
水分を十分に摂ることも大切です。水分を十分に摂ることで尿量が増え、尿と一緒に細菌を洗い流す効果が期待できます。特に、汗をかきやすい夏場や運動後は、意識して水分補給をするようにしましょう。
これらの予防策を日常生活に取り入れて、尿路感染症から体を守りましょう。
予防策 | 効果 |
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トイレを我慢しない | 細菌の繁殖を防ぐ |
排尿後は前から後ろへ拭く | 肛門周囲の細菌が尿道口に近づくことを防ぐ |
性行為の前後に排尿する | 尿道内の細菌を洗い流す |
水分を十分に摂る | 尿量を増やし、尿と一緒に細菌を洗い流す |