脊髄損傷と自律神経過緊張反射
- 自律神経過緊張反射とは
自律神経過緊張反射は、脊髄を損傷した患者さんに起こる可能性のある深刻な合併症です。脊髄は、脳からの指令を全身に伝える役割を担っており、この脊髄が損傷を受けると、様々な神経伝達に障害が生じます。自律神経過緊張反射は、その中でも特に注意が必要な症状の一つです。
この反射は、主に胸髄と呼ばれる胸の高さにある脊髄を損傷した場合に多く見られます。そして、損傷を受けた部位よりも下の、麻痺のある部分への刺激がきっかけとなって起こります。例えば、衣服の締め付けや、尿が溜まったことによる膀胱の刺激、あるいは便秘による腸の刺激などが引き金となることがあります。
自律神経過緊張反射が起こると、急激な血圧の上昇が見られます。その他にも、ひどい頭痛、顔面紅潮、発汗、鼻づまり、脈拍の低下や徐脈などの症状が現れます。症状が重篤化すると、意識消失や痙攣、脳出血、最悪の場合は死に至る可能性もあり、迅速な対応が求められます。