「こ」

血液

骨髄検査:血液疾患診断の要

骨髄検査とは 骨髄検査は、血液に異常がある場合や、血液の病気が疑われる場合に行われる重要な検査です。血液は体中に酸素や栄養を運ぶ役割を担っていますが、その血液は骨の中心部にある骨髄で作られています。この骨髄で作られる血液細胞に異常があると、貧血や出血しやすくなる、感染症にかかりやすくなるなど、様々な症状が現れます。 骨髄検査では、腰の骨や胸の骨に針を刺し、骨髄液と骨髄組織を採取します。採取した骨髄液と骨髄組織は顕微鏡で詳しく観察され、血液細胞の種類や数、形に異常がないか、白血病細胞などの異常な細胞が混じっていないかなどを調べます。これらの情報をもとに、血液疾患の診断や治療の効果を判定します。骨髄検査は、血液疾患の診断と治療に欠かせない検査と言えるでしょう。
脳・神経

身近な筋肉の悲鳴:こむら返りについて

- こむら返りとはこむら返りとは、何の前触れもなく筋肉が硬く縮んでしまう現象のことで、医学的には「筋痙攣」と呼ばれます。多くの人が経験する、ありふれた体の不調の一つです。筋肉が自分の意志とは関係なく収縮し、強い痛みを伴うのが特徴です。こむら返りは、特にふくらはぎの筋肉に起こりやすいことから、「こむら」という俗称で呼ばれています。ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプのような役割を担っています。こむら返りが起こると、このポンプ機能が一時的に停止してしまうため、足のむくみやだるさを感じることがあります。こむら返りの原因はさまざまであり、疲労や冷え、脱水症状、ミネラル不足などが挙げられます。激しい運動や長時間の立ち仕事などで筋肉が疲れているときや、冷房の効いた部屋や冷たい水に長時間触れているときなどに起こりやすくなります。また、汗を大量にかくことで体内の水分やミネラルが不足すると、筋肉の収縮がうまくいかなくなり、こむら返りを引き起こすことがあります。こむら返りは、多くの場合、数秒から数分で自然に治まります。痛みが強い場合は、無理に動かしたりせずに、ゆっくりと筋肉を伸ばしたり、マッサージしたりすることで症状を和らげることができます。また、温めることで血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれる効果も期待できます。
脳・神経

硬膜下血腫:頭部外傷後のリスク

硬膜下血腫は、頭蓋骨と脳の間にある硬膜という膜と、脳の表面を覆うくも膜の間に血液が溜まる病気です。 私たちの頭蓋骨と脳の間には、脳を保護するために硬膜とくも膜という二つの薄い膜があります。硬膜下血腫は、この二つの膜の間に血液が流れ出て溜まってしまうことで起こります。 血液が溜まることで脳が圧迫され、様々な神経症状が現れます。症状は、頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害、半身麻痺など様々です。 硬膜下血腫は、交通事故や転倒など、頭を強く打った際に発症することが多いです。特に、高齢者は脳が萎縮し、硬膜とくも膜の間が広がりやすくなっているため、軽い衝撃でも発症するリスクが高くなります。 硬膜下血腫は、早期に発見し適切な治療を行えば、多くの場合後遺症を残さずに回復することができます。そのため、頭を強く打った後、少しでも異常を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。

硬膜外麻酔:出産時の痛みを和らげる方法

- 硬膜外麻酔とは硬膜外麻酔とは、痛みを伝える神経の働きを一時的に抑え、感覚を鈍らせることで痛みを感じにくくする麻酔法です。身体の一部だけに効果がある局所麻酔の一種で、腰から下に効果があります。硬膜外麻酔を行う際には、まず患者さんに横向きになってもらい、背中を丸めてもらいます。そして、背中の中ほど、腰の少し上のあたりに消毒を施し、針を刺します。このとき、脊髄を包む硬膜という膜の外側にある、硬膜外腔というわずかな隙間を狙って針を進めます。硬膜外腔に針先が到達したら、そこから細い管(カテーテル)を挿入します。その後、針は抜き、カテーテルだけを残しておきます。カテーテルはテープで体に固定され、点滴のように薬剤を注入できる状態になります。このカテーテルを通じて麻酔薬を注入することで、腰から下の神経に作用し、痛みを感じにくくします。効果が現れるまでには、通常30分ほどかかります。硬膜外麻酔は、出産時の陣痛を和らげる方法として広く知られていますが、帝王切開や下半身の手術、腰や足の痛みを治療する際など、様々な場面で用いられています。
循環器

心機能の重要な指標:心係数

- 心臓の働きを数値で表す指標心係数 心臓は、体中に血液を循環させるために休むことなく動き続ける、いわば体内のエンジンとも呼べる重要な臓器です。この心臓が一回の拍動で送り出す血液の量を心拍出量といい、心臓のポンプとしての能力を示す指標の一つとなっています。しかし、心臓のポンプ機能は、体の大きさによって異なり、体が大きい人ほど多くの血液を必要とするため、心拍出量も大きくなるのが自然です。そこで、体の大きさを考慮した上で、より正確に心臓のポンプ機能を評価するために用いられるのが「心係数」です。 心係数は、心拍出量を体表面積で割ることで求められます。体表面積とは、読んで字の如く体の表面の面積のことで、身長と体重から計算されます。心係数は、通常、1分間に体が1平方メートルあたりにどれだけの血液を送り出せるかという形で表され、単位はリットル/分/平方メートル(L/min/㎡)を用います。 心係数は、心臓のポンプ機能を評価する上で非常に重要な指標であり、心不全などの心臓病の診断や治療効果の判定に用いられます。健康な人の心係数は、安静状態で2.5~4.0 L/min/㎡程度ですが、心機能が低下するとこの値は小さくなります。例えば、激しい運動後や、興奮状態などでは、心拍出量が増加するため、心係数も高くなることがあります。逆に、心筋梗塞や心不全など、心臓のポンプ機能が低下している場合は、心係数は低下します。 心係数は、心臓の状態を知る上での重要な指標の一つですが、あくまで目安であり、心係数が正常範囲内であっても、心臓病が隠れている可能性もあります。そのため、動悸や息切れなどの自覚症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、医師の診断を受けることが大切です。
血液

免疫の主役!好中球の役割とは?

私たちの体内には、体外から侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体から身を守る、免疫と呼ばれるシステムが備わっています。その免疫システムにおいて、最前線に立って病原体と戦っているのが白血球です。白血球は血液中に存在し、全身をくまなくパトロールして、体に害を及ぼす敵を見つけ次第攻撃を仕掛けます。 白血球は、大きく3つの種類に分けられます。細胞の中に顆粒と呼ばれる小さな袋状の構造を持つ顆粒球、顆粒を持たない単球、そしてリンパ球です。さらに顆粒球は、顆粒の染色性によって、好中球、好酸球、好塩基球の3つに分類されます。 この中で、好中球は白血球全体の約50~70%を占める、まさに免疫の主力部隊といえるでしょう。好中球は、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入してくると、すぐにその場所に駆けつけ、病原体を自身の細胞内に取り込んで殺菌します。また、好中球は、死んだ細胞や体内の老廃物を処理する役割も担っています。このように、好中球は、私たちの体が健康な状態を保つために、非常に重要な役割を担っているのです。
検査

高齢者のための総合的な評価:CGAとは?

- 高齢者総合機能評価とは高齢化が進む現代社会において、高齢者が健康で自立した生活を送るためには、個々の状態を正しく把握し、必要な支援やケアを提供することが重要です。そのために開発されたのが、高齢者総合機能評価(CGA)です。これは、単なる健康診断とは異なり、高齢者の心身の状態、生活環境、社会的な繋がりなどを総合的に評価するプロセスを指します。CGAでは、身体的な健康状態はもちろんのこと、認知機能や精神状態、日常生活における自立度、社会的な活動状況、経済状況、家族や地域との繋がり、さらには生活の質に関する本人の感じ方など、多岐にわたる項目を評価します。これらの情報は、医師や看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士など、多職種の専門家によって収集・分析されます。高齢者は加齢に伴い、様々な身体機能や認知機能が低下しやすくなるだけでなく、生活環境や社会的な環境の変化によって、精神的なストレスを抱えやすくなることもあります。このような状況下では、単に病気の有無を診断するだけでは十分ではなく、高齢者一人ひとりの状況を深く理解し、その人に最適な医療や介護、福祉サービスを提供することが求められます。CGAは、このような包括的な視点から高齢者の状態を把握することで、潜在的な問題やリスクを早期に発見し、適切な介入につなげることを目的としています。そして、高齢者の生活の質を向上させるとともに、健康寿命の延伸にも貢献することが期待されています。
血液

輸血医療の要!交差適合試験とは?

病気や手術などによって、血液が不足してしまう状態というのは、命に関わる深刻な事態になりかねません。このような場合、他の人から提供された血液を患者さんの体内に入れる治療法、つまり輸血が行われます。しかし、輸血は、ただ単に血液を注入すれば良いというわけではありません。提供者と患者さんの間には血液型の適合性が非常に重要となります。 人間の血液には、A型、B型、O型、AB型というように、いくつかの種類が存在します。これを血液型と呼びます。そして、それぞれの血液型には、決まった特徴を持つ血液細胞と、その血液細胞に対する抗体というものが存在します。もし、血液型が異なる血液を輸血してしまうと、体内に侵入してきた血液細胞を異物だと認識し、攻撃をしてしまいます。これが拒絶反応と呼ばれるもので、発熱やじんましん、最悪の場合はショック症状を引き起こし、死に至る可能性もあるのです。 安全な輸血を行うためには、患者さんと提供者の血液型が適合しているかを、事前にしっかりと確認することが必要不可欠です。血液型は、生まれたときから決まっており、生涯変わることはありません。そのため、自分の血液型を正しく知っておくことは、医療現場においても非常に大切です。
検査

混合静脈血酸素飽和度:全身の酸素状態を知る指標

- 混合静脈血酸素飽和度とは私たちの身体は、心臓から送り出された血液によって、全身に酸素を供給しています。心臓から送り出される血液は大動脈を通り、毛細血管を通じて体の隅々まで酸素を運びます。そして、各組織で使われた血液は、最終的に心臓に戻ってきます。この心臓に戻ってきた血液を混合静脈血と呼びます。混合静脈血酸素飽和度(SvO2)とは、この混合静脈血に含まれるヘモグロビンのうち、酸素と結合している割合を示した値です。ヘモグロビンとは、血液の中で酸素と結びつくことで、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。 SvO2は、組織でどのくらい酸素が使われたか、逆にどのくらい酸素が残っているのかを知るための指標となります。 SvO2の値が高い場合は、組織で酸素があまり使われずに残っている状態を示します。逆に、SvO2の値が低い場合は、組織で多くの酸素が使われたことを意味し、組織への酸素供給が不足している可能性も示唆します。 つまり、SvO2は全身の酸素の状態を知るための重要な手がかりとなるのです。

抗がん剤治療の戦略:レジメンを理解する

- 抗がん剤治療レジメンとは抗がん剤治療は、がん細胞を攻撃し、その増殖を抑えることを目的とした治療法ですが、患者さん一人ひとりの状態やがんの種類によって、使用する薬剤の種類や量、投与方法、治療期間などが異なります。 このような、患者さん一人ひとりに最適化された抗がん剤治療の計画書のことを、-抗がん剤治療レジメン-と呼びます。まるで戦場で敵を攻略するための作戦計画書のように、抗がん剤治療レジメンは、がんという病気を克服するための重要な指針となります。具体的には、がんの種類や進行度合い(ステージ)、患者の年齢や体力、合併症の有無などを総合的に判断し、最も効果的な治療法を検討した上で、抗がん剤の種類や投与量、投与間隔、投与期間などが綿密に計画されます。がんの種類によっては、単一の薬剤を使用する場合もありますが、複数種類の抗がん剤を組み合わせることで、より高い治療効果を狙う場合もあります。 また、抗がん剤治療は、手術や放射線治療と組み合わせて行われることもあり、治療計画全体の中で重要な役割を担います。抗がん剤治療レジメンは、患者さんにとって最良の結果をもたらすことを目指して、専門医によって慎重に作成されます。治療の内容や効果、副作用などについては、事前に医師からしっかりと説明を受け、理解しておくことが大切です。
血液

静かなる脅威:骨髄異形成症候群を知る

私たちの体を巡る血液は、全身に酸素を届けたり、外部から侵入しようとする細菌やウイルスと戦ったりと、生きていく上で欠かせない役割を担っています。この血液は、体内の「骨髄」という場所で絶えず作り出されています。骨髄は、骨の内部にあるスポンジのような組織で、そこでは日々、新しい血液細胞が生まれているのです。 しかし、この血液を作る工場である骨髄で、時として異変が起こることがあります。その異変の一つに「骨髄異形成症候群(MDS)」と呼ばれる病気があります。MDSは、骨髄における血液細胞の生産システムに異常が生じる病気です。通常、骨髄では未熟な細胞が成熟し、赤血球、白血球、血小板といった様々な血液細胞へと分化していきます。しかし、MDSではこの過程でエラーが起こり、未熟なままの細胞が増殖したり、正常に機能する血液細胞が十分に作られなくなったりします。 その結果、MDSの患者さんは、貧血、感染症、出血傾向といった様々な症状に悩まされることになります。MDSは、高齢者に多く見られる病気ですが、若い世代で発症することもあります。原因は未だはっきりとは解明されていませんが、遺伝子の異常や、過去に受けた放射線治療、化学物質への曝露などが関与していると考えられています。 MDSは、初期段階では自覚症状が現れにくいため、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。しかし、早期に発見し、適切な治療を行うことで、病状の進行を遅らせたり、症状を和らげたりすることが可能です。
脳・神経

髄膜炎のサイン?項部硬直を解説

- 項部硬直とは 仰向けに寝ている患者さんの頭を、医師がゆっくりと持ち上げようとすると、首の後ろに抵抗を感じ、頭を胸の方にスムーズに近づけられないことがあります。このような状態を「項部硬直」と呼びます。簡単に言うと、首が硬くなって動きが悪くなった状態を指します。 この項部硬直は、髄膜炎の患者さんに多く見られる症状の一つとして知られています。髄膜炎とは、脳や脊髄を覆っている薄い膜である髄膜に炎症が起こる病気です。髄膜は、外部からの衝撃から脳や脊髄を守るという重要な役割を担っています。 項部硬直は、髄膜炎以外にも、くも膜下出血や脳腫瘍など、脳や脊髄に何らかの異常が生じた場合にも現れることがあります。これらの病気では、項部硬直以外にも、頭痛や発熱、嘔吐などの症状が見られることが多く、これらの症状を伴う場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。 項部硬直は、これらの病気の重要なサインとなる場合があります。そのため、首の後ろに違和感や硬さを感じたら、自己判断せずに、医療機関を受診し、医師の診察を受けることが大切です。
血液

免疫の番人:好酸球の役割

- 好酸球とは私達の身体は、常に目に見えない細菌やウイルスなどの脅威に晒されています。これらの外敵から身を守るため、私達の体には免疫と呼ばれる防御システムが備わっています。この免疫システムの中で、重要な役割を担っている細胞の一つが好酸球です。好酸球は、血液の中を流れている白血球の一種です。白血球は、体内に入ってきた異物を排除する役割を担っており、好酸球もその仲間として活躍しています。顕微鏡で観察すると、好酸球には細胞質の中に赤い顆粒が存在していることが分かります。この赤い顆粒こそが、好酸球の特徴と言えるでしょう。顆粒の中には、外敵を攻撃するための様々な物質が蓄えられています。好酸球は、寄生虫感染に対する防御において特に重要な役割を果たします。寄生虫が体内に侵入してくると、好酸球は活性化し、顆粒から寄生虫を攻撃する物質を放出します。また、アレルギー反応にも深く関わっており、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患では、好酸球の数が増加することが知られています。このように、好酸球は私達の身体を守るために無くてはならない細胞と言えるでしょう。
検査

高齢者のQOL向上に貢献する総合機能評価

- 高齢者総合機能評価とは 高齢化が進む現代社会において、医療現場では多くの高齢者が様々な病気を抱えながら生活しています。このような状況下では、単に病気の治療を行うだけでなく、高齢者一人ひとりの状態を包括的に把握し、適切なケアや支援を提供することが重要性を増しています。そこで、高齢者の状態を多角的に評価する手段として、「高齢者総合機能評価」が注目されています。 高齢者総合機能評価は、一般的に「CGA」と略称され、高齢者の心身の状態や生活環境などを総合的に評価する方法です。 従来の医療では、主に身体的な症状に焦点が当てられていましたが、高齢者の場合は、体力や認知機能の低下、社会的な孤立など、様々な要因が複雑に絡み合って健康状態に影響を及ぼします。高齢者総合機能評価では、以下の4つの側面から評価を行うことで、高齢者の状態をより深く理解し、 individualized なケアプランの作成に役立てます。 * -身体機能- 日常生活における動作能力や運動能力、栄養状態などを評価します。 * -生活機能- 食事や入浴、着替えなどの日常生活動作や、家事や買い物などの手段的日常生活動作がどの程度自立して行えるかを評価します。 * -精神機能- 認知機能や気分、意欲、食欲などを評価します。 * -社会・環境- 家族や地域とのつながり、経済状況、住環境などを評価します。 高齢者総合機能評価の結果に基づいて、医師や看護師、リハビリテーション専門職、医療ソーシャルワーカーなど、多職種が連携し、それぞれの専門性を活かしたケアを提供することで、高齢者の生活の質(QOL)の向上を目指します。
呼吸器

医療現場の必須アイテム:喉頭鏡

- 喉頭鏡声の出口を覗く道具喉頭鏡は、医療現場において、喉の奥深くにある「喉頭」と呼ばれる部分を直接観察するために用いられる医療器具です。喉頭は、鼻や口から吸い込んだ空気が肺へと流れるための重要な通り道であると同時に、声帯をもち、私たちが話す時や歌う時に欠かせない発声にも深く関わっています。この喉頭鏡を用いることで、医師は肉眼では直接見ることのできない喉頭の状態を詳細に把握することができます。具体的には、声帯の動きや粘膜の状態、炎症や腫瘍の有無などを確認することが可能です。このような情報は、病気の診断や治療方針の決定に大きく役立ちます。例えば、声がかすれる、息苦しいといった症状がある場合、喉頭鏡を用いた検査によって、声帯ポリープや喉頭炎などの病気が発見されることがあります。また、気管挿管という、人工呼吸器を装着する際に気管にチューブを挿入する医療行為においても、喉頭鏡は欠かせない道具となっています。このように、喉頭鏡は、呼吸や発声という人間にとって非常に重要な機能を担う喉頭の健康を守る上で、医療現場において無くてはならない存在と言えるでしょう。
検査

体の内部を探る:コンピューター断層撮影

- コンピューター断層撮影とはコンピューター断層撮影(CT)は、体の内部を鮮明に映し出すことができる、医療現場において欠かせない検査方法の一つです。CT検査と呼ばれることもあり、X線撮影をさらに進化させた検査といえます。従来のX線撮影では平面的な画像しか得られませんでしたが、CT検査では体の周囲を回転しながらX線を照射し、その情報をコンピューターで処理することで、体の断面画像、つまり輪切りにしたような画像を多数作成することができます。この検査で得られる画像は非常に精細で、臓器、骨、血管、筋肉、脂肪といった体の様々な組織を細かく見分けることが可能です。そのため、病気の早期発見や正確な診断、治療方針の決定などに大きく役立っています。具体的には、がんなどの腫瘍の有無や大きさ、位置、形状などを詳しく調べたり、骨折や内臓の損傷の程度を評価したりする際に用いられます。CT検査は、従来のX線撮影と比較して、より多くの情報を得ることができるという点で優れています。一方で、X線を使用するという点では共通しているため、検査を受ける際には放射線被ばくがあるという点に留意する必要があります。ただし、近年では技術の進歩により、低線量で撮影できるCT装置も開発されており、被ばく量の低減が図られています。
検査

骨髄穿刺:血液疾患診断の決め手

- 骨髄穿刺とは骨髄穿刺は、血液の病気である血液疾患を診断する上で、非常に重要な検査の一つです。人の血液は、骨の中心部に存在する、スポンジのように柔らかく、多くの空洞を持つ組織である骨髄で作られています。この骨髄で作られた血液細胞は、やがて骨髄から血液中に移動し、体全体へと循環していきます。 骨髄穿刺では、この骨髄で作られる血液の状態を詳しく調べるために、骨髄液を採取します。具体的には、腰の骨に針を刺し、そこから少量の骨髄液を採取します。採取した骨髄液は、顕微鏡を用いて観察することで、血液細胞の種類や数、成熟度などを詳しく調べることが可能となります。 これらの情報から、白血病や悪性リンパ腫、再生不良性貧血などの血液疾患の有無や、その進行状況を診断することができます。また、病気の治療効果を判定したり、再発の兆候を早期に発見するためにも重要な検査です。
血液

希望を繋ぐ、骨髄移植という治療

- 骨髄移植とは骨髄移植は、血液の病気で苦しむ患者さんの命を救うための大切な治療法です。たとえば、白血病や悪性リンパ腫、再生不良性貧血といった、血液細胞の異常が原因で起こる病気に対して、効果が期待されています。では、骨髄移植は具体的にどのような治療法なのでしょうか。簡単に言うと、健康な人から提供された骨髄から、血液を作るもとになる細胞(造血幹細胞)を取り出し、それを患者さんの体内へ移植する治療法です。私たちの体の中では、骨髄と呼ばれる骨の中心部にある組織で、日々新しい血液が作られています。しかし、血液の病気になると、この血液を作る働きが弱ってしまったり、異常な血液が作られてしまったりします。そこで、骨髄移植によって、健康な人の造血幹細胞を患者さんの体内に入れることで、再び正常な血液を作り出す力を取り戻すことを目指します。 これは、まるで病気で弱ってしまった土壌に、新しい種をまくことで、再び植物を育てる力を取り戻すのと似ています。骨髄移植は、患者さんにとって大きな負担を伴う治療法ですが、血液の病気に対する有効な治療法の一つとして、多くの患者さんに希望を与えています。
血液

骨髄バンク:命をつなぐ希望の橋渡し

骨髄バンクとは、白血病などの血液疾患で苦しむ患者さんにとって、まさに命の橋渡しをする大切な役割を担っています。これらの病気の治療には、健康な人の骨髄から採取した造血幹細胞を移植する治療法が有効な場合があります。しかし、移植が成功するには、提供者と患者さんの間で、白血球の型であるHLA型が一致する必要があります。 骨髄バンクは、まさにこのHLA型の一致という難題を乗り越えるために存在しています。ドナーと呼ばれる提供者の方々から、骨髄液や末梢血幹細胞を提供していただき、大切に保管しています。そして、移植を必要とする患者さんが現れた際に、HLA型が一致するドナーを探し出し、移植が実現するよう橋渡しを行います。 提供者と患者さん、両者の善意と希望を繋ぐ骨髄バンクは、多くの命を救う可能性を秘めた、非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
脳・神経

硬膜外腔:脊髄を守る重要な空間

- 硬膜外腔とは私たちの背骨は、たくさんの骨が積み重なってできており、その中心には神経の束である脊髄が通っています。脊髄は、脳からの指令を体全体に伝えたり、体からの感覚情報を脳に伝えたりする、非常に重要な役割を担っています。 この大切な脊髄は、3つの層からなる膜でしっかりと保護されています。この膜を髄膜と呼び、外側から硬膜、クモ膜、軟膜と名付けられています。硬膜は、線維質で弾力性に富んだ丈夫な膜で、脊髄を外部からの衝撃から守っています。 さらに、脊髄は、積み重なった骨によって作られるトンネル、脊柱管の中を走行しています。この硬膜と脊柱管の間にあるわずかな隙間のことを、硬膜外腔と呼びます。硬膜外腔には、血管やリンパ管、脂肪組織などが存在し、脊髄への栄養供給や、衝撃を吸収する役割などを担っています。 硬膜外腔は、医療現場でも重要な役割を担っています。硬膜外麻酔は、この硬膜外腔に局所麻酔薬を注入することで、痛みを和らげる効果を発揮します。この麻酔法は、出産時の痛みを和らげたり、下半身の手術時などに用いられたりします。
脳・神経

脊髄を守るクッション、硬膜外腔

私たちの体の中心には、脳から続く神経の束である脊髄が通っています。脊髄は、脳からの指令を体へ伝えたり、体からの感覚を脳へ伝えたりする、生命維持にも関わる重要な役割を担っています。しかし、その役割とは裏腹に、脊髄はとても繊細な組織です。そのため、外部からの衝撃から守るための精巧な仕組みが備わっています。硬膜外腔は、まさにこの保護に貢献する空間なのです。 脊髄は、まず硬膜という丈夫な膜によって包まれています。硬膜は、その名の通り硬い膜で、外部からの衝撃を和らげるクッションの役割を果たします。さらに、硬膜の外側には、脊柱管と呼ばれる骨のトンネルが存在します。脊柱管は、複数の椎骨と呼ばれる骨が連結して構成されており、硬膜をしっかりと覆っています。そして、この硬膜と脊柱管の間にわずかに存在する隙間を、硬膜外腔と呼びます。硬膜外腔は、脂肪組織や血管などが緩く詰まった空間であり、脊髄への衝撃を吸収する役割を担います。 硬膜外腔は、医療現場でも重要な役割を果たします。例えば、出産時の痛みを和らげるための硬膜外麻酔では、この硬膜外腔に麻酔薬を注入します。このように、硬膜外腔は、脊髄を守るだけでなく、医療においても重要な役割を担う空間なのです。
血液

骨髄検査:血液疾患の診断に欠かせない検査

- 骨髄検査とは骨髄検査は、血液の病気や異常の原因を調べるために行われる検査です。血液は、体中に酸素を運んだり、細菌やウイルスから体を守ったりするなど、生きていく上で欠かせない役割を担っています。この血液を作り出しているのが、骨の中心部にある骨髄と呼ばれる組織です。骨髄では、赤血球、白血球、血小板といった様々な血液細胞が作られていますが、骨髄の病気や異常によって血液細胞が正常に作られなくなると、貧血や感染症、出血傾向などの症状が現れることがあります。骨髄検査では、骨髄液と呼ばれる骨髄に含まれる液体や、骨髄組織そのものを採取して、顕微鏡で観察したり、染色して細胞の種類や数を調べたりします。これらの検査結果から、骨髄の状態や血液細胞の産生能力を評価することで、血液疾患の診断や治療方針の決定に役立てることができます。骨髄検査は、一般的には腰の骨に針を刺して行われます。検査中は局所麻酔を行うため、痛みはほとんど感じませんが、検査後には少し痛むことがあります。骨髄検査は、血液疾患の診断において非常に重要な検査ですが、医師は患者さんの症状や他の検査結果などを総合的に判断した上で、検査の必要性を判断します。

抗真菌薬:真菌感染症治療の進歩

私たちの身の回りには、肉眼では確認できないほどの数の菌類が生きています。これらの菌類の中には、カビやキノコのように、私たち人間に感染して病気を引き起こすものも少なくありません。このような菌による感染症は、真菌感染症と呼ばれ、近年、患者数が増加傾向にあり、医療現場において深刻な問題となっています。 真菌感染症は、健康な人にとっては、比較的軽症で治癒するケースが多いです。しかし、免疫力が低下している患者さんの場合、真菌感染症は命に関わる深刻な病態となる可能性があります。例えば、がん治療中や臓器移植後など、免疫抑制剤を使用している患者さんは、免疫力が低下しているため、真菌感染症のリスクが高まります。また、糖尿病やHIV感染症などの基礎疾患を持つ患者さんも、真菌感染症にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。 真菌感染症の症状は、感染する部位や菌の種類によって異なります。皮膚や爪に感染する場合は、かゆみ、発疹、水ぶくれ、爪の変色や肥厚などの症状が現れます。肺に感染する場合は、咳、痰、発熱、呼吸困難などの症状が現れます。さらに、血液に侵入して全身に広がると、敗血症などの命に関わる重篤な状態を引き起こす可能性もあります。 真菌感染症の治療は、抗真菌薬を用いて行われます。しかし、近年、既存の抗真菌薬が効かない薬剤耐性菌が出現しており、治療が困難なケースも増えています。そのため、日頃から、手洗いやうがいを徹底するなど、真菌感染症の予防に努めることが重要です。
検査

免疫の謎を探る: 抗原検査

- 抗原検査とは私たちの体は、外から侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体から身を守るために、免疫という優れたシステムを持っています。この免疫システムは、体内に入ってきた異物をいち早く見つけ出し、それを排除しようと働きます。では、免疫システムはどのようにして、体にとって害となる病原体と、そうでないものを見分けているのでしょうか?その鍵となるのが抗原です。抗原とは、細菌やウイルスなど、主に体外から侵入してくる異物の表面にある物質で、免疫システムはこれを「敵の目印」として認識します。抗原検査とは、この免疫システムの仕組みを利用した検査方法です。例えば、特定のウイルスに感染しているかどうかを調べたい場合、そのウイルスが持つ特有の抗原と結合する検査薬を用います。もし、検査対象者の体内にそのウイルスが存在すれば、ウイルス表面の抗原と検査薬が結合し、陽性反応を示します。逆に、ウイルスが体内に存在しなければ、検査薬は反応せず、陰性という結果になります。このように、抗原検査は、体内に特定の病原体が存在するかどうかを、比較的短時間で調べることができるため、病気の早期発見や感染拡大の防止に役立っています。
PAGE TOP