「け」

消化器

血便:その原因と重要性

- 血便とは血便とは、その名の通り、便に血液が混ざっている状態のことを指します。見た目にわかりやすいものでは、便の表面に鮮やかな赤い血液が付着していたり、便全体に血液が混ざり合っていたりします。このような状態になると、多くの人が驚き、不安や心配に駆られることでしょう。確かに血便は、体からの重要なサインではありますが、その原因は実に様々です。命に関わるような深刻な病気が隠れていることもあれば、比較的早く治る軽い病気の場合もあります。例えば、痔核や肛門が切れてしまう肛門裂傷などは、血便の一般的な原因として知られており、比較的軽度なケースが多いです。便秘などで強くいきんだ際に、肛門周辺の血管が切れて出血してしまうことが原因で、鮮やかな赤い血液が便の表面に付着したり、トイレの水が赤く染まったりします。一方、消化管の炎症や潰瘍、腫瘍などが原因で血便が出ることもあります。このような場合は、黒っぽいタール状の便が出ることが多く、注意が必要です。自己判断は危険ですので、血便が出た場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしてください。自己判断で市販薬を使用したり、放置したりすると、症状が悪化したり、適切な治療が遅れたりする可能性があります。医師による適切な診断と治療を受けることが大切です。
泌尿器

意外と気づきにくい?血尿の意外な原因と注意すべきサイン

- 血尿とは?血尿とは、その名の通り、尿に血液が混じっている状態を指します。普段何気なく目にしている尿の色は、薄い黄色から濃い黄色であることが多いでしょう。しかし、血尿になると、その程度によって色が異なってきます。例えば、肉眼で見て明らかに赤いと感じる場合は、比較的多くの血液が混じっていると考えられます。この状態を「肉眼的血尿」と呼びます。一方、見た目には全く異常を感じられず、健康診断などの顕微鏡検査で初めて血が混じっていることがわかる場合もあります。これを「顕微鏡的血尿」と呼びます。顕微鏡的血尿は、自覚症状が全くない場合がほとんどです。そのため、健康診断などで指摘されて初めて、自分の尿に血が混じっていることに気づく方も少なくありません。いずれにしても、血尿は体の異常を示すサインの一つである可能性があります。その原因は、膀胱炎などの比較的軽いものから、腫瘍など重大な病気が潜んでいるものまで様々です。自己判断で放置せず、医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
血液

血液の隠れた主役:血漿の役割

私たちの体の中に流れる血液は、大きく分けて二つの要素で成り立っています。一つは赤血球、白血球、血小板といった細胞成分で、もう一つはこれらの細胞を包み込む液体成分である血漿です。血液全体のおよそ6割がこの血漿で、残りの4割が細胞成分に当たります。 血液を採取し、試験管に入れて高速で回転させると、成分の違いによって重いものから順に沈殿していきます。一番下に沈むのは赤血球、その上に血小板と白血球を含む薄い層ができ、そして一番上に透明な淡黄色の液体部分が現れます。これが血漿です。 一見すると、ただの水のように見える血漿ですが、実際には生命維持に不可欠な様々な成分が含まれています。栄養素やホルモン、電解質などを体全体に運搬する役割を担っている他、老廃物や二酸化炭素を運び出す役割も担っています。さらに、免疫機能や血液凝固などにも関与しており、私たちの体が正常に機能する上で欠かせない存在と言えるでしょう。
循環器

生命の指標:血圧について

血圧とは? 血液は、心臓という強力なポンプによって、全身に張り巡らされた血管の中を休むことなく流れ続けています。 この血液が血管の中を流れる際に、血管の壁に押し付ける力のことを「血圧」といいます。 私たちの体にとって、血液は酸素や栄養を運ぶ重要な役割を担っており、心臓はその血液を絶えず送り出すことで、生命維持に貢献しています。 日常生活を思い浮かべてみましょう。階段を上ったり、激しい運動をしたりすると、心臓はドキドキと速く鼓動し、息切れを感じることがあります。 これは、体がより多くの酸素を必要とするため、心臓がより多くの血液を送り出そうと、より強い力で血管に血液を押し出している状態だからです。 このように、私たちの活動レベルや体の状態によって、心臓の働きは常に変化し、それに伴い血圧も変動します。 座って安静にしている時と、運動をして息が上がっている時では、血圧は異なる値を示すのです。
検査

健康の鍵!血糖値について学ぼう

- 血糖値って何だろう? 私たちの体は、活動するためのエネルギー源としてブドウ糖を必要としています。 このブドウ糖は、ご飯やパン、麺類などの炭水化物を含む食品を食べることで体内に取り込まれます。 食事から摂取された炭水化物は、消化器官でブドウ糖に分解され、血液中に吸収されます。そして、血液によって全身の細胞に運ばれ、エネルギー源として利用されます。 血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことで、mg/dLという単位で表されます。 血糖値は、食事や運動、時間帯、ストレスなどの様々な要因によって変動します。食後には血糖値が上昇し、空腹時や運動後には低下するといったように、常に変化しています。 健康な状態を保つためには、血糖値を適切な範囲に保つことが重要です。血糖値が慢性的に高すぎる状態が続くと、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まります。逆に、血糖値が低すぎると、めまいやふらつき、意識障害などを引き起こす可能性があります。
検査

血清尿酸値:健康を知るための重要な指標

健康診断などで必ず測定する項目の一つに「血清尿酸値」があります。これは、血液中にどれくらいの尿酸が含まれているかを示す数値です。 では、この尿酸は一体どこから来るのでしょうか? 私たちの身体を構成する細胞の中には、「プリン体」と呼ばれる遺伝情報を司る物質が存在します。このプリン体が、何らかの原因で分解されると、最終的に「尿酸」という老廃物に変化します。 通常、尿酸は血液によって腎臓へと運ばれ、そこでろ過されて尿として体外へ排出されます。しかし、プリン体の量が多すぎたり、腎臓でのろ過がうまくいかなくなると、血液中に尿酸が溜まり、血清尿酸値が高くなってしまうのです。 この血清尿酸値が高い状態が続くと、やがて痛風などの病気を引き起こすリスクが高まるため注意が必要です。
血液

エネルギー危機を救うケトン体

- ケトン体とは?私たちは普段、ご飯やパンなどに含まれる炭水化物からエネルギーを得て生活しています。 炭水化物は体内でブドウ糖に分解され、体のエネルギー源として利用されます。 しかし、飢餓状態や重い糖尿病などの理由でブドウ糖が不足すると、体はエネルギー不足に陥ります。このようなとき、体は代わりに脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとします。 脂肪は肝臓で分解され、その過程でケトン体が作られます。 ケトン体には、アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸の3種類があります。 ケトン体は血液に乗って全身に運ばれ、脳や筋肉などの細胞のエネルギー源として利用されます。 ブドウ糖が不足している状況では、ケトン体は生命維持に重要な役割を果たします。ただし、ケトン体が過剰に作られると、血液が酸性に傾くケトアシドーシスという危険な状態に陥ることがあります。 特に、重い糖尿病の患者さんでは注意が必要です。 ケトアシドーシスは意識障害や昏睡などを引き起こし、命に関わることもあります。
循環器

生命の指標:血圧について

- 血圧とは私たちの体の中には、全身に栄養や酸素を運ぶために、網の目のように血管が張り巡らされています。心臓は、まるでポンプのように休むことなく動き続け、血液を体中に送り出しています。この時、血液が血管の中を流れる際に、血管の壁に圧力がかかります。これが「血圧」です。血圧は、血液を体の隅々まで送り届けるために必要な圧力です。高すぎても低すぎてもいけません。 血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり続け、動脈硬化などを引き起こすリスクが高まります。動脈硬化は、血管の弾力性を失わせ、血液の流れを悪くする病気です。進行すると、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気を引き起こす可能性があります。反対に、血圧が低い状態が続くと、体全体に十分な血液が巡らなくなります。 その結果、めまいや立ちくらみ、疲労感などが現れることがあります。健康な状態を保つためには、血圧を適切な範囲に保つことが大切です。日頃からバランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、血圧を正常な範囲に保ちましょう。また、定期的に血圧を測定し、自身の血圧の状態を把握することも重要です。
泌尿器

膀胱腫瘍を内視鏡で治療!TURBTとは?

- 膀胱腫瘍と診断されたら「膀胱腫瘍」と診断を受けると、当然のことながら、驚きと不安な気持ちに襲われるでしょう。診断名は同じ「膀胱腫瘍」でも、腫瘍が体の表面に近い場所にできる「良性」の場合と、体の奥深くまで進行する可能性のある「悪性(がん)」の場合があります。膀胱腫瘍は、尿をためておくための臓器である膀胱の内側にできる腫瘍です。そして、腫瘍が良性であるか悪性であるか、腫瘍の大きさや種類、進行度合いなどによって、適切な治療法は異なってきます。初期の膀胱がんの治療法として、よく用いられるのが「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」です。これは、尿道から内視鏡という細い管状の医療機器を挿入し、膀胱内部を観察しながら、腫瘍を電気で切除する方法です。開腹手術と比べて体への負担が少なく、回復も早いというメリットがあります。しかし、TURBTだけで完全にがんが取りきれるとは限りません。また、がんの種類や進行度によっては、TURBT以外の治療法、例えば抗がん剤を用いた化学療法や放射線治療などを併用する必要がある場合もあります。大切なのは、医師から診断内容や治療方針について、しっかりと説明を受けることです。不安な点や疑問点は、遠慮なく医師に相談し、納得のいく治療を受けていきましょう。
外科

手術の必需品:ケリー鉗子

- ケリー鉗子とは外科手術において、出血を制御し、組織を安全に分離することは非常に重要です。これらの操作をスムーズに行うために欠かせない器具の一つが、ケリー鉗子です。その名の由来は、20世紀初頭に活躍したアメリカの外科医、ハワード・アトウッド・ケリー博士です。彼が考案したこの鉗子は、現在も世界中の手術室で使われています。ケリー鉗子最大の特徴は、先端部分が緩やかに湾曲している点にあります。この独特の形状によって、術野の奥深くにある血管や組織に対しても、的確にアプローチすることが可能となりました。従来のまっすぐな鉗子では届かなかった部分にもアクセスできるため、より安全かつ精密な手術操作を実現できます。ケリー鉗子は、その用途の広さから、様々なサイズが用意されています。小さな血管を挟む際には繊細な作りの小型のもの、より大きな組織を把持する際には頑丈な大型のものといったように、状況に応じて適切なサイズを選択することが重要です。このように、ケリー鉗子は、外科医にとって無くてはならない、まさに「手術の必需品」と言えるでしょう。
小児科

乳児に見られる原始姿勢反射

- 原始姿勢反射とは生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ周囲の世界を認識し、自分の意思で体を動かすことができません。しかし、外界からの刺激に対して、決まったパターンで反応する、生まれながらの能力を持っています。これを原始姿勢反射と呼びます。原始姿勢反射は、まだ未熟な脳を持つ赤ちゃんが、生き延び、成長していくために備わっている、重要な機能と考えられています。例えば、赤ちゃんの手のひらに何かが触れると、ぎゅっと握り返す動作は、把握反射と呼ばれる原始姿勢反射の一種です。これは、母親など、保護者に抱きついて離れないようにするための、生存本能的な行動の名残と言われています。また、乳児期に現れる様々な運動能力の発達にも、原始姿勢反射は深く関わっていると考えられており、そのメカニズムの解明が研究されています。これらの反射は、成長に伴い脳神経系が成熟することで、徐々にその役割を終え、生後半年から1年程度で消失していきます。もし、これらの反射が適切な時期に現れなかったり、消失が遅れたりする場合は、脳の発達に何らかの問題がある可能性も考えられるため、医師の診察を受けることが推奨されます。
循環器

命を支える技術:経皮的心肺補助法

心臓と肺は、私たちが生きていく上で欠かせない臓器です。どちらも休むことなく働き続け、血液を循環させ、体全体に酸素を供給しています。しかし、病気や怪我などによって、心臓や肺の機能が著しく低下してしまうことがあります。このような状態になると、生命の危機に瀕してしまう可能性があります。 経皮的心肺補助法(PCPS)は、心臓や肺の機能が著しく低下した患者さんの命を繋ぐための重要な医療技術です。これは、心臓と肺の働きを一時的に代替することで、これらの臓器に休息を与えることを目的とした治療法です。 PCPSでは、まず太ももの付け根や首などの血管からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入します。そして、このカテーテルを通して血液を体外に取り出し、人工心肺装置に接続します。人工心肺装置は、血液から二酸化炭素を取り除き、酸素を供給する役割を担います。その後、酸素を豊富に含んだ血液は再び体内に戻されます。 PCPSによって心臓と肺を休ませることで、本来であれば回復が難しいような重症な状態であっても、患者さんの状態が改善する可能性があります。心臓や肺の機能が回復するまでの間、PCPSはまさに「命の橋渡し」として、多くの患者さんの命を救っています。
循環器

経皮的心肺補助法:生命を支える最新技術

- 経皮的心肺補助法とは 経皮的心肺補助法(PCPS)は、病気や怪我などによって心臓や肺が正常に機能しなくなった時に、一時的にその働きを代替し、生命を維持するための治療法です。 心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割、肺は血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するガス交換の役割を担っていますが、心臓手術後や重い心不全、呼吸不全の患者さんの場合、これらの臓器が十分に機能せず、生命維持が困難になることがあります。このような場合に、PCPSを用いることで、心臓や肺を休ませながら回復を促すことが期待できます。 PCPS では、足の付け根にある太い血管(大腿動脈と大腿静脈)からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入します。このカテーテルを通して血液を体外に取り出し、PCPS 装置内で酸素を供給し、再び体内に戻します。この一連の循環補助を行うことで、弱った心臓や肺の代わりに血液を循環させ、酸素を全身に送り届けることが可能となります。 PCPS は、心臓や肺の機能が回復するまでの間、生命維持に不可欠な治療法と言えるでしょう。
資格・職種

コミュニケーションを支える専門家:言語聴覚士

私たちが毎日何気なく行っている「話す」「聴く」「読む」「書く」。これらは全て「コミュニケーション」と呼ばれる、人と人とをつなぐ上で必要不可欠な行為です。しかし、病気や発達段階における問題などによって、こうした行為に困難が生じてしまう人たちがいます。 生まれたときから音が聞き取りにくい子ども、脳卒中の後遺症で言葉を発することが難しくなった高齢者、うまく言葉が出てこなくて悩む学生など、コミュニケーションに困難を抱える人の背景や症状は実に様々です。 音が聞こえづらい、言葉がうまく話せないということは、単に相手の言っていることが理解できない、自分の気持ちを伝えられないというだけではありません。コミュニケーションがうまくいかないと、周囲の人とうまく関係を築くことが難しくなり、孤独を感じやすくなってしまいます。また、就職や社会参加など、人生の様々な場面で困難に直面することもあります。 このような困難を克服し、誰もが円滑なコミュニケーションを取ることができるように、様々な取り組みが行われています。例えば、聴覚に障害のある子どもには、手話や口話、文字によるコミュニケーションなど、その人に合った方法でコミュニケーションを図ります。また、脳卒中の後遺症で言葉が話せなくなった高齢者には、言語聴覚士によるリハビリテーションが行われます。 コミュニケーションは、私たちが人間らしく生きる上で欠かせないものです。困難を抱える人々への理解を深め、誰もが安心してコミュニケーションを取ることのできる社会を築いていくことが大切です。
外科

外科系集中治療室:術後の回復を支える専門部隊

外科系集中治療室とは、手術後、特に全身麻酔を用いた大規模な手術を受けた患者さんの容態が安定するまで、集中的に治療と看護を行うための専門的な施設です。 外科手術は、患者さんの身体に大きな負担をかけることがあります。特に、心臓や肺、脳など、生命維持に重要な臓器を扱う手術や、がんの切除など長時間におよぶ手術では、術後に注意深く経過観察を行う必要があります。外科系集中治療室(ICU)は、このような患者さんが安全かつ快適に回復できるよう、高度な医療を提供する場所です。 ICUには、人工呼吸器や心臓カテーテルなどの生命維持装置、血液透析装置、脳波計、各種モニターなど、多くの高度な医療機器が備えられています。これらの機器を用いることで、患者さんの状態を詳細に把握し、異常があれば迅速に対応することができます。 ICUで働く医療スタッフは、専門的な知識と豊富な経験を持つ医師や看護師で構成されています。彼らは、患者さんの状態を24時間体制で見守り、適切な治療や処置を施します。また、患者さんの不安を和らげ、安心して療養生活を送れるよう、精神的なケアにも力を入れています。 外科系集中治療室は、高度な医療と献身的なケアによって、多くの患者さんの命を守り、健康を取り戻すための重要な役割を担っています。
看護技術

注射針の太さの秘密: ゲージについて解説

- ゲージとは注射や採血の際に使用する注射針には、さまざまな太さのものがあります。この注射針の外径の太さを表す単位のことを、-ゲージ-と言います。ゲージはアルファベットの「G」を記号として用い、数字と組み合わせて「21G」や「18G」のように表記します。少し意外に感じるかもしれませんが、ゲージは数字が大きくなるほど針が細くなります。つまり、「21Gの注射針よりも18Gの注射針の方が太い」ということになります。これは、ゲージが注射針の内径ではなく、外径を基準にしているためです。一般的に、数字が大きい方がサイズも大きいというイメージを持つことが多いでしょう。しかし、ゲージに関しては逆になっていることを覚えておきましょう。注射針を選ぶ際には、このゲージの数字に注意することが大切です。なぜなら、注射針の太さは、投与する薬液の種類や量、そして患者さんの体格などによって適切なものを選ぶ必要があるからです。例えば、粘性の高い薬液を投与する場合には、細い針だと詰まってしまう可能性があるため、太い針が適しています。また、筋肉注射のように深い場所に注射する場合には、ある程度の太さを持った針が適しています。このように、ゲージは注射針の太さを表す重要な指標です。注射針を選ぶ際には、ゲージの数字に注意し、適切な太さのものを選ぶようにしましょう。そして、疑問点があれば、遠慮なく医師や看護師に相談するようにしてください。
産婦人科

顕微授精:不妊治療の光となる技術

- 顕微授精とは顕微授精とは、体外受精の一種で、文字通り顕微鏡を使って精子を卵子に直接注入する技術です。体外受精というと、一般的には、採取した精子と卵子を培養皿の中に入れて、自然に受精するのを待つというイメージがあるかもしれません。しかし、精子の数が極端に少なかったり、運動能力が低かったりする場合には、この方法では受精が難しいことがあります。そこで用いられるのが顕微授精です。顕微授精では、まず、特殊な顕微鏡を使って、卵子を固定します。そして、非常に細いガラス管の先端に、選別した元気な精子を一本だけ吸い上げ、卵子の内部に直接注入するのです。このように、顕微授精は、自然な受精を期待するのが難しい場合でも、確実に精子を卵子に届けることができるため、近年、男性不妊の治療法として広く普及しています。特に、重度の男性不妊症に悩んでいる夫婦にとっては、大きな希望と言えるでしょう。
産婦人科

原発性不妊症とは?

妊娠できない状態が続くと、不妊症と診断されますが、その中でも、一度も妊娠を経験したことがない場合を原発性不妊症と呼びます。これは、性交渉の経験があり、かつ避妊をしていないにもかかわらず、一定期間以上妊娠に至らない状況を指します。 では、具体的にどれくらいの期間、妊娠しなければ原発性不妊症と診断されるのでしょうか。一般的には、夫婦生活を1年以上継続していても妊娠に至らない場合に、不妊症の検査を受けることが推奨されています。これは、健康な男女が性交渉を持った場合、1年間で約8割が妊娠に至るとされているためです。しかし、年齢やその他の要因によって、検査を始める時期は個別に対応する必要があります。例えば、女性の年齢が35歳以上の場合や、生理不順、過去の病気など、妊娠しにくい要素を持っている場合は、1年待たずに早めに医療機関を受診することが推奨されます。
呼吸器

結核について:原因から症状まで

- 結核とは結核は、結核菌という非常に小さな生き物によって引き起こされる病気です。この小さな生き物は、人から人へ、空気感染します。誰かが咳やくしゃみをすると、目に見えないぐらい小さなツブが空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。結核は、主に肺で発生することが多い病気です。肺で結核菌が増えると、咳や痰、熱、体重が減るといった症状が現れます。しかし、結核菌は肺だけでなく、リンパ節や骨、腎臓など、体の様々な場所に感染することがあり、注意が必要です。結核は、適切な薬をきちんと飲むことで治すことができる病気です。薬は、医師の指示に従って、決められた期間、きちんと飲み続けることが重要です。治療を途中でやめてしまうと、病気がぶり返したり、薬が効きにくい体になってしまうことがあります。結核は、昔に比べて患者数が減っている病気ですが、今でも完全に撲滅されたわけではありません。咳が長引いたり、体がだるいなど、気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
循環器

心臓病治療の革新:経皮的冠動脈形成術

心臓は、私たちの体にとって非常に重要な臓器です。それは、まるで休むことなく働き続けるポンプのように、全身に血液を送り出す役割を担っています。そして、心臓自身にも、新鮮な酸素や栄養を届けるための血管が張り巡らされています。この心臓に血液を供給する血管のことを、冠動脈と呼びます。 この冠動脈は、動脈硬化などによって壁が厚く硬くなったり、血管の内側に脂肪などが溜まって狭くなってしまうことがあります。このような状態を狭心症と呼びます。さらに、血管が完全に詰まってしまい、心臓の筋肉に血液が全く届かなくなってしまうと、心筋梗塞を引き起こします。狭心症も心筋梗塞も、命に関わる危険性のある病気です。 これらの病気は、総称して虚血性心疾患と呼ばれ、日本人の死因の上位を占める病気の一つです。虚血性心疾患は、食生活の欧米化や運動不足、喫煙、ストレスなど、様々な要因によって引き起こされると考えられています。
外科

手術に欠かせない道具:鑷子の種類と使い方

- 鑷子とは鑷子(せっし)は、一般的にはピンセットとして知られており、医療現場で幅広く使用されている器具です。二つの金属片が支点を中心につながっており、ちょうど指先のように先端を閉じたり開いたりすることで、物を掴んだり、繊細な作業を行ったりすることができます。医療現場、特に手術や無菌操作においては欠かせない道具の一つと言えるでしょう。 薬品やガーゼを扱う際、患部に触れることなく処置を行う際など、衛生面を保ちながら安全に作業を進める上で非常に重要な役割を担います。鑷子は、その用途や対象となる組織に合わせて様々な種類が存在します。例えば、手術で使用する場合は、組織を傷つけずにしっかりと保持できるよう、先端が鋭利なものや、曲がっているものなどがあります。また、眼科手術など、非常に細かい作業が必要な場合には、先端が極めて細く作られた鑷子が用いられます。このように、鑷子は医療現場において、なくてはならない道具の一つと言えるでしょう。その種類は多岐に渡り、医療従事者は、それぞれの用途に合わせて適切な鑷子を使い分ける必要があります。
循環器

経皮的冠動脈形成術:狭心症と心筋梗塞に対する有効な治療法

心臓は、体中に血液を送り出すために休むことなく働き続ける重要な臓器です。ポンプのような役割を担う心臓自身にも、栄養や酸素を運ぶ血液が必要であり、その血液を供給するのが「冠動脈」と呼ばれる血管です。 しかし、加齢や生活習慣の影響などにより、血管が硬くもろくなる動脈硬化が起こることがあります。動脈硬化によって冠動脈が狭くなったり、詰まったりすると、心臓への血液の流れが悪くなり、様々な症状が現れます。 例えば、胸の痛みや圧迫感を伴う狭心症や、さらに悪化すると心臓の筋肉が壊死してしまう心筋梗塞などを引き起こす可能性があります。 このような心臓の血管の病気を治療する方法の一つに、カテーテルを使った治療法があります。カテーテル治療とは、足の付け根や腕の血管から細い管(カテーテル)を挿入し、心臓の冠動脈まで到達させて治療を行う方法です。 カテーテル治療の中でも、近年広く行われている治療法の一つが「経皮的冠動脈形成術(PTCR)」です。PTCRは、風船のついたカテーテルを狭くなった冠動脈まで挿入し、風船を膨らませて血管を広げる治療法です。血管を広げた後は、再び狭くなるのを防ぐために、ステントと呼ばれる金属製の網状の筒を留置します。PTCRは、身体への負担が比較的少なく、治療効果も高いことから、多くの患者さんに希望を与えている治療法です。
血液

静脈に潜む危険: 血栓とは?

私たちの体を巡る血液は、まるで体中に張り巡らされた道路網を車が行き交うように、絶えず体内を循環しています。そして、血液は車のように、体にとって必要な酸素や栄養素を体の隅々まで運び届ける役割を担っています。 もし、この血液の流れが悪くなると、体の各組織は酸素や栄養素を受け取ることができなくなり、様々な障害が起こってしまいます。 そのような血液の流れを阻害する原因の一つに、血栓があります。 通常、血液は血管の中をスムーズに流れていますが、血管の内壁が傷ついたり、血流が遅くなったりすると、血液凝固と呼ばれる働きが過剰に働き、血液が固まりやすくなります。そして、この固まった血液が血管内で塊となったものが血栓です。 血栓は血管を詰まらせてしまうため、血液が流れにくくなり、酸素や栄養素が供給されなくなります。 例えば、心臓の血管に血栓ができると心筋梗塞、脳の血管に血栓ができると脳梗塞といった、命に関わる重大な病気を引き起こす可能性があります。 このように、血栓は私たちの健康に大きな影響を与える可能性があります。日頃から、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、血流を良好に保つことが大切です。
検査

健康のバロメーター:血液検査のススメ

- 血液検査とは血液検査とは、文字通り私たちの体内を巡る血液を採取し、その成分を詳しく調べることで、健康状態を評価する検査です。 健康診断や病気の診断、治療効果の確認など、様々な場面で活用されています。血液は、体中に張り巡らされた血管という管の中を流れ、酸素や栄養を体の隅々まで運び、老廃物を回収するという重要な役割を担っています。 その中には、赤血球、白血球、血小板といった細胞成分や、タンパク質、糖分、脂質、電解質、ホルモンなど様々な成分が含まれています。 血液検査では、これらの成分を分析することで、貧血や感染症、糖尿病、脂質異常症といった様々な病気の有無や進行度を調べることができます。 また、肝臓や腎臓といった臓器の働きについても評価することができます。血液検査は、一般的に注射針を用いて腕の静脈から血液を採取します。 検査項目によって、採血する血液の量や食事制限の有無などが異なります。 血液検査の結果は、基準値と比較して判断されます。 基準値は年齢や性別によって異なる場合があり、異常値が必ずしも病気のサインとは限りません。 検査結果については、医師に相談し、自身の健康状態を正しく理解することが大切です。
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