整形外科

小児科

先天性股関節脱臼:赤ちゃんの股関節の病気

- 先天性股関節脱臼とは?生まれたばかりの赤ちゃんの股関節は、骨盤の受け皿となる部分(臼蓋)と太ももの骨(大腿骨)の先端にある丸い骨(大腿骨頭)が組み合わさってできています。先天性股関節脱臼とは、この大腿骨頭が臼蓋から外れてしまっている状態を指します。医学用語では「先天性股関節脱臼」または「発育性股関節形成不全」とも呼ばれます。この状態は、股関節を形成する骨や軟骨が十分に発達していない、または正常な位置にないために起こります。赤ちゃんの骨はやわらかく、成長の過程で形が変わっていくものですが、先天性股関節脱臼の場合、股関節の形が不安定なために、大腿骨頭が臼蓋から外れやすくなっています。先天性股関節脱臼は、女の子に多く見られ、男の子の7~8倍の発生率です。これは、女の子の方が骨盤の成長が遅く、股関節が不安定になりやすいことが理由の一つと考えられています。また、左右どちらかの股関節に起こることもありますが、左側に多い傾向があります。これは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中で、左側を下にしていた場合、左の股関節に負担がかかりやすいためと考えられています。先天性股関節脱臼は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、ほとんどの場合、後遺症を残さずに治すことができます。そのため、赤ちゃんの股関節に異常がないか、定期的に健診を受けることが重要です。
外科

手術室の頼れる存在:メイヨー剪刀

- メイヨー剪刀とはメイヨー剪刀は、外科手術において組織を切開するために用いられる、無くてはならない医療器具の一つです。 その名の由来は、20世紀初頭にアメリカで活躍した医師であり、世界的に有名なメイヨークリニックを創設した、メイヨー兄弟に由来します。数ある剪刀の中でも、メイヨー剪刀は特に組織を切開する能力に優れており、その切れ味の鋭さから、外科医にとって信頼のおける道具となっています。刃先は、組織をスムーズに切開できるよう、鋭く滑らかな曲線を描いており、先端は尖っているものと丸みを帯びているものの二種類があります。 この形状の違いにより、それぞれ用途が異なってきます。例えば、尖った先端のものは、皮膚のように比較的硬い組織を切開する際に使用されます。一方、丸みを帯びた先端のものは、血管や神経など、繊細な組織を傷つけずに周囲の組織だけを切開する際に使用されます。このように、メイヨー剪刀は、その用途に合わせて形状が工夫されており、外科医は手術の内容や部位に応じて使い分けることで、安全かつ正確な手術を行うことができるのです。 メイヨー剪刀は、まさに外科医にとって無くてはならない「右手」とも呼べる存在と言えるでしょう。
外科

人工股関節:痛みのない生活を取り戻す

- 人工股関節とは人工股関節とは、股関節の機能が損なわれた際に、その一部または全部を人工物で置き換える手術のことです。加齢や病気、怪我などが原因で股関節に痛みや動きの制限が生じ、日常生活に支障をきたす場合に検討されます。股関節は、骨盤側の臼蓋と呼ばれる受け皿と、大腿骨側の骨頭と呼ばれる球状の部分が組み合わさってできています。この関節部分の表面は軟骨と呼ばれる弾力のある組織で覆われており、滑らかな動きを可能にしています。しかし、変形性股関節症や関節リウマチ、大腿骨骨頭壊死症、骨折などが原因で股関節に障害が生じると、軟骨がすり減ったり、骨の形が変形したりして、激しい痛みや関節の動きが悪くなることがあります。このような場合、人工股関節置換術が有効な治療法となります。この手術では、損傷を受けた股関節を、耐久性に優れた金属やセラミック、ポリエチレンなどの素材で作られた人工関節に置き換えます。具体的には、骨盤側の臼蓋には人工臼蓋、大腿骨側の骨頭には人工骨頭を埋め込みます。人工骨頭は、ステムと呼ばれる棒状の部分に接続されており、このステムは大腿骨の骨髄内にしっかりと固定されます。人工股関節置換術によって、痛みが軽減され、股関節の動きが改善されるため、歩行動作や日常生活動作が楽になります。その結果、患者さんの生活の質(QOL)の向上に大きく貢献することができます。
小児科

リーメンビューゲル紐革装具:赤ちゃんの股関節を守る装具

- リーメンビューゲル紐革装具とは?リーメンビューゲル紐革装具とは、生まれたときから股関節が外れた状態である先天性股関節脱臼の赤ちゃんに使用される治療用の装具です。この装具は、赤ちゃんの股関節を適切な位置に保つことで、骨の正常な発達を促すことを目的としています。リーメンビューゲル紐革装具は、その名の通り、馬に乗る際に足をかける「鐙(あぶみ)」に形が似ていることから名付けられました。この装具は、赤ちゃんのお腹と膝を軽く曲げた状態に保ちます。この姿勢は、股関節を構成する骨である大腿骨頭を骨盤の受け皿部分である寛骨臼にぴったりと収めるのに最適な角度とされています。この装具は、革製のベルトと金属製の留め具でできており、赤ちゃんの体に合わせた適切なサイズに調整されます。赤ちゃんの成長に合わせて、定期的に医師の診察を受け、装具の調整を行う必要があります。リーメンビューゲル紐革装具は、股関節を正しい位置に導くことで、手術をせずに先天性股関節脱臼を治療できる可能性を高めます。ただし、治療の効果には個人差があり、必ずしもこの装具だけで完治するとは限りません。医師の指示に従って、根気強く治療を続けることが大切です。
その他

腰の痛みと上手に付き合うために

- 腰痛とは腰痛とは、腰のあたりに感じる様々な痛みのことを指します。腰は身体の中心に位置し、上半身と下半身を繋ぐ重要な役割を担っています。そのため、日常生活での動作や姿勢によって常に負担がかかりやすく、多くの人が経験する症状の一つと言えるでしょう。腰痛の症状は、痛みの種類や程度、持続時間などが人によって大きく異なります。例えば、重い物を持ち上げた時や急に体をひねった時などに起こる「ぎっくり腰」のように、激痛が走る場合もあれば、長時間同じ姿勢での作業や、長年の姿勢の悪さなどが原因で、鈍い痛みが慢性的に続く場合もあります。また、痛みの感じ方も人それぞれです。腰全体が重苦しく感じる、腰から足にかけて痛みやしびれがある、腰が張って動きにくいなど、症状は多岐にわたります。腰痛の原因は様々ですが、加齢による骨や筋肉の衰え、姿勢の悪さ、運動不足、肥満、過度な運動や労働、ストレスなどが挙げられます。腰痛を予防するためには、日頃から適度な運動やストレッチを行い、正しい姿勢を意識することが大切です。また、バランスの取れた食事や十分な睡眠も腰痛予防に繋がります。
その他

跛行:歩きにくさの背後にあるもの

- 跛行とは跛行とは、歩行時に何らかの異常が現れる状態を指します。具体的には、痛みや痺れ、筋力の低下といった症状のために、スムーズに歩くことが困難になります。そのため、歩き方がぎこちなくなったり、無意識に片方の足をかばうように歩いたり、足を地面に擦るように歩いたりする様子が見られるようになります。 重要なのは、跛行自体は病気の名前ではなく、他の病気や怪我によって引き起こされる症状であるという点です。 例えば、腰や骨盤、股関節、膝、足首、足など、歩行に関わる体のあらゆる部位に起こる疾患が跛行の原因となりえます。具体的には、腰部脊柱管狭窄症や変形性股関節症、半月板損傷、足関節捻挫といった疾患が挙げられます。また、骨折や筋肉の損傷、神経の障害なども跛行を引き起こす可能性があります。 跛行が見られる場合、その原因を特定するために、医師による診察が必要です。診察では、歩行の様子や姿勢、患部の触診、レントゲン検査などを行います。原因疾患に応じて適切な治療を行うことで、跛行の改善が期待できます。
外科

チーム医療で立ち向かう四肢外傷

- 四肢外傷とは人間の身体は、大きく頭と胴体、そして腕と脚からなる四肢に分けることができます。このうち、腕と脚をまとめて四肢と呼びますが、この部分に負った怪我のことを四肢外傷と呼びます。つまり、腕の骨折や足の捻挫などは、すべて四肢外傷に含まれるのです。ただし、一口に四肢外傷と言っても、その程度は軽いものから生命に関わる重いものまで様々です。例えば、日常生活で起こりやすい打撲や捻挫なども四肢外傷に含まれます。多くの人は、これらの怪我を経験したことがあるのではないでしょうか。このように、四肢外傷は、私たちにとって決して珍しいものではなく、むしろ身近なものと言えるでしょう。一方で、医療現場において「四肢外傷」という言葉が使われる場合、骨折した骨が皮膚を突き破る開放骨折や、血管や神経に損傷を伴うような、重症な状態であることを指すことが多いです。このような重度の四肢外傷は、日常生活で起こることは稀ですが、交通事故や高所からの転落など、大きな衝撃が身体に加わることで発生する可能性があります。このように、四肢外傷は軽度のものから重度のものまで、幅広い怪我を含みます。そして、その治療法も怪我の程度によって大きく異なります。軽度の打撲や捻挫であれば、安静や湿布などの処置で自然に治癒することがほとんどですが、重度の場合は、手術が必要となることもあります。いずれにしても、適切な治療を受けることが、後遺症を残さずに回復するために重要です。
外科

潜む脅威:化膿性脊椎炎とは

- 脊椎を蝕む細菌感染症化膿性脊椎炎は、血液の流れに乗って細菌が脊椎に侵入し、炎症を引き起こす病気です。この病気は、肺炎や尿路感染症など、体の別の場所で起きた感染が原因となる場合があります。また、医療行為で使用するカテーテルから感染することもあります。感染の初期段階では、椎体と呼ばれる骨の周辺に位置する椎体終板に細菌が侵入し、膿が溜まった状態(膿瘍)を作ります。その後、椎体と椎体の間にあるクッションの役割を果たす椎間板を介して感染が広がっていきます。そして、最終的には骨髄にまで炎症が及ぶ骨髄炎を引き起こします。化膿性脊椎炎は、体の部位によって発症しやすい場所が異なり、胸椎と腰椎で発症することが多く、頸椎での発症は稀です。もし、化膿性脊椎炎が重症化すると、脊椎周辺の筋肉や、神経の通り道である脊柱管にまで膿瘍が拡大する可能性があります。その結果、麻痺などの重い合併症を引き起こす可能性があります。特に頸椎に感染した場合、気管や食道を圧迫するリスクがあり、非常に危険な状態となることがあります。高齢者や糖尿病患者、癌や血液疾患の治療を受けている方など、免疫力が低下している人は化膿性脊椎炎のリスクが高いため、特に注意が必要です。
外科

人体の要、股関節の構造と機能

股関節は、私たちの体の中心部に位置し、上半身と下半身を繋ぐ、体重を支える上で非常に重要な関節です。 この関節は、骨盤の一部である寛骨臼という、ちょうどお椀のような形をした部分と、太ももの骨である大腿骨の先端にある丸い球状の大腿骨頭が組み合わさってできています。 寛骨臼は骨盤の両側に位置し、骨盤と大腿骨をつなぐことで、体のバランスを保ち、スムーズな歩行を可能にしています。 また、股関節は球関節と呼ばれる種類の関節に分類されます。 球関節は、関節を構成する骨の一方が球状で、もう一方がその球を受けるお椀状になっている構造をしています。 股関節の場合、大腿骨頭が球状、寛骨臼がお椀状にあたり、ちょうどドアノブがドアの枠にぴったりと収まっているような状態を想像すると分かりやすいでしょう。 この構造によって、股関節は前後左右さまざまな方向へ、大きく滑らかな動きを生み出すことができるのです。
その他

五十肩:肩の痛みと動きの制限

- 五十肩とは五十肩は、40歳を過ぎたあたりから多く見られる肩の病気で、肩関節に痛みが出て腕を動かしにくくなるのが特徴です。医学的には肩関節周囲炎と呼ばれ、四十肩や五十肩といった呼び方もされますが、これらは発症する年代の違いを表しているだけで、病気としては同じものと捉えられています。なぜ五十肩になるのか、その原因はまだはっきりとは解明されていません。しかし、加齢によって肩関節周辺の組織が炎症を起こしやすくなることや、肩を大きく動かす機会が減って関節や筋肉が硬くなってしまうことなどが関係していると考えられています。五十肩になると、肩を動かしたときに強い痛みを感じたり、腕を上げにくくなったり、後ろに回せなくなったりします。症状は徐々に現れ、痛みが強くなるにつれて動かしにくさも増していきます。日常生活では、服の着脱や髪を洗う、高い所の物を取るといった動作が困難になることがあります。五十肩は自然に治ることもありますが、数年単位で痛みが続く場合もあるため、早期に適切な治療を受けることが大切です。
外科

スポーツの敵!知っておきたい肉離れの基礎知識

- 肉離れとは何か?肉離れは、急な動作や無理な体勢によって筋肉に負担がかかりすぎ、筋肉の繊維やそれを包む膜が傷ついてしまう状態を指します。スポーツをしている最中に起こりやすく、特にサッカー、テニス、バスケットボールなど、瞬間的に動くことの多い競技で多く見られます。これらのスポーツでは、ダッシュやストップ、ジャンプといった動作を繰り返すため、筋肉に大きな負荷がかかりやすいためです。例えば、サッカーのシュート動作や、テニスのサーブ動作などが挙げられます。日常生活においても、重い物を持ち上げた時や、転倒して足を踏ん張った時などに、肉離れは起こり得ます。普段から運動習慣がない人が、急に激しい運動をした場合にも注意が必要です。肉離れの程度は、軽度のものから重度のものまで様々です。軽度の場合は、筋肉の軽い痛みや違和感程度で済むこともありますが、重度の場合は、筋肉の断裂や出血を伴い、激しい痛みや腫れ、運動制限などの症状が現れることもあります。肉離れを起こしたら、まずは安静にして患部を冷やすことが大切です。痛みが強い場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
脳・神経

椎間板ヘルニア:腰痛の原因と治療

- 椎間板ヘルニアとは?私たちの背骨は、複数の骨が積み重なって構成されており、それぞれの骨の間には、クッションの役割を果たす椎間板が存在します。この椎間板のおかげで、私たちは体を滑らかに動かすことができます。椎間板は、中心部に水分を多く含んだゼリー状の髄核と、それを包み込むように存在する線維輪という組織から成り立っています。椎間板ヘルニアは、この線維輪に亀裂が生じ、中の髄核が飛び出してしまうことで起こります。飛び出した髄核は、周囲にある神経を圧迫し、腰や足に痛みやしびれなどの症状を引き起こします。椎間板ヘルニアの原因は、加齢による椎間板の変性が最も多く、年齢を重ねるにつれて誰にでも起こる可能性があります。 また、重いものを持ち上げる、長時間同じ姿勢を続ける、猫背などの姿勢や動作も、椎間板に負担をかけ、ヘルニアのリスクを高める要因となります。椎間板ヘルニアは、適切な治療を行えば症状を改善し、再発を予防できる病気です。腰痛や足のしびれなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
外科

変形した足の親指:外反母趾について

- 外反母趾とは足の親指が小指の方へ曲がってしまう、つまり足の親指が体の外側へ向かって曲がってしまうことを外反母趾と呼びます。この変形は、親指の向きが変わるだけでなく、足の構造全体に影響を及ぼし、様々な症状が現れる原因となります。外反母趾になると、見た目に変化が生じるだけでなく、歩行時に痛みが生じたり、足に疲れを感じやすくなったりします。また、症状が悪化すると、膝や腰に負担がかかり、日常生活に支障をきたす場合もあります。外反母趾は、足の指の付け根にある関節が変形することで起こります。この関節は、足の親指が適切な方向に曲がるのを助ける役割を担っていますが、靴による圧迫や遺伝などの要因により、関節に負担がかかり続けると変形してしまうのです。外反母趾の初期症状としては、足の親指の付け根の出っ張りが挙げられます。また、足の親指が人差し指の方へ曲がっていく、靴を履くと足の親指の付け根が痛む、などの症状が現れることもあります。外反母趾は進行性の病気であるため、早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。症状が軽い場合は、ストレッチや足に合った靴選びなどのセルフケアである程度改善できる可能性があります。しかし、症状が進行している場合は、手術が必要となるケースもあります。外反母趾は、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性のある病気です。足の痛みや変形を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
その他

テニスをしない人も注意!テニス肘とは?

- テニス肘ってどんな病気?テニス肘とは、肘の外側が痛む病気で、医学的には『上腕骨外側上顆炎』と呼ばれます。肘の外側には、骨の出っ張った部分(外側上顆)があり、手首や指を伸ばす筋肉(短橈側手根伸筋など)の多くがこの部分に繋がっています。テニス肘は、これらの筋肉に負担がかかり続けることで、筋肉と骨の繋ぎ目に炎症が起き、痛みが生じると考えられています。テニスをする人に多くみられることから「テニス肘」という名前がつきましたが、実際にはテニスをする人だけでなく、誰でもなる可能性があります。例えば、パソコン作業や手作業など、手首を頻繁に使う仕事や日常生活で起こることもあります。主な症状としては、肘の外側の痛みや腫れ、握力の低下などが挙げられます。安静にしていれば痛みは治まることもありますが、悪化すると、ドアノブを回したり、コップを持ったりするなどの簡単な動作でも痛みを感じるようになります。テニス肘は、適切な治療と予防を行うことで改善する病気です。痛みが強い場合は、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
脳・神経

胸郭出口症候群:その原因と症状

- 胸郭出口症候群とは胸郭出口症候群は、聞きなれない病名かもしれませんが、鎖骨の周辺を通る神経や血管が圧迫されることで、腕や肩、首などに様々な症状が現れる病気です。神経や血管の通り道である「胸郭出口」と呼ばれる部分が、生まれつきの骨の形や、日常生活での姿勢や動作によって狭くなることで発症すると考えられています。例えば、重い荷物を持つ、長時間デスクワークをする、長時間運転する、など、腕を上げ下げする動作や、猫背などの姿勢を長時間続けることで、首から肩、腕にかけて走行する神経や血管が圧迫され、痛みやしびれなどの症状を引き起こすことがあります。具体的には、腕や手のしびれ、痛み、冷感、だるさなどが挙げられます。また、手の握力低下や、細かい動作がしにくくなるといった症状が現れることもあります。症状は、片側だけに現れる場合もあれば、両側に現れる場合もあります。胸郭出口症候群は、比較的若い女性に多くみられると言われています。また、デスクワークや手を使う作業が多い人、なで肩の人なども発症しやすいとされています。症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
外科

骨折治療の基礎:骨接合術とは?

- 骨接合術の概要骨接合術とは、骨折という骨が折れてしまった状態に対して行われる手術の一つです。この手術では、折れてしまった骨を本来の位置に戻し、再びくっつくように固定します。骨接合術は、骨折した骨を自然に治癒させる保存療法とは異なり、金属製のプレートやネジ、骨の中に埋め込む髄内釘といった固定器具を用いる点が特徴です。これらの器具を用いることで、骨折した部分をしっかりと固定し、骨がずれずに安定した状態でくっつくように促します。骨接合術の利点としては、骨折部の安定化、早期の機能回復、変形したまま骨がくっついてしまうこと(変形治癒)の予防などが挙げられます。固定器具によって骨がしっかりと固定されるため、痛みが軽減し、早期に日常生活に復帰できる可能性が高まります。また、骨を正しい位置で固定することで、変形が残らずにきれいに骨がくっつくことが期待できます。しかし、骨接合術は外科手術であるため、当然ながらリスクも伴います。感染症や神経損傷、血栓症などの合併症が起こる可能性もあります。そのため、手術を受けるかどうかは、骨折の状態や患者さんの年齢、健康状態などを考慮した上で、医師とよく相談して決めることが重要です。
その他

知られざる扁平足の真実

- 扁平足とは?人の足の裏には、土踏まずと呼ばれる、地面から少し浮き上がったアーチ状の部分があります。この土踏まずがあることで、歩く・走るといった動作の際に、地面からの衝撃を吸収したり、バランスを保ったりすることができるのです。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんや小さな子供の場合、この土踏まずがあまりはっきりとしていません。これは、骨や筋肉が未発達であることが原因です。多くの場合、成長とともに自然と土踏まずが形成され、しっかりとしたアーチ構造を持つようになります。しかし、成長しても土踏まずがほとんど見られない、あるいは非常に低い状態である場合があります。これを扁平足と呼びます。扁平足は、必ずしも症状が出るわけではありませんが、人によっては、歩行時や運動時の足の疲れや痛み、姿勢が悪くなるなどの問題が生じることがあります。扁平足の原因は、遺伝的な要因や歩き方の癖、肥満など、様々なものが考えられます。また、加齢やケガ、病気によって後天的に扁平足になることもあります。もし、足の痛みや疲れ、姿勢の悪さなどが気になる場合は、早めに医療機関を受診し、適切なアドバイスや治療を受けるようにしましょう。
外科

知らないと怖い!? 病的骨折

- 病気のサインかも? 病的骨折とは皆さんは「病的骨折」という言葉を知っていますか?「骨折」と聞くと、転倒や衝突などの強い衝撃が原因で骨が折れることをイメージするでしょう。しかし、病的骨折は、健康な骨であれば通常は骨折しない程度のわずかな力で骨折してしまうことを指します。つまり、骨自体に何らかの病気が隠れているサインかもしれないのです。では、なぜ骨がもろくなってしまうのでしょうか? それは、骨粗鬆症や骨腫瘍、骨髄炎などの病気が原因で、骨の強度が低下したり、骨の構造がもろくなったりするためです。例えば、骨粗鬆症は、骨の量が減少し、骨の構造がスカスカになる病気です。また、骨腫瘍は、骨にできる腫瘍が骨を破壊したり、骨の構造を弱くしたりします。病的骨折は、日常生活の中で、少しつまずいた、くしゃみをした、布団から起き上がったなど、普段の生活では考えられないようなきっかけで起こることがあります。骨折が起こったときはもちろんですが、このような些細なことで骨折をしてしまった場合は、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。病的骨折は、早期発見・早期治療が大切です。骨がもろくなる病気は、初期段階では自覚症状が現れにくい場合もあります。そのため、骨折をきっかけに病気の発見に繋がることもあります。日頃から、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、骨の健康を維持することが大切です。
外科

整形外科:運動器のスペシャリスト

整形外科は、私たちが日常生活を送る上で欠かせない、体を支え、動かす機能を担う器官を専門的に扱う診療科です。この診療科では、骨、関節、靭帯、末梢神経、筋肉など、運動に関わる様々な組織の異常や損傷を診断し、治療を行います。 整形外科が対象とする病気や怪我は多岐にわたります。例えば、骨折や捻挫、打撲、切り傷といった外傷、スポーツによる障害、関節リウマチ、変形性関節症などの慢性的な病気、脊椎疾患、骨粗鬆症、骨腫瘍など、様々な症状に対応します。 治療法としては、保存療法と手術療法があります。保存療法には、安静、投薬、注射、リハビリテーションなどがあり、症状に合わせて適切な方法が選択されます。手術が必要な場合には、骨折の整復固定術、関節鏡手術、人工関節置換術など、様々な術式があります。 整形外科は、患者さんの年齢や症状、生活背景などを考慮しながら、日常生活への早期復帰、痛みの軽減、運動機能の改善を目指します。
外科

医療現場で使われる略語:オルトってなに?

病院で働く医療従事者たちは、患者さんとのやり取りの中で専門的な医療用語を用いる一方で、医師や看護師同士では、より簡潔な言葉を使って情報交換を行う場面が多く見られます。これは、医療現場の慌ただしい環境下において、迅速かつ円滑なコミュニケーションを図るための工夫の一つと言えるでしょう。例えば、内科を指す「内科的疾患」を「ないかの病気」と表現したり、「外科手術」を「げかしゅじゅつ」と略したりすることは、日常的に耳にする会話の一例です。このように、診療科名を短縮して伝えることで、忙しい業務中でもスムーズに情報共有が行われ、患者さんへの対応が遅れることなく、より質の高い医療サービスの提供につながると考えられています。
外科

失われた歩行を取り戻す義足

- 義足とは義足とは、事故や病気などによって片足または両足の全部または一部を失ってしまった方が、再び歩行できるように、あるいは運動を楽しめるように装着する人工の足のことです。身体の一部を補完するという意味では、眼鏡や入れ歯なども人工装具と言えますが、義足は単なる代替品ではありません。義足は、使用する方の身体機能、生活スタイル、そして目標に合わせてオーダーメイドで作られることがほとんどです。例えば、日常生活で快適に歩きたい、スポーツを楽しみたい、仕事で重い物を持ち上げたいなど、目的や状況は人それぞれです。そのため、義足の素材や形状、関節の仕組みなどは、使用者のニーズに合わせて細かく調整されます。近年では、技術の進歩により、より軽量で耐久性の高い素材が使用されるようになったり、コンピューター制御で動きをサポートする電動義足なども開発されています。これらの技術革新により、義足を使用する方の生活の質は飛躍的に向上しています。義足は、使用する方が再び自分の足で歩ける喜びを感じ、社会に積極的に参加していくための大きな助けとなっています。
外科

骨折のサイン? 意外な場所に感じる痛み「介達痛」

- 介達痛とは介達痛は、怪我をした場所を直接触れた時に感じる痛みとは異なる、少し変わった痛みのことを指します。骨折を例に考えてみましょう。例えば、足の指の骨が折れたとすると、当然ながら骨折した指を触れば鋭い痛みが走ります。これは誰もが経験する自然な反応です。しかし、介達痛の場合、骨折した指を直接触れなくても、踵や足の甲など、離れた場所を軽く押しただけで骨折部に痛みが生じることがあります。まるで、本来の痛みが別の場所に転移したかのようです。では、なぜこのような不思議な現象が起こるのでしょうか?これは、骨が折れた際に周囲の神経や組織も同時に傷ついてしまうためだと考えられています。骨折という衝撃は、骨だけに留まらず、その周辺にも広がり、神経や血管、筋肉などにダメージを与えます。その結果、本来は痛みを感じないはずの場所でも、神経を介して骨折部分の痛み信号が脳に伝わり、あたかもその場所で痛みが発生しているかのように感じてしまうのです。介達痛の発生メカニズムにはまだ不明な点も多いですが、怪我の程度や個人差など、様々な要因が影響すると考えられています。
外科

知っていますか? 現代人の多くが抱える「亀背」のリスク

- 姿勢が悪くなる「亀背」とは?「亀背(きはい)」とは、背骨が後ろ側に弯曲し、背中が丸まって猫背になっている状態を指します。その名の通り、まるで亀の甲羅のように背中が丸まっていることから、この名前が付けられました。近年、デスクワークやスマートフォンの普及により、前かがみの姿勢で長時間過ごす人が増えています。その結果、老若男女問わず、亀背の症状に悩む人が増加傾向にあります。亀背は、単に見た目の問題だけではありません。背中が丸まった状態が続くことで、肩や首、腰などに負担がかかり、肩こりや腰痛の原因となります。また、猫背によって胸郭が圧迫されることで、呼吸が浅くなり、呼吸機能の低下にもつながる可能性があります。さらに、内臓が圧迫されることで、消化不良などの内臓への負担も懸念されます。亀背は、放置すると悪化する可能性もあるため、日頃から正しい姿勢を意識することが大切です。具体的には、座っている時は、背筋を伸ばし、顎を引いて、目線は真っ直ぐ前に向けるように心がけましょう。また、適度な運動やストレッチを行い、背骨の柔軟性を保つことも重要です。
外科

ギプスシーネ:骨折や捻挫の固定に活躍する副木の役割

- ギプスシーネとは 骨折や捻挫といった怪我をしてしまった際に、損傷した部分を固定するために用いる医療用の添え木を、ギプスシーネと呼びます。 これは、ドイツ語で石膏を意味する「ギプス」と、副木を意味する「シーネ」を組み合わせた言葉です。 その名の通り、石膏を染み込ませた包帯を硬化させて作られます。 ギプスシーネは、患部全体を覆ってしまうギプス包帯とは異なり、半分程度だけを覆うように作られます。 そのため、ギプス包帯と比較して通気性が良く、むくみが引いてきた時や入浴時など、必要に応じて取り外しが可能という利点があります。 ただし、医師の指示なく勝手に取り外してしまうと、患部の状態が悪化したり、回復が遅れたりする可能性がありますので、注意が必要です。
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