乳がん:知っておきたい基礎知識
病院での用語を教えて
先生、「乳がん」って女性特有の病気ってわけじゃないんですか?男性にもできるんですか?
体の健康研究家
いい質問だね!実は、乳がんは男性にもできるんだ。ただし、男性の乳がんは全体の1%程度と、とても少ないんだ。
病院での用語を教えて
そうなんですね!男性もかかる可能性があるんですね。何か違いはあるんですか?
体の健康研究家
そう、男性もかかる可能性はあるんだ。そして、男性の場合は女性と比べて発見が遅れることが多く、進行してから見つかることが多いので、注意が必要なんだ。
乳がんとは。
「乳がん」は、乳房の中にある乳管や小葉上皮という部分からできる悪性の腫瘍のことです。女性の癌の中では、日本で一番多くの人が罹り、亡くなる人の数は4番目に多い病気です(2021年の時点での情報です)。また、乳がん全体の約1%は男性にも発生し、女性よりも治りにくい傾向があります。
乳がんとは
– 乳がんとは女性の体の中で、赤ちゃんに栄養を与えるための母乳を作る器官を乳房と言います。乳房の中には、母乳を作るための小さな部屋のような組織がたくさん集まっており、これを小葉と言います。そして、この小葉で作られた母乳を乳頭まで運ぶための管が乳管です。
乳がんとは、この乳管や小葉を構成する細胞の一部ががん細胞に変化し、無秩序に増殖してしまう病気です。がん細胞は、周りの組織を破壊しながら増え続け、場合によってはリンパ管や血管を通って、リンパ節や肺、骨、肝臓などの他の臓器にまで転移することがあります。
乳がんは、早期に発見し、適切な治療を行えば治癒が期待できる病気です。そのためにも、乳がんに関する正しい知識を持ち、定期的な検診を受けることが大切です。
部位 | 役割 |
---|---|
乳房 | 母乳を作る器官 |
小葉 | 母乳を作る小さな部屋のような組織 |
乳管 | 小葉で作られた母乳を乳頭まで運ぶ管 |
項目 | 説明 |
---|---|
乳がん | 乳管や小葉を構成する細胞の一部ががん細胞に変化し、無秩序に増殖してしまう病気 |
がん細胞の特徴 | 周りの組織を破壊しながら増え続け、リンパ管や血管を通って、リンパ節や肺、骨、肝臓などの他の臓器にまで転移することがある |
早期発見・治療 | 治癒が期待できる |
罹患数と死亡数
日本では、乳がんは女性に最も多く見られるがんです。厚生労働省の統計によると、2021年には新たに約9万4000人が乳がんと診断されました。これは、日本人女性全体のおよそ11人に1人が、生涯のうちで乳がんを患う計算になります。
乳がんは、日本人女性の死亡原因の上位にも位置しており、2021年のデータでは、がんによる死亡原因の第4位となっています。年間約1万5000人が乳がんで亡くなっている現状です。
近年、乳がんの罹患数は増加傾向にありますが、これは、食生活の欧米化や高齢化などの要因に加え、乳がん検診の普及により、早期発見が増加していることも影響しています。早期発見の場合、乳房の一部切除で済むなど、身体への負担が少なく、治療後の生活の質を高く保てる可能性が高まります。また、治療法の進歩により、乳がんと診断されてから5年以上生存する割合(5年生存率)も向上しており、2000年代前半には80%を超え、現在では90%に迫る勢いです。乳がんは早期発見と適切な治療によって克服できる病気になりつつあります。年に一度は乳がん検診を受診するように心がけましょう。
項目 | 内容 |
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罹患数 | 約9万4000人(2021年) 日本人女性の約11人に1人が生涯で罹患 |
死亡数 | 約1万5000人(2021年) がんによる死亡原因の第4位 |
罹患数の傾向 | 増加傾向 要因:食生活の欧米化、高齢化、乳がん検診の普及による早期発見の増加 |
5年生存率 | 80%超(2000年代前半) 現在では90%に迫る |
男性乳がん
乳がんは、一般的に女性特有の病気と考えられていますが、実は男性にも発症する可能性があります。男性の場合、乳がんは非常にまれな病気であり、全乳がん患者数の約1%に過ぎません。しかしながら、稀であるという事実が、男性における乳がんの危険性を軽視することを正当化するものではありません。
男性乳がんは、女性と比べて発見が遅れる傾向があります。これは、男性自身が乳がんについて正しい知識を持っていないため、乳房に異常を感じても、深刻に受け止めずに放置してしまうケースが多いことが原因の一つとして考えられます。また、医療従事者側においても、男性乳がんに対する意識が低い場合があり、早期発見の遅れにつながっている可能性も否定できません。
男性乳がんは、発見が遅れることで、進行した状態で診断されることが多く、予後が悪い場合も少なくありません。 そのため、男性も乳がんに対する正しい知識を持ち、乳房にしこりや皮膚の変化、乳頭からの分泌物などの症状が現れた場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。 乳がんは早期発見、早期治療によって治癒が期待できる病気です。男性も自身の健康に注意を払い、定期的な健康診断を受けるように心がけましょう。
項目 | 内容 |
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患者数 | 全乳がん患者数の約1% |
発見の遅れ | 男性自身および医療従事者側の乳がんに対する意識の低さが原因 |
発見時の状態 | 進行していることが多い |
予後 | 悪い場合も少なくない |
早期発見・治療 | 治癒が期待できる |
早期発見の重要性
乳がんは、女性にとって罹患率の高い病気の一つですが、早期に発見し治療すれば、治癒が期待できる病気でもあります。そのためにも、日頃からのセルフチェックと、定期的な乳がん検診を受けることが非常に重要です。
自己検診は、生理が終わって数日後に行うのが良いでしょう。お風呂上がりなどに、鏡の前で乳房の形に変化がないか、皮膚に赤みやかぶれ、くぼみなどがないか、乳頭から分泌物が出ていないかなどを確認します。仰向けに寝て、指の腹で軽く円を描くように触って、しこりがないかを確認するのも効果的です。
乳がん検診には、医師による視診や触診、マンモグラフィ検査、超音波検査などがあります。マンモグラフィ検査は、乳房専用のレントゲン検査で、乳房を圧迫して撮影することで、しこりや石灰化などを映し出すことができます。超音波検査は、超音波を乳房に当て、その反射波を見ることで、しこりの有無や性状を調べます。これらの検査は、自己検診では発見が難しい早期の乳がんを発見するのに役立ちます。
乳がんは早期発見で治癒率が大きく高まります。ご自身の身体を守るためにも、定期的な検診と自己検診を心がけましょう。
項目 | 詳細 |
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重要性 | 早期発見・治療で治癒が期待できる |
セルフチェック | 生理後数日後、お風呂上がりなどに実施 ・乳房の形の変化 ・皮膚の異常(赤み、かぶれ、くぼみ) ・乳頭からの分泌物 ・仰向けで指の腹でしこり確認 |
乳がん検診 | ・医師による視診・触診 ・マンモグラフィ検査(レントゲン) ・超音波検査 |
検診のメリット | 自己検診では難しい早期発見が可能 |
治療法
乳がんの治療は、がんの進行状況や患者さんの状態に合わせて適切な方法が選択されます。治療法としては、主に手術、放射線療法、薬物療法の3つが挙げられます。
まず、手術療法は、がんのある乳房の一部または全部を切除する方法です。切除範囲はがんの大きさや進行度によって異なりますが、近年では乳房を温存できる場合も増えています。
次に、放射線療法は、放射線を用いてがん細胞を破壊する方法です。手術後、がんの再発を防ぐ目的や、がんの症状を和らげる目的で行われます。
そして、薬物療法は、抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑える方法です。がんの進行度や種類によって、様々な種類の抗がん剤が使用されます。
これらの治療法は、単独で行われることもありますが、多くの場合は組み合わせて行われます。
さらに近年では、患者さん一人ひとりの遺伝子情報やがんの性質に合わせた個別化医療も進んでいます。これは、より効果的な治療法を選択し、副作用を最小限に抑えることを目的としています。
治療法 | 概要 | 目的・効果 |
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手術療法 | がんのある乳房の一部または全部を切除 | がんの除去 近年は乳房温存療法も増加 |
放射線療法 | 放射線を用いてがん細胞を破壊 | 手術後の再発防止 がんの症状緩和 |
薬物療法 | 抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑制 | がんの進行抑制 がんの種類や進行度に合わせて様々な種類を投与 |
生活習慣との関連
乳がんは、遺伝的な要因だけでなく、私たちの日々の生活習慣も深く関わっていると考えられています。日々の生活の中で、少しの工夫と心がけによって、乳がんのリスクを減らすことができるかもしれません。
まず、食生活においては、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。脂肪分の多い食事は、乳がんのリスクを高めると言われています。反対に、野菜や果物に多く含まれるビタミンや食物繊維は、細胞の老化を防ぎ、がん予防に効果が期待できます。特に、緑黄色野菜には、抗酸化作用の高いβ-カロテンが豊富に含まれています。
次に、適度な運動も大切です。運動不足は、肥満やホルモンバランスの乱れを引き起こし、乳がんのリスクを高める要因となります。毎日、軽い運動を継続することで、健康的な体を維持し、乳がん予防につなげましょう。
そして、禁煙も重要なポイントです。タバコに含まれる有害物質は、細胞の遺伝子を傷つけ、がんを引き起こす可能性があります。乳がんだけでなく、様々な病気のリスクを減らすためにも、禁煙は強く推奨されます。
項目 | 詳細 |
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食生活 | – バランスの取れた食事を心がける – 脂肪分の多い食事は控える – 野菜や果物に多く含まれるビタミンや食物繊維を摂取する – 緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンを摂取する |
運動 | – 適度な運動を心がける – 運動不足による肥満やホルモンバランスの乱れを避ける |
生活習慣 | – 禁煙する |