総合健康ガイド

呼吸器

バイパップとは?仕組みと効果を解説

- バイパップとはバイパップとは、BiPAP(bilevel Positive Airway Pressure)の略で、二相性陽圧呼吸という意味です。これは、アメリカのレスピロニクス社が販売する人工呼吸器の商品名でもありますが、一般的には同様の機能を持つ人工呼吸器の総称として使われています。バイパップは、NIPPV(非侵襲的陽圧換気療法)と呼ばれる治療法の一つとして用いられます。NIPPVとは、気管挿管や気管切開を行わずに、鼻や口にマスクを装着することで人工呼吸を行う方法です。バイパップは、装着したマスクを通して、異なる圧力で空気を送り込むことで呼吸をサポートします。具体的には、息を吸う時には高い圧力(IPAP 吸気相陽圧)をかけ、肺に空気を取り込みやすくします。一方、息を吐く時には低い圧力(EPAP 呼気相陽圧)に切り替わることで、呼吸を楽にする効果があります。この二つの圧力の違いによって、肺が大きく膨らんだり縮んだりするのを助け、効率的に呼吸ができるようサポートします。バイパップは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や睡眠時無呼吸症候群など、様々な呼吸器疾患の治療に用いられています。
皮膚科

びらん:皮膚の浅い傷と治癒について

- びらんとは何か 私たちの体は、外界からの様々な刺激から身を守るために、皮膚というバリアで覆われています。皮膚は、場所や役割によって厚さが異なりますが、大きく分けて3つの層で構成されています。 一番外側にあるのが表皮と呼ばれる層です。この層は、細菌やウイルスなどの病原体や、紫外線などの有害な刺激から体を守る、まさに最前線の防御壁としての役割を担っています。その内側には、真皮と呼ばれる層があります。真皮は、コラーゲンやエラスチンといった線維状のタンパク質を豊富に含み、皮膚に弾力と強度を与えています。また、血管や神経などもこの層に分布しています。そして、最も内側にあるのが皮下組織です。皮下組織は、主に脂肪細胞からなり、体温の維持や外部からの衝撃を吸収する役割を担っています。 「びらん」とは、この皮膚のうち、最も外側にある表皮だけが傷ついた状態を指します。つまり、真皮よりも深くまでは達していない浅い傷のことです。カミソリ負けや靴擦れなどが、びらんの代表的な例です。びらんは、適切な処置を行えば、通常は跡を残さずに綺麗に治癒します。
産婦人科

ピルの基礎知識:種類と役割を理解しよう

「ピル」とは、小さな錠剤の薬を広く指す言葉ですが、特に説明なく「ピル」とだけ言われた場合は、女性が妊娠を防ぐ目的で服用する薬のことを指します。この避妊薬は、女性の体の仕組みを調整するホルモンを含んでおり、毎日決まった時間に服用することで、高い確率で妊娠を防ぐ効果があります。 ピルの中には、2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が配合されています。これらのホルモンは、通常女性の卵巣から分泌され、排卵や月経周期をコントロールする役割を担っています。ピルを服用すると、これらのホルモンが外部から供給されるため、脳は体が妊娠している状態だと判断し、卵巣からの排卵が抑制されます。 ピルの服用方法は、製品によって多少異なりますが、一般的には1日1錠、毎日ほぼ同じ時間に服用します。服用期間は21日間続くものが多く、その後7日間の休薬期間を設けます。この休薬期間中に、消退出血と呼ばれる出血が起こります。 ピルは正しく服用すれば避妊効果が非常に高い方法ですが、服用を中止すれば再び妊娠が可能になります。ただし、ピルの服用を検討する際には、必ず医師の診察を受けてください。医師は、あなたの体質や健康状態を考慮し、適切な種類のピルを選択し、服用方法を指導してくれます。
検査

診察の基本、指で診る「ジギタール」

病院では、医師は患者さんの体の状態を知るために、さまざまな方法を用います。聴診器で音を聴いたり、お腹を軽く叩いて反応を見たりと、五感をフル活用していると言っても良いでしょう。その中でも、直接指で触れて異常がないかを調べる診察方法を「ジギタール」と言います。これは英語の "digital examination" を省略した言葉で、日本語では指診という意味です。聴診や打診といった他の診察方法と異なり、ジギタールは医師の指先の感覚だけが頼りです。しかし、長年の経験と鍛錬を重ねた医師の指は、ごくわずかな体の変化も見逃しません。ジギタールを行うことで、腫瘍があるかどうかはもちろん、その腫瘍の硬さや炎症の広がりなどを直接感じ取ることができるのです。例えば、お腹を押さえてみて硬い部分があれば、腫瘍が疑われますし、押した時に痛みがあれば炎症を起こしている可能性があります。また、皮膚の温度や湿り気なども、指先で感じ取ることで重要な情報を得ることができます。このように、ジギタールは医師の経験と感覚によって、患者さんの体の状態を詳しく知ることができる、重要な診察方法と言えるでしょう。
検査

超音波検査:体の中を音で診る技術

- 超音波検査とは超音波検査は、人間の耳では聞こえない高い周波数の音の波である「超音波」を用いて、体内の様子を画像化する検査方法です。検査の際には、ゼリー状のものを体に塗布し、その上からプローブと呼ばれる装置を当てていきます。このプローブから超音波を発信し、体内組織や臓器で反射して戻ってきた超音波を画像に変換します。 超音波検査は、レントゲン検査のように放射線を使用しないため、人体への負担が非常に少なく、妊婦さんや子供でも安心して受けることができます。超音波検査は、心臓、腹部、血管、乳腺、甲状腺など、様々な部位の検査に用いられます。 例えば、心臓の検査では、心臓の動きや弁の状態、心筋の厚さなどを確認することができます。また、腹部の検査では、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓などの臓器の大きさや形、内部の状態を調べることが可能です。さらに、血管の検査では、血管の詰まりや狭窄、動脈硬化などを診断することができます。超音波検査は、痛みや苦痛を伴わないため、体に負担をかけずに検査を受けることができます。 また、検査時間も比較的短く、リアルタイムで体の状態を確認できるという利点もあります。そのため、健康診断などでも広く利用されている検査方法です。
外科

鎖骨骨折におけるクラビクルバンド

- クラビクルバンドとはクラビクルバンドは、鎖骨が骨折してしまった際に、手術を行わずに骨がくっつくのを促すために用いる医療用の装具です。特に鎖骨の中央部分である鎖骨骨幹部骨折に効果を発揮します。鎖骨骨折が起こると、骨が本来の位置からずれてしまうことがあります。クラビクルバンドは、このずれた鎖骨を正しい位置に安定させることで、肩甲骨が不自然に出っ張ったり、鎖骨が短くなってしまったりするのを防ぎます。 また、鎖骨への負担を軽減することで、骨がスムーズに、かつ正常な形でくっつくようにサポートします。装着方法は、まず背中にあたる部分からベルトを伸ばし、肩と脇の下を通します。そして、背中でベルトを固定します。こうすることで、まるで胸を張っているような状態になり、鎖骨への負担を軽減することができるのです。 クラビクルバンドは、骨折した鎖骨を適切な位置に固定し、身体への負担を軽減することで、日常生活における不便さを和らげながら、自然治癒を促すための有効な手段と言えるでしょう。
呼吸器

生命を支える縁の下の力持ち:ベンチレーター

- 呼吸の補助装置とは呼吸の補助装置とは、自力で呼吸をすることが難しい患者さんの呼吸を助けるための医療機器です。人工呼吸器や人工換気装置とも呼ばれています。この装置は、呼吸が弱くなったり、止まってしまったりした場合に、肺に空気を送り込み、体内に溜まった二酸化炭素を外に排出するという、人間にとって必要不可欠な呼吸の役割を代わりに担います。呼吸の補助装置が必要となるケースは、大きく分けて二つあります。一つは、手術中です。手術中は麻酔によって全身の筋肉が弛緩するため、呼吸筋もその影響を受けて自発的な呼吸が難しくなります。そのため、安全に手術を行うために呼吸の補助装置が用いられます。もう一つは、病気によって呼吸が困難になった場合です。肺炎や肺気腫、近年ではCOVID-19などの感染症によって肺に炎症が起こると、肺の機能が低下して十分な酸素を取り込むことができなくなります。このような状況においても、呼吸の補助装置を用いることで、肺の機能を補いながら治療を進めることが可能となります。呼吸の補助装置は、患者さんの命をつなぐ上で非常に重要な役割を担っています。特に近年では、医療技術の進歩により、より小型で高性能な呼吸の補助装置が開発され、在宅医療の現場などでも広く活用されるようになっています。
皮膚科

傷口の保護膜:瘡蓋の役割

- 瘡蓋ってなに?瘡蓋(かさぶた)は、すり傷や切り傷など、皮膚にできた傷口を保護するために自然にできるものです。まるで傷口に蓋をするようにして、細菌やウイルスなどの外敵から守る役割を担っています。色は赤褐色や黒っぽいことが多く、これは瘡蓋の中に血液の色素が含まれているためです。触ると硬く感じますが、これは傷口が治る過程で線維という成分が新しく作られるためです。瘡蓋ができる前は、傷口は痛みやヒリヒリ感がありますが、瘡蓋ができると、これらの不快な症状は感じにくくなります。これは、瘡蓋が傷口を覆うことで、外部からの刺激を和らげてくれるからです。このように、瘡蓋は傷口を外部環境から守り、体が本来持つ自然治癒力を高めるために重要な役割を果たしているのです。
血液

出血を止める働き者:フィブリノゲン

- フィブリノゲンとは私たちの血液は、常に体内を循環し、酸素や栄養を体の隅々まで届けるという重要な役割を担っています。そして、この血液中には、赤血球や白血球など様々な成分が含まれていますが、その中にフィブリノゲンというタンパク質も存在しています。フィブリノゲンは、普段は水に溶けた状態で血液中を流れ、目立つ存在ではありません。しかし、ひとたび血管が傷つき出血が起こると、フィブリノゲンは驚くべき変化を見せ、出血を止めるために活躍します。体の一部が傷つき出血すると、まず、傷ついた血管から血液が流れ出します。すると、このフィブリノゲンが反応し、複雑な過程を経て、最終的には網目状の構造を作り出します。この網目状の構造こそが、止血の鍵となるのです。血液中の血小板は、この網目構造に絡め取られるようにして集まり、傷口を塞ぎます。さらに、この網目構造は赤血球を捕らえ、血液をゼリー状に固めます。これがかさぶたとなって、傷口を完全に塞ぎ、再び出血が起こるのを防ぐのです。このように、フィブリノゲンは、一見地味ながらも、私たちの体にとって非常に重要な役割を担っています。フィブリノゲンの働きによって、私たちは小さな怪我なら出血多量になることなく、日常生活を送ることができるのです。
皮膚科

診断の鍵となる皮膚症状:ニコルスキー現象

- ニコルスキー現象とは 健康な肌は、通常、多少の摩擦や圧力では傷ついたり剥がれたりしません。これは、皮膚の表面にある表皮と、その下の真皮がしっかりと結びついているからです。しかし、特定の病気や皮膚の状態によって、この結びつきが弱くなってしまうことがあります。その結果、少し触れただけでも皮膚が薄く剥がれ落ちてしまう現象が起こります。これがニコルスキー現象です。 ニコルスキー現象は、まるで薄い紙や膜が剥がれるように、皮膚の表面だけが剥がれ落ちるのが特徴です。これは、皮膚の層構造を維持する上で重要な役割を果たす、デスモソームという細胞結合に異常が生じているために起こります。デスモソームは、細胞同士をしっかりと結びつける役割を担っていますが、ニコルスキー現象が起こると、この結合が壊れやすくなっているのです。 この現象は、皮膚が赤くなる、水ぶくれができる、痛みやかゆみがあるといった他の皮膚症状と同時に現れることが多いです。ニコルスキー現象が見られる代表的な病気としては、天疱瘡やSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)などが挙げられます。これらの病気は、細菌感染や自己免疫反応などが原因で起こると考えられており、早期の診断と適切な治療が必要となります。
外科

コルセット:その役割と種類、注意点

- コルセットとはコルセットは、背中の胸椎から腰の骨盤までの体幹部分を支えるための医療用装具です。体幹は身体の中心となる部分で、コルセットはこの重要な部分を外部からしっかりと支える役割を担います。コルセットは、主に背骨の病気や怪我の治療に用いられます。背骨は私たちの体を支える柱のような存在ですが、様々な原因で病気や怪我を負うことがあります。コルセットは、そんな傷ついた背骨を保護し、治療効果を高めるために使用されます。コルセットを装着することで期待できる効果は、患部の安定化、変形の予防、痛みの軽減などです。背骨が不安定な状態だと、痛みが増したり、症状が悪化したりする可能性があります。コルセットは背骨を固定することで、このような悪化を防ぎ、回復を助けます。また、背骨の変形が進行している場合は、その予防にも効果を発揮します。さらに、コルセットは背骨への負担を軽減することで、痛みを和らげる効果もあります。コルセットには、素材や形状、硬さなどが異なる様々な種類があります。症状や治療段階に応じて、医師が患者さんに最適なコルセットを選択します。軽度の症状の場合には、柔らかい素材で動きを制限しないタイプのものが選ばれます。一方、重症の場合や手術後には、硬い素材でしっかりと固定するタイプのものが使用されます。コルセットは、医師の指導のもと、正しく使用することが大切です。自己判断で使用すると、症状が悪化したり、予期せぬ副作用が出たりする可能性もあります。医師の指示に従い、適切なコルセットを選び、正しく装着することで、治療効果を最大限に引き出すことができます。
看護技術

スクイージング:呼吸リハビリテーションの手技

- スクイージングとはスクイージングは、呼吸器疾患の患者さんにとって重要な呼吸リハビリテーションの手技の一つです。 この手技は、気道に溜まった痰を効果的に排出することを目的としており、患者さんの呼吸を楽にするために役立ちます。呼吸器疾患を患っている場合、気道に痰が溜まりやすくなります。痰は、細菌やウイルス、埃など、体にとって異物となるものが肺に侵入するのを防ぐ役割を果たしていますが、過剰に溜まると呼吸を困難にすることがあります。スクイージングは、患者さん自身の呼吸機能を補助し、この痰の排出を促す効果があります。 具体的には、患者さんが息を吸ったタイミングに合わせて、胸郭や腹部を優しく圧迫することで、肺の中の空気を押し出し、一緒に痰を排出します。この手技は、安全かつ効果的な方法として広く活用されています。看護師や理学療法士など、専門家の指導のもとで適切に行われることで、呼吸困難の改善や感染症のリスクを低減することができます。スクイージングは、患者さん自身の呼吸機能を高めるためのトレーニングとしても有効です。 専門家の指導のもと、呼吸法と合わせてスクイージングを行うことで、呼吸筋が鍛えられ、より効果的に痰を排出できるようになります。
血液

血小板数:その役割と重要性

血液中には、酸素を運ぶ赤血球、細菌やウイルスから体を守る白血球など、様々な細胞が流れています。これらの細胞の中で、出血を止める働きをするのが血小板です。血小板数は、血液中に含まれる血小板の数を表す指標です。 血小板は、骨髄で作られる小さな細胞で、普段は骨髄に貯蔵されています。そして、血管が傷つくと、血液中に放出されます。顕微鏡で見ると、普段は円盤状の形をしていますが、出血が起こると、突起を出して、傷ついた血管壁や他の血小板とくっつき、血液を凝固させて出血を止めます。 この血小板数が正常範囲よりも少なくなると、出血が止まりにくくなったり、出血しやすくなったりすることがあります。このような状態は血小板減少症と呼ばれ、様々な要因で起こります。一方、血小板数が正常範囲よりも多過ぎる状態は血小板増加症と呼ばれ、これもまた、血液凝固に影響を及ぼす可能性があります。 このように、血小板数は、私たちの体の健康状態を把握するために重要な指標の一つです。
皮膚科

光と皮膚の関係:光接触皮膚炎とは?

- 光接触皮膚炎とは光接触皮膚炎は、太陽光などの紫外線に当たると、特定の物質がアレルギー反応を起こし、皮膚に炎症を引き起こすことを言います。これは、紫外線と物質が組み合わさることで、通常では無害な物質が、皮膚にとって刺激の強いものに変ってしまうために起こります。光接触皮膚炎は、大きく分けて光毒性と光アレルギー性の二つに分類されます。光毒性は、特定の物質が紫外線を吸収することで、皮膚に直接ダメージを与えることで起こります。この反応は、誰にでも起こる可能性があり、日焼けで赤くなるのと似たような症状が出ます。症状としては、赤み、腫れ、かゆみ、痛み、水ぶくれなどが挙げられます。光毒性を引き起こす物質としては、一部の香水、抗生物質、消炎鎮痛剤などが知られています。一方、光アレルギー性は、特定の物質が紫外線と反応することで、アレルギー反応を引き起こすことで起こります。アレルギー反応は、特定の物質に対して免疫システムが過剰に反応することで起こります。光アレルギー性は、誰でも起こるわけではなく、特定の物質に対してアレルギー体質を持つ人のみが発症します。症状は光毒性と似ていますが、より強く現れる傾向があります。光アレルギー性を引き起こす物質としては、日焼け止め、化粧品、香水などが挙げられます。光接触皮膚炎を予防するためには、原因となる物質を含む製品の使用を控えたり、紫外線を避けることが重要です。外出時には、長袖、長ズボン、帽子、日傘などを着用して皮膚を保護しましょう。また、日焼け止めはこまめに塗り直すことが大切です。もし、光接触皮膚炎の症状が出た場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
呼吸器

人工呼吸器の呼吸の補助の仕方:換気モードとは?

- 換気モードとは人工呼吸器が必要な患者さんにとって、呼吸を助ける機械の設定は非常に重要です。この設定のことを「換気モード」と呼びます。人工呼吸器は、肺に空気を入れるための医療機器ですが、その方法は一つではありません。患者さんの状態や治療の目的によって、最適な換気モードは異なります。換気モードは、大きく分けて「容積モード」と「圧力モード」の二つに分類されます。容積モードは、一回に送り込む空気の量をあらかじめ設定する方法です。設定した量の空気が確実に肺に送り込まれるため、安定した換気が可能です。一方、圧力モードは、一回の呼吸で肺にかける圧力を設定する方法です。設定した圧力まで空気が送り込まれるため、患者さんの呼吸努力に合わせて換気量を調整することができます。それぞれの換気モードには、さらに細かい設定項目があります。例えば、呼吸の速さや吸気時間、呼気時間の調整などが可能です。これらの設定を適切に行うことで、患者さんの呼吸状態を改善し、回復を促すことができます。換気モードの選択は、医師や呼吸療法認定士などの専門家が行います。患者さんの病態、呼吸状態、血液ガスの値などを総合的に判断し、最適な換気モードを選択します。人工呼吸器は、患者さんの命を預かる重要な医療機器であるため、専門家の知識と経験に基づいた適切な設定が不可欠です。
外科

腰痛治療の必需品:ダーメンコルセット

腰の痛みを和らげたり、腰への負担を軽くしたりするために用いられる医療用のコルセットをご存知でしょうか。それが「ダーメンコルセット」です。 ダーメンコルセットは、腰痛持ちの方だけでなく、腰を痛めた後や手術後にも用いられます。 コルセットには、その硬さによって、「硬性」、「半硬性」、「軟性」の3つの種類があります。この中で、ダーメンコルセットは、「軟性コルセット」に分類されます。 ダーメンコルセットは、特に柔らかい素材で作られているため、体に優しくフィットするのが特徴です。そのため、長時間装着していても、比較的快適に過ごすことができます。 しかし、コルセットはあくまで補助的なものです。装着すれば痛みが全てなくなるというわけではありません。 ダーメンコルセットを使用する際は、必ず医師の指示に従い、適切なサイズのものを選びましょう。また、装着方法を間違えると、効果が得られないばかりか、逆に身体に負担をかけてしまう可能性もあります。 医師や専門家の指導のもと、正しく使用することで、ダーメンコルセットは腰痛改善の心強い味方となってくれるでしょう。
検査

体の内部を映し出すX線検査

- X線検査とはX線検査は、体の内部を透視して画像を撮影する検査方法です。病院や診療所で広く行われており、私たちにとって身近な検査の一つと言えるでしょう。 X線検査では、X線と呼ばれる目に見えない光のようなものを体に照射し、その透過の仕方の違いを利用して画像化します。 骨のようにX線をあまり通さない部分は白く、肺のようにX線をよく通す部分は黒く写ります。この白黒のコントラストによって、体の内部の状態を把握することができます。 X線検査は、骨折などの骨の状態を調べる際に特に有効です。また、肺炎や肺がんといった肺の病気の診断にも役立ちます。さらに、心臓の大きさや腸の状態を調べることも可能です。 X線検査は、痛みもなく、比較的短時間で終わる検査です。 検査を受けるにあたって、特別な準備は必要ありません。ただし、妊娠の可能性がある場合や、過去に受けた検査やアレルギーについて、事前に医師に伝えるようにしましょう。
その他

全身に影響を及ぼす難病:サルコイドーシス

- サルコイドーシスとはサルコイドーシスは、原因がまだはっきりと分かっていない、全身の様々な臓器に影響を及ぼす病気です。あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、国が「指定難病」としている重要な病気の一つです。この病気は、顕微鏡で観察すると「サルコイド肉芽腫」と呼ばれる特徴的な小さな炎症組織が、体の様々な場所に現れることが特徴です。この肉芽腫は、小さな塊のように見えるのですが、これは体の中に侵入してきた異物を排除しようとして、免疫細胞が集まってできるものです。サルコイドーシスは、20歳から40歳代の比較的若い世代に発症することが多く、特に女性に多くみられます。また、日本では特定の遺伝子を持つ人に発症しやすいという報告もあります。症状は、肉芽腫ができる場所や大きさによって様々です。初期には、発熱、咳、倦怠感、体重減少など、風邪に似た症状が現れることがありますが、自覚症状がないまま健康診断で発見されることもあります。進行すると、息切れや胸の痛み、視力障害、皮膚病変など、様々な症状が現れることがあります。サルコイドーシスは、現在のところ完全に治すことができる治療法は見つかっていません。しかし、多くの場合、自然に治癒することもあります。症状が重い場合や、重要な臓器に影響が出ている場合は、ステロイド薬などの薬物療法が行われます。
検査

酸素飽和度:健康状態を知る重要な指標

- 酸素飽和度とは人間の体にとって、酸素は生きていくために欠かせないものです。 私たちは呼吸をすることで、肺から酸素を取り込み、体中に送っています。この酸素を運ぶ役割を担っているのが、血液中の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」というタンパク質です。ヘモグロビンは、まるで船が荷物を運ぶように、酸素と結びつくことで、体内の隅々まで酸素を届けているのです。酸素飽和度とは、このヘモグロビンのうち、どれだけの割合が酸素と結びついているのかを示す指標です。 つまり、酸素を運ぶ船であるヘモグロビンが、どれだけたくさんの酸素を積み込んでいるかを表していると言えます。酸素飽和度はパーセンテージで表示され、健康な人の場合、通常96%以上とされています。 酸素飽和度は、私たちの健康状態を把握する上で重要な値となります。 例えば、呼吸器疾患や循環器疾患など、様々な病気によって酸素飽和度は低下することがあります。 これは、肺から十分な酸素を取り込めなくなったり、心臓の機能低下により血液の循環が悪くなったりすることで、ヘモグロビンが酸素と十分に結びつけなくなるためです。 酸素飽和度が低下すると、息切れや倦怠感などを感じやすくなり、重症化すると意識障害に陥ることもあります。
泌尿器

尿量:健康のバロメーター

- 尿量とは尿量とは、一日に体外に排出される尿の総量のことを指します。私たちは、飲み物や食べ物から水分を摂取し、体内で様々な活動に利用しています。その過程で、体内の老廃物や余分な水分は、腎臓という臓器で血液から濾し出され、尿として体外に排出されます。つまり、尿量は、体内の水分バランスを調整する上で非常に重要な役割を担っています。一日に排出される尿の量は、個人差がありますが、成人であれば通常1~1.5リットル程度です。これは、一日に摂取する水分の量や、気温、湿度、運動量、健康状態など様々な要因によって変化します。例えば、暑い日に汗をたくさんかいた時や、激しい運動をした後は、体内の水分量が減るため、尿量は少なくなる傾向があります。逆に、寒い日に水分を多く摂取した場合は、尿量は多くなる傾向があります。尿量は、健康のバロメーターの一つと言えるでしょう。尿量が極端に多かったり少なかったりする場合は、体の何らかの異常を示唆している可能性があります。例えば、尿量が異常に多い場合は、糖尿病や尿崩症などの病気が疑われます。一方、尿量が異常に少ない場合は、脱水症状や腎臓の機能低下などが考えられます。このように、尿量は私たちの健康状態を反映する重要な指標です。普段から、自分の尿量に気を配り、少しでも異常を感じたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
呼吸器

命を脅かす血栓の旅: 肺塞栓症

- 肺塞栓症とは肺塞栓症は、血液の流れによって運ばれてきた血の塊が、肺の血管を塞いでしまう病気です。 私たちの体内では、心臓から送り出された血液が、酸素を体の隅々まで運び、再び心臓に戻ってきます。この血液の循環は、生命を維持するために欠かせません。肺は、心臓に戻ってきた血液に、呼吸によって取り込んだ酸素を供給する役割を担っています。肺塞栓症の原因となる血の塊は、ほとんどの場合、足の静脈で発生します。足の静脈にできた血の塊は、血流に乗って心臓に運ばれ、さらに肺に到達します。そして、肺の血管を塞いでしまうと、血液がうまく流れなくなり、肺の機能が低下してしまいます。肺塞栓症になると、息苦しさや胸の痛みといった症状が現れます。これらの症状は、心臓病の症状と似ているため、注意が必要です。 肺塞栓症は、重症化すると命に関わることもある病気です。早期発見・早期治療が重要となるため、少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
皮膚科

傷跡の隆起:ケロイドについて

- ケロイドとは?ケロイドとは、傷が治った後に皮膚にできる、赤みや茶色みを帯びた硬いしこりのようなものです。まるでミミズ腫れのようになってしまうため、見た目が気になるという方も少なくありません。ケロイドは、傷口を修復しようとする体の働きが過剰に働いてしまうことで発生すると考えられています。通常、傷が治る過程で、線維芽細胞という細胞がコラーゲンというタンパク質を生成し、傷口を塞ぎます。しかし、ケロイドの場合、この線維芽細胞が過剰にコラーゲンを生成してしまうため、皮膚が異常に盛り上がってしまうのです。ケロイドは体のどこにでもできる可能性がありますが、胸、肩、耳たぶ、頬など、皮膚の張力が強い部位にできやすい傾向があります。また、やけどや手術の傷跡、ニキビ跡など、傷の種類によってはケロイドになりやすいものもあります。ケロイドは、痛みやかゆみなどの症状が出ることはほとんどありませんが、見た目の問題から精神的なストレスを感じてしまう方もいます。また、関節付近にできたケロイドは、関節の動きを制限してしまうこともあります。ケロイドは自然に治ることはほとんどなく、治療が必要となるケースが多いです。
看護技術

患部を優しく保護する:離被架の役割と種類

- 離被架とは何か離被架とは、病気や怪我をしてしまった部分に布団や毛布などの重みが直接かからないようにする、アーチ状の形をした道具です。例えば、骨折してギプスを巻いている時や、手術の後で傷口が痛む時、点滴の針が刺さっている時などに、この離被架が役立ちます。離被架を使う最大のメリットは、患部に触れることによる痛みや不快感を和らげることができる点です。布団の重みが直接患部にかかると、痛みが増したり、傷口が開いてしまったりする可能性があります。しかし、離被架を使うことで、患部と布団の間に空間を作ることができるため、そのような心配をせずに済みます。また、離被架は患部の治療効果を高める上でも役立ちます。例えば、ギプスを巻いている場合、患部を清潔に保ち、風通しを良くすることが重要です。離被架を使うことで、患部が布団で覆われることを防ぎ、清潔で乾燥した状態を保ちやすくなるため、治療をスムーズに進めることができます。さらに、離被架は患者の負担を軽減する効果もあります。痛みや不快感が減ることで、睡眠をしっかりとることができ、体力の回復を促します。また、寝返りを打つ際にも、患部への負担を軽減することができます。このように、離被架は、病気や怪我の治療において、患者の負担を軽減し、治療効果を高める上で重要な役割を果たしています。
検査

アルカリホスファターゼ:健診結果の読み方

- アルカリホスファターゼとは私たちの身体は、無数の化学反応によって維持されています。そして、その化学反応をスムーズに進めるために欠かせないのが、「酵素」と呼ばれるタンパク質です。アルカリホスファターゼも、この酵素の一種であり、体内における様々な化学反応に関わっています。では、アルカリホスファターゼは具体的にどのような働きをするのでしょうか? それは、「リン酸エステル」という物質を分解することです。リン酸エステルは、遺伝子の本体であるDNAや、タンパク質の合成に関わるRNA、細胞を包む膜など、生命活動に欠かせない様々な物質を構成する要素です。アルカリホスファターゼは、これらの物質が分解される際に、リン酸エステルを切断する役割を担っています。私たちの身体は、常に新しい細胞を作り出し、古い細胞を壊すことでバランスを保っています。アルカリホスファターゼの働きによってリン酸エステルが分解されることは、細胞の新陳代謝を促し、身体の健康を維持するために非常に重要です。アルカリホスファターゼは、骨、肝臓、腎臓、腸など様々な臓器に存在し、それぞれの場所で重要な役割を果たしています。
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