総合健康ガイド

耳鼻科

聴覚の要:蝸牛の役割

私たちの耳の奥には、音の世界への入り口である鼓膜が存在します。鼓膜のさらに奥、まるで秘密の部屋のように隠されているのが内耳と呼ばれる場所で、その中に蝸牛は静かに佇んでいます。その名の通り、小さなカタツムリのような形をした蝸牛は、聴覚にとって非常に重要な役割を担っています。 蝸牛は、ただ小さな空間を満たしているだけではありません。その内部はリンパ液と呼ばれる液体で満たされており、音の振動が伝わると、まるでさざ波のように、リンパ液が優しく揺れ動きます。このリンパ液の動きが、蝸牛の内部にぎっしりと並んだ有毛細胞を刺激します。 有毛細胞は、その名の通り、表面に非常に繊細な毛のような構造を持っています。リンパ液の動きによってこの毛が揺れると、音の振動は電気信号に変換されます。まるで、風のささやきを言葉に変換する通訳者の役割を、有毛細胞は担っているのです。 こうして蝸牛の中で生まれた電気信号は、聴神経を通じて脳へと届けられます。脳は、届けられた信号を瞬時に分析し、私たちはそのおかげで、鳥のさえずりや、風の音、そして何よりも大切な家族の声を聞き取ることができるのです。
呼吸器

過呼吸:その原因と対処法

- 過呼吸とは過呼吸とは、呼吸の回数が増えたり、深く呼吸をしすぎたりすることで、体の中の二酸化炭素が必要以上に出ていってしまう状態を指します。私たちは普段、息を吸うことで酸素を体に取り込み、息を吐くことで二酸化炭素を体外に出しています。この一連の呼吸運動によって、体の中の酸素と二酸化炭素のバランスが保たれています。 しかし、過呼吸になると、このバランスが崩れてしまい、血液中の二酸化炭素の濃度が異常に低くなってしまうのです。二酸化炭素は、私たちの体にとって不要なものと思われがちですが、実は体の機能を正常に保つために重要な役割を担っています。 血液中の二酸化炭素が減ってしまうと、体が酸性に傾き、様々な症状が現れます。 めまいや息苦しさ、手足のしびれなどは、過呼吸によって起こる代表的な症状です。過呼吸は、精神的なストレスや不安、パニックなどによって引き起こされることが多いとされています。 過呼吸発作は、周囲の人にとっては、落ち着いていないように見えるかもしれませんが、本人にとっては非常に苦しい状態です。 適切な対処法を知っておくことが重要です。
産婦人科

タンポンの基礎知識

- タンポンとは?タンポンは、生理中に膣内に挿入して使用する生理用品です。 ナプキンと同じく、経血を吸収する役割を担いますが、体の中に挿入して使う点が異なります。主な素材は、綿やレーヨンなどの吸収性に優れた素材を圧縮して作られています。形は円筒形で、タンポンの下部には紐が付いており、使用後にはこの紐をゆっくりと引っ張ることで取り出すことができます。タンポンは、ナプキンと比べて、運動や水泳などの活動的な場面でも、経血漏れを心配することなく快適に過ごせるという利点があります。また、ナプキンよりもコンパクトで、持ち運びにも便利です。さらに、体内に挿入するため、蒸れやニオイが気になるという方にも適しています。しかし、タンポンを使用する際には、いくつかの注意点があります。まず、使用前に必ず手を清潔に洗い、説明書をよく読んでから使用するようにしましょう。また、タンポンは長時間使用すると、細菌感染のリスクが高まる可能性がありますので、こまめに交換することが大切です。交換の目安は、経血量にもよりますが、4〜8時間ごとと言われています。さらに、まれに、トキシックショック症候群(TSS)という重篤な病気を引き起こす可能性があります。TSSは、タンポンを長時間使用することによって、黄色ブドウ球菌が増殖し、毒素が産生されることによって引き起こされます。発熱、発疹、吐き気などの症状が出た場合は、すぐにタンポンの使用を中止し、医療機関を受診してください。
外科

手術の必需品:持針器

- 持針器とは持針器は、外科手術において縫合を行う際に必要不可欠な医療器具です。手術では、傷ついた組織を縫い合わせるために縫合糸と縫合針が用いられますが、縫合針は非常に小さく、素手で扱うには滑りやすく危険が伴います。そこで、安全かつ確実に縫合針を保持するために持針器が用いられます。持針器の先端部分は、短い顎のような形をしています。この顎の部分で縫合針を挟み込むことで、針をしっかりと固定し、術者が思い通りに操作することを可能にしています。また、持針器は、握りやすく、指先の微妙な動きを針先に伝えることができるよう、人間工学に基づいて設計されています。持針器には、さまざまな種類があります。使用する縫合針の太さや手術部位、手術の種類などに応じて、適切な形状やサイズ、材質のものが使い分けられます。例えば、開腹手術のように深く広い範囲の手術には、長い持針器が適しています。一方、腹腔鏡手術のように小さな穴から器具を挿入して行う手術には、短く細い持針器が用いられます。このように、持針器は、外科手術において精密な作業を安全に行うために欠かせない存在と言えるでしょう。
耳鼻科

聴覚と平衡感覚の要:耳の構造と機能

耳は、私たちが周囲の世界を認識する上で、なくてはならない役割を担っています。その役割は大きく分けて二つあります。一つは「聴覚」です。音は空気の振動として耳に届き、耳の中の鼓膜という薄い膜を振動させます。この振動は耳小骨と呼ばれる小さな骨の連鎖によって増幅され、内耳へと伝わります。内耳には、蝸牛と呼ばれるカタツムリのような器官があり、その中には音の振動を神経信号に変換する聴細胞が並んでいます。聴細胞が神経信号を発することで、私たちは音を感じ、音楽を楽しんだり、言葉を理解したりすることができるのです。 耳のもう一つの重要な役割は「平衡感覚」です。 内耳には、蝸牛以外にも、三半規管と耳石器と呼ばれる器官があります。これらの器官は、頭部の動きや傾きを感知する役割を担っています。三半規管は、それぞれが異なる方向を向いた3つの輪状の管からなり、内部にはリンパ液が満たされています。頭が回転すると、このリンパ液の流れが変化し、その変化を感覚毛が感知することで、回転の方向や速度を認識します。一方、耳石器は、炭酸カルシウムの結晶である耳石と、感覚毛からなります。頭部の傾きや直線的な動きによって耳石が移動し、感覚毛がその刺激を受けることで、私たちは体のバランスを保つことができるのです。
その他

知られざる体内の空間:サードスペース

私たちの体は、成人でおよそ60%が水分で構成されており、この水分は、細胞内液、血管内液、間質液という大きく3つの空間に分かれています。 まず、細胞内液は、体内の細胞一つひとつの内部に存在する液体のことを指します。細胞は、私たちが生きていくために必要な様々な活動を日々行っていますが、細胞内液はこれらの活動の場として重要な役割を担っています。 次に、血管内液は、血液の液体成分である血漿のことを指し、血管の中を流れています。血管内液は、酸素や栄養素を全身の細胞に運び、逆に細胞から二酸化炭素や老廃物を運び出すという重要な役割を担っています。 最後に、間質液は、細胞と細胞の間を満たしている液体のことを指します。細胞は間質液から酸素や栄養素を受け取り、老廃物や二酸化炭素を排出しています。間質液は、細胞と血管内液との橋渡し的存在として重要な役割を担っています。 このように、私たちの体内の水分は、3つの空間に分かれて存在し、それぞれが重要な役割を担っています。これらのバランスが保たれることで、私たちは健康な状態を維持することができます。
呼吸器

結核について:原因から症状まで

- 結核とは結核は、結核菌という非常に小さな生き物によって引き起こされる病気です。この小さな生き物は、人から人へ、空気感染します。誰かが咳やくしゃみをすると、目に見えないぐらい小さなツブが空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。結核は、主に肺で発生することが多い病気です。肺で結核菌が増えると、咳や痰、熱、体重が減るといった症状が現れます。しかし、結核菌は肺だけでなく、リンパ節や骨、腎臓など、体の様々な場所に感染することがあり、注意が必要です。結核は、適切な薬をきちんと飲むことで治すことができる病気です。薬は、医師の指示に従って、決められた期間、きちんと飲み続けることが重要です。治療を途中でやめてしまうと、病気がぶり返したり、薬が効きにくい体になってしまうことがあります。結核は、昔に比べて患者数が減っている病気ですが、今でも完全に撲滅されたわけではありません。咳が長引いたり、体がだるいなど、気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
産婦人科

妊娠と糖尿病の関係:妊娠糖尿病とは?

- 妊娠糖尿病とは妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて明らかになる、あるいは発症する、糖の代謝異常のことを指します。 つまり、妊娠前は糖尿病ではなかった方が、妊娠をきっかけに一時的に血糖値が上がりやすい状態になることをいいます。妊娠すると、胎盤から様々なホルモンが分泌されますが、これらのホルモンの中には、血糖値を上げる働きを持つものがあります。 これは、赤ちゃんが成長するために必要なエネルギー源であるブドウ糖を、お母さんの血液中から十分に受け取れるようにするためです。 しかし、体質や生活習慣などによって、この血糖値を下げる働きをするホルモン(インスリン)の分泌量が十分ではなくなったり、働きが悪くなったりする場合があります。 その結果、血液中のブドウ糖が増加し、妊娠糖尿病と診断されるのです。多くの場合、出産後に血糖値は正常に戻ります。 しかし、妊娠糖尿病を経験した方は、将来的に糖尿病を発症するリスクが高いという報告があります。 また、妊娠糖尿病は、巨大児や早産など、お母さんと赤ちゃん双方に様々なリスクをもたらす可能性も指摘されています。 そのため、妊娠糖尿病と診断された場合には、医師の指示に従い、適切な食事療法や運動療法を行うことが重要です。
検査

カテーテルの太さ「Fr」ってなに?

「Fr(ふれんち)」という単位を耳にしたことはありますか? これは、医療現場において、カテーテルやドレーンといった管の太さを表す単位です。 「フレンチ」と呼ぶこともあり、「F」と表記されることもありますが、会話では「10Fr=10フレ」のように「フレ」と略されることが多いです。 この「Fr」は、フランスの外科医であるジョセフ・フレデリク・ブノワ・シャルリエールの名前に由来しています。 1Frは、おおよそ0.33mmの太さに相当し、数字が大きくなるほど太い管であることを示します。 例えば、10Frであれば約3.3mm、20Frであれば約6.6mmの太さとなります。 医療現場では、患者さんの体格や治療内容に応じて、適切な太さのカテーテルやドレーンが選択されます。 例えば、尿道カテーテルの場合、成人男性では16~18Fr、成人女性では14~16Frのものが使用されることが多いです。 また、胸腔ドレーンの場合、ドレナージする量が多い場合は太いもの、少ない場合は細いものが選択されます。 このように、「Fr」は医療現場において、患者さんにとって最適な治療を提供するために欠かせない単位の一つとなっています。
循環器

心臓の鼓動、脈拍ってなに?

- 脈拍とは心臓は、体全体に血液を送り届けるために、休むことなく働き続けています。この血液の循環によって、私たちの体は酸素や栄養を受け取り、老廃物を排出することができます。そして、この心臓の力強い鼓動は、体表に近い一部の血管に波動となって伝わります。これが脈拍です。心臓が一回収縮するごとに、血液が勢いよく送り出され、その勢いは血管の壁を押し広げます。この血管の膨らみと縮みを繰り返す動きが、まるで波のように全身に伝わっていくのです。この波動を指先などで触れることで、私たちは脈拍として感じ取ることができます。脈拍を測ることで、心臓が規則正しく動いているか、また、どれくらいの速さで血液を送り出しているかを知ることができます。健康な状態であれば、脈拍は一定のリズムと強さで感じられます。しかし、病気や体調の変化によって、脈拍は速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れたりすることがあります。脈拍は、私たちの体の状態を反映する大切なサインの一つです。日頃から自分の脈拍に意識を向けておくことで、健康管理にも役立ちます。
呼吸器

PaCO2: 換気の指標

- PaCO2とは PaCO2とは、動脈血中の二酸化炭素の圧力を示す数値のことです。「動脈血二酸化炭素分圧」の略称であり、単位はTorr(トル)またはmmHg(ミリメートル水銀柱)で表されます。日本では、一般的に生体内の圧力の表記にはTorrが、血圧の表記にはmmHgが用いられます。PaCO2は、動脈血液ガス分析装置を用いて測定されます。 そもそも「分圧」とは、複数の種類の気体が混ざっている場合に、特定の気体がどれだけの圧力を持っているかを示すものです。気体の圧力の比率は、そのまま濃度に置き換えることができます。例として、1気圧の空気中の酸素を考えてみましょう。1気圧は760 Torrに相当しますが、このうち酸素分圧は約160 Torrです。計算式は「160 ÷ 760 ≒ 0.21」となり、空気中の酸素濃度が約21%であることを表しています。一方、二酸化炭素は空気中にほとんど含まれていないため、分圧は0 Torrとなります。 PaCO2は、肺のガス交換機能を評価する上で重要な指標です。肺で適切にガス交換が行われている場合、血液中の二酸化炭素は肺胞内で排出され、代わりに酸素が取り込まれます。しかし、肺の機能が低下すると、血液中の二酸化炭素が十分に排出されずにPaCO2が上昇します。また、呼吸の調節や酸塩基平衡にも深く関わっています。
耳鼻科

声:コミュニケーションを支える音の世界

私たち人間は、口から様々な音を発します。この音のことを「声」と呼びます。声は、私たちが日々の生活の中で、互いにコミュニケーションを取るために欠かせない役割を担っています。 私たちは声を出すことで、自分の考えや気持ちを相手に伝えることができます。例えば、嬉しい時には明るい声で話したり、悲しい時には小さな声で話したりします。また、相手に何かを伝えたい時、私たちは声の高低や強弱、話す速さなどを変えることで、より相手に気持ちが伝わるように工夫しています。 声は、言葉によるコミュニケーションだけでなく、感情表現にも重要な役割を果たします。例えば、私たちは相手の顔を見なくても、声だけで怒っているのか、喜んでいるのかを判断することができます。このように、声は言葉では表現しきれない微妙な感情を伝えることができるのです。 声は、社会生活を送る上で必要不可欠なコミュニケーションツールと言えるでしょう。私たちは、声を通して互いに理解し合い、より良い人間関係を築いていくことができます。
小児科

意外と知らない?「PED」の意味

病院で働いている人や医療ドラマをよく見る人なら、「PED」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんね。この「PED」は一体何を意味するのでしょうか? 「PED」は、「Pediatric Emergency Department」の略称で、日本語では「小児救急外来」という意味になります。 総合病院の中には、この小児救急外来が設置されている場合があります。ここは、15歳以下のお子さんを対象とした救急医療を行うための専門の診療科です。 小児科医や看護師など、子供の診療に精通した医療従事者が常駐し、子供特有の病気や怪我に迅速かつ適切に対応できる体制が整えられています。 夜間や休日も診察を行なっていることが多く、急な発熱や嘔吐、怪我など、お子さんの体調が急変した際に、安心して受診できる場所として、重要な役割を担っています。
小児科

GCUってどんな場所?

- GCUとは GCU(ジー・シー・ユー)は、Growing Care Unitの略称で、日本語では「継続保育室」「回復治療室」「発育支援室」など、様々な呼ばれ方をします。 GCUは、NICU(新生児集中治療室)よりも赤ちゃんの容体が安定し、専門的な治療は必要なくなったものの、まだ入院して発達段階に応じたケアが必要な赤ちゃんが移ってくる場所です。 具体的には、呼吸や循環器系の機能が未熟で、まだ自力でミルクを飲んだり、呼吸を安定させたりすることが難しい赤ちゃんや、体重が少なく、体温調節や感染症への抵抗力が弱い赤ちゃんなどがGCUでケアを受けます。 GCUでは、医師や看護師だけでなく、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士など、多職種の専門スタッフが連携して赤ちゃんの発達をサポートします。 GCUでの主なケアの目標は、 * 呼吸や循環器系の機能の改善 * 体重増加と栄養状態の改善 * 哺乳力や嚥下機能の向上 * 発達段階に応じた運動機能の発達促進 * 親子関係の構築 などです。 GCUでの滞在期間は、赤ちゃんの状態や発達段階によって異なり、数日から数ヶ月に及ぶこともあります。そして、状態が安定し、自宅での生活に問題ないと判断されれば退院となります。
循環器

心臓病治療の革新:経皮的冠動脈形成術

心臓は、私たちの体にとって非常に重要な臓器です。それは、まるで休むことなく働き続けるポンプのように、全身に血液を送り出す役割を担っています。そして、心臓自身にも、新鮮な酸素や栄養を届けるための血管が張り巡らされています。この心臓に血液を供給する血管のことを、冠動脈と呼びます。 この冠動脈は、動脈硬化などによって壁が厚く硬くなったり、血管の内側に脂肪などが溜まって狭くなってしまうことがあります。このような状態を狭心症と呼びます。さらに、血管が完全に詰まってしまい、心臓の筋肉に血液が全く届かなくなってしまうと、心筋梗塞を引き起こします。狭心症も心筋梗塞も、命に関わる危険性のある病気です。 これらの病気は、総称して虚血性心疾患と呼ばれ、日本人の死因の上位を占める病気の一つです。虚血性心疾患は、食生活の欧米化や運動不足、喫煙、ストレスなど、様々な要因によって引き起こされると考えられています。
外科

手術には欠かせない!ドレープの役割と種類

手術は患者さんの体を切開し、体内を操作するため、傷口から細菌などの微生物が侵入し、感染症を引き起こすリスクが常に伴います。安全な手術を行う上で、手術野と呼ばれる患部とその周囲を清潔に保つことは非常に重要です。そのために用いられるのが手術用ドレープです。 手術用ドレープは、患者の体に直接触れる滅菌された布で、手術を行う部分以外を覆うことで、手術野を清潔に保つ役割を担います。具体的には、患者の皮膚には常在菌と呼ばれる無数の細菌が存在しますが、ドレープはこれらの細菌が手術創に到達することを防ぎます。また、手術中の医療従事者の衣服や体から落下する細菌、空気中を浮遊する細菌などからも手術野を隔離することで、感染リスクを最小限に抑えます。 ドレープは、一枚の布全体で覆うだけでなく、手術部位の形に合わせて開口部が設けられているものや、体の一部だけに使用する部分用、血液や体液を受け止める吸収性の高いものなど、様々な種類があります。状況や手術内容に応じて適切なドレープを使用することで、より効果的に感染を防ぐことができます。 このように、一見シンプルな布切れであるドレープですが、手術における感染リスクを低減するために非常に重要な役割を果たしているのです。
耳鼻科

耳鼻科って何科?

耳鼻咽喉科、あるいは略して耳鼻科は、頭から首にかけての領域にある感覚器官や呼吸、嚥下に関わる器官の病気を専門的に扱う診療科です。具体的には、耳、鼻、喉といった器官が対象となります。 耳鼻科が扱う範囲は多岐に渡ります。聴覚を司る耳の病気としては、中耳炎や外耳炎といった炎症、難聴や耳鳴り、めまいなどが挙げられます。また、鼻の病気としては、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻出血などがあります。さらに、喉の病気としては、扁桃炎や咽頭炎、声帯ポリープなどが代表的です。 これらの病気に対して、耳鼻科では薬物療法や手術療法など、様々な治療法を駆使して患者さんの治療にあたります。また、聴力検査や内視鏡検査など、専門的な検査を通して病気の診断を行います。 近年では、睡眠時無呼吸症候群や顔面神経麻痺、頭頸部腫瘍など、耳鼻科が扱う病気の範囲は広がりを見せています。耳、鼻、喉に違和感を感じたら、早めに耳鼻科を受診することが大切です。
呼吸器

気管カニューレ:呼吸を支える大切な管

気管カニューレとは 気管カニューレは、呼吸に問題を抱えている患者さんの気道を確保し、呼吸を助けるための医療器具です。 普段私たちが呼吸する際には、鼻や口から空気を吸い込み、気管を通って肺に空気が送られます。しかし、病気や怪我などによって、この空気の通り道である気道が狭くなったり、塞がったりしてしまうことがあります。 このような場合に、首の前方に気管切開と呼ばれる小さな手術で穴を開け、そこに気管カニューレと呼ばれる管を挿入します。 気管カニューレは、この気管切開孔から直接気管に空気を送り込み、肺にまで到達させる役割を担います。 また、気管カニューレを通して、痰や分泌物を吸引することも可能です。 気道が狭くなっている患者さんの場合、痰がうまく排出されずに呼吸困難に陥ることがありますが、気管カニューレを用いることで、こうした症状を和らげることができます。 気管カニューレは、呼吸を助けるだけでなく、肺炎などの合併症を防ぐ上でも非常に重要な役割を果たします。
産婦人科

アウス:人工妊娠中絶の理解

- アウスとは アウスとは、元々はドイツ語の「Auskratzung(アウスクラツング)」を語源とする医療用語で、日本語では「掻爬(そうは)」と訳されます。この言葉自体は子宮内容物を掻き出す行為全般を指す医学用語ですが、日本では特に「人工妊娠中絶」を意味する言葉として用いられています。 人工妊娠中絶は、妊娠している女性が、経済的な問題、健康上の問題、または性犯罪の被害など、様々な事情により妊娠を継続することが困難な場合に、医師の診断と施術によって、人工的に妊娠を終了させる医療行為です。 日本では、母体保護法という法律によって、人工妊娠中絶の実施条件や手続きが定められています。 ただし、アウスという言葉は、歴史的に見ると、女性に対する偏見や差別を含む文脈で用いられてきた経緯もあり、現在では医学的な場以外での使用は避けられる傾向にあります。そのため、人工妊娠中絶については、「アウス」のような古い用語ではなく、「人工妊娠中絶」または「中絶」といった、より中立的な表現を用いることが推奨されています。
看護技術

医療現場の小さな立役者:留置針

- 留置針とは?留置針とは、繰り返し注射や点滴が必要な場合に、血管に針を刺し続ける負担を和らげるための医療器具です。読んで字の如く、血管内に留置しておくための針のことを指します。従来、注射や点滴を行う度に、その都度、針を血管に刺す必要がありました。しかし、治療や検査のために何度も針を刺すことは、患者にとって大きな負担となります。特に、長期にわたる入院や治療が必要な場合、その痛みや負担は計り知れません。そこで、血管に一度針を刺せば、その後は針を刺し直すことなく繰り返し薬液投与や採血などができる留置針が開発されました。留置針は、主に細いプラスチック製の管であるカテーテルと、針が一体となった構造をしています。留置針を使用する際は、まず針を血管に刺します。そして、針が血管内に到達したことを確認後、針だけを抜き取り、カテーテルだけを血管内に留置します。カテーテルの先端は血管内に留まり、もう一方の先端は体外に固定されます。このように、留置針を使用することで、患者は注射や点滴の度に針を刺される苦痛から解放されるだけでなく、医療従事者にとっても、より安全かつ効率的に医療行為を行うことが可能となります。
耳鼻科

医療現場の専門用語:オトって何?

病院の案内板や医師の紹介などで「オト」という言葉を目にしたことがあるでしょうか? 「オト」は、耳鼻咽喉科を指す医療現場で使われる言葉です。これは、耳鼻咽喉科を表す英語「oto-rhino-laryngology」を短縮したものです。 耳鼻咽喉科は、耳、鼻、喉の3つの器官を扱う診療科です。この3つの器官は、音を感じとる聴覚、匂いを感じる嗅覚、味を感じる味覚、そして、呼吸や発声といった重要な機能を担っています。 「耳鼻咽喉科」という名称は少し長いため、医療現場では短く「オト」と呼ぶことが一般的になっています。 耳鼻咽喉科は、風邪の症状である鼻水や喉の痛み、耳の痛みといった身近なものから、めまい、難聴、嗅覚や味覚の異常、音声障害など、幅広い症状を診療します。 したがって、「オト」は耳、鼻、喉のいずれかに症状がある場合に受診する診療科と言えます。
循環器

怒張:血管が腫脹するメカニズムと病気との関係

- 怒張とは何か怒張とは、体の各部に行き渡る血液の循環が悪くなり、血管内に血液が過剰に溜まってしまうことで、血管が通常よりも膨らんだ状態を指します。私たちの体は、心臓という臓器がポンプの役割を果たすことで、全身に血液を循環させています。この血液は、酸素や栄養を体の隅々まで運び、老廃物を回収するという重要な役割を担っています。通常、血管は血液量に応じて柔軟に太さを変えながら、スムーズな血液循環を維持しています。しかし、何らかの原因で血液の流れが滞ってしまうと、血管内に血液が過剰に溜まり始めます。すると、血管内の圧力が高まり、その結果として血管壁が無理やり押し広げられるように拡張してしまいます。この状態が、怒張と呼ばれるものです。怒張は、見た目にも血管が太く、青っぽく浮き出ている状態として確認できます。特に、皮膚の表面に近いところにある静脈で起こりやすく、脚や腕などに現れやすいという特徴があります。また、怒張は一時的なものから慢性的なものまで、その症状は様々です。長時間の立ち仕事や運動不足などによって一時的に怒張が起こることもあれば、静脈瘤などの病気によって慢性的に怒張が続くこともあります。怒張が続く場合は、放置せずに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
呼吸器

エアリーク:気胸治療の鍵

- エアリークとは?呼吸をする際に、肺から胸腔と呼ばれる肺を取り囲む空間へ空気が漏れてしまう状態を「エアリーク」と言います。 通常、肺は呼吸によって膨らんだり縮んだりすることで、体内に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出しています。しかし、肺に穴が開いてしまうと、この空気の出入りが正常に行われなくなります。 エアリークは、肺の病気や外傷によって引き起こされることがあります。例えば、肺気腫や肺癌などの病気によって肺の組織が壊れることで穴が開く場合や、交通事故や転倒などによって胸部に強い衝撃が加わることで肺が損傷し、穴が開く場合があります。エアリークが発生すると、胸腔内に空気が溜まり、肺が圧迫されて呼吸が困難になることがあります。これを「気胸」と呼びます。気胸の治療では、胸腔ドレーンと呼ばれる管を胸腔内に挿入し、溜まった空気を体外に排出します。エアリークの程度は、この胸腔ドレーンから排出される空気の量などによって評価されます。エアリークの量が多い場合は、肺の損傷が大きいことを示しており、手術が必要となることもあります。エアリークは、命に関わる可能性もある深刻な状態です。呼吸困難や胸の痛みなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
小児科

小さな命を守る保育器:クベース

- クベースとはクベースは、妊娠期間が十分ではなく、小さく生まれ、まだ自力で生きていくことが難しい赤ちゃんのために作られた、特別な保育器です。 この装置は、外の世界の厳しい環境から赤ちゃんを守り、まるで母親のお腹の中のように、温かく安全な空間を提供します。 そのため、クベースは「命の箱」とも呼ばれ、赤ちゃんの生存と発達に大きく貢献しています。クベースは、透明な素材で作られた箱型をしています。 この設計により、医師や看護師は、常に赤ちゃんの様子を注意深く観察することができます。 顔色、呼吸の様子、体の動きなどを常に確認することで、赤ちゃんの健康状態を把握し、必要な処置を迅速に行うことができます。 また、クベースには小さな開口部があり、医療スタッフはそこから手を入れて、赤ちゃんに触れることなく、必要なケアを行うことができます。 体温や呼吸の管理、点滴、栄養補給など、赤ちゃんの成長をサポートするための様々な処置が、このクベースの中で行われます。クベースは、小さく生まれた赤ちゃんにとって、まさに「もう一つのお腹」と言えるでしょう。 医療技術の進歩により、クベースの性能は日々進化しており、より多くの赤ちゃんが、この「命の箱」の中で成長し、元気に退院できるようになっています。
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