もやもや病:原因不明の難病
病院での用語を教えて
『もやもや病』って何か、簡単に教えてもらえますか?
体の健康研究家
簡単に言うと、脳の血管が細くなってしまう病気だよ。すると、脳に十分な血液が行き渡らなくなって、色々な症状が出るんだ。
病院での用語を教えて
へぇー。脳の血管が細くなるんですね。どんな症状が出るんですか?
体の健康研究家
代表的なのは、手足のしびれや麻痺、言葉がうまく話せなくなることなどだね。症状は年齢や進行具合によって様々なんだよ。
もやもや病とは。
「もやもや病」っていう病気は、脳の大切な血管がだんだん細くなって詰まってしまう病気なんだ。そうすると、脳は栄養不足にならないように、細い血管をたくさん作って補おうとするんだけど、その様子がまるで「もやもや」と煙っているように見えることから、この名前がついたんだって。 この病気は、日本人やアジアの人によくみられる病気で、世界中でも「もやもや病」って呼ばれているんだよ。 主に10歳以下の子供と30歳から50歳の大人に多く見られる病気だけど、半分は15歳以下の子供で発症するんだ。国が指定した、原因解明が難しい病気の一つとされているんだよ。
もやもや病とは
– もやもや病とはもやもや病は、脳の血管に異常が生じる病気です。 私たちの脳は、常にたくさんの酸素を必要としています。酸素を脳に届けるために、心臓から送り出された血液は、太い血管から枝分かれしながら脳全体に行き渡ります。この血管の中で、特に重要な役割を担っているのが「ウィリス動脈輪」と呼ばれる部分です。ウィリス動脈輪は、脳の底部に位置し、まるで環状道路のように主要な血管を繋いでいます。 もやもや病では、このウィリス動脈輪の周辺にある血管が、狭くなったり詰まったりしてしまいます。すると、脳の細胞に十分な血液が行き渡らなくなり、様々な症状が現れます。 私たちの体は、不足した血液を補おうとする働きがあります。そのため、もやもや病になると、脳は細い血管を新たに作り出して、血液を届けようとします。しかし、この新たに作られた血管は非常に脆く、破れやすいという特徴があります。 この脆い血管は、まるで煙や霧のように見えることから、「もやもや血管」と呼ばれ、病名もこの特徴的な血管の姿に由来しています。もやもや血管は、脳血管造影検査という特殊なレントゲン検査を行うことで、確認することができます。
症状 | 原因 | 特徴 | 診断 |
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脳の細胞に十分な血液が行き渡らなくなることによる様々な症状 | ウィリス動脈輪周辺の血管が狭窄・閉塞 | 新たに作られる細い血管(もやもや血管)は脆く、破れやすい | 脳血管造影検査 |
患者背景
– 患者背景
もやもや病は、世界的に見ると比較的珍しい病気です。しかし、日本人などの東アジア地域の人々には、発症する人が多いという特徴があります。
発症する年齢には、二つのピークがあります。一つは10歳以下の子供に見られるピークで、もう一つは30歳から50歳の大人に見られるピークです。さらに、発症する人の半分は15歳以下であるというデータもあり、若年層での発症が目立つ病気と言えます。
項目 | 詳細 |
---|---|
発生頻度 | 世界的には比較的稀 |
好発地域 | 東アジア、特に日本 |
好発年齢 | 二峰性 – 10歳以下 – 30歳から50歳 |
その他 | 患者の約半数は15歳以下で発症 |
症状と診断
– 症状と診断もやもや病は、脳に血液を送る血管(内頸動脈や中大脳動脈)が狭窄したり閉塞したりすることで、脳への血流が不足してしまう病気です。 そのため、様々な神経症状が現れます。代表的な症状として、一過性脳虚血発作と脳梗塞が挙げられます。-# 一過性脳虚血発作一過性脳虚血発作は、一時的に脳の機能が失われる病気です。 手足の痺れや脱力、言葉がうまく話せなくなるなどの症状が現れますが、通常は数分から数時間以内で症状が消失します。-# 脳梗塞脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまう病気です。 意識障害や半身麻痺、言語障害など、重い後遺症が残ることがあります。-# 診断もやもや病の診断には、脳血管撮影が有効です。 脳血管撮影とは、カテーテルと呼ばれる細い管を足の付け根の血管から挿入し、脳の血管まで進めて造影剤を注入しながらレントゲン撮影を行う検査です。 この検査によって、もやもや病の特徴である、細い血管が煙のように集まった状態(もやもや血管)を確認することができます。その他、MRI検査やCT検査なども診断に用いられます。
症状 | 説明 | 特徴 |
---|---|---|
一過性脳虚血発作 | 一時的に脳の機能が失われる病気。手足の痺れや脱力、言葉がうまく話せなくなるなどの症状が現れる。 | 通常は数分から数時間以内で症状が消失する。 |
脳梗塞 | 脳の血管が詰まってしまう病気。意識障害や半身麻痺、言語障害など、重い後遺症が残ることがある。 | – |
原因と治療法
– 原因と治療法もやもや病の原因は、まだ完全には解明されていません。 しかし、いくつかの要因が関与していると考えられています。一つは遺伝的な要因です。家族内で発症するケースが見られることから、遺伝子の影響が示唆されています。特に、近年注目されているのがRNF213という遺伝子の変異です。この遺伝子に変異を持つ人は、そうでない人に比べて、もやもや病を発症するリスクが高くなるという研究結果が出ています。また、自己免疫疾患との関連も指摘されています。自己免疫疾患とは、本来、体を守るはずの免疫システムが、自分の体の細胞や組織を攻撃してしまう病気です。もやもや病の患者さんの中には、自己免疫疾患を併発している方が一定数いることから、免疫システムの異常が、血管の病変を引き起こしている可能性も考えられています。残念ながら、現在のところ、もやもや病を根本的に治す治療法はありません。 しかし、病気の進行を抑えたり、症状を和らげたりするための治療が行われています。治療法の一つに薬物療法があります。血液をサラサラにする薬や、脳の血流を良くする薬などが処方されます。これらの薬によって、脳梗塞などの発症リスクを抑制することができます。もう一つの治療法として、外科手術があります。これは、頭皮の血管と脳の血管を繋ぐバイパス手術などを行い、脳への血流を改善するものです。薬物療法の効果が不十分な場合や、症状が進行している場合に検討されます。もやもや病は、原因や治療法が確立されていない難病ですが、研究は日々進められています。
項目 | 内容 |
---|---|
原因 | – まだ完全には解明されていない – 遺伝的要因(RNF213遺伝子の変異) – 自己免疫疾患との関連 |
治療法 | – 根本的な治療法はなし – 薬物療法(血液をサラサラにする薬、脳の血流を良くする薬) – 外科手術(バイパス手術) |
今後の展望
– 今後の展望もやもや病は、その原因や発症メカニズムなど、まだ多くの謎が残された病気です。しかし、この病気を克服するために、世界中の研究者たちが日々研究に取り組んでおり、希望の光も見えてきています。特に期待されているのが、病気の根本的な原因を解明することです。原因が明らかになれば、それを標的とした、より効果的で副作用の少ない治療法の開発につながると考えられています。近年では、遺伝子解析技術が進歩したことで、原因遺伝子の特定や遺伝子変異と発症リスクの関係など、新たな知見が得られつつあります。また、iPS細胞を使った再生医療にも大きな期待が寄せられています。iPS細胞は、様々な種類の細胞に変化できる能力を持った細胞です。この細胞を利用することで、患者さん自身の細胞から健康な血管を作り出し、それを移植することで、病気で狭くなった血管を根本から治療できる可能性があります。さらに、遺伝子診断技術の進歩によって、発症リスクの高い人を早い段階で見つけることができるようになる可能性もあります。早期発見によって、発症を予防する対策をとったり、発症した場合でも早期に治療を開始することで、病気の進行を抑え、重症化を防ぐことができると期待されています。もやもや病は、まだ多くの課題を抱えた病気ですが、医療技術の進歩や研究者たちの努力によって、明るい未来が切り開かれようとしています。
分野 | 内容 |
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原因究明 | 遺伝子解析技術の進歩により、原因遺伝子の特定や遺伝子変異と発症リスクの関係解明が進んでいる。 |
治療法開発 | 原因究明に基づいた、効果的で副作用の少ない治療法の開発が期待される。 |
再生医療 | iPS細胞を用いて、患者自身の細胞から健康な血管を作り出し移植する治療法が期待される。 |
遺伝子診断 | 発症リスクの高い人を早期発見し、予防や早期治療による病気の進行抑制や重症化予防が期待される。 |