意識レベルの評価指標:グラスゴーコーマスケール

脳・神経

意識レベルの評価指標:グラスゴーコーマスケール

病院での用語を教えて

先生、「グラスゴーコーマスケール」ってよく聞くんですけど、どんなものですか?

体の健康研究家

いい質問だね。「グラスゴーコーマスケール」は、事故などで意識がはっきりしない人の意識レベルを調べる方法の一つだよ。簡単に言うと、意識の度合いを数字で表すことができるんだ。

病院での用語を教えて

数字で表すことができるんですか?

体の健康研究家

そうだよ。目の開き具合、言葉での受け答え、体の動きの3つの項目をそれぞれ点数で評価して、合計点で意識レベルを判断するんだ。合計点が高いほど意識がはっきりしているということになるんだよ。

グラスゴーコーマスケールとは。

「グラスゴーコーマスケール」という言葉は、医療や健康の分野で使われています。これは、世界中で広く使われている、意識障害の程度を測る方法のことです。英語では「Glasgow Coma Scale」と書き、GCSと略すこともあります。

はじめに

はじめに

– はじめに医療現場では、患者さんの意識状態を的確に把握することが非常に重要です。意識レベルの変化は、病気の重大さや治療の効果を判断する上で貴重な指標となります。しかし、意識レベルは見た目で判断するのが難しく、客観的な評価方法が求められます。そこで今回は、国際的に広く用いられている意識レベルの評価方法である「グラスゴーコーマスケール(GCS)」について解説します。GCSは、観察可能な患者さんの反応を点数化することで、意識レベルを客観的に評価できるツールです。GCSは、「開眼機能」「言語機能」「運動機能」の3つの項目から構成されています。それぞれの項目に対して、患者さんが示す反応に応じて点数が割り当てられます。そして、3つの項目の合計点によって、意識レベルを3点(最も重症)から15点(完全に覚醒している状態)までの間で評価します。GCSは、頭部外傷や脳卒中などの脳機能障害の程度を評価する上で特に有用とされています。また、GCSを用いることで、医療従事者間での情報共有がスムーズになり、より適切な治療方針の決定に役立ちます。この後の章では、GCSの具体的な評価方法や注意点、そして実際の医療現場における活用例などについて詳しく解説していきます。

項目 評価内容 点数
開眼機能 自発的に開眼する 4
呼びかけに対して開眼する 3
痛みに対して開眼する 2
全く開眼しない 1
言語機能 見当識が保たれている(時間、場所、人物がわかる) 5
会話は成立するが見当識障害がある 4
意味不明な言葉を話す 3
理解できない声や呻り声を出す 2
全く発語がない 1
運動機能 指示に従って手足を動かす 6
痛みに対して逃避反応を示す 5
痛みに対して屈曲逃避反応を示す 4
痛みに対して除皮反応を示す 3
痛みに対して伸展反応を示す 2
痛みに対して全く反応がない 1

グラスゴーコーマスケールとは

グラスゴーコーマスケールとは

– グラスゴーコーマスケールとはグラスゴーコーマスケール(GCS)は、意識障害の程度を測る指標で、1974年にイギリスのグラスゴー大学で開発されました。事故や病気などで意識がはっきりしない患者さんを診察する際に、その意識状態を客観的に評価し、記録するために用いられています。このスケールは、「開眼」「言語」「運動」の3つの反応をそれぞれ点数化し、合計点で意識レベルを表すのが特徴です。それぞれの反応は、患者さんの状態に応じて、いくつかの段階に分けられています。-開眼-は、自発的に目を開いている状態から、呼びかけや痛みに対してしか目を開けない状態まで、4段階で評価します。-言語-は、受け答えの内容が適切かどうか、単語や言葉を発することができるかどうか、5段階で評価します。-運動-は、指示に従って体を動かせるか、痛みに対して体を動かすかなど、6段階で評価します。GCSは、合計点が3点(最低)から15点(最高)で表され、点数が低いほど意識障害が重度であることを示します。例えば、交通事故で頭に強い衝撃を受けた場合などは、GCSで意識レベルを評価することで、適切な治療方針を決定する助けとなります。GCSは、救急医療の現場だけでなく、集中治療室や脳神経外科など、様々な医療現場で広く使われています。これは、GCSが簡便でありながら、客観的に意識レベルを評価できるためです。また、GCSを用いることで、医療従事者間での情報共有がスムーズに行えるという利点もあります。

項目 評価内容 段階
開眼 自発的に目を開けている状態から、呼びかけや痛みに対してしか目を開けない状態 4段階
言語 受け答えの内容が適切かどうか、単語や言葉を発することができるかどうか 5段階
運動 指示に従って体を動かせるか、痛みに対して体を動かすかなど 6段階

評価方法

評価方法

– 評価方法意識レベルを評価する指標であるGCSでは、患者さんに刺激を与え、その反応を3つの項目に分けて点数化します。それぞれの項目は、神経系の働きに関連付けられています。-1. 開眼機能-この項目では、患者さんの意識状態を目の開き方で評価します。* 自発的に目を開けている状態は、意識がはっきりしている状態です。これは4点と評価されます。* 呼びかけによって目を開ける状態は、意識がやや低下している状態です。これは3点と評価されます。* 痛み刺激に反応して目を開ける状態は、意識がさらに低下している状態です。これは2点と評価されます。* 全く目を開けない状態は、意識が非常に低下している状態を示し、1点と評価されます。-2. 言語機能-この項目では、患者さんの意識状態を言語の理解度や発語の内容から評価します。* 時間、場所、人物などが正しく認識できている状態は、意識がはっきりしている状態です。これは5点と評価されます。* 時間、場所、人物などの一部が正しく認識できていない状態は、意識がやや低下している状態です。これは4点と評価されます。* 単語は発するものの、意味が通らない状態は、意識がさらに低下している状態です。これは3点と評価されます。* 意味のある言葉を発することができず、うなり声や呻き声のみを発する状態は、意識がさらに低下している状態を示し、2点と評価されます。* 全く発声がない状態は、意識が非常に低下している状態を示し、1点と評価されます。-3. 運動機能-この項目では、患者さんの意識状態を身体の動きから評価します。* 指示に従って手足を動かせる状態は、意識がはっきりしている状態です。これは6点と評価されます。* 痛み刺激に対して、刺激から逃れようとするような反応が見られる状態は、意識がやや低下している状態です。これは5点と評価されます。* 痛み刺激に対して、身体を曲げるような反応が見られる状態は、意識がさらに低下している状態です。これは4点と評価されます。* 痛み刺激に対して、逆に身体を硬直させ、突っ張るような反応が見られる状態は、意識がさらに低下している状態を示し、3点と評価されます。* 痛み刺激に対して全く身体を動かすことができない状態は、意識が非常に低下している状態を示し、1点と評価されます。

項目 評価基準 点数 神経系の働き
1. 開眼機能
(目の開き方)
自発的に目を開けている 4点 意識がはっきりしている
呼びかけで目を開ける 3点 意識がやや低下
痛み刺激に反応して目を開ける 2点 意識がさらに低下
全く目を開けない 1点 意識が非常に低下
2. 言語機能
(言語の理解度や発語の内容)
時間、場所、人物などが正しく認識できる 5点 意識がはっきりしている
時間、場所、人物などの一部が正しく認識できない 4点 意識がやや低下
単語は発するものの、意味が通らない 3点 意識がさらに低下
意味のある言葉を発することができず、うなり声や呻き声のみ 2点 意識がさらに低下
全く発声がない 1点 意識が非常に低下
3. 運動機能
(身体の動き)
指示に従って手足を動かせる 6点 意識がはっきりしている
痛み刺激に対して、刺激から逃れようとする反応 5点 意識がやや低下
痛み刺激に対して、身体を曲げるような反応 4点 意識がさらに低下
痛み刺激に対して、逆に身体を硬直させ、突っ張るような反応 3点 意識がさらに低下
痛み刺激に対して全く身体を動かすことができない 1点 意識が非常に低下

合計点による判定

合計点による判定

意識レベルを評価する際に、合計点による判定が用いられることがあります。これは、3つの項目それぞれに点数をつけ、その合計点によって意識レベルを判断する方法です。

合計点は、最低が3点、最高が15点となります。そして、点数が高いほど意識レベルが高いことを示します。

一般的に、合計点による分類は以下の通りです。

13点以上意識障害が軽く、日常生活にほとんど支障がない状態です。
9点以上12点以下意識障害が中等度で、呼びかけへの反応が遅くなったり、簡単な指示に従うことが難しくなることがあります。
8点以下意識障害が重度で、呼びかけに応じなかったり、自分の意思で体を動かすことが困難な状態です。

合計点数 意識レベル 症状
13点以上 意識障害が軽い 日常生活にほとんど支障がない
9点以上12点以下 意識障害が中等度 呼びかけへの反応が遅くなる、簡単な指示に従うことが難しい
8点以下 意識障害が重度 呼びかけに応じない、自分の意思で体を動かすことが困難

重要性

重要性

– 重要性

意識レベルは、病気や怪我の重症度を判断する上で非常に重要な要素です。しかし、意識レベルは人によって捉え方が異なり、客観的な評価が難しい場合も少なくありません。このような場合に役立つのが、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)です。

GCSは、開眼、言語、運動の3つの項目を数値化することで、意識レベルを客観的に評価できる指標です。医療従事者間で共通の指標としてGCSを用いることで、患者さんの状態を正確に共有し、誤解のない情報伝達を行うことができます。 これは、特に救急現場や、複数の診療科が関わるような症例において重要となります。

GCSを用いることで、適切な治療方針の決定や、病状の変化の早期発見にも繋がります。GCSの値が低下した場合には、脳の状態が悪化している可能性があり、迅速な対応が必要となります。また、GCSは、治療の効果判定や予後予測にも役立ちます。

さらに、GCSは、研究や臨床試験においても重要な指標として用いられています。GCSを用いることで、新しい治療法の効果や安全性を客観的に評価することができます。

項目 説明
重要性 意識レベルの客観的評価が可能
医療従事者間での情報共有の促進
適切な治療方針の決定
病状の変化の早期発見
治療効果判定や予後予測
研究や臨床試験における評価指標
GCS (グラスゴー・コーマ・スケール) 開眼、言語、運動の3つの項目を数値化し、意識レベルを評価する指標

まとめ

まとめ

意識障害の程度を測ることは、医療現場において非常に重要です。なぜなら、意識障害は様々な病気や怪我によって引き起こされる可能性があり、その重症度によって治療方針や緊急性が大きく変わるからです。しかし、意識という目に見えないものを正確に評価することは容易ではありません。そこで、世界中の医療現場で広く使われているのが、グラスゴーコーマスケール(GCS)です。

GCSは、開眼、言語反応、運動反応の3つの項目を、それぞれ4段階、5段階、6段階で評価し、その合計点によって意識障害の重症度を客観的に表す方法です。例えば、呼びかけに応じて目を開き、受け答えもスムーズで、指示に従って手足を動かせる場合は、正常な意識状態であり、GCSは15点満点となります。一方、痛み刺激にも目を開けず、言葉を発することもなく、手足を動かすこともできない場合は、最も重症な意識障害状態であり、GCSは3点となります。

GCSを用いることで、医師や看護師は共通の基準で患者の意識状態を把握し、情報共有することが可能となります。また、GCSの経時的変化を見ることで、病気の進行状況や治療の効果を判断することもできます。このように、GCSは、患者さんにとってより適切な医療を提供するために欠かせない指標と言えるでしょう。

項目 段階 評価
開眼 4 自発的に開眼
3 呼びかけで開眼
2 痛み刺激で開眼
1 開眼しない
言語反応 5 見当識が保たれている
4 会話は成立するが、見当識障害あり
3 意味不明な発語
2 意味のない声(うなり声など)
1 発語なし
運動反応 6 指示に従う動作が可能
5 痛み刺激に対して局所の逃避的な動作
4 痛み刺激に対して屈曲逃避反応
3 痛み刺激に対して除皮質硬直(上肢の屈曲、下肢の伸展)
2 痛み刺激に対して除脳硬直(上肢・下肢ともに伸展)
1 全く動かない

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