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看護技術

清潔操作の基礎:ドレーピングとは?

- ドレーピングの定義医療現場で行われる手術や、腹水・胸水穿刺、中心静脈穿刺などの医療処置において、患者さんの体を清潔な状態に保つことは非常に重要です。これらの処置では、体内や血管などに針やメスなどの医療器具を挿入するため、細菌などの微生物が体内に入り込むことで感染症を引き起こすリスクがあります。そこで、処置を行う部分を清潔な状態に保ち、感染症のリスクを最小限に抑えるために行われるのが「ドレーピング」です。ドレーピングとは、特殊な滅菌処理が施された布(ドレープ)を用いて、患者さんの体の一部や周囲を覆う行為を指します。ドレープには、手術部位のみに穴が開いたものや、体全体を覆う大きなものなど、様々な種類があります。使用するドレープの種類や覆い方は、手術や処置の内容や部位、患者さんの体格などによって異なります。ドレーピングを行う上で最も重要なことは、処置を行う部分を適切に露出させると同時に、清潔に保つべき範囲(清潔野)を可能な限り広くとることです。細菌は目に見えないため、清潔野が狭いと、気づかないうちに細菌が侵入し、感染症を引き起こす可能性があります。このように、ドレーピングは患者さんの安全を守る上で欠かせない行為と言えます。
資格・職種

緊急時の命の選別:トリアージナースの役割

大規模な地震や津波、大事故など、私たちの想像をはるかに超えるような災害が発生した場合、病院には同時に多くの傷病者が搬送されてきます。このような切迫した状況下では、医療スタッフ、医療設備、医薬品など、限られた医療資源を最大限に活用し、一人でも多くの命を救うために、治療の優先順位を決定するという、大変辛い選択を迫られることになります。 このような極限状態の中で、治療の緊急性と重要性を判断し、適切な処置を行う場所へと傷病者を振り分ける、極めて重要な役割を担うのが、トリアージナースです。トリアージナースは、災害現場や病院に到着した直後の傷病者に対し、呼吸状態、脈拍、意識レベルなどを素早く評価し、その重症度に応じて、赤、黄、緑、黒の4色のタグを付けます。深刻な外傷や容態が急変し、一刻を争う重症者は赤タグ、骨折など重症ではあるものの、緊急性は低いと判断された場合は黄タグ、軽症の場合は緑タグ、そして、救命の可能性が極めて低い、あるいはすでに亡くなっている場合は黒タグを付けます。 このように、トリアージは、限られた医療資源の中で、より多くの命を救うために、非常に重要な役割を担っています。災害医療の現場では、医師や看護師をはじめとする多くの医療従事者が、それぞれの専門知識と技術を駆使して、全力を尽くしています。その中でもトリアージナースは、まさに命の選別という、極めて困難な任務を遂行する、災害医療の現場における影の立役者と言えるでしょう。
循環器

静かなる脅威:動脈瘤について

- 動脈瘤とは私たちの体内には、全身に張り巡らされた血管があり、心臓から送り出された血液を体の隅々まで送り届けるという重要な役割を担っています。この血管の中でも、心臓から血液を送り出す役割を担うのが動脈です。動脈は、血液を勢いよく送り出すために、壁が比較的厚く、弾力性に富んでいます。しかし、何らかの原因で動脈の壁の一部が弱くなってしまうことがあります。すると、その部分は血液の圧力に耐え切れずに、風船のように膨らんでしまいます。この状態を動脈瘤と呼びます。動脈瘤は、決して珍しい病気ではありません。特に、高血圧や喫煙、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を持つ方は、動脈硬化のリスクが高まり、動脈瘤を発症しやすくなる傾向があります。動脈瘤は、脳、心臓、腹部など、体の様々な場所に発生する可能性がありますが、特に脳動脈瘤は、破裂するとくも膜下出血を引き起こし、死に至ることもあるため、注意が必要です。動脈瘤は、自覚症状がない場合が多く、健康診断などで偶然発見されることも少なくありません。しかし、動脈瘤が大きくなると、周囲の組織を圧迫し、様々な症状が現れることがあります。例えば、脳動脈瘤の場合は、頭痛やめまい、吐き気などを引き起こすことがあります。また、腹部動脈瘤の場合は、腹部にしこりを触れたり、腹痛や背痛を感じたりすることがあります。動脈瘤は、破裂するまで自覚症状がないことが多く、また、破裂すると命に関わることもあるため、早期発見と適切な治療が重要です。動脈瘤が疑われる場合は、医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
循環器

静かなる脅威、腹部大動脈瘤

- 腹部大動脈瘤とは腹部大動脈瘤は、私たちの体の中で最も太い血管である大動脈の一部が、腹部でこぶのように膨らんでしまう病気です。この大動脈は心臓から血液を送り出すという重要な役割を担っており、心臓から出た大動脈は胸部を通り、腹部へと続いていきます。腹部大動脈瘤は、血管の壁がまるで風船のように薄く伸びてしまうことで発生します。このこぶは、最初は自覚症状がほとんどなく、静かに進行していくことが多いため、発見が遅れてしまう場合も少なくありません。しかし、腹部大動脈瘤は、放置すると徐々に大きくなり、最終的には破裂する危険性があります。もしも腹部大動脈瘤が破裂してしまうと、命に関わるほどの大量出血を引き起こす可能性があります。そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要となります。腹部大動脈瘤は、高齢の男性に多くみられる病気ですが、女性や若年層でも発症する可能性はあります。特に喫煙、高血圧、高脂血症などの生活習慣病や、家族に大動脈瘤の既往がある方は注意が必要です。
小児科

トイレトレーニング:成功への鍵

- トイレトレーニングとはトイレトレーニングとは、赤ちゃんがおむつを手放し、トイレで用を足せるようになるための練習のことです。これは、子供が成長していく上で非常に大きな節目となる出来事であり、親にとっても、試練と喜びが交差する時期と言えるでしょう。これまで当たり前のようにおむつに排泄していた赤ちゃんが、自分の意思でトイレに行き、用を足せるようになるまでには、たくさんのステップが必要です。まず、赤ちゃんが排泄のリズムを理解し、おしっこやうんちが出そうだと感じ取れるようになることが第一歩です。そして、「おしっこ」や「うんち」、「トイレ」といった言葉を理解し、親の指示に従って行動できるようになることも重要です。トイレトレーニングを開始する時期は、子供の成長や発達段階によって異なり、一概にいつから始めるとは言えません。しかし一般的には、2歳頃から3歳頃にかけて始めることが多いようです。この時期になると、膀胱や腸の機能が成長し、排泄をある程度コントロールできるようになってきます。また、言葉やコミュニケーション能力も発達してくるため、親の指示を理解しやすくなるという点も挙げられます。トイレトレーニングは、親にとっても子供にとっても、根気と努力が必要なプロセスです。焦らず、子供のペースに合わせて、ゆっくりと進めていくことが大切です。成功体験を積み重ねながら、自信と自立心を育んでいくことが、トイレトレーニング成功の鍵と言えるでしょう。
脳・神経

心に生じる歪み:統合失調症を知る

- 統合失調症とは統合失調症は、思考、感情、行動といった、私たちが普段当たり前に使っている心の働きに影響を及ぼす病気です。複雑な形で症状が現れるだけでなく、経過も人によってさまざまで、完治が難しい病気として知られています。この病気では、脳の情報処理機能に乱れが生じることで、周囲の状況を正しく理解したり、筋道立てて考えたりすることが困難になります。そのため、現実と異なることを考えてしまったり、周囲の人々に理解されないような発言をしてしまったりすることがあります。統合失調症の症状は、陽性症状、陰性症状、認知機能障害の3つのグループに分けられます。「幻覚」や「妄想」といった、健康な時には見られない症状が現れるのが陽性症状です。一方、感情の動きが乏しくなったり、意欲が低下したりといった、本来あるべき状態から減ってしまう症状を陰性症状と呼びます。さらに、注意や記憶、計画といった認知機能に障害が生じることもあります。日本では約80万人が統合失調症を抱えていると推定されており、決して珍しい病気ではありません。早期に診断を受け、薬物療法や精神療法といった適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、社会生活を送ることも十分に可能です。統合失調症は、周りの理解と適切な治療によって、より良い方向へ進んでいける病気なのです。
看護技術

清潔処置に欠かせないドレーピング:その重要性と基礎知識

- ドレーピングとは?手術や腹水・胸水穿刺、中心静脈穿刺など、医療現場で行われる様々な処置において、患者の体に針やメスを入れることがあります。このような医療行為を行う際には、細菌などの微生物が患部に入り込み、感染症を引き起こさないようにするための対策が何よりも重要となります。そのための重要な技術の一つが「ドレーピング」です。ドレーピングとは、滅菌処理を施した布(ドレープ)を用いて、患者の体を適切に覆うことを指します。医療現場では、清潔な部分を「清潔域」、清潔ではない部分を「不潔域」と呼びますが、ドレーピングを行うことで、この二つの領域を明確に区別します。具体的には、処置を行う部分のみを露出させ、それ以外の部分をドレープで覆うことで、清潔域を確保し、不潔域からの微生物の侵入を防ぎます。ドレーピングは、患者さんの安全を守る上で欠かせない処置であり、医療従事者には、状況に応じた適切なドレーピング技術が求められます。特に、手術室では、手術台や患者さんの体、医療機器など、広範囲にわたってドレーピングが行われます。適切なドレーピングを行うことで、手術部位を清潔に保ち、手術後の感染症のリスクを大幅に減らすことができます。
検査

健康の友、トレッドミル

- トレッドミルで効果的な運動を! トレッドミルは、室内でランニングやウォーキングをするための運動器具です。 室内にいながら、まるで屋外を歩いたり走ったりしているような感覚で運動ができます。 その最大のメリットは、天候に左右されずに運動できることです。雨の日や風の強い日、また、夏の暑い日差しや冬の厳しい寒さも気にせず、快適な室内で運動に集中できます。さらに、周囲の目を気にせず、自分のペースで運動できる点も魅力です。 トレッドミルは、速度や傾斜を自由に調節できます。そのため、体力レベルや運動目的に合わせて、無理なく運動することができます。軽いウォーキングから負荷の高いランニングまで、幅広い運動強度に対応できるため、体力向上を目指す方からダイエット、健康維持を目的とする方まで、幅広い層に利用されています。 かつては、ジムや公共施設などでよく見かける運動器具でしたが、近年では、コンパクトで使いやすくなった家庭用トレッドミルも人気が高まっています。自宅に居ながらにして、手軽に運動不足を解消できる手段として、多くの人々に取り入れられています。
検査

健康の友、トレッドミル

- トレッドミルとは? treadmill(トレッドミル)は、室内で歩いたり走ったりするための運動器具です。ランニングマシンやルームランナーといった名前で呼ばれることもあります。 この機械の特徴は、電動で動くベルトコンベアーです。このベルトの上を歩くことで、まるで屋外を歩いているかのような感覚で運動ができます。トレッドミルの大きな魅力は、自分の体力レベルや運動目標に合わせて、運動の負荷を細かく調整できる点です。速度を速くすれば、負荷の高いランニングの練習になり、傾斜をつければ、平坦な道を歩くよりも負荷を高めることができます。そのため、体力に自信がない初心者から、本格的なトレーニングを目指すアスリートまで、幅広い人に利用されています。さらに、天候に左右されずに運動できるのもメリットです。雨の日や風の強い日、あるいは気温が極端に高い日や低い日でも、快適な室内で安全に運動することができます。また、走行距離や消費カロリー、心拍数などを表示する機能がついている機種も多く、運動量の管理もしやすいという利点もあります。
循環器

動悸:感じる鼓動のサイン

- 動悸とは動悸とは、普段は意識することのない心臓の鼓動を、自分自身で強く感じる状態を指します。この時、心臓の鼓動は、実際よりも速く、強く、あるいは不規則に感じられ、それが不快感や不安、恐怖感につながることがあります。健康な人であっても、激しい運動の後や、緊張する場面に遭遇した時、興奮状態にある時などには、動悸を感じることは珍しくありません。このような場合は、一時的なものであり、特に心配する必要はありません。しかし、安静にしている時や、明確な原因がないにも関わらず、頻繁に動悸が起こる場合は注意が必要です。その背景には、心臓の病気や甲状腺の病気、貧血、不整脈、更年期障害、ストレス、睡眠不足、過労、カフェインの過剰摂取など、様々な原因が考えられます。動悸を感じた際は、いつ、どのような状況で起こったのか、どのような症状を伴っていたのかなどを詳しく記録しておきましょう。医療機関を受診する際には、これらの情報が診断の助けとなります。自己判断せずに、医師に相談し適切な検査を受けるようにしてください。
小児科

胎児循環の立役者:動脈管

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時、まだ肺で呼吸ができません。そのため、お母さんから送られてくる酸素を効率的に体全体に巡らせる特別なルートが必要です。これが動脈管の役割です。 通常、心臓から肺へ送られた血液は、肺で酸素を取り込み、再び心臓に戻ってきます。しかし、胎児の場合、肺はまだ十分に機能していないため、肺に多くの血液を送る必要はありません。そこで、動脈管という血管が肺動脈と大動脈をつないでいます。 動脈管があることで、心臓から送り出された血液は、肺を通らずに直接大動脈へ流れ込みます。これにより、お母さんから胎盤を通して送られてきた酸素を豊富に含んだ血液が、胎児の体全体に効率よく届けられます。 つまり、動脈管は、胎児が肺呼吸を始めるまでの間、酸素を体全体に供給するために非常に重要な役割を担っているのです。
循環器

命を脅かす不整脈:トルサード・ド・ポアント

私たちの心臓は、規則正しいリズムを刻むことで、全身に血液を送り出すポンプとしての役割を担っています。この心臓の動きは、まるで正確な時計のように、一定のリズムを保っていることが理想的です。しかし、様々な要因によって、この規則正しいリズムが乱れてしまうことがあります。このような状態を不整脈と呼びます。 不整脈は、その種類や程度によって、症状や危険性が大きく異なります。例えば、一時的な疲労やストレス、睡眠不足、カフェインの過剰摂取などが原因で起こる不整脈は、比較的軽度で、一時的なものである場合が多くみられます。このような不整脈は、特に治療の必要がなく、生活習慣の改善などで改善されることが多いです。 一方、心臓の病気や高血圧、糖尿病などの基礎疾患が原因で起こる不整脈は、命に関わる危険性を孕んでいるケースもあります。症状としては、動悸や息切れ、めまい、失神などがあります。特に、意識を失ってしまうような不整脈は、緊急を要する危険な状態です。 不整脈は、決して珍しいものではなく、誰にでも起こりうる可能性があります。そのため、少しでも気になる症状がある場合は、放置せずに、速やかに医療機関を受診することが大切です。
泌尿器

透析患者の目標体重:ドライウエイトとは?

- ドライウエイトとは血液透析は、腎臓の機能が低下した患者さんにとって、生命を維持するために欠かせない治療法です。この治療では、体内に溜まった老廃物や余分な水分を人工的に除去します。そして、「ドライウエイト」とは、一回の透析治療を終えた時点で、患者さんが目指すべき理想的な体重のことを指します。なぜ、このドライウエイトが重要なのでしょうか? それは、健康な状態を保ち、透析治療の効果を最大限に引き出すために、非常に重要な役割を担っているからです。透析治療では、体内の水分量を調整しますが、水分が過剰に除去されると、低血圧や筋肉の痙攣などの症状が現れることがあります。反対に、水分が十分に除去されないと、高血圧や心不全のリスクが高まります。適切なドライウエイトは、患者さん一人ひとりの体格や体質、残存腎機能などを考慮して、医師が慎重に判断します。そして、日々の体重測定や体調の変化などを観察しながら、その値を調整していきます。ドライウエイトを維持することで、透析後の体調が安定し、日常生活をより快適に過ごすことが期待できます。また、心血管系合併症のリスクを低減し、長期的な健康にも大きく貢献します。
泌尿器

生命を支える透析:その役割と重要性

- 透析とは何か腎臓は、私たちの体にとって重要な臓器の一つです。血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する働きをしています。しかし、様々な原因で腎臓の働きが悪くなると、体の中に老廃物や余分な水分が溜まってしまい、健康に悪影響を及ぼします。これが腎不全という状態です。腎不全になると、本来腎臓が担っていた働きを人工的に補う必要が出てきます。その方法の一つが、「透析」と呼ばれる治療法です。透析治療では、専用の機械を使って血液を体外に取り出し、人工的に老廃物や余分な水分、塩分などを除去します。その後、きれいになった血液を体内に戻します。透析には、「血液透析」と「腹膜透析」の二つの方法があります。血液透析は、週に数回、病院やクリニックに通って治療を受ける方法です。一方、腹膜透析は、自宅で毎日行う透析方法です。それぞれの患者さんの生活スタイルや体の状態に合わせて、医師が適切な透析方法を検討します。透析治療を受けることで、腎臓の働きを完全に補うことはできません。しかし、健康状態を維持し、日常生活を送ることができるようになります。透析治療は、患者さんにとって生活の一部となりますが、医師や看護師、栄養士などの医療スタッフが、患者さんをサポートしていきます。
呼吸器

気胸治療の必需品、トロッカーとは?

- トロッカーの概要トロッカーとは、肺を包む胸膜腔と呼ばれる空間に挿入する管のことです。この管を通して、本来はわずかな空気しか存在しない胸膜腔に溜まった空気や液体、膿などを体外に排出することができます。トロッカーは、主に気胸、胸水、膿胸といった病気の治療において重要な役割を担います。* -気胸-は、肺に穴が開くことで空気が胸膜腔に漏れ出てしまう病気です。* -胸水-は、胸膜腔に水が溜まってしまう病気で、心臓病や腎臓病などが原因で起こることがあります。* -膿胸-は、胸膜腔に細菌感染によって膿が溜まってしまう病気です。これらの病気では、胸膜腔に溜まった空気や液体、膿によって肺が圧迫され、呼吸困難を引き起こす可能性があります。トロッカーを挿入してこれらを排出することで、肺にかかる圧迫を軽減し、呼吸を楽にする効果が期待できます。トロッカーには、細いものから太いものまで様々な種類があります。これは、治療内容や患者さんの状態に合わせて適切な太さのものを選択する必要があるためです。例えば、胸水の排出には比較的細いトロッカーを用いることが多いですが、膿胸のように粘性の高い膿を排出する場合は、太いトロッカーを使用することがあります。トロッカーの挿入は、患者さんの負担を軽減するために、通常は局所麻酔を用いて行われます。医師は、患者さんの症状や画像検査の結果などを総合的に判断し、適切な太さと長さのトロッカーを選択し、安全に挿入します。
外科

手術には欠かせない!ドレープの役割と種類

手術は患者さんの体を切開し、体内を操作するため、傷口から細菌などの微生物が侵入し、感染症を引き起こすリスクが常に伴います。安全な手術を行う上で、手術野と呼ばれる患部とその周囲を清潔に保つことは非常に重要です。そのために用いられるのが手術用ドレープです。 手術用ドレープは、患者の体に直接触れる滅菌された布で、手術を行う部分以外を覆うことで、手術野を清潔に保つ役割を担います。具体的には、患者の皮膚には常在菌と呼ばれる無数の細菌が存在しますが、ドレープはこれらの細菌が手術創に到達することを防ぎます。また、手術中の医療従事者の衣服や体から落下する細菌、空気中を浮遊する細菌などからも手術野を隔離することで、感染リスクを最小限に抑えます。 ドレープは、一枚の布全体で覆うだけでなく、手術部位の形に合わせて開口部が設けられているものや、体の一部だけに使用する部分用、血液や体液を受け止める吸収性の高いものなど、様々な種類があります。状況や手術内容に応じて適切なドレープを使用することで、より効果的に感染を防ぐことができます。 このように、一見シンプルな布切れであるドレープですが、手術における感染リスクを低減するために非常に重要な役割を果たしているのです。
循環器

怒張:血管が腫脹するメカニズムと病気との関係

- 怒張とは何か怒張とは、体の各部に行き渡る血液の循環が悪くなり、血管内に血液が過剰に溜まってしまうことで、血管が通常よりも膨らんだ状態を指します。私たちの体は、心臓という臓器がポンプの役割を果たすことで、全身に血液を循環させています。この血液は、酸素や栄養を体の隅々まで運び、老廃物を回収するという重要な役割を担っています。通常、血管は血液量に応じて柔軟に太さを変えながら、スムーズな血液循環を維持しています。しかし、何らかの原因で血液の流れが滞ってしまうと、血管内に血液が過剰に溜まり始めます。すると、血管内の圧力が高まり、その結果として血管壁が無理やり押し広げられるように拡張してしまいます。この状態が、怒張と呼ばれるものです。怒張は、見た目にも血管が太く、青っぽく浮き出ている状態として確認できます。特に、皮膚の表面に近いところにある静脈で起こりやすく、脚や腕などに現れやすいという特徴があります。また、怒張は一時的なものから慢性的なものまで、その症状は様々です。長時間の立ち仕事や運動不足などによって一時的に怒張が起こることもあれば、静脈瘤などの病気によって慢性的に怒張が続くこともあります。怒張が続く場合は、放置せずに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
循環器

生命の道筋:動脈の役割と健康

私たちの体の中には、全身に張り巡らされた血管という管があり、その中を血液が絶えず流れ続けることで、私たちは生きていくことができます。この血液の流れを作り出しているのが心臓です。心臓は、体にとって重要な臓器の一つで、休むことなく働き続け、血液を体全体に送り出すポンプの役割をしています。 心臓から送り出された血液は、動脈という血管を通って全身に届けられます。動脈は、心臓の拍動に合わせて血液を送り出すために、弾力性に富んだ丈夫な構造をしています。心臓が収縮するたびに、動脈は押し広げられ、波打つように血液を体の隅々まで送り届けます。この時、動脈の壁を通して感じられる拍動が「脈」です。動脈は、まるで心臓という工場から、体中の細胞という労働者へ、酸素や栄養素を届けるための輸送路のような役割を果たしていると言えるでしょう。
血液

動脈血:酸素を運ぶ血液

私たちの体内を流れる血液には、大きく分けて動脈血と静脈血の二種類があります。動脈血は心臓から送り出され、体の隅々まで酸素を届ける役割を担っています。この動脈血の特徴は、なんといってもその鮮やかな赤い色です。では、なぜ動脈血はこんなにも赤い色をしているのでしょうか? その秘密は、血液中で酸素を運ぶ役割を担うヘモグロビンという物質にあります。ヘモグロビンは、酸素と結びつくことで鮮やかな赤色に変化する性質を持っています。私たちが呼吸によって体内に取り込んだ酸素は、肺の中で血液中に取り込まれ、ヘモグロビンと結びつきます。 酸素と結びついたヘモグロビンは鮮やかな赤色をしており、これが動脈血が赤く見える理由です。 そして、この赤い動脈血は心臓の力強いポンプ作用によって全身に送り出され、体の隅々の細胞まで酸素を供給していくのです。 ちなみに、動脈血に対して、体から心臓に戻っていく血液を静脈血と言います。静脈血は、細胞に酸素を渡した後の血液なので、酸素が少ない状態です。そのため、ヘモグロビンは暗赤色となり、静脈血も動脈血に比べて暗い色をしています。
小児科

胎児循環と動脈管:生まれた後に消える血管

- 動脈管の役割赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる間、呼吸をするために必要な肺が完成していません。そのため、お母さんの胎盤から酸素を受け取って生きています。 動脈管は、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんにとって、とても大切な役割を持つ血管です。通常、心臓から送り出された血液は、肺で酸素を含んで全身に送られます。しかし、赤ちゃんはお腹の中にいる間、肺呼吸をしていません。そのため、肺動脈に流れる血液は、肺で酸素を取り込む必要がありません。そこで、動脈管というバイパスのような血管が、肺動脈と大動脈をつないでいます。 動脈管によって、心臓から送り出された血液は、肺を通らずに直接大動脈に流れ込み、全身に送られます。動脈管は、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんが、効率よく酸素を取り込むために欠かせない器官なのです。 そして、赤ちゃんが生まれ、肺呼吸を始めると、動脈管は自然と閉じていきます。
看護技術

医療におけるドレーンの役割

- ドレーンとは私たちの体には、常に不要な液体が溜まっています。これは、血液やリンパ液、あるいは炎症によって生じる膿などが挙げられます。このような体にとって不要な液体を体外に排出するために用いられる管のことを、ドレーンと言います。ドレーンは、体内に溜まった液体の種類や量、そして患者さんの状態に合わせて、様々な種類のものが使用されます。例えば、体腔内に直接留置するものもあれば、手術の際に切開部から挿入するものもあります。材質としては、主にゴムやシリコンといった、体に対して安全性が高いものが使用されます。これらの材質は、体内に挿入しても、アレルギー反応などの拒絶反応を起こしにくいという特徴があります。また、近年では、ドレーンの素材や形状にも工夫が凝らされており、体内での異物感を軽減し、患者さんの負担をより少なくすることに貢献しています。ドレーンは、患者さんの回復を早めるだけでなく、様々な合併症のリスクを減らす上でも非常に重要な役割を担っています。
血液

動脈血:酸素を運ぶ血液

私たちの体内を流れる血液には、体の各部に酸素を運ぶ役割を担う動脈血と、全身から心臓へ戻る際に二酸化炭素を多く含む静脈血があります。 動脈血は、酸素を豊富に含んでいるため、鮮やかな赤色をしています。これは、赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質が酸素と結びつくことで、鮮やかな赤色に変化するためです。一方、静脈血は、酸素が少ない代わりに、二酸化炭素を多く含んでいるため、暗赤色をしています。 よく、手の甲に見られる青っぽい血管を「静脈」と呼ぶことがありますが、これは、血管自体が青い色をしているのではありません。血管の中を流れる血液の色が、皮膚を通して見えることで、青っぽく見えているのです。実際には、動脈も静脈も、血管自体に色はありません。 動脈血の鮮やかな赤色は、私たちの体が正常に酸素を運搬できている証と言えるでしょう。
皮膚科

子どものよくある皮膚トラブル:とびひ

- とびひとは 「とびひ」は、医学的には「伝染性膿痂疹」と呼ばれる、細菌によって引き起こされる皮膚の感染症です。 この病気の原因となる細菌は、主にブドウ球菌とレンサ球菌の二つです。これらの細菌は、私たちの皮膚に日常的に存在していますが、健康な状態であれば、通常は病気を引き起こすことはありません。しかし、ちょっとした傷や虫刺されなど、皮膚のバリアが壊れてしまった部分から、これらの細菌が体内に侵入し、感染を引き起こしてしまうのです。 とびひは、特に免疫力が未熟で、細菌に対する抵抗力が弱い乳幼児や小さな子供に多く見られます。 また、保育園や幼稚園など、子供たちが集団生活を送る場所では、接触によって感染が広がりやすいことも、とびひが多発する要因の一つです。 とびひは、適切な治療を行えば、通常は跡を残さずに治癒します。しかし、放置すると症状が悪化し、周囲に広がってしまう可能性もあるため注意が必要です。
小児科

胎児循環の要:動脈管

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるとき、呼吸は肺ではなく、お母さんから分けてもらうへその緒を通して行われます。そのため、肺はまだ十分に機能しておらず、大人と同じように血液に酸素を取り込むことができません。そこで重要な役割を果たすのが動脈管と呼ばれる血管です。 動脈管は、肺動脈と大動脈という二つの大きな血管をつなぐバイパスのような役割をしています。肺動脈は心臓から肺に血液を送る血管、大動脈は心臓から全身に血液を送る血管です。通常、心臓から送り出された血液は、肺動脈を通って肺で酸素を取り込み、再び心臓に戻ってきます。しかし、胎児の場合、肺でのガス交換がまだ行われないため、動脈管を通って肺動脈から大動脈へ血液が直接流れ込みます。これにより、胎児は肺に負担をかけることなく、効率的に全身に酸素を送り届けることができるのです。 つまり動脈管は、胎児にとって、お母さんから受け取った酸素を効率よく全身に届けるために不可欠な血管と言えるでしょう。
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