「さ」

呼吸器

在宅酸素療法:自宅で呼吸を支える

- 在宅酸素療法とは 在宅酸素療法とは、慢性的な呼吸器疾患によって息切れなどの症状がある患者さんが、自宅で酸素吸入を行う治療法です。 私たちの体は、呼吸によって肺から酸素を取り込み、血液によって体の隅々まで酸素を運びます。しかし、肺の病気が悪化すると、十分な酸素を取り込むことができなくなり、息切れや動悸、倦怠感といった症状が現れます。 このような状態の患者さんに対して、在宅酸素療法では、自宅で濃縮器という機械を使って酸素を作り出し、鼻に装着したチューブを通して酸素を吸入します。 在宅酸素療法を受けることで、呼吸が楽になり、外出や運動など活動的に過ごすことができるようになります。 また、病院ではなく住み慣れた自宅で治療を受けられるため、患者さんの生活の質(QOL)の向上に繋がると期待されています。
泌尿器

意外と知らない?残尿感と残尿の違い

- 残尿とは何か 「残尿」とは、文字通り、尿を出した後にも関わらず、膀胱の中に残ってしまう尿のことを指します。普段の生活の中で、尿を排出した後でも、なんとなく膀胱のあたりに違和感を感じることはありませんか?それはもしかすると、膀胱内に残尿が残っているサインかもしれません。 この残尿感は、誰にでも起こりうる現象です。その量は人によって異なり、年齢や性別、日々の生活習慣など、様々な要因が影響を与えます。 健康な人の場合、一回の排尿で膀胱内の尿をほぼ全て出し切ることができ、残尿はほとんどありません。しかし、加齢に伴って膀胱の筋肉が衰えたり、前立腺肥大などの病気によって尿道が圧迫されると、尿の出が悪くなり、残尿量が増加することがあります。 残尿が多い状態が続くと、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症のリスクが高まるだけでなく、膀胱の機能低下や尿失禁を引き起こす可能性もあります。そのため、日頃から排尿の状態に注意し、残尿が多いと感じたり、排尿時の違和感がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
泌尿器

残尿感:排尿後も残る違和感

- 残尿感とは残尿感とは、その名の通り、排尿後も膀胱に尿が残っているように感じられる状態を指します。トイレに行っても、スッキリとした感覚が得られず、まだ尿が残っているような、出し切れていないような感覚に悩まされることがあります。健康な状態であれば、排尿後は膀胱は空になり、スッキリとした感覚を得られます。しかし、様々な要因によって、膀胱に尿が残ってしまったり、膀胱がうまく収縮せずに排尿がうまくいかなかったりする場合があります。その結果、排尿後も膀胱に尿が残っているような感覚、つまり残尿感を覚えるのです。残尿感は、頻尿や尿意切迫感、排尿痛などの症状を伴うこともあります。また、日常生活においても、常にトイレのことが気になったり、外出や旅行に不安を感じたりするなど、生活の質を低下させる可能性があります。残尿感は、加齢や生活習慣、 underlying disease など、様々な要因で起こる可能性があります。そのため、自己判断で放置せず、気になる症状がある場合は、医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。医師は、症状や診察結果に基づいて、原因を特定し、適切な治療法を提案します。場合によっては、生活習慣の改善指導や投薬治療などが行われます。
その他

知られざる体内の空間:サードスペース

私たちの体は、成人でおよそ60%が水分で構成されており、この水分は、細胞内液、血管内液、間質液という大きく3つの空間に分かれています。 まず、細胞内液は、体内の細胞一つひとつの内部に存在する液体のことを指します。細胞は、私たちが生きていくために必要な様々な活動を日々行っていますが、細胞内液はこれらの活動の場として重要な役割を担っています。 次に、血管内液は、血液の液体成分である血漿のことを指し、血管の中を流れています。血管内液は、酸素や栄養素を全身の細胞に運び、逆に細胞から二酸化炭素や老廃物を運び出すという重要な役割を担っています。 最後に、間質液は、細胞と細胞の間を満たしている液体のことを指します。細胞は間質液から酸素や栄養素を受け取り、老廃物や二酸化炭素を排出しています。間質液は、細胞と血管内液との橋渡し的存在として重要な役割を担っています。 このように、私たちの体内の水分は、3つの空間に分かれて存在し、それぞれが重要な役割を担っています。これらのバランスが保たれることで、私たちは健康な状態を維持することができます。
看護技術

医療現場におけるサイフォニング現象:その危険性と予防策

- サイフォニング現象とはサイフォニング現象とは、医療現場において、シリンジポンプを使った薬剤投与中に起こる可能性のある現象です。シリンジポンプは、決められた量を時間をかけてゆっくりと点滴する医療機器ですが、この現象が起こると、意図せず薬剤が急速に注入されてしまうことがあります。では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?ポイントは、シリンジポンプと患者さんの体の位置関係です。シリンジポンプが患者さんの体よりも高い位置にある場合、その高低差によってサイフォニング現象が起きる危険性があります。例えば、点滴中に何らかの原因でシリンジがポンプから外れてしまったとします。すると、ポンプよりも低い位置にある患者さんの体内に向かって、高低差による圧力がかかります。この圧力によって、シリンジ内の薬剤が勢いよく患者さんの体内へ流れ込んでしまうのです。しかも、注意が必要なのは、高低差が比較的小さい場合でも、サイフォニング現象が起こる可能性があるという点です。シリンジ内部の圧力が、何らかの理由で外部の圧力よりも極端に低くなると、たとえわずかな高低差であっても、薬剤が急速に注入されてしまうことがあります。サイフォニング現象は、患者さんの体にとって大きな負担となる可能性があります。医療現場では、シリンジポンプの位置を患者さんの体よりも低く設定する、点滴中は常に状態をよく観察するなど、この現象を防ぐための対策を徹底することが重要です。
循環器

規則正しい心臓の鼓動:洞調律とは?

私たちの心臓は、まるで休むことを知らない働き者のように、昼も夜も絶え間なく鼓動し続けています。この規則正しい脈動は、まるでオーケストラの指揮者のように、心臓の一部分から発せられる電気信号によって生み出されています。 心臓の上部に位置する洞房結節と呼ばれる場所が、まさにその指揮者の役割を担っています。洞房結節は、心臓自身で作り出される電気信号を発する特別な細胞の集まりです。この電気信号は、まるで伝言ゲームのように、心臓全体に順番に伝わっていきます。 電気信号を受け取った心臓の筋肉(心筋)は、収縮と弛緩を規則正しく繰り返します。この心筋の動きこそが、私たちの心臓の鼓動であり、全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしているのです。洞房結節から発せられる電気信号こそが、私たちの心臓を休むことなく動かし続ける、まさに生命の指揮者と言えるでしょう。
呼吸器

酸素テント:赤ちゃんの呼吸を支えるやさしいドーム

- 酸素テントとは酸素テントは、呼吸に困難を抱える赤ちゃんや、肺の機能が未熟な赤ちゃんのために、医療現場で使用される装置です。透明なプラスチックで作られたドーム状の形をしており、その内部に小さなベッドが設置されています。まるで赤ちゃんのための小さなお部屋のようです。このドームの特徴は、常に高濃度の酸素が供給されている点にあります。赤ちゃんは呼吸によって酸素を取り込みますが、肺の機能が未熟な場合は、十分な酸素を取り込むことができません。酸素テントは、ドーム内に高濃度の酸素を充満させることで、赤ちゃんが必要とする酸素を効率的に供給します。酸素テントは、その透明性により、医療従事者が赤ちゃんの様子を常に観察できるという利点もあります。また、ドーム内には小さな扉が付いており、そこから赤ちゃんの世話や治療を行うことができます。このように、酸素テントは、赤ちゃんの呼吸をサポートしながら、安全で快適な環境を提供します。
循環器

健康な心臓のリズム:洞調律

私たちの心臓は、まるで休むことを知らないかのように、常に規則正しいリズムを刻んで動き続けています。この生命の維持に不可欠なリズムを生み出す心臓の司令塔とも呼べる存在が、右心房に位置する「洞房結節」と呼ばれる小さな組織です。 洞房結節は、心臓の拍動を指揮するオーケストラの指揮者のような役割を担っています。この小さな組織は、自ら電気的な信号を規則的に発生させるという驚異的な能力を持っています。この電気信号こそが、心臓の筋肉を収縮させるための合図となり、心臓はまるでポンプのように全身に血液を送り出すことができるのです。 この洞房結節から発生した電気信号は、まず最初に心房全体に伝わります。心房が収縮すると、血液は心室へと送られます。その後、電気信号は心房と心室の間にある「房室結節」と呼ばれる場所に到達し、一瞬だけ伝わる速度が遅くなります。このわずかな遅延は、心室が血液で満たされるために必要な時間であり、心臓が効率的に血液を送り出すために非常に重要な役割を果たしています。 このように、洞房結節は心臓の規則正しいリズムを生み出すために欠かせない、非常に重要な役割を担っているのです。
その他

再生医療:未来の医療

- 再生医療とは再生医療とは、病気や怪我によって失われた体の組織や機能を、再び取り戻すことを目指す医療です。従来の治療法では、症状を和らげたり、進行を遅らせたりすることしかできなかった病気を根本から治せる可能性を秘めているため、近年注目を集めています。従来の医療では、臓器移植が、失われた臓器の機能を補う主な方法でした。しかし、臓器移植には、ドナー不足や拒絶反応、生涯にわたる免疫抑制剤の服用など、多くの課題がありました。再生医療は、これらの課題を克服する新しい医療として期待されています。患者さん自身の細胞を使って、失われた組織を“再生”させるため、拒絶反応のリスクが低く、臓器提供を待つ必要もありません。再生医療には、大きく分けて二つの方法があります。一つは、細胞を体の外で培養し、増やしてから体内に戻す方法です。もう一つは、体内に特殊な材料を移植し、細胞の増殖や組織の再生を促す方法です。再生医療はまだ発展途上の段階ですが、すでにいくつかの治療法が実用化されています。例えば、やけどの治療や軟骨の再生などです。今後、さらに研究が進めば、多くの病気の治療に役立つことが期待されています。
その他

全身に影響を及ぼす難病:サルコイドーシス

- サルコイドーシスとはサルコイドーシスは、原因がまだはっきりと分かっていない、全身の様々な臓器に影響を及ぼす病気です。あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、国が「指定難病」としている重要な病気の一つです。この病気は、顕微鏡で観察すると「サルコイド肉芽腫」と呼ばれる特徴的な小さな炎症組織が、体の様々な場所に現れることが特徴です。この肉芽腫は、小さな塊のように見えるのですが、これは体の中に侵入してきた異物を排除しようとして、免疫細胞が集まってできるものです。サルコイドーシスは、20歳から40歳代の比較的若い世代に発症することが多く、特に女性に多くみられます。また、日本では特定の遺伝子を持つ人に発症しやすいという報告もあります。症状は、肉芽腫ができる場所や大きさによって様々です。初期には、発熱、咳、倦怠感、体重減少など、風邪に似た症状が現れることがありますが、自覚症状がないまま健康診断で発見されることもあります。進行すると、息切れや胸の痛み、視力障害、皮膚病変など、様々な症状が現れることがあります。サルコイドーシスは、現在のところ完全に治すことができる治療法は見つかっていません。しかし、多くの場合、自然に治癒することもあります。症状が重い場合や、重要な臓器に影響が出ている場合は、ステロイド薬などの薬物療法が行われます。
検査

酸素飽和度:健康状態を知る重要な指標

- 酸素飽和度とは人間の体にとって、酸素は生きていくために欠かせないものです。 私たちは呼吸をすることで、肺から酸素を取り込み、体中に送っています。この酸素を運ぶ役割を担っているのが、血液中の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」というタンパク質です。ヘモグロビンは、まるで船が荷物を運ぶように、酸素と結びつくことで、体内の隅々まで酸素を届けているのです。酸素飽和度とは、このヘモグロビンのうち、どれだけの割合が酸素と結びついているのかを示す指標です。 つまり、酸素を運ぶ船であるヘモグロビンが、どれだけたくさんの酸素を積み込んでいるかを表していると言えます。酸素飽和度はパーセンテージで表示され、健康な人の場合、通常96%以上とされています。 酸素飽和度は、私たちの健康状態を把握する上で重要な値となります。 例えば、呼吸器疾患や循環器疾患など、様々な病気によって酸素飽和度は低下することがあります。 これは、肺から十分な酸素を取り込めなくなったり、心臓の機能低下により血液の循環が悪くなったりすることで、ヘモグロビンが酸素と十分に結びつけなくなるためです。 酸素飽和度が低下すると、息切れや倦怠感などを感じやすくなり、重症化すると意識障害に陥ることもあります。
その他

医療におけるサマリー:患者の全体像を把握するための重要なツール

- サマリーとは医療現場では、患者さんの情報が非常に多く存在します。カルテには、過去の病気や手術の記録、アレルギー、服用中の薬など、膨大な情報が蓄積されていきます。これらの情報を全て確認するのは大変な作業であり、緊急時などには迅速な対応が求められる場面もあります。そこで重要となるのが「サマリー」です。サマリーとは、英語の「summary」を語源とし、患者さんの膨大な医療情報を要約した文書のことを指します。サマリーには、現在の病気に関する情報だけでなく、過去の病歴、アレルギー、服用中の薬、家族の病歴などが簡潔にまとめられています。サマリーを作成する主な目的は、医療従事者間で患者さんの情報を共有し、より適切な医療を提供することです。例えば、初めて患者さんを診察する医師は、サマリーを一読することで、過去の病歴や治療経過、現在の健康状態などを素早く把握することができます。また、緊急時に患者さんが意識不明の場合でも、サマリーを確認することで、アレルギーや持病などの重要な情報を得ることができ、適切な処置を迅速に行うことが可能になります。このように、サマリーは医療現場において、患者さんの安全と適切な医療の提供に欠かせない重要なツールと言えるでしょう。
脳・神経

坐骨神経痛:原因と症状、そして治療法

坐骨神経痛とは 坐骨神経痛は、腰の下部から足にかけて伸びる坐骨神経が圧迫を受けたり、炎症を起こしたりすることで発生する痛みやしびれの症状です。坐骨神経は人体の中で最も太い神経であり、腰から臀部、太ももの裏側を通って足先まで繋がっています。この神経が圧迫されると、その経路に沿って痛みやしびれ、時には弱りを感じるようになります。 坐骨神経痛は病気というよりも、他の原因によって引き起こされる症状として現れます。最も一般的な原因は腰椎椎間板ヘルニアで、これは背骨のクッション材である椎間板が飛び出して神経を圧迫してしまう状態です。その他、腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群、妊娠なども坐骨神経痛の原因となります。 多くの場合、坐骨神経痛は一時的なものであり、適切なケアや治療を受けることで数日から数週間で症状は改善します。安静、痛み止めの服用、ストレッチや軽い運動などが有効な場合が多いです。症状が重い場合や長引く場合には、医療機関を受診し、原因に合わせた治療を受ける必要があります。
その他

細胞の中の世界:細胞内寄生菌について

私たちの体の中には、たくさんの細胞が存在しています。そして、驚くべきことに、その細胞の中にまで入り込んで暮らしている細菌がいるのです。このような細菌は、細胞内寄生菌と呼ばれ、まるで細胞を自分たちの隠れ家のように利用して増殖していきます。 細胞内寄生菌の中には、細胞の外では生きていけないものもいれば、細胞の外でも増殖できるものもいます。例えば、結核菌のように、細胞の外では生きられない細菌は偏性細胞内寄生菌と呼ばれます。これらの細菌は、生きていくために必要な栄養や環境を宿主の細胞に完全に依存しているため、細胞の外では増殖することができません。 一方、サルモネラ菌のように、細胞の外でも増殖できる細菌は通性細胞内寄生菌と呼ばれます。これらの細菌は、環境に応じて細胞の中と外どちらでも生き延びることができ、宿主の細胞内に入り込んで増殖することで、免疫の攻撃から身を守ったり、栄養を効率的に摂取したりすることができます。 細胞内寄生菌は、私たち人間を含む様々な生物に感染し、時に病気を引き起こすことがあります。これらの細菌がどのようにして細胞に侵入し、細胞の中でどのようにして生き延びているのかを明らかにすることは、感染症の予防や治療法の開発に繋がると期待されています。
検査

酸素飽和度:健康の重要な指標

- 酸素飽和度とは私たちの身体は、呼吸をすることで、肺から酸素を取り込んでいます。そして、取り込まれた酸素は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンという物質と結びつくことで、全身の細胞へと運ばれていきます。酸素飽和度とは、このヘモグロビンが、どれだけの割合で酸素と結びついているかを示す数値のことです。例えば、酸素飽和度が98%の場合は、ヘモグロビンのうち98%が酸素と結びついている状態を表します。残りの2%は、二酸化炭素などを運ぶために空いている状態です。酸素飽和度は、健康状態を判断する重要な指標の一つです。健康な人の場合、安静時の酸素飽和度は96%以上とされています。酸素飽和度が低い場合は、呼吸器疾患や循環器疾患などが疑われます。息切れや動悸などの症状が出る場合もあり、数値が低い場合は医療機関への受診が必要です。近年では、指先に光を当てることで簡単に酸素飽和度を測定できる装置が普及してきています。健康管理や病気の早期発見のために、活用してみてはいかがでしょうか。
血液

再生不良性貧血:血液の病気の理解

皆さんは「再生不良性貧血」という病気を聞いたことがありますか? 日常生活ではあまり耳にする機会が少ないかもしれません。しかし、再生不良性貧血は血液に深く関わる重大な病気なのです。今回は、このあまり知られていない再生不良性貧血について詳しく解説していきましょう。 貧血というと、鉄分不足によって起きるイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、再生不良性貧血はそれとは全く異なるメカニズムで発症します。私たちの血液中には、赤血球、白血球、血小板といった重要な成分が含まれています。これらの血液細胞は、骨の中にある骨髄という組織で作られます。 再生不良性貧血では、この骨髄の機能が低下し、十分な血液細胞を作ることができなくなってしまうのです。 その結果、体内で酸素を運ぶ赤血球、細菌やウイルスから体を守る白血球、出血を止める血小板が不足し、様々な症状が現れます。具体的には、疲れやすさ、息切れ、動悸、顔面蒼白、めまい、発熱、感染症にかかりやすくなる、出血しやすくなる、といった症状が見られます。 今回は、再生不良性貧血の基本的な情報として、病気の概略についてお伝えしました。次の章では、さらに詳しく、この病気の原因について探っていきましょう。
その他

免疫の司令塔:サイトカイン

私たちの体の中では、無数の細胞たちが絶え間なく会話をして、組織や器官の働きを調整しています。この細胞間のコミュニケーションを支える重要な役割を担っているのが、サイトカインと呼ばれる小さなタンパク質です。 サイトカインは、細胞から分泌されると、血液やリンパ液などの体液に乗って他の細胞へと届けられます。まるで手紙をポストに投函するように、細胞はサイトカインを分泌することで、離れた場所にいる細胞にメッセージを送ることができるのです。 細胞の表面には、特定のサイトカインとだけ結合する受容体と呼ばれるタンパク質が存在します。受容体にサイトカインが結合すると、細胞内にシグナルが伝わり、様々な反応を引き起こします。これは、手紙を受け取った人がその内容に従って行動を起こす様子に似ています。 サイトカインが伝えるメッセージは実に多岐に渡り、免疫反応の調節、炎症の促進、細胞の増殖や分化の制御など、私たちの体の様々な機能に影響を与えています。例えば、風邪を引いたときに発熱するのは、免疫細胞がサイトカインを分泌して体温を上げるように指令を出すためです。また、怪我をしたときに傷口が赤く腫れるのも、サイトカインが炎症反応を引き起こすためです。 このように、サイトカインは細胞間のコミュニケーションを円滑に行うためのメッセンジャーとして、私たちの体の健康維持に欠かせない役割を担っているのです。

サリドマイド:多面的な薬の光と影

- サリドマイドとはサリドマイドは、1950年代に開発された薬で、当時は画期的な睡眠薬やつわりの薬として世界中で広く使われていました。特に、妊娠初期のつわりに効果があるとされ、多くの妊婦が服用していました。しかし、サリドマイドを服用した妊婦から、腕や脚の発達に障害がある赤ちゃんが多数生まれるという悲劇が起こりました。これは、サリドマイドが胎児の正常な発育を阻害することが原因でした。この薬害は世界中に衝撃を与え、サリドマイドは販売中止となりました。その後、長い年月を経て、サリドマイドは思わぬ効能を持つことが明らかになりました。それは、ハンセン病の一種であるらい菌性結節性紅斑や、血液のがんである多発性骨髄腫に対する効果です。サリドマイドはこれらの病気に対して優れた効果を示し、現在では、厳重な管理の下、特定の病気の治療薬として再び使用されています。サリドマイドの物語は、薬の光と影を浮き彫りにしています。画期的な薬も、使い方を誤れば大きな悲劇を生み出す可能性があり、薬の開発には、有効性と安全性の両面を常に考慮することが不可欠です。
その他

身近に潜むサイトメガロウイルス

- サイトメガロウイルスとはサイトメガロウイルス(CMV)は、ヒトヘルペスウイルス5型とも呼ばれる、ありふれたウイルスです。このウイルスは、口唇ヘルペスの原因となるウイルスと同じ仲間です。世界中で多くの人がCMVに感染しており、日本では成人の約8割が過去に感染した経験を持つと言われています。健康な人がCMVに感染した場合、多くの場合は何も症状が出ないか、風邪のような軽い症状で済みます。しかし、免疫力が低下している人や妊娠している人が感染すると、肺炎や脳炎などの重篤な病気を発症するリスクが高まるため、注意が必要です。CMVは、咳やくしゃみなどの飛沫感染や、感染者の体液に接触することによって感染します。また、母子感染や性行為によって感染することもあります。一度感染すると、ウイルスは体の中に潜伏し続けます。普段は症状が出ませんが、免疫力が低下すると再び活性化し、症状が現れることがあります。CMVの感染を予防するためには、こまめな手洗いやうがいを心がけ、感染者の体液に触れないようにすることが大切です。また、免疫力が低下している人は、CMV感染のリスクが高いことを認識し、予防対策を徹底する必要があります。
脳・神経

顔面の電撃痛!三叉神経痛とは

顔の感覚をつかさどる神経である三叉神経。この三叉神経に異常が生じることで、耐え難いほどの痛みが顔面に走る病気を三叉神経痛と言います。まるで電流が走るような、あるいはガラスの破片が刺さるような、そんな激痛が顔の片側に起こるのが特徴です。 痛みの持続時間は人それぞれで、一瞬で治まることもあれば、数秒から数分続くこともあります。また、発作の頻度も個人差が大きく、数ヶ月に一度という場合もあれば、一日に何度も起こる場合もあります。痛みが起こるきっかけも様々で、顔を洗う、歯を磨く、食事をする、話す、風にあたるといった、ごく日常的な動作がきっかけになることもあります。 三叉神経痛は命に関わる病気ではありませんが、その激痛は日常生活に大きな支障をきたし、患者さんの生活の質を著しく低下させる可能性があります。激しい痛みにより、外出や人と会うことを避けたり、食事や会話が困難になったりするなど、日常生活に様々な制限が生じることもあります。そのため、適切な診断と治療を受けることが重要です。
消化器

サルモネラ菌:食中毒を引き起こす身近な脅威

- サルモネラ菌とはサルモネラ菌は、私たちの身の回り、自然環境の様々な場所に生息する細菌です。土壌や水、そして動物の腸内など、あらゆる場所に潜んでいる可能性があります。特に、家畜やペットなどの動物はサルモネラ菌を腸内に保有していることが多く、これらの動物由来の食品は注意が必要です。 サルモネラ菌は、汚染された食品を食べることで、私たちの体内に侵入します。食品がサルモネラ菌に汚染される経路は様々です。例えば、家畜の腸内にいたサルモネラ菌が、食肉処理の過程で肉に付着したり、汚染された水や土壌を介して野菜や果物に付着したりすることがあります。また、ペットの爬虫類や両生類もサルモネラ菌を保有していることがあり、これらの動物に触れた後、適切な手洗いをせずに食品を扱うと、食品が汚染される可能性があります。 サルモネラ菌が体内に侵入すると、食中毒症状を引き起こします。主な症状としては、腹痛、下痢、発熱などが挙げられます。通常、これらの症状は数日で治まりますが、乳幼児や高齢者、免疫力の低下している方などは、重症化する可能性もあるため、注意が必要です。 サルモネラ菌による食中毒を予防するためには、食品の適切な加熱や手洗いの徹底が重要です。食品は十分に加熱することで、サルモネラ菌を死滅させることができます。また、調理前や食事前、トイレの後、動物に触れた後などは、石鹸と流水を使って手を丁寧に洗い、菌の体内への侵入を防ぎましょう。
看護技術

命を守る吸引:サクションとは?

- サクションの定義サクションとは、口や鼻、気管内に溜まった痰や異物を、管を用いて吸引し取り除く医療行為のことを指します。 これは、呼吸器系の病気や怪我、手術後などにより、自力で痰を吐き出すことが難しい場合に、気道を確保し呼吸を楽にするために行われます。具体的には、細い管を鼻や口から挿入し、気管まで到達させます。そして、この管に接続された吸引器を用いて、痰や異物を体外へと吸い出します。 サクションは、肺炎や気管支炎、肺気腫などの呼吸器疾患、意識障害、神経筋疾患、手術後などに広く行われています。サクションは、患者さんの苦痛を和らげ、呼吸状態を改善するために重要な医療行為です。しかし、一方で、鼻腔粘膜の損傷や出血、不整脈、低酸素血症などのリスクも伴います。そのため、サクションを行う際には、患者さんの状態を適切に観察しながら、慎重に実施する必要があります。
看護技術

命を守る吸引:サクションとは?

- サクションとはサクションとは、呼吸器に溜まった痰や異物を除去するために、口や鼻から細い管を入れて吸い出す医療行為です。 これは、自力で痰を出すことが難しい患者さん、例えば意識障害がある場合や呼吸困難に陥っている場合などに用いられます。サクションに用いる管は、カテーテルと呼ばれる柔らかく、体への負担が少ない素材で作られています。カテーテルの先端は、患者さんの状態に合わせて、鼻腔用、口腔用、気管切開孔用など、様々な種類があります。吸引する際には、患者さんの苦痛を最小限にするため、あらかじめ鼻腔や口腔にゼリー状の麻酔薬を塗布したり、吸引の強さや時間を調整したりするなどの配慮が必要です。サクションは、肺炎などの呼吸器合併症を予防するために、非常に重要な医療行為です。しかし、一方で、気道粘膜を傷つけたり、感染症を引き起こしたりするリスクも伴います。そのため、サクションは医師や看護師などの医療従事者が、患者さんの状態を適切に判断した上で、慎重に実施する必要があります。
資格・職種

働く人の健康を守る!産業保健師の役割と重要性

- 産業保健師とは企業や工場など、人々が働く場所において、そこで働く人々の健康を守るために活動する保健師のことを、産業保健師と呼びます。医師の資格を持つ産業医と連携し、労働者が心身ともに健康な状態で働くことができるよう、様々な活動を通してサポートするのが産業保健師の役割です。具体的には、労働安全衛生法に基づいた健康診断や健康相談、過重労働やストレスを抱える労働者への個別指導、職場環境の改善提案、メンタルヘルス対策など、幅広い業務を行います。産業保健師は、労働者一人ひとりの健康状態を把握し、健康上の問題を抱える労働者に対しては、適切なアドバイスや指導を行うことで、病気の予防や早期発見に努めます。また、職場環境の改善や健康増進のための取り組みを推進することで、労働者が健康で快適に働くことができる職場づくりを目指します。近年、ストレスによる心の病や、生活習慣病などが増加しており、産業保健師の役割はますます重要になっています。企業と労働者をつなぐ架け橋として、労働者の健康を守り、企業の生産性向上にも貢献することが期待されています。
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