「ふ」

泌尿器

腹圧性尿失禁:日常生活における尿漏れ

- 腹圧性尿失禁とは腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、運動、重い物を持った時など、お腹に力が入った際に、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう症状を指します。私たちが普段、トイレで尿を排出する際は、膀胱という尿を貯めておく袋状の器官が収縮することで尿が押し出されます。しかし腹圧性尿失禁の場合、膀胱自身が収縮しているわけではありません。お腹に力が入ることで膀胱が圧迫され、その結果として尿が漏れてしまうのです。この症状は、特に女性に多く見られます。その理由としては、妊娠や出産によって骨盤底筋と呼ばれる、膀胱や子宮などを支える筋肉がダメージを受けやすく、その結果、尿道をしっかりと閉じることが難しくなってしまうことが挙げられます。加齢に伴い骨盤底筋が衰えることも、腹圧性尿失禁のリスクを高める要因となります。腹圧性尿失禁は、日常生活で不便を感じるだけでなく、精神的な負担も大きい症状です。しかし、適切な治療や対策を行うことで症状の改善が期待できます。症状が気になる場合は、一人で悩まずに医療機関を受診し、医師に相談することをお勧めします。
消化器

ありふれた症状、腹痛の意外な側面

- 腹痛とは腹痛は、読んで字のごとく、お腹に感じる痛みのことを指します。みぞおちからおへその下あたりまでの広い範囲で感じることがあり、誰もが一度は経験する身近な症状と言えるでしょう。その原因は実に様々で、食べ過ぎや飲み過ぎ、便秘、生理痛など、比較的早く治るものから、胃腸炎や胆石、腸閉塞といった緊急を要するものまで、幅広い病気が考えられます。痛みの種類も、キリキリと刺すような痛み、ズキズキと脈打つような痛み、シクシクと続く鈍痛など、様々です。痛みが起こる場所や時間帯、持続時間、吐き気や発熱などの他の症状の有無によって、原因となる病気が異なる場合もあります。 自己判断で市販薬を服用したり、放置したりせずに、気になる症状がある場合は、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
看護技術

ファウラー位:目的と注意点

- ファウラー位とは ファウラー位とは、患者さんをあおむけに寝かせた状態(仰臥位)から、上半身を45度程度に起こしてベッドの背もたれにもたれさせた姿勢のことです。この姿勢は、ベッドの背もたれの角度を調整するだけで簡単にできます。 ファウラー位は、手術後や呼吸が苦しい時、口や鼻からチューブを入れて栄養を補給する必要がある時など、様々な場面で利用されます。 上半身を起こすことで、肺が広がりやすくなるため、呼吸が楽になります。また、心臓への負担も軽減されるため、心臓や肺の病気を持つ患者さんによく用いられます。 さらに、食事を摂る際や経管栄養を行う際にも、この姿勢は有効です。重力の影響で食べ物が食道に流れ込みやすくなるため、誤嚥を防ぐことができます。 ファウラー位は、患者さんの状態に合わせて、角度を調整することができます。角度が浅いものをセミファウラー位、角度が深いものをハイファウラー位と呼びます。 このように、ファウラー位は医療現場において、患者さんの負担を軽減し、様々な症状を改善するために用いられる、重要な体位の一つです。
その他

小さな臓器、大きな役割:副腎について

私たちの体内で、静かに、しかし重要な働きを担う臓器、腎臓。その腎臓に寄り添うように存在するのが副腎です。ちょうど腎臓の上にちょこんと帽子のように乗っている姿から、その名が付けられました。左右の腎臓に一つずつ、合計二つあり、大きさは3センチから5センチほど、重さはわずか5グラムから10グラムしかありません。一見すると、とても小さく目立たないこの臓器ですが、実は生命維持に欠かせないホルモンを作り出す、重要な役割を担っているのです。 副腎は、外側を覆う皮質と、内側の髄質という二つの部分から成り立っています。皮質からは、体の電解質バランスを調整するホルモンや、糖質の代謝を調整するホルモン、そして性ホルモンなど、様々なホルモンが分泌されます。これらのホルモンは、私たちの体がストレスに対抗したり、血圧を調整したり、健康な状態を維持するために欠かせません。一方、髄質からは、アドレナリンというホルモンが分泌されます。アドレナリンは、心臓の働きを活発にしたり、血管を収縮させて血圧を上昇させたりするなど、緊急時に体が素早く対応するのを助ける働きをしています。このように、副腎は小さくても、私たちの体にとって非常に重要な役割を担う臓器なのです。
看護技術

フットポンプ:血栓を予防する医療機器

- フットポンプとは手術後など、病気や怪我の治療のために長時間ベッドで安静にしていなければならないことがあります。しかし、長時間じっとしていると、足の静脈に血液のかたまり(血栓)ができやすくなってしまいます。これを深部静脈血栓症といい、重症化すると肺塞栓症を引き起こし、命に関わる危険性もあるのです。このような事態を防ぐために用いられるのが、フットポンプです。フットポンプは、空気の力で足の筋肉をマッサージする医療機器です。足に装着したブーツのような形をした部分に、機械で空気を出し入れすることで、まるで足首からふくらはぎの筋肉をポンプのように動かしているような状態を作り出します。これにより、足の静脈を圧迫し、血液を心臓に戻す働きを助けます。その結果、足の静脈に血液が滞るのを防ぎ、血栓ができるリスクを減らすことができるのです。フットポンプは、間欠的空気圧迫装置、IPCポンプなどとも呼ばれています。主に手術後の患者さんを中心に、医療現場で広く活用されているものです。
目・眼科

プール熱にご注意を!

- プール熱とは?夏の暑い日差しが照りつける季節、子どもたちが楽しみにしているプール。しかし、そのプールで感染する可能性のある病気、「プール熱」には注意が必要です。プール熱は、医学的には「咽頭結膜熱」と呼ばれ、毎年夏に流行する感染症です。その名の通り、プールを介して感染することが多いため、プール熱という俗称がつきました。プール熱を引き起こす主な原因は、アデノウイルスというウイルスです。アデノウイルスは、風邪や胃腸炎など、さまざまな病気を引き起こすウイルスとして知られていますが、プール熱の原因となるのは、主に3型、4型、7型のアデノウイルスです。これらのウイルスは、感染した人の目やに、鼻水、唾液などに含まれており、プール内でこれらの分泌物が水に溶け出すことで感染が広がります。 また、プールから上がった後、十分に目を洗わずにタオルで拭いたり、感染した人が触れたおもちゃなどを介して、感染が広がることもあります。プール熱の症状としては、突然の高熱、喉の痛み、目の充血やかゆみなどが挙げられます。これらの症状は、通常、感染から5日から7日後に現れます。症状が重い場合は、頭痛、吐き気、腹痛などを伴うこともあります。多くの場合、1週間程度で症状は治まりますが、合併症として、肺炎や脳炎などを引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

フロセミド:強力な利尿作用を持つ薬

- フロセミドとはフロセミドは、体内の余分な水分や塩分を尿として排出を促すことで、むくみを解消する薬です。 この薬はループ利尿薬と呼ばれる種類の薬に分類され、腎臓の働きに直接作用することで効果を発揮します。 腎臓は、血液をろ過して体内の水分や塩分のバランスを調整する重要な臓器です。 フロセミドは、腎臓のHenle係蹄の上行脚に存在するNa-K-2Cl共輸送体という部分を阻害することで、ナトリウムの再吸収を抑え、結果として水分も一緒に尿として排出されます。 フロセミドは、心臓病、腎臓病、肝臓病など、様々な病気によって引き起こされるむくみの治療に用いられます。 また、高血圧の治療にも効果があります。 即効性があり、服用後数時間以内に利尿作用が現れるのが特徴です。 効果は服用量や個人差によって異なり、通常は1日1~2回の服用で効果が持続します。 むくみは様々な原因で起こる症状の一つに過ぎず、 フロセミドはあくまで対症療法薬であることを理解しておく必要があります。 むくみの根本的な原因を突き止め、適切な治療を行うことが重要です。
循環器

医療現場で使われる言葉:脈拍を意味する「プルス」

病院で働く医師や看護師たちは、専門的な知識を必要とする医療現場において、日々患者さんの治療にあたっています。 医療現場では、正確な情報伝達が欠かせないため、専門用語や独特の言い回しが多く用いられています。これらの言葉は、医療従事者間でスムーズなコミュニケーションを図り、迅速かつ的確な医療行為を行うために必要不可欠です。例えば、「バイタルサイン」「ルート確保」「状態変化」といった言葉は、医療従事者にとっては日常的に使う言葉ですが、一般の人には馴染みが薄いかもしれません。 このような医療現場特有の言葉は、患者さんにとっては分かりにくく、不安に感じられることもあるでしょう。しかし、これらの言葉は、患者さんの安全を守る上で重要な役割を果たしています。例えば、「アナフィラキシーショック」や「心肺停止」といった緊急事態を示す言葉は、医療従事者が状況を瞬時に理解し、適切な処置を施すために必要不可欠です。 医療従事者は、患者さんの立場に立って、分かりやすい言葉で説明するよう心がけることが大切です。患者さんも、分からない言葉があれば、遠慮なく質問することで、安心して治療を受けることができます。
心の問題

落ち着きのない状態?:不穏について解説

- 不穏とは何か不穏とは、簡単に言うと「落ち着かない状態」のことを指します。まるで周囲に危険が潜んでいるかのように、常に警戒しているような状態を想像してみてください。このような状態では、気持ちは落ち着かず、集中力や注意力が散漫になりがちです。また、普段なら気にしないような些細なことでイライラの感情がこみ上げてきたり、周囲の人に対して怒りっぽくなってしまったりすることもあります。このような状態が長く続くと、不穏を感じている本人だけでなく、周囲の人々もまた疲弊してしまうことがあります。例えば、家族がいつもピリピリしていて、ちょっとしたことで怒り出すようになると、家庭内は緊張感に包まれ、他の家族も不安やストレスを感じるようになるでしょう。このように、不穏は本人だけでなく、周囲にも影響を及ぼす可能性があるのです。
泌尿器

医療現場の必需品:フォーリーカテーテル

- フォーリーカテーテルとは フォーリーカテーテルとは、尿が出にくい、または自分の意思で排尿することが難しい場合に、膀胱内に直接挿入して尿を体外に排出するための医療用カテーテルです。 このカテーテルは、細い管状の形をしており、その先端には小さな風船(バルーン)が付いています。カテーテルを尿道から挿入し、膀胱内に到達したら、この風船に水または生理食塩水を注入して膨らませます。すると、風船が膀胱内で固定されるため、カテーテルが自然に抜け落ちてしまうことを防ぐことができます。この特徴的な構造から、フォーリーカテーテルはバルーンカテーテルとも呼ばれています。 フォーリーカテーテルは、尿閉、前立腺肥大症、脊髄損傷、神経因性膀胱などの疾患、あるいは手術中や手術後、重篤な状態の患者さんなど、様々な場面で使用されています。 カテーテルを留置したままにする期間は、患者さんの状態や治療の目的によって異なりますが、長期間にわたる使用では、尿路感染症などの合併症のリスクも考慮する必要があります。そのため、医師は定期的にカテーテルの交換や、必要であればカテーテルを抜去するタイミングを判断します。
検査

医療現場の縁の下の力持ち:ブジー

- ブジーとは何かブジーとは、体内にある管状の臓器、例えば食べ物を胃に送るための器官や便を体外に排出するための器官、尿を排出するための器官、鼻と涙の通り道などを広げるために用いられる医療器具です。 これらの器官は、病気や怪我などによって狭くなってしまうことがあります。 このような場合に、ブジーを用いることで、狭くなった部分を広げ、再び正常な状態に戻すことができます。 ブジーは、「消息子」と呼ばれることもあります。 主に金属や硬質な素材で作られており、その形状は管状の臓器の通り道を確保したり、拡張したりするのに適しています。 ブジーの先端は丸みを帯びており、体内に入れる際に臓器を傷つけないように工夫されています。 また、太さも様々で、症状や治療目的に合わせて適切なものが選択されます。 ブジーは、医療現場において、様々な疾患の治療や検査に役立っています。 例えば、食道の狭窄に対しては、ブジーを用いて拡張する治療が行われます。 また、尿道が狭くなっている場合には、ブジーを通して尿道カテーテルを挿入し、尿を排出できるようにします。 このように、ブジーは、体内の管状の臓器の機能を回復させるために欠かせない医療器具と言えるでしょう。
泌尿器

フルクトース尿:果糖が教えてくれる体質

- フルクトース尿とは?フルクトース尿とは、その名の通り、尿中にフルクトース(果糖)が排泄される状態を指します。これは、体内で果糖を分解する酵素の一つであるフルクトキナーゼの働きが生まれつき弱いために起こります。果糖は、果物や蜂蜜などに多く含まれる糖の一種ですが、フルクトキナーゼが不足していると、摂取した果糖をうまく代謝することができません。その結果、血液中の果糖濃度が上昇し、尿中に過剰に排出されることになります。フルクトース尿は、乳児期に発見されることが多く、尿検査でフルクトースが検出されることで診断されます。多くの場合、自覚症状はほとんどありません。しかし、大量の果糖を摂取すると、お腹がゆるくなったり、吐き気や嘔吐などの消化器症状が現れることがあります。フルクトース尿は、命に関わる病気ではありませんが、健康に過ごすためには、果糖の摂取を控えるなどの食事療法が重要となります。果糖は、果物だけでなく、清涼飲料水や菓子類、調味料などにも広く含まれているため、食品表示をよく確認する習慣をつけましょう。また、定期的な尿検査を受けることで、体内の果糖の量を把握し、適切な食事療法を継続していくことが大切です。

フロセミド:強力な利尿作用を持つ薬

- フロセミドとはフロセミドは、体の中に溜まった余分な水分や塩分を尿として体の外に出す薬です。水分や塩分の排出を促すことで、むくみの改善や血圧を下げる効果があります。このような効果を持つ薬は利尿薬と呼ばれ、フロセミドはその中でも効果が強いループ利尿薬に分類されます。フロセミドは、心臓病、腎臓病、肝臓病など、様々な病気の治療に使われます。例えば、心臓病によって心臓の働きが低下すると、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、息切れやむくみが現れます。このような場合にフロセミドを使うことで、余分な水分や塩分を体の外に出して、症状を和らげることができます。フロセミドは病院だけでなく、医師の処方箋があれば薬局でも入手できます。服用方法は、錠剤を水で飲み込む方法や、注射で血管に直接投与する方法があります。効果や副作用の出方には個人差があるため、医師の指示に従って服用することが重要です。自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは大変危険なので、絶対にやめましょう。フロセミドは医療現場で欠かせない重要な薬ですが、その一方で、脱水症状や低カリウム血症などの副作用も知られています。服用中は、医師の指示に従って定期的な検査を受けるなど、体の状態を注意深く観察する必要があります。
循環器

乱れる心臓のリズム:不整脈とは?

私たちの体の中心で、休むことなく働き続ける心臓は、全身に血液を送るために重要な役割を担っています。まるで正確な時計のように、一定のリズムを刻んで血液を送り出す心臓の動きは、電気信号によって制御されています。しかし、様々な原因によって、この電気信号の伝達が乱れてしまうことがあります。 心臓のリズムが乱れることを、私たちは「不整脈」と呼んでいます。不整脈は、心臓が本来のリズムで鼓動できなくなる状態であり、脈が異常に速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、不規則になったりします。 心臓の鼓動が速くなりすぎる頻脈は、動悸や息切れ、めまいなどの症状を引き起こすことがあります。また、徐脈は、疲労感や息切れ、めまい、失神などの症状が現れることがあります。さらに、心臓の鼓動がバラバラになるタイプの不整脈は、動悸やめまい、息切れに加えて、胸の痛みや意識消失などの深刻な症状を引き起こす可能性もあります。 不整脈は、加齢や高血圧、糖尿病、心臓病などの病気、ストレス、睡眠不足、喫煙、過剰な飲酒やカフェイン摂取など、様々な要因によって引き起こされる可能性があります。 もし、動悸や息切れ、めまいなどの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。心臓のリズムの異常は、放置すると重篤な病気を引き起こす可能性もあるため、早期発見と適切な治療が大切です。

お腹の痛みに効くブスコパン®

- ブスコパン®とはブスコパン®は、胃痛や腹痛、下痢などの、お腹の不快な症状を改善する効果を持つお薬です。 お腹が痛む、お腹がぎゅーっと締め付けられるように感じる、便意を頻繁に感じるといった、さまざまなお腹のトラブルに広く用いられています。このお薬の主成分は、ブチルスコポラミン臭化物という成分です。 ブチルスコポラミン臭化物は、腸の動きをコントロールしている副交感神経に作用し、過剰に活発になっている腸の動きを抑える働きがあります。 その結果、腹痛や下痢などの症状を改善する効果が期待できます。ブスコパン®は、錠剤や坐薬など、さまざまな剤形で提供されています。 症状や年齢、体質に合わせて、医師の指示に従って適切な方法で使用してください。 また、使用上の注意点や副作用についても、医師や薬剤師の説明をよく聞き、正しく理解しておくことが大切です。
耳鼻科

副鼻腔:鼻の中の隠れた空間

- 副鼻腔とは私たちの顔の骨の中は、空洞で満たされている部分があり、これを副鼻腔と呼びます。副鼻腔は、鼻の奥にある鼻腔と呼ばれる空間に隣接しており、小さな通路で繋がっています。そのため、私たちが呼吸をする際、空気は鼻腔だけでなく、これらの副鼻腔も通過します。副鼻腔は、顔の骨の中に作られた小さな部屋のようなもので、全部で4種類あります。 まず、目の周りに広がる前頭洞は、額の骨の中に位置しています。次に、頬骨の奥にある上顎洞は、副鼻腔の中で最も大きく、その大きさは親指の先ほどもあります。そして、鼻腔の奥の上の方に位置する篩骨洞は、いくつもの小さな空洞が集まった構造をしています。最後に、頭蓋骨の奥深くにある蝶形骨洞は、副鼻腔の中で最も奥に位置しています。 これらの副鼻腔は、鼻腔と共に、吸い込んだ空気を温めたり、湿らせたりする役割を担っています。また、顔面の骨を軽くすることで、頭部の重量を軽減する役割も担っています。さらに、音声を共鳴させて、声質を豊かにする役割も担っています。副鼻腔は、私たちが健康な状態を保つために、重要な役割を担っています。
検査

体の奥を照らす光:ファイバースコープ

私たちは自分の体の中で何が起こっているのか、普段は意識することもなく過ごしています。しかし、体の不調を感じた時、医師は体の内側を詳しく調べる必要があります。そのために用いられる道具の一つに、ファイバースコープがあります。 ファイバースコープは、まるで細い管のような形をした医療機器です。この管は柔軟性があり、体の表面だけでなく、口や鼻、あるいは小さな穴から挿入することで、体の奥深くまで到達することができます。 医師は、ファイバースコープの先端に付けられた小さなカメラを通して、臓器や消化管などの様子を、まるでテレビを見ているかのように観察することができます。さらに、ファイバースコープには、組織を採取するための小さな鉗子や、治療のためのレーザー光線などを送るための管も備わっており、観察だけでなく、治療にも役立てることができます。 ファイバースコープを用いることで、これまで手術をしなければわからなかった体の内部の状態を、患者への負担を少なく調べることができるようになりました。これは、医療技術の大きな進歩と言えるでしょう。
産婦人科

不妊症を理解する:原因、診断、治療法

不妊症とは、妊娠を希望するカップルが、一定期間、避妊をせずに性交渉を行っても妊娠に至らない状態のことを指します。かつては2年間とされていましたが、近年では1年間とされています。これは、妊娠を希望するカップルにとって、大きな不安やストレスをもたらす問題です。 不妊症は決して珍しい問題ではなく、多くのカップルが直面する可能性があります。厚生労働省の調査によると、日本では現在、カップルの約6組に1組が不妊の悩みを抱えていると言われています。晩婚化やライフスタイルの変化などにより、近年ではその数はさらに増加傾向にあります。 不妊の原因は、女性側に原因がある場合、男性側に原因がある場合、そして、両方に原因がある場合、さらに原因不明の場合と様々です。女性側の原因としては、排卵障害、卵管因子、子宮因子などが挙げられます。男性側の原因としては、精子の数や運動量の低下、精路通過障害などがあります。 医学の進歩により、不妊症の原因解明や治療法も発展してきています。不妊治療には、タイミング療法、人工授精、体外受精など様々な方法があります。近年では、患者の状態に合わせたより適切な治療法を選択できるようになってきており、妊娠の可能性も高まってきています。 不妊症は、デリケートな問題であり、一人で抱え込みがちです。しかし、一人で悩まずに、専門医に相談し、適切な検査や治療を受けることが重要です。
泌尿器

医療現場で活躍するフォーリーカテーテル

- フォーリーカテーテルとはフォーリーカテーテルは、尿道を通して膀胱に挿入し、尿を体の外に排出させるために用いる医療用の管です。 この管は、柔らかく、体の組織に優しいシリコンやラテックスゴムといった素材で作られています。フォーリーカテーテルの先端部分には、風船のように膨らむバルーンが付いています。このバルーンは、カテーテルを膀胱内にしっかりと固定するために、少量の滅菌水や生理食塩水で膨らませます。フォーリーカテーテルは、様々な理由で自力で排尿することが難しい患者さんの生活の質を向上させるために用いられます。 例えば、手術後、尿失禁、前立腺肥大症、脊髄損傷などが挙げられます。 手術後、患者さんは麻酔の影響や体の動きの制限によって、自力で排尿することが難しい場合があります。また、尿失禁の患者さんは、尿意を感じずに尿が漏れてしまうため、フォーリーカテーテルを用いることで、尿を適切に管理することができます。前立腺肥大症の患者さんは、肥大した前立腺によって尿道が圧迫され、排尿困難になることがあります。脊髄損傷の患者さんは、神経の損傷によって、膀胱の筋肉がうまく働かず、排尿が困難になることがあります。フォーリーカテーテルは、これらの患者さんにとって、尿を適切に排出することで、尿路感染症などの合併症を予防し、快適な生活を送るために役立つ重要な医療機器です。
皮膚科

粉瘤:皮膚にできる良性腫瘍

- 粉瘤とは皮膚にできる腫瘍には良性と悪性のものがありますが、粉瘤は良性の腫瘍の一つです。皮膚の表面から見ると、ドーム状に盛り上がったしこりのように見えます。大きさは直径1~2センチメートルほどのものが一般的ですが、中には10センチメートルを超えるほど大きくなることもあります。粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物ができることで発生します。この袋の中に、古い皮膚の角質や皮脂が徐々に溜まっていき、それが原因で大きくなっていくのです。粉瘤は体のどこにでもできる可能性がありますが、特に顔や首、背中など、皮脂腺の多い場所にできやすい傾向があります。粉瘤自体は痛みやかゆみなどの症状がない場合が多く、放置しても問題ないことが多いです。しかし、場合によっては炎症を起こして赤く腫れ上がったり、痛みや熱を伴ったりすることがあります。また、炎症が悪化すると、膿が出てくることもあります。このような症状が出た場合は、医療機関を受診するようにしましょう。粉瘤の治療は、基本的に手術によって袋ごと取り除く方法がとられます。手術は局所麻酔で行われることが多く、比較的簡単な手術です。ただし、炎症を起こしている場合は、まず炎症を抑える治療を行ってから手術を行うことになります。
消化器

ありふれた病態、腹痛

- 腹痛とはお腹周辺の痛みを総じて腹痛と呼びます。みぞおちから下の骨盤にかけての広い範囲で感じることがあり、その症状は人によって様々です。鋭く刺すような痛み、鈍く重い痛み、締め付けられるような痛みなど、感じ方は実に多種多様です。腹痛は非常にありふれた症状であり、ほとんどの人が経験するものです。食あたりや便秘、生理痛など、比較的軽度の原因で起こることも少なくありません。しかし、その一方で、腹痛は命に関わるような重篤な病気が隠れているサインである可能性もあるため、注意が必要です。痛みの種類や程度、痛む場所、持続時間、他に症状があるかなどを注意深く観察することで、原因を推測する手がかりになります。例えば、短時間で治まる一時的な痛みである場合、日常生活におけるストレスや疲労、軽い消化不良などが考えられます。反対に、激しい痛みが長く続く場合や、発熱、吐き気、嘔吐、下痢、血便などの症状を伴う場合は、緊急を要する病気が隠れている可能性があります。自己判断は危険ですので、少しでも不安に感じたら、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
看護技術

ファウラー位:目的と注意点

- ファウラー位とはファウラー位は、ベッドに横になった状態を基本とする仰臥位から、上半身を起こした姿勢のことを指します。具体的には、背もたれを45度程度に傾けることで、この体位をとることができます。一見すると、楽に座っている状態と変わりないように思えるかもしれません。しかし、医療現場においてファウラー位は、単に座っているのとは異なる意味合いを持ちます。ファウラー位は、上半身の角度を細かく調整できるという特徴があります。角度を変えることで、患者さんの状態に合わせて、より効果的な体位にすることが可能です。例えば、呼吸が苦しい患者さんの場合は、上半身を起こすことで、肺への圧迫を軽減し、呼吸を楽にする効果が期待できます。また、心臓への負担を軽減する効果も期待できるため、心臓病の患者さんにも用いられます。さらに、食事や経管栄養の際には、誤嚥のリスクを減らすためにファウラー位が有効です。上半身を起こすことで、食べ物が気管に入りにくくなり、安全に食事や栄養摂取を行うことができます。このように、ファウラー位は、一見シンプルな体位に見えますが、医療現場においては、患者さんの状態に合わせて角度を調整することで、様々な効果を発揮する重要な体位と言えます。
消化器

ありふれた症状、腹痛の意外な側面

お腹の痛み、いわゆる腹痛は、私たちが日常でよく経験するありふれた症状です。みぞおちの辺りから下腹部にかけて感じる痛みを指し、その痛み方は、鈍く重い痛みや、瞬間的に走る激痛、締め付けられるような痛みなど、実に様々です。 多くの場合、腹痛は一時的なもので、深刻な病気のサインではありません。食べ過ぎや飲み過ぎによる消化不良や、便秘、女性であれば生理痛などが原因で起こることが多く、これらの場合は、数時間から数日で自然に治まることがほとんどです。市販薬を服用したり、生活習慣を改善したりするなど、自身で対処できるケースも多いでしょう。 しかし、中には、放っておくと命に関わるような、緊急性の高い病気が隠れている場合があります。例えば、虫垂炎や腸閉塞、 pancreatitis、消化管穿孔などです。これらの病気の場合、腹痛に加えて、高熱や嘔気、嘔吐、血便などの症状が現れることもあります。また、痛みが unbearable なほど強く、長時間にわたって続く場合も注意が必要です。 自己判断は危険なので、少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。特に、これまで経験したことのないような強い痛みや、他の症状を伴う場合は、ためらわずに病院へ行きましょう。
呼吸器

喫煙と健康: ブリンクマン指数を知る

- ブリンクマン指数とは ブリンクマン指数は、喫煙が体に与える影響を数値化したものです。1日に吸うタバコの本数と喫煙年数を掛け合わせることで計算され、この数値が高いほど、体に様々な悪影響が現れるリスクが高まるとされています。 例えば、1日に20本のタバコを10年間吸い続けている人の場合、ブリンクマン指数は20(本)× 10(年)= 200となります。 この指数は、喫煙習慣を客観的な数値で表すことで、喫煙による健康へのリスクを認識しやすくなるという利点があります。ブリンクマン指数が高い人ほど、肺がんや慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虚血性心疾患などの病気のリスクが高まることが知られています。 禁煙を目指す際の目安として活用することもできます。禁煙するとブリンクマン指数は計算上、増加することはありません。禁煙期間が長くなるほど、指数は相対的に低下していくため、健康状態の改善が期待できます。 ただし、ブリンクマン指数はあくまでも目安であり、個人差がある点は留意が必要です。 指数が低くても、健康への影響が全くないわけではありません。
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