IgA腎症:沈黙の腎臓病
- IgA腎症とはIgA腎症は、腎臓に障害が起こる病気の一つで、日本で最も患者数の多い慢性糸球体腎炎として知られています。腎臓は血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として体の外に出す役割を担っています。このろ過を行う際に重要な役割を果たすのが、糸球体と呼ばれる毛細血管の集まりです。IgA腎症では、この糸球体に「免疫グロブリンA(IgA)」と呼ばれるタンパク質が沈着することで、腎臓に炎症が引き起こされます。免疫グロブリンA(IgA)は、本来は細菌やウイルスなどの病原体から体を守るために働く免疫物質です。しかし、何らかの原因でIgAの働きが異常をきたすと、本来攻撃すべきでない自分の体の組織、つまり糸球体を攻撃してしまうことがあります。これがIgA腎症の発症メカニズムです。IgA腎症になると、糸球体における血液のろ過がうまくいかなくなり、血液中に本来排出されるべき老廃物や水分が過剰に溜まってしまうことがあります。また、尿の中にタンパク質が漏れ出てしまう、蛋白尿と呼ばれる症状が現れることもあります。さらに、腎臓の機能が低下すると、血圧が上昇したり、貧血になったりするなど、様々な症状が現れる可能性があります。IgA腎症は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、健康診断などで尿検査の異常を指摘されて初めて気づくケースが多く見られます。しかし、放置すると腎機能が徐々に低下し、最終的には人工透析が必要となる場合もあります。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要です。