救急医療

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病院の最前線!初療室:その役割と重要性

皆さんは「初療室」と聞いて、どのような場所を思い浮かべるでしょうか。テレビドラマなどで、緊迫した雰囲気の中、医師や看護師が慌ただしく患者に対応する様子を目にしたことがあるかもしれません。 初療室とは、救急車で病院に運ばれてきた患者さんが、最初に診療を受けるための特別な部屋のことです。まさに文字通り、その後の治療方針を決めるための最初の治療が行われる、非常に重要な場所となっています。 初療室には、一刻を争う状態の患者さんの命をつなぐための様々な医療機器が備わっています。人工呼吸器や心臓マッサージ器、電気ショックを与える除細動器など、どれも患者さんの状態を安定させ、次の段階の治療へとつなぐために必要不可欠なものです。 医師や看護師は、初療室に運ばれてきた患者さんの症状を素早く観察し、適切な処置を迅速に行います。 必要な検査を並行して行いながら、治療の優先順位を判断し、場合によっては手術室など他の専門的な部門へ患者さんを搬送することもあります。 このように、初療室は患者さんの命を救うための最前線の場であり、医師や看護師の迅速かつ的確な判断と行動が求められる場所といえるでしょう。
資格・職種

緊急時の命の選別:トリアージナースの役割

大規模な地震や津波、大事故など、私たちの想像をはるかに超えるような災害が発生した場合、病院には同時に多くの傷病者が搬送されてきます。このような切迫した状況下では、医療スタッフ、医療設備、医薬品など、限られた医療資源を最大限に活用し、一人でも多くの命を救うために、治療の優先順位を決定するという、大変辛い選択を迫られることになります。 このような極限状態の中で、治療の緊急性と重要性を判断し、適切な処置を行う場所へと傷病者を振り分ける、極めて重要な役割を担うのが、トリアージナースです。トリアージナースは、災害現場や病院に到着した直後の傷病者に対し、呼吸状態、脈拍、意識レベルなどを素早く評価し、その重症度に応じて、赤、黄、緑、黒の4色のタグを付けます。深刻な外傷や容態が急変し、一刻を争う重症者は赤タグ、骨折など重症ではあるものの、緊急性は低いと判断された場合は黄タグ、軽症の場合は緑タグ、そして、救命の可能性が極めて低い、あるいはすでに亡くなっている場合は黒タグを付けます。 このように、トリアージは、限られた医療資源の中で、より多くの命を救うために、非常に重要な役割を担っています。災害医療の現場では、医師や看護師をはじめとする多くの医療従事者が、それぞれの専門知識と技術を駆使して、全力を尽くしています。その中でもトリアージナースは、まさに命の選別という、極めて困難な任務を遂行する、災害医療の現場における影の立役者と言えるでしょう。
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医療の要となる「二次救急」

「救急医療」と聞いて、皆さんはどのような状況を思い浮かべるでしょうか?交通事故や心筋梗塞といった、一刻を争う重篤な状態を想像する方が多いかもしれません。確かに、このような状況は救急医療が必要となる場合の一例です。しかし、救急医療は症状の緊急度や重症度に応じて、いくつかの段階に分かれています。大きく分けると、初期、二次、三次という段階に分けられ、それぞれの段階に対応した医療機関が地域で役割を分担しています。 まず、初期救急医療は、比較的軽症な患者さんを対象としています。風邪やインフルエンザ、軽い怪我などの場合が該当します。このような場合は、まず地域の診療所を受診し、初期診療を受けることが重要です。診療所では、医師が症状を診察し、必要な検査や治療を行います。そして、症状に応じて、自宅療養や経過観察、あるいは二次救急医療機関への紹介などが行われます。 次に、二次救急医療は、初期救急医療では対応が難しい、より緊急性の高い状態の患者さんを対象としています。骨折、喘息発作、急性腹症などが該当します。このような場合は、二次救急医療機関を受診する必要があります。二次救急医療機関は、初期救急医療機関よりも専門的な医療を提供できる体制が整っており、入院が必要な患者さんにも対応しています。 最後に、三次救急医療は、生命の危機に瀕している重篤な患者さんを対象としています。心肺停止、多発外傷、脳卒中などが該当します。このような場合は、高度な医療を提供できる三次救急医療機関へ、救急車などで搬送されることになります。三次救急医療機関では、集中治療室(ICU)や手術室など、高度な医療設備と専門的な医療スタッフを備えており、24時間体制で重篤な患者さんの救命救急にあたっています。
救急

居合わせた時こそ、命のリレー:バイスタンダーの役割

私たちが毎日を過ごす街中。人通りの多い駅の前や、穏やかな時間が流れる公園など、様々な場所で多くの人々が行き交っています。 しかし、そんなありふれた日常の風景は、ほんの一瞬で、予期せぬ事態に変わってしまうこともあるのです。 例えば、目の前で誰かが突然倒れてしまう、そんな場面に遭遇したらどうでしょうか? 「何か大変なことが起きている!」と感じながらも、ただ呆然と立ち尽くしてしまう、そんな経験はありませんか? 自分は何もできない、関係ないと思ってしまう気持ちも分かります。しかし、突然の事態に遭遇した時、そこに居合わせた「私たち」は、ただの通りすがりの「傍観者」なのではなく、誰もが「バイスタンダー」、つまり「救命の最初の担い手」になることができるのです。
救急

病院の最前線!初療室の役割と重要性

皆さんは「初療室」と聞いて、どのような場所を想像するでしょうか?テレビドラマなどで目にする機会も多いかもしれません。緊迫した雰囲気の中で、医師や看護師が慌ただしく動き回り、患者さんの命を救おうと全力を尽くしている、そんなイメージを持つ方もいるのではないでしょうか? 初療室とは、病院に搬送されてきた一刻を争う患者さんを最初に受け入れる、まさに命の入り口ともいえる場所です。 交通事故や心筋梗塞、脳卒中など、予期せぬ出来事によって重篤な状態に陥った患者さんが、救急車で次々と運び込まれてきます。一刻を争う状況の中、医師や看護師は、患者さんの状態を迅速かつ的確に把握し、必要な処置を施さなければなりません。 初療室では、患者さんの意識レベル、呼吸、脈拍、血圧などを確認し、重症度に応じて、気道確保、人工呼吸、心臓マッサージなどの救命処置を優先的に行います。 また、必要があれば、輸血や緊急手術などの処置も行われます。 初療室は、患者さんにとって、まさに生死を分ける重要な場所であると同時に、医師や看護師にとっても、その知識、経験、判断力が試される場でもあります。日々の訓練と研鑽を積み重ね、冷静かつ迅速な対応で、一人でも多くの命を救うために、彼らは今日も初療室で闘っています。
救急

救命救急室:緊急医療の最前線

- 救命救急室とは救命救急室は、生命の危機に瀕した患者さんを一刻も早く治療するための専門的な施設です。ここでは、交通事故や心筋梗塞、脳卒中など、緊急性の高い病気や怪我に対応します。一刻を争う状況下で、患者さんの命を守るために、高度な医療設備と専門知識を持った医師や看護師が24時間体制で対応にあたっています。救命救急室には、心電図モニター、人工呼吸器、画像診断装置など、緊急の治療に必要な医療機器が揃っています。これらの機器を用いることで、患者さんの状態を迅速かつ正確に把握し、適切な治療を施すことが可能となります。また、救命救急室は、単に緊急の治療を行うだけでなく、その後の治療方針を決定する役割も担っています。入院が必要な患者さんには、適切な病棟を手配しますし、専門的な治療が必要な場合には、速やかに専門医につなぎます。このように、救命救急室は、地域の医療機関と連携しながら、患者さんにとって最善の医療を提供する上で重要な役割を担っています。一般的に、救命救急室は、「救急治療室」や「緊急救命室」とも呼ばれ、「ER(Emergency Room)」と略されることも多いです。
循環器

命に関わる大動脈解離:その静かな脅威

- 大動脈解離とは私たちの体には、全身に血液を送り出すために休むことなく働き続けている心臓という臓器があります。そして、心臓から送り出された血液を全身に届ける役割を担っているのが動脈と呼ばれる血管です。その中でも特に重要なのが、心臓から直接血液を受け取り、全身へと送り出す役割を担う「大動脈」です。大動脈解離とは、この大動脈の壁の一部が内側から裂けてしまう病気です。大動脈の壁は、内膜、中膜、外膜という三層構造になっています。何らかの原因で内膜に亀裂が生じると、心臓から送り出された血液がその亀裂に入り込み、本来の血液の通り道とは別の空間を作り出してしまいます。この新しくできた空間を「偽腔」、本来の血液の通り道を「真腔」と呼びます。大動脈解離が起こると、胸や背中に激しい痛みを感じることが多く、まるで引き裂かれるような激痛に襲われます。また、脈拍の異常や血圧の低下、呼吸困難、意識障害などの症状が現れることもあります。大動脈解離は、放置すると破裂してしまう危険性があり、命に関わる事態になりかねません。そのため、早期発見と迅速な治療が非常に重要となります。
救急

救命現場におけるロードアンドゴー:迅速な搬送で命をつなぐ

- ロードアンドゴーとはロードアンドゴーとは、交通事故や自然災害などで重傷を負った人を助けるための、一刻を争う医療の考え方です。 一刻も早く病院で治療を受けることが生死を分けるため、現場での処置にかける時間を最小限にして、可能な限り早く病院に搬送することを目指します。ロードアンドゴーが重要となるのは、主に心臓や呼吸が止まりかけているなど、命に関わる重症な状態の場合です。このような場合、現場での処置も大切ですが、一刻も早く病院で専門的な治療を開始することが救命率向上に繋がります。そのため、救急隊員は現場で患者の状態を素早く判断し、必要な処置を施したら、すぐに病院へ向けて出発します。従来の考え方では、現場である程度の処置を完了させてから病院に搬送するケースもありました。しかし、重症な患者に対しては、現場での処置時間よりも、病院到着までの時間短縮の方が救命率向上に大きく貢献することが分かってきました。ロードアンドゴーは、限られた時間の中での適切な判断と迅速な行動が求められる、救急医療において非常に重要な考え方です。
救急

災害医療の現場で活躍するトリアージタグ

災害や事故現場では、同時に多数の負傷者が発生することがあります。このような状況では、限られた医療スタッフと資源を最大限に活用し、一人でも多くの命を救うことが何よりも重要となります。しかし、病院のように設備や人員が十分に整っているわけではないため、医療現場では迅速かつ的確な判断が求められます。 そこで、傷病者の治療優先順位を決定するために用いられるのが「トリアージ」と呼ばれるシステムです。 トリアージでは、負傷者の呼吸状態、循環状態、意識レベルなどを基に、重症度を4段階に分類します。 そして、それぞれの重症度に応じて、黒、赤、黄、緑の4色のタグを付けます。黒は救命の可能性が低い、赤は生命の危険があり直ちに処置が必要、黄色は重症であるが緊急性は低い、緑は軽症で後回しにしてもよい、というように、色で治療の緊急度を示すのです。 例えば、呼吸が停止している、大量出血が続いているといった場合は、一刻を争う事態であるため、「最優先治療群」として赤色のタグが付けられます。一方、骨折や切り傷など、命に関わらない場合は、緑色のタグを付け、比較的症状が落ち着いている他の傷病者の治療を優先します。 このようにトリアージは、限られた医療資源の中で、一人でも多くの命を救うために、非常に重要な役割を担っているのです。
呼吸器

気管挿管に必須!スタイレットの役割とは?

- スタイレットとはスタイレットは、呼吸困難に陥った患者さんの気道を確保するために気管挿管という処置が行われますが、その際に気管チューブの中に挿入する医療器具のことを指します。気管挿管は、口あるいは鼻から気管までチューブを挿入し、肺に直接空気を送り込む処置です。この時、気管チューブはそれ自体に硬さがあまりないため、挿入時に曲がったり、折れ曲がったりしてしまうことがあります。そこで活躍するのがスタイレットです。スタイレットは金属やプラスチックで作られており、柔軟性があります。この柔軟性によって、チューブの形状に沿ってスタイレットを挿入することができます。そして、スタイレットをチューブに通すことで、チューブに適度な硬さを与え、スムーズに気管内へ挿入することを助けます。スタイレットを挿入した後は、気管チューブを所定の位置まで挿入し、スタイレットは抜き取ります。このようにスタイレットは、気管挿管を円滑に進めるために欠かせない器具と言えるでしょう。特に、意識がない、あるいは意識レベルが低い患者さんに行う場合は、気管挿管の難易度が高くなるため、スタイレットの存在はより重要になります。
救急

災害医療の基礎:3Tとは?

災害時における医療活動は、平時とは大きく異なります。地震や津波など、大規模な災害が発生すると、同時に多数の負傷者や病人が発生し、医療現場は極めて厳しい状況に置かれます。病院の収容能力を超える患者が押し寄せ、医療従事者や物資も不足するという、まさに非常事態です。このような極限状態において、限られた医療資源を最大限に活用し、一人でも多くの命を救うために、災害医療では「3つのT」と呼ばれる重要な概念が用いられます。「3つのT」とは、「選別」「治療」「搬送」の頭文字をとったもので、災害医療における最優先事項を表す言葉です。 まず「選別」とは、傷病者の重症度や緊急度に応じて、治療や搬送の優先順位を決定する作業です。限られた医療資源の中で、より多くの命を救うために、救命の可能性が高い人から優先的に治療を行うという、大変厳しい判断を迫られます。次に「治療」は、選別に基づき、現場でできる限りの応急処置や手術などを施すことです。そして「搬送」は、適切な医療機関へ患者を搬送する作業を指します。病院の状況や患者の重症度に応じて、搬送先を適切に判断する必要があります。災害医療においては、これらの「選別」「治療」「搬送」を、状況に合わせて迅速かつ的確に実行していくことが、非常に重要となります。
救急

高エネルギー外傷:深刻な損傷とその対応

- 高エネルギー外傷とは私たちの身体は、日常生活で生じる程度の力には耐えられるようにできています。しかし、交通事故や高い場所からの落下事故など、非常に大きなエネルギーが身体に加わる外傷の場合には、身体はその力に耐えきれず、重症となることがあります。このような外傷を高エネルギー外傷と呼びます。高エネルギー外傷では、骨折や皮膚の損傷といった身体の外側の損傷だけでなく、内臓や血管、神経など、身体の内部にも深刻な損傷が生じることが多くみられます。例えば、交通事故で自動車のダッシュボードに強く打ち付けられた場合、肋骨骨折や肺挫傷といった胸部の損傷に加え、心臓や大血管の損傷、さらには脳の損傷が起こる可能性もあります。高エネルギー外傷は、その名の通り、生命にかかわる重傷となる可能性が高いという特徴があります。そのため、迅速な診断と治療が必要不可欠です。交通事故現場や災害現場などに居合わせた場合には、まず、自身の安全を確保した上で、周囲の状況をよく確認し、速やかに救急隊に連絡しましょう。そして、救急隊や医師の指示に従い、適切な処置を受けてください。
救急

エアアンビュランス:空飛ぶ救命救急

- エアアンビュランスとは エアアンビュランスとは、航空機を用いて患者を搬送し、同時に機内で医療行為を行う救急医療体制のことを指します。この言葉は、医療活動のために専用に設計された航空機自体を指す場合にも使われます。 エアアンビュランスに使用される航空機は、主にヘリコプターと飛行機の2種類です。それぞれに特徴があり、状況に応じて使い分けられます。ヘリコプターは、小回りが利き、病院のヘリポートなど比較的小さな場所にも離着陸できるため、都市部や山間部など、アクセスが困難な場所での活動に適しています。一方、飛行機はヘリコプターよりも長距離を高速で移動できるため、広範囲な地域からの搬送や、専門的な治療が必要な場合に遠くの病院へ搬送する際に活躍します。 エアアンビュランスが重要な役割を担う背景には、「救急医療における時間」という概念があります。救急医療の現場では、一刻も早い治療開始が患者の救命率や後遺症の軽減に大きく影響するという考え方が基本となっています。そのため、一刻を争う事態において、渋滞などの影響を受けずに迅速に患者を搬送できるエアアンビュランスは、非常に有効な手段として位置付けられています。
看護技術

バギング:人工呼吸の基礎知識

- バギングとはバギングとは、呼吸が止まってしまったり、自力で十分な呼吸ができなくなったりした人の肺に、バックバルブマスクを使って空気を送り込む人工呼吸の方法です。 別名で「用手換気」とも呼ばれ、医療従事者の手によって行われます。バックバルブマスクは、大きく分けて三つの部分から構成されています。まず、患者さんの顔に直接当てて密着させる部分であるマスク。そして、空気を送り込むための袋状の部分。最後に、送り込んだ空気が逆流してしまわないようにするための弁です。 バギングはこのバックバルブマスクを用いることで、効率的かつ確実に、患者さんの肺に必要な空気を送り込むことができるのです。人工呼吸が必要となる状況は、呼吸が完全に停止してしまった場合や、病気や怪我などによって自力で呼吸をすることが難しい場合など、実に様々です。 バギングは、医療現場において、このような緊急事態に瀕した患者さんの命を救うための非常に重要な手段となっています。
救急

来院直後心肺停止とは?

来院直後心肺停止とは、医療機関に到着した時点では、まだ心臓や呼吸が機能しているにも関わらず、病院内に入った直後、もしくは診察を受けるまでのごく短時間の間に、心臓や呼吸が停止してしまう状態のことを指します。つまり、病院に到着したときは、自力で歩いて診察室に入る、あるいは救急車で搬送されてきたとしても、見た目は意識があり、医師や看護師と会話ができる状態であったとしても、その後、突然に心臓や呼吸が停止してしまうケースが該当します。 このような事態は、CPAAA(Cardiopulmonary Arrest immediately After Arrival)とも呼ばれ、医療現場において、迅速な救命処置が必要となる緊急事態の一つです。 来院直後心肺停止の原因は、心筋梗塞や脳卒中、肺塞栓症などの重篤な疾患が隠れている場合があり、その場合、医療機関に到着するまでの間に病状が急速に悪化することがあります。また、交通事故や転落などによる外傷が原因となることもあります。 来院直後心肺停止は、予期せぬ突然の出来事であるため、患者本人やその家族にとって、大きな衝撃と不安を与えるだけでなく、医療従事者にとっても、その後の対応に苦慮するケースも少なくありません。 このような事態を防ぐためには、普段から健康に留意し、定期的な健康診断を受けることが重要となります。また、少しでも体調に異変を感じたら、ためらわずに医療機関を受診することが大切です。
救急

来院直後心肺停止とは?

- 来院直後心肺停止とは病院に到着した直後に、心臓と呼吸が停止してしまう恐ろしい事態を、来院直後心肺停止と言います。これは、病院に着くまでは心臓も呼吸も機能していたにも関わらず、病院に到着したとたんに容態が急変することを意味します。つまり、病院の外ではどうにか持ちこたえていた患者さんの状態が、病院に到着した途端に限界に達し、心臓や呼吸が停止してしまう恐ろしい状態を指します。病院の外で発症する心肺停止と比較すると、来院直後心肺停止は発生頻度は低いものの、救命が非常に難しい状態として知られています。なぜなら、病院到着までは比較的安定していたように見えるため、医療従事者も心の準備ができていない場合が多く、迅速な対応が難しくなるからです。来院直後心肺停止の原因は様々ですが、大きく分けて二つ考えられます。一つ目は、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な疾患が隠れており、病院到着を機に急激に悪化する場合です。二つ目は、長距離の搬送や激しい痛みにより、身体への負担が限界に達してしまう場合です。来院直後心肺停止は、一刻を争う緊急事態です。そのため、医療従事者は日頃から緊急時の対応について訓練し、迅速かつ的確な処置を行えるように準備しておく必要があります。また、患者さんの家族に対しても、状況を分かりやすく説明し、協力体制を築くことが重要です。
脳・神経

意識レベルの評価指標:グラスゴーコーマスケール

- はじめに医療現場では、患者さんの意識状態を的確に把握することが非常に重要です。意識レベルの変化は、病気の重大さや治療の効果を判断する上で貴重な指標となります。しかし、意識レベルは見た目で判断するのが難しく、客観的な評価方法が求められます。そこで今回は、国際的に広く用いられている意識レベルの評価方法である「グラスゴーコーマスケール(GCS)」について解説します。GCSは、観察可能な患者さんの反応を点数化することで、意識レベルを客観的に評価できるツールです。GCSは、「開眼機能」「言語機能」「運動機能」の3つの項目から構成されています。それぞれの項目に対して、患者さんが示す反応に応じて点数が割り当てられます。そして、3つの項目の合計点によって、意識レベルを3点(最も重症)から15点(完全に覚醒している状態)までの間で評価します。GCSは、頭部外傷や脳卒中などの脳機能障害の程度を評価する上で特に有用とされています。また、GCSを用いることで、医療従事者間での情報共有がスムーズになり、より適切な治療方針の決定に役立ちます。この後の章では、GCSの具体的な評価方法や注意点、そして実際の医療現場における活用例などについて詳しく解説していきます。
救急

病院内の緊急コール、コードブルーって?

- コードブルーとは病院内で、入院している患者さんの容態が急激に悪化したり、意識を失ったり、心肺停止に至るなど、緊急を要する事態が発生した際に発令されるのが「コードブルー」です。これは、一刻を争う事態において、必要な医療スタッフを迅速に現場に集結させ、救命処置や緊急対応を遅滞なく開始するための、病院内における緊急コールのことです。コードブルーは、病院内の放送設備やPHS、ナースコールなどを用いて、「コードブルー発生、〇〇病棟〇〇号室」のように、発生場所と合わせて伝えられます。この呼びかけを聞いた医療従事者は、それぞれの役割と病院内のルールに従い、速やかに現場へ向かい、救命活動や緊急処置にあたります。コードブルーは、患者さんの命を救うために非常に重要な合言葉であり、医療従事者であれば誰でもその意味を理解し、迅速に行動できるように、日頃から訓練や意識づけが徹底されています。
救急

高度救命救急センターとは?

高度救命救急センターは、生命の危機に瀕した重篤な患者さんの命を救うための最後の砦となる、極めて専門性の高い医療機関です。 一般的な救命救急センターでは対応が難しい、より複雑で高度な治療が必要な患者さんを対象としています。例えば、広範囲の火傷を負った方や、手足の切断を余儀なくされた方、急性中毒症状に苦しむ方など、一刻を争う事態に陥っている患者さんが、日々、高度救命救急センターに運び込まれています。 高度救命救急センターには、生命維持装置や人工呼吸器、緊急手術に対応できる手術室など、最新鋭の医療設備が整っています。また、救急医療の専門医や経験豊富な看護師、薬剤師、臨床工学技士など、多岐にわたる専門知識を持った医療スタッフがチームを組み、24時間体制で患者さんの治療にあたっています。 高度救命救急センターは、地域の医療機関と連携を取りながら、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供することで、尊い命を守る重要な役割を担っています。
救急

地域の砦!救命救急センターとは?

救命救急センターは、地域の住民にとって、生命に関わる深刻な病気や怪我に対応する最後の砦と言えるでしょう。交通事故や心臓の血管が詰まる病気、脳の血管が詰まったり破れたりする病気など、一刻を争う事態が発生した場合、高度な医療技術と設備を駆使して、患者さんの命を守る役割を担っています。 救命救急センターでは、24時間体制で、緊急性の高い患者さんを受け入れています。夜間や休日でも、専門の医師や看護師が常駐し、いつでも適切な処置を行えるよう備えています。また、ドクターヘリや救急車などと連携し、一刻も早く病院へ搬送する体制を整えています。 救命救急センターは、地域の医療機関との連携も重要な役割を担っています。重症患者さんの受け入れや、高度な医療技術の提供を行うだけでなく、地域の医療機関に対する医師や看護師の教育、医療情報の提供などを通じて、地域全体の医療の質向上にも貢献しているのです。
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命をつなぐ最後の砦:三次救急

三次救急とは、生命の危機に瀕している、大変重い病気や怪我を負った患者さんの命を救うための、高度な医療体制です。 地域の病院である一次救急では、風邪や軽い怪我など、比較的症状が軽い患者さんの診療を、二次救急では、骨折や軽い肺炎など、入院が必要となる程度の患者さんの診療を行います。 一方、三次救急が必要となるのは、一次救急や二次救急では対応が難しい、より重篤な症状の患者さんです。例えば、交通事故による多発外傷、心筋梗塞、脳卒中などの緊急性の高い病気や怪我が挙げられます。 三次救急医療機関には、これらの重篤な症状に対応できるよう、高度な医療機器、専門性の高い医師や看護師が揃っています。また、24時間体制で緊急手術や集中治療など、高度な医療を提供できる体制が整えられており、患者さんの命を救う最後の砦として、重要な役割を担っています。
救急

医療の要!二次救急とは?

皆さんは、「救急車を呼んだ方が良いのかな?でも、そこまで緊急ではないような…」と、判断に迷う時ってありませんか?実は救急医療は、緊急度や重症度に応じて大きく三つの段階に分類されています。適切な医療を迅速に提供するため、そして病院の役割を明確にするための重要な分類です。 まず最初の段階は、命に関わるような緊急性の高い状態です。意識がない、呼吸が止まりそう、心臓がおかしいなど、一刻を争う状況です。このような場合はためらわず、すぐに救急車を呼びましょう。 次の段階は、緊急度は高いものの、今すぐに命に関わるわけではない状態です。骨折や急な腹痛、高熱が続くなど、早急に治療が必要な場合です。このような場合は、可能な限り自分で病院へ行くか、救急相談センターに電話して指示を仰ぎましょう。 最後の段階は、緊急度は高くない状態です。風邪の諸症状や軽いケガ、慢性的な病気の経過観察など、緊急ではありませんが、医師の診察が必要な場合です。このような場合は、診療時間内に病院を受診しましょう。 このように、救急医療は緊急度によって分類されており、それぞれに対応が異なります。迷った場合は、救急相談センターなどを活用し、適切な行動を取りましょう。
救急

一次救急:地域医療の最前線

- 一次救急とは一次救急とは、緊急性の高い病気や怪我に対し、速やかに診察や治療を行う医療のことです。生命に関わるような重篤な症状ではなく、入院や手術をすぐに必要としない程度の、比較的軽度の症状に対応します。皆さんが日常生活の中で、急な発熱や腹痛、軽い切り傷などを負った場合を想像してみてください。このような場合に、まず最初に受診を検討するのが一次救急です。近所の診療所やクリニックなどが、この一次救急を担う医療機関にあたります。一次救急の大きな特徴は、地域の住民にとって身近な医療機関であることです。風邪やインフルエンザなどの一般的な病気から、捻挫や打撲などの怪我、慢性疾患の管理まで、幅広い症状に対応します。さらに、夜間や休日などの診療時間外でも診察を行う時間外診療や休日診療も一次救急の重要な役割です。このように、一次救急は、私たちが健康に安心して日常生活を送る上で、欠かせない医療を提供してくれる存在と言えるでしょう。
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