小児の腎臓に発生する悪性腫瘍:腎芽腫

小児科

小児の腎臓に発生する悪性腫瘍:腎芽腫

病院での用語を教えて

先生、「ウィルムス腫瘍」って、どんな病気なんですか?

体の健康研究家

ウィルムス腫瘍は、こどもの腎臓にできる悪性腫瘍のことだよ。最近は「腎芽腫」と呼ばれることの方が多いかな。

病院での用語を教えて

腎臓にできるんですね。子ども特有の病気なんですか?

体の健康研究家

そう、こどもの病気として有名だけど、大人になってから見つかることも、まれにあるんだよ。

ウィルムス腫瘍とは。

「ウィルムス腫瘍」は、主に子どもに発生する腎臓の悪性腫瘍のことで、現在は「腎芽腫」と呼ばれることが多くなっています。子どもの三大悪性固形腫瘍の一つに数えられており、神経芽腫や肝芽腫と並んで知られています。大人にも稀に見られます。10%以下ですが、両方の腎臓に発生することもあります。

腎芽腫とは

腎芽腫とは

– 腎芽腫とは腎芽腫は、かつてウィルムス腫瘍とも呼ばれていた、子どもの腎臓にできる悪性腫瘍です。腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する大切な臓器ですが、この腎臓を形成する細胞の一部が腫瘍化することで腎芽腫が発生します。 小児の腎臓にできる癌としては最も多く、全体の約9割を占めます。発生頻度は10万人に約7~10人とされています。一般的に5歳未満の小児に多く見られ、特に3歳から4歳で最も多く診断されます。15歳以上の発症は非常に稀です。 腎芽腫は初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、腫瘍が大きくなるとお腹にしこりを触れたり、腹痛や血尿などの症状が現れることがあります。早期発見、早期治療が重要なため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することが大切です。

項目 内容
疾患名 腎芽腫(ウィルムス腫瘍)
定義 子どもの腎臓にできる悪性腫瘍
発生部位 腎臓
患者層 小児(5歳未満に多い、特に3歳から4歳)
頻度 小児の腎臓がんの約9割
10万人に約7~10人
初期症状 ほとんどない
進行時の症状 お腹のしこり、腹痛、血尿

腎芽腫の症状

腎芽腫の症状

– 腎芽腫の症状について

腎芽腫は、小児に多く見られる腎臓のがんです。初期の段階では、体の奥深くにある腎臓に腫瘍ができるため、自覚症状が現れにくいです。そのため、保護者が異常に気付いたときには、腫瘍がかなり大きくなっていることがあります。

腎芽腫の代表的な症状としては、お腹にしこりが触れることが挙げられます。これは、腫瘍が大きくなることで、腎臓が本来の大きさよりも膨らみ、お腹の外から触れるようになるためです。また、お腹が張る、食欲がない、体重が減る、熱が出るといった症状も現れることがあります。

さらに、腫瘍が大きくなると、周囲の臓器を圧迫することがあります。その結果、血尿が出たり、血圧が上がったりすることがあります。進行すると、肺に転移し、息切れが生じることがあります。また、腫瘍が腰の神経を圧迫することで、背中に痛みを感じることもあります。

腎芽腫は早期発見、早期治療が重要です。お子様のお腹に異常を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

症状 説明
お腹にしこりが触れる 腫瘍が大きくなり、腎臓が膨らむため。
お腹が張る、食欲がない、体重が減る、熱が出る 腫瘍の増殖に伴う症状。
血尿、血圧上昇 腫瘍が周囲の臓器を圧迫するため。
息切れ 腫瘍が肺に転移することがあるため。
背中の痛み 腫瘍が腰の神経を圧迫するため。

三大小児固形悪性腫瘍

三大小児固形悪性腫瘍

小児がんの中でも、固形腫瘍は、白血病やリンパ腫と並んで多くみられる病気です。
その中でも、腎臓にできる腎芽腫、交感神経にできる神経芽腫、肝臓にできる肝芽腫は「三大小児固形悪性腫瘍」と呼ばれ、特に注意が必要です。

腎芽腫は、腎臓で作られる尿を作る細胞に腫瘍ができる病気です。
お腹にしこりを触れる、血尿が出る、発熱といった症状が現れます。

神経芽腫は、交感神経に腫瘍ができる病気で、特に副腎にできることが多いとされています。
お腹にしこりを触れる、発熱、食欲不振などの症状がみられます。

肝芽腫は、肝臓に腫瘍ができる病気です。
お腹にしこりを触れる、黄疸、食欲不振などの症状がみられます。

これらの三大小児固形悪性腫瘍は、いずれも早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。
少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

腫瘍名 発生部位 主な症状
腎芽腫 腎臓 お腹にしこりを触れる、血尿、発熱
神経芽腫 交感神経(特に副腎) お腹にしこりを触れる、発熱、食欲不振
肝芽腫 肝臓 お腹にしこりを触れる、黄疸、食欲不振

腎芽腫の診断

腎芽腫の診断

– 腎芽腫の診断について腎芽腫は、小児に多く見られる腎臓の悪性腫瘍です。腎臓の中に腫瘍ができる病気で、早期発見、早期治療が非常に重要となります。腎芽腫の診断には、様々な検査方法が用いられます。初期段階では、腹部超音波検査が有効です。超音波検査は体に負担が少なく、腎臓に腫瘍があるかどうかを調べることができます。さらに詳細な診断には、腹部CT検査MRI検査が行われます。これらの検査により、腫瘍の大きさや形、周囲の組織への浸潤の有無などを詳しく知ることができます。また、腎臓の機能や腫瘍マーカーを調べるために、血液検査尿検査も行います。これらの検査結果から、腎機能の状態や腫瘍の悪性度を推測することができます。最終的な診断を確定するためには、手術を行い、腫瘍の一部または全部を採取して病理検査を行います。顕微鏡で腫瘍細胞を詳しく調べることで、腎芽腫であるかどうか、またその種類や悪性度を正確に診断することができます。これらの検査結果を総合的に判断し、最適な治療方針を決定します。早期発見、早期治療によって、治癒の可能性が高まりますので、気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

検査方法 目的
腹部超音波検査 腎臓に腫瘍があるかどうかの初期検査
腹部CT検査、MRI検査 腫瘍の大きさ、形、周囲組織への浸潤の有無を調べる
血液検査、尿検査 腎機能の状態や腫瘍マーカーを調べる
手術、病理検査 腫瘍細胞を顕微鏡で確認し、腎芽腫の種類や悪性度を診断する

腎芽腫の治療

腎芽腫の治療

– 腎芽腫の治療腎芽腫は小児に多い腎臓の悪性腫瘍ですが、近年では治療法の進歩により、多くの患者さんで治癒が期待できるようになってきました。腎芽腫の治療は、腫瘍の進行度や患者の状態に合わせて、手術、化学療法、放射線療法を組み合わせる集学的治療が一般的です。まず、手術は治療の第一選択として行われます。これは、腎臓とともに腫瘍を摘出するもので、開腹手術または腹腔鏡手術で行われます。腫瘍の大きさや位置、周囲の臓器への浸潤の程度によって、腎臓の一部を切除する場合と、腎臓全体を摘出する場合があります。化学療法は、抗がん剤を用いてがん細胞を攻撃する治療法です。手術で取りきれなかったがん細胞を死滅させたり、腫瘍を小さくして手術をしやすくしたりする効果が期待できます。また、転移が見られる場合にも行われます。化学療法は、点滴や内服によって行われ、抗がん剤の種類や投与量は、患者の年齢や全身状態、腫瘍の進行度などを考慮して決定されます。放射線療法は、放射線を用いてがん細胞を破壊する治療法です。手術で取りきれなかったがん細胞や、転移したがん細胞を攻撃する目的で行われます。放射線療法は、体外から放射線を照射する方法や、放射性物質を入れた器具を体内に挿入する方法などがあります。腎芽腫の治療は、患者の年齢が低く、成長段階にあることを考慮して、将来的な合併症にも注意する必要があります。そのため、治療方針を決定する際には、専門医と十分に相談し、患児にとって最善の治療法を選択することが重要です。

治療法 概要 目的・効果 実施方法
手術 腎臓とともに腫瘍を摘出する。 治療の第一選択。
腫瘍の大きさや位置、周囲臓器への浸潤度により、腎臓の一部切除または全体摘出を行う。
開腹手術または腹腔鏡手術
化学療法 抗がん剤を用いてがん細胞を攻撃する。 手術で取りきれなかったがん細胞の死滅、腫瘍縮小による手術の補助、転移への対応。 点滴や内服。
抗がん剤の種類や投与量は、患者の年齢、全身状態、腫瘍の進行度を考慮して決定。
放射線療法 放射線を用いてがん細胞を破壊する。 手術で取りきれなかったがん細胞や転移したがん細胞への攻撃。 体外照射、または放射性物質入り器具の体内挿入。

腎芽腫の予後

腎芽腫の予後

腎芽腫は小児に多い腎臓のがんで、早期に発見し治療すれば、70%以上の子どもたちが治癒することが期待できます。

腎臓にできた腫瘍が小さいうちに発見できれば、手術で腫瘍を完全に取り除くことができ、その後の経過も良好な場合が多いです。

しかし、腫瘍が大きくなってしまったり、周囲のリンパ節や他の臓器に転移している場合には、治癒が難しくなることがあります。

腎芽腫の治療後も、再発の可能性があります。再発は治療後数年以内に起こることが多いため、定期的な検査を受けて早期発見に努めることが重要です。

再発した場合でも、抗がん剤治療や手術など、その時の状態に応じた適切な治療を行うことで、再び治癒を目指すことができます。

腎芽腫は早期発見、早期治療が非常に重要となる病気です。お子様の体調に気になることがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。

腎芽腫の特徴 詳細
小児に多い腎臓がん 早期発見・治療で70%以上治癒可能
早期発見の場合 手術で腫瘍の完全摘出が可能、経過良好なケースが多い
腫瘍が進行した場合 治癒が困難になる可能性あり(例:腫瘍の増大、リンパ節・他臓器への転移)
治療後の再発 可能性あり、治療後数年以内に多い。定期的な検査で早期発見が重要
再発時の対応 抗がん剤治療、手術など状態に応じた治療で治癒を目指す

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