看護計画:患者さま中心のケアを実現するために
病院での用語を教えて
先生、この間『看護計画』っていう言葉を聞いたんですけど、どんな意味ですか?
体の健康研究家
良い質問だね!簡単に言うと、病気や怪我をした人が、より早く元気になれるように、看護師さんが作る毎日の過ごし方やケアの内容をまとめた計画書のことだよ。
病院での用語を教えて
へえー、そうなんですね!先生、例えばどんなことが書かれているんですか?
体の健康研究家
例えば、歩く練習をする、お風呂で体を洗う練習をする、といった目標や、そのためにどんなサポートをするか、いつ、誰が、どのように行うのかなどが書かれているんだよ。
看護計画とは。
「看護計画」は、病気の治療や健康の維持といった医療や健康に関わる言葉です。看護計画とは、看護師さんが患者さんと一緒に作り上げる計画のことです。患者さんの抱える問題を解決するために、まず患者さんの状態を詳しく調べます。そして、その結果に基づいて、その患者さん一人ひとりに合った看護の目標と、それを達成するための方法を具体的に書き出したものが看護計画です。
看護計画とは
– 看護計画とは看護計画とは、患者さん一人ひとりに最適な看護を提供するために作成される、いわばケアの設計図です。病気や怪我などによって、日常生活に支障をきたしている患者さんが、再びその人らしく過ごせるように、どのような看護が必要なのかを具体的に計画します。患者さんはそれぞれ、年齢や性別、生活背景、そして抱えている病気や怪我の種類や程度が異なります。そのため、画一的な看護を提供するのではなく、それぞれの患者さんの状況に合わせて、その方に最適な看護を提供することが重要になります。看護計画では、まず患者さんの抱えている問題点を明らかにします。例えば、「歩くのが困難」「食事が一人で食べられない」「不安感が強い」といった状態のことです。そして、これらの問題に対して、看護師は専門的な知識や技術を用いて、どのような看護ケアを行うかを具体的に計画していきます。例えば、「歩くのが困難」な患者さんに対しては、「転倒のリスクを減らすために、ベッドサイドに手すりを設置する」「歩行訓練を実施する」「痛みの軽減のためにマッサージを行う」といった看護ケアが計画されます。看護計画は、患者さんが入院中あるいは在宅療養中に、安全で安楽に、そしてその人らしく生活できることを目指して作成されます。そして、看護師だけでなく、医師や理学療法士、栄養士など、他の医療従事者とも連携しながら、患者さんにとって最善のケアが提供されるよう努めていきます。
患者さんの状態/問題点 | 看護ケアの例 |
---|---|
歩くのが困難 | – 転倒のリスクを減らすために、ベッドサイドに手すりを設置する – 歩行訓練を実施する – 痛みの軽減のためにマッサージを行う |
食事が一人で食べられない | – 食事介助を行う – 食べやすいように食事形態を変更する – 食事環境を整える |
不安感が強い | – 患者さんの不安に寄り添い、傾聴する – リラックスできる環境を整える – 必要に応じて医師に相談し、薬物療法を検討する |
看護計画の段階
看護計画は、患者さん一人ひとりに最適な看護を提供するために作成される、いわば看護師の行動計画です。この計画は、アセスメント、診断、計画、実施、評価という五つの段階を経て進められます。
まず初めに、患者さんの状態についてあらゆる側面から情報収集を行います。これがアセスメントと呼ばれる段階です。具体的には、患者さんの身体的な状態はもちろんのこと、食事や睡眠、排泄などの日常生活の状態、家族構成や仕事、趣味、価値観といった生活背景、病気に対する思いや不安など、多岐にわたる情報を集めます。
次に、集めた情報に基づいて、患者さんが抱えている健康上の問題を明確にします。これが診断の段階です。ただし、ここでいう診断は、医師が行う病気の診断とは異なります。看護師は、患者さんが抱える健康上の問題を、看護の視点からとらえ、どのように支援すべきかを考えます。
診断に基づいて、具体的な看護の目標と、その目標を達成するための方法を検討します。これが計画の段階です。目標は、患者さんが、具体的にどのような状態になれば良いのかを明確に示します。そして、目標達成のために、どのような看護ケアを行うのかを具体的に決めます。
計画に基づいて、実際に看護ケアを行います。これが実施の段階です。計画で決めた内容を忠実に実行するとともに、患者さんの状態の変化に応じて、臨機応変に対応する柔軟さも求められます。
最後に、実施した看護ケアの効果を評価します。これが評価の段階です。計画で立てた目標が達成できたのかどうかを判断し、達成できなかった場合は、その原因を分析し、計画を見直します。そして、再度計画を立て直し、実施、評価を行うというサイクルを繰り返すことで、より質の高い看護の提供を目指します。
段階 | 内容 |
---|---|
アセスメント | 患者さんの状態について、身体面、精神面、社会面など、あらゆる側面から情報収集を行う。 |
診断 | 集めた情報に基づいて、患者さんが抱えている健康上の問題を、看護の視点から明確にする。 |
計画 | 診断に基づいて、具体的な看護の目標と、その目標を達成するための方法(看護ケアの内容)を検討する。 |
実施 | 計画に基づいて、実際に看護ケアを行う。 |
評価 | 実施した看護ケアの効果を評価し、目標が達成できたかどうかを判断する。達成できなかった場合は、計画を見直し、再度実施、評価を行う。 |
患者さまと作る計画
医療現場において、患者さん一人ひとりに最適なケアを提供するために、看護計画が重要な役割を担っています。看護計画は、決して医療従事者の一方的な押し付けであってはなりません。患者さんの声に耳を傾け、その方の意思や希望を尊重しながら、共に作り上げていく協働的なプロセスであるべきです。患者さんの生活背景、価値観、文化、宗教などを深く理解し、心を通わせる対話を通じて、信頼関係を築き上げることが何よりも大切です。
患者さんが、ご自身の置かれている状況、病気や治療について十分に理解し、納得した上で治療やケアに臨めるよう、分かりやすく丁寧な説明を心がける必要があります。その方の持つ力を引き出し、患者さん自身が主体的に治療やケアに参加できるよう、支援していくことも看護師の大切な役割です。
患者さんと医療従事者が協力し、共通の目標に向かって共に歩むことで、より質の高い医療を提供できると信じています。
計画の実践と見直し
看護計画は、患者さんのために作成する、いわば道しるべのようなものです。しかし、道しるべを作ったらそこで終わり、ではありません。実際に患者さんの看護にあたる中で、その都度、計画通りに進んでいるか、患者さんの状態に変化はないか、計画の効果は出ているかなどを注意深く見守る必要があります。
患者さんの状態は、病気や怪我、あるいは周りの環境によって常に変化する可能性があります。そのため、あらかじめ作成した計画に固執しすぎることなく、患者さんの状態の変化に合わせて柔軟に対応していくことが重要です。場合によっては、計画の内容を修正したり、新たな計画を追加したりする必要も出てきます。
このように、看護計画は一度作成したら終わりではなく、看護を行う中で、評価と見直しを繰り返し、常に改善していくことが重要です。患者さん一人ひとりに最適な看護を提供するために、計画の実践と見直しを丁寧に行いましょう。
チームで共有する重要性
医療現場において、質の高い治療やケアを提供するためには、チーム全体で情報を共有し、連携を密にすることが非常に重要です。特に、看護師が作成する看護計画は、患者さまの日常生活におけるケアや観察事項をまとめたものであり、医師や薬剤師、理学療法士など、多くの医療従事者にとって重要な情報源となります。
看護計画を共有することで、医師は患者さまの病状や治療経過を把握しながら、より適切な処置や投薬を判断することができます。また、薬剤師は、患者さまの服用する薬の効能や副作用、相互作用などを考慮し、安全な服薬指導を行うことができます。さらに、理学療法士は、患者さまの身体機能や運動能力を評価し、効果的なリハビリテーション計画を立てることができます。
このように、それぞれの専門性を活かし、情報を共有し、共通の認識を持つことで、患者さま一人ひとりに最適な医療を提供することができます。また、医療ミスや事故の防止にも繋がり、患者さまの安全を確保することにも繋がります。
医療現場では、多職種が連携し、チーム一丸となって患者さまを支えることが求められます。看護計画を共有し、積極的にコミュニケーションを図ることで、より質の高い医療を提供できるように努めていきましょう。
医療従事者 | 看護計画の活用 | 患者へのメリット |
---|---|---|
医師 | 患者の病状や治療経過を把握し、適切な処置や投薬を判断する。 | 最適な医療の提供 医療ミスや事故の防止 安全の確保 |
薬剤師 | 患者の服用する薬の効能や副作用、相互作用などを考慮し、安全な服薬指導を行う。 | |
理学療法士 | 患者の身体機能や運動能力を評価し、効果的なリハビリテーション計画を立てる。 | |
その他医療従事者 | 共通認識のもと、連携した医療を提供する。 |