大腸の落とし穴?憩室炎について解説
病院での用語を教えて
先生、「憩室炎」ってどんな病気ですか?
体の健康研究家
そうだね。「憩室」というのは、消化管の壁の一部が風船のように外側に膨らんだ状態のことを指すんだ。そして、その憩室に便が溜まって炎症を起こした状態を「憩室炎」と言うんだよ。
病院での用語を教えて
なるほど。憩室は消化管のどこにでもできるんですか?
体の健康研究家
いい質問だね。実は、大腸にできやすいんだ。特に、 sigmoid colon(S状結腸)と呼ばれる部分にできやすいと言われているよ。
憩室炎とは。
食べ物を消化する管の壁の一部が、風船のようにふくらんで袋状になることがあります。これを憩室と言います。この憩室の中に、便などが溜まって炎症を起こした状態を憩室炎と言います。
消化管の意外な盲腸?憩室ってなに?
私たちが毎日食べる食べ物は、口から入り、食道、胃、小腸、大腸と続く長い道のりを経て、最終的に便として体外に排出されます。この食べ物の旅路において、大腸は重要な役割を担っています。大腸は、食べ物の残りかすから水分を吸収し、便を形成する働きをしています。
しかし、この大腸に、ある変化が起こることがあります。それは、大腸の壁の一部が、まるで風船のように外側に膨らんでしまう現象です。これが「憩室」と呼ばれるものです。憩室は、ちょうど腸から小さな袋が飛び出したような形をしています。この憩室、一体なぜできてしまうのでしょうか?
実は、憩室ができる原因ははっきりとは解明されていません。しかし、加齢や食生活の欧米化などが関係していると考えられています。以前は、食物繊維の少ない食事を続けていると、腸内圧力が上がり、その結果、大腸の壁の一部が外に押し出されて憩室ができると考えられていました。しかし、最近の研究では、食物繊維の摂取量が少ないことだけが原因ではないという意見もあります。
憩室自体は、多くの場合、自覚症状がありません。そのため、健康診断などで偶然発見されることが多いです。ただし、憩室に便や細菌が詰まって炎症を起こすと、激しい腹痛や発熱などの症状が現れることがあります。これが「憩室炎」です。憩室炎は、適切な治療を行わないと重症化する可能性もあるため注意が必要です。
項目 | 説明 |
---|---|
憩室の定義 | 大腸の壁の一部が風船のように外側に膨らんでしまう現象 |
憩室の原因 | 明確な原因は不明だが、加齢や食生活の欧米化などが関係すると考えられている 以前は食物繊維の摂取量が少ないことが原因と考えられていたが、現在はそれ以外の要因も考えられている |
憩室の症状 | 多くの場合、自覚症状は無い ただし、憩室に便や細菌が詰まって炎症を起こすと(憩室炎)、激しい腹痛や発熱などの症状が現れる |
憩室炎の危険性 | 適切な治療を行わないと重症化する可能性もある |
憩室と憩室炎の違いとは
憩室と憩室炎は、名前が似ているため混同されがちですが、実際には大きく異なるものです。まず、憩室とは、腸の壁の一部が弱くなり、外側に袋状に飛び出した状態を指します。この袋状の突出を憩室と呼びます。憩室は加齢とともに増加する傾向があり、特に高齢者に多くみられます。ほとんどの場合、憩室自体は無害であり、自覚症状もありません。そのため、検査などで偶然発見されることも少なくありません。
一方、憩室炎は、憩室に便や細菌が詰まり、炎症を起こした状態を指します。憩室炎になると、激しい腹痛、特に左下腹部痛が現れます。また、発熱、吐き気、嘔吐、便秘などの症状も伴うことがあります。憩室炎は放置すると重症化し、腸に穴が開く穿孔や、腹膜炎を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。憩室炎と診断された場合は、絶食や抗生物質の投与などの治療が必要になります。
このように、憩室と憩室炎は全く異なるものです。憩室自体は心配する必要はありませんが、腹痛や発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
項目 | 憩室 | 憩室炎 |
---|---|---|
定義 | 腸壁の脆弱化による袋状の突出 | 憩室に便や細菌が詰まり、炎症を起こした状態 |
症状 | ほとんど無症状 | – 激しい腹痛(特に左下腹部) – 発熱 – 吐き気 – 嘔吐 – 便秘 |
治療 | 通常不要 | – 絶食 – 抗生物質投与 |
その他 | 加齢とともに増加する 検査で偶然発見されることも多い |
放置すると穿孔や腹膜炎のリスクあり |
食生活との関係は?
憩室炎は、大腸の壁にできる小さな袋状の突出である憩室に炎症が生じる病気ですが、その発症には日々の食生活が大きく影響していると考えられています。
特に、現代人に不足しがちな食物繊維の摂取量が少ないと、便が硬くなり、排便時にいきむことが増えます。すると、大腸の内側に圧力がかかりやすくなり、憩室ができやすくなるだけでなく、硬くなった便が憩室に詰まり、炎症を引き起こすリスクが高まってしまうのです。
反対に、食物繊維を豊富に含む食事を心がけると、便の量が増えて柔らかく bulky になり、スムーズな排便を促します。
その結果、大腸にかかる圧力が軽減され、憩室の形成を防ぐとともに、炎症のリスクを抑制する効果も期待できます。
食物繊維を効率的に摂取するには、野菜、果物、海藻類などを積極的に食事に取り入れるようにしましょう。
また、水分不足も便秘の原因となるため、普段から意識して十分な水分を摂るように心がけることが大切です。
要素 | 憩室炎への影響 |
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食物繊維摂取不足 |
|
食物繊維摂取 |
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具体的な食品 | 野菜、果物、海藻類 |
水分摂取 | 便秘予防、憩室炎リスク軽減 |
憩室炎の治療法
– 憩室炎の治療法憩室炎と診断された場合、その症状の程度によって医師から適切な治療法が提案されます。比較的症状が軽い場合は、食事療法と投薬治療を中心に行います。食事は、消化に負担をかけないよう、柔らかく、食物繊維が少ないものを心がけましょう。また、水分を十分に摂取することも大切です。薬物療法では、炎症を抑える抗菌薬を処方されることが一般的です。炎症が強く、症状が重い場合には、入院して集中的な治療を受ける必要が出てきます。入院中は、腸への負担を軽減するために、絶食し、点滴によって栄養補給を行うことがあります。 さらに、憩室炎が進行し、腸に穴が開いてしまった場合(穿孔)は、緊急手術が必要になります。穿孔は命に関わる危険性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。憩室炎は、適切な治療を行えば症状を改善できる病気です。自己判断せずに、医師の指示に従い、治療を続けることが大切です。
憩室炎の症状 | 治療法 |
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比較的症状が軽い場合 | – 消化に負担をかけない、柔らかく食物繊維が少ない食事 – 水分を十分に摂取 – 炎症を抑える抗菌薬の服用 |
炎症が強く、症状が重い場合 | – 入院して集中的な治療 – 絶食、点滴による栄養補給 |
腸に穴が開いてしまった場合(穿孔) | – 緊急手術 |
日常生活で気を付けること
– 日常生活で気を付けること憩室炎は、腸の壁にできる小さな袋状の突出(憩室)に炎症が起こる病気です。一度憩室炎になると、再発を繰り返す可能性もあるため、日常生活から予防に努めることが大切です。日々の生活の中で、特に気を付けたいのが食生活です。現代の日本人は食物繊維の摂取量が不足しがちですが、食物繊維は便の量を増やし、腸の動きを活発にするため、積極的に摂るように心がけましょう。野菜や海藻、きのこなどを積極的に食事に取り入れてみてください。また、水分を十分に摂ることも、便通改善には効果的です。適度な運動も、腸の活動を活発にし、憩室炎の予防に効果が期待できます。激しい運動は必要ありません。毎日、軽い散歩やストレッチなど、体を動かす習慣を身につけましょう。ストレスや疲労は、自律神経のバランスを崩し、腸内環境を悪化させる要因となります。睡眠不足も同様です。憩室炎を予防するためには、十分な睡眠をとり、心身ともに休息をとるように心がけましょう。趣味を楽しんだり、リラックスできる時間を作ったりするなど、ストレスを溜め込まない工夫も大切です。規則正しい生活習慣を維持することで、憩室炎のリスクを減らすことにつながります。毎日の生活の中で、できることから実践していきましょう。
項目 | 詳細 |
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食物繊維 | 積極的に摂取 (野菜、海藻、きのこなど) 便の量を増やし、腸の動きを活発化 |
水分 | 十分に摂取 便通改善効果 |
運動 | 適度な運動 (軽い散歩、ストレッチなど) 腸の活動を活発化 |
ストレス・疲労 | ストレスや疲労を溜めない 十分な睡眠、心身ともに休息 趣味やリラックスタイム |