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意外と知らない?残尿感と残尿の違い

- 残尿とは何か 「残尿」とは、文字通り、尿を出した後にも関わらず、膀胱の中に残ってしまう尿のことを指します。普段の生活の中で、尿を排出した後でも、なんとなく膀胱のあたりに違和感を感じることはありませんか?それはもしかすると、膀胱内に残尿が残っているサインかもしれません。 この残尿感は、誰にでも起こりうる現象です。その量は人によって異なり、年齢や性別、日々の生活習慣など、様々な要因が影響を与えます。 健康な人の場合、一回の排尿で膀胱内の尿をほぼ全て出し切ることができ、残尿はほとんどありません。しかし、加齢に伴って膀胱の筋肉が衰えたり、前立腺肥大などの病気によって尿道が圧迫されると、尿の出が悪くなり、残尿量が増加することがあります。 残尿が多い状態が続くと、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症のリスクが高まるだけでなく、膀胱の機能低下や尿失禁を引き起こす可能性もあります。そのため、日頃から排尿の状態に注意し、残尿が多いと感じたり、排尿時の違和感がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
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尿閉:尿意があっても出ない病気

- 尿閉とは尿閉とは、その名の通り「尿が閉じてしまう」状態を指します。つまり、膀胱には尿が溜まっているのに、尿意があっても排尿ができない状態のことです。通常、健康な状態であれば、膀胱に一定量以上の尿が溜まると、脳に信号が伝わり、尿意を感じて排尿します。しかし、様々な原因によってこの尿の排出経路が塞がったり、膀胱の収縮力が弱まったりすると、尿意があってもスムーズに排尿することができなくなります。これが尿閉です。尿閉には、尿が全く出ない状態だけでなく、尿意はあるものの、少量しか尿が出ない、尿の勢いが弱く、残尿感があるといった状態も含まれます。これらの症状は、尿閉の初期段階で現れることも多いため、注意が必要です。尿閉は、男性に多くみられる疾患です。これは、男性の場合、加齢とともに前立腺肥大症を発症しやすいためです。前立腺が肥大すると、尿道が圧迫され、尿が出にくくなるため、尿閉を引き起こしやすくなります。尿閉を放置すると、膀胱炎や腎機能障害などの合併症を引き起こす可能性もあります。そのため、尿が出にくい、残尿感があるなどの症状が現れた場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。
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膀胱直腸障害:排泄の悩みを抱えるあなたへ

- 膀胱直腸障害とは膀胱直腸障害とは、文字通り、体から不要なものを排出するために働く膀胱と直腸という二つの重要な器官に障害が生じることを指します。私たちが健康な状態では意識することなく行っている排尿と排便。膀胱直腸障害はこの排泄機能に大きな影響を与え、日常生活に支障をきたす可能性があります。膀胱は、腎臓で濾過された尿を一時的に溜めておくための袋状の器官です。膀胱に尿が溜まると、私たちは尿意を感じ、トイレに行き排尿します。一方、直腸は大腸の最終部分に位置し、消化吸収を終えた後の便を一時的に溜めておく場所です。直腸に便が溜まると便意をもよおし、排便します。膀胱直腸障害では、これらの器官の機能が正常に働かなくなるため、尿意や便意を感じにくくなったり、逆に頻繁に感じたり、思うように排泄できなかったりといった症状が現れます。 また、排泄時に痛みや不快感を伴うこともあります。この障害は、生まれつきの病気や、交通事故などによる脊髄損傷、脳血管疾患、糖尿病などの病気によって引き起こされることがあります。加齢に伴い排泄機能が低下することも、膀胱直腸障害のリスクを高める要因となります。膀胱直腸障害は、日常生活に大きな負担をかけるだけでなく、放置すると尿路感染症や腎機能障害、便秘、腸閉塞などの合併症を引き起こす可能性もあります。そのため、早期に発見し、適切な治療やケアを受けることが非常に重要です。
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生活の質を大きく左右する排泄障害

- 排泄障害とは人間の身体は、生きていくために必要な栄養を摂取し、不要となったものを体外へ排出する機能が備わっています。その中でも、尿や便として体外へ排出する行為を「排泄」と呼びますが、この排泄の過程に問題が生じることを「排泄障害」と言います。排泄障害には、尿に関するものと便に関するものの二つに大きく分けられます。尿に関するものでは、尿がスムーズに出ない、出にくくなる、あるいは尿意を感じにくくなるなどの症状が見られます。一方、便に関するものでは、便が硬くなって出にくくなる、反対に下痢が続く、あるいは便意をうまくコントロールできないといった症状が現れます。これらの症状は、日常生活を送る上で大きな負担となることが少なくありません。例えば、尿意が気になって外出を控えるようになったり、トイレの場所やタイミングを常に気にするあまり、仕事や leisure活動に集中できないといった影響も考えられます。さらに、排泄障害を放置することで、身体的な健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、尿路感染症や腎機能の低下、便秘による腹痛や腸閉塞などのリスクも高まります。排泄障害は、多くの場合、加齢に伴う身体機能の低下や、生活習慣の乱れ、ストレスなどが原因で起こると考えられていますが、中には病気が隠れているケースもあります。そのため、排泄に関する悩みや不安を感じたら、我慢せずに医療機関を受診し、専門医に相談することが大切です。
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排尿のメカニズム

- 排尿とは 排尿とは、体内に溜まった不要なものや余分な水分を尿として体の外に出す生理的な働きのことです。一見簡単な行為のように思えますが、複雑な神経のネットワークと筋肉の共同作業によって成り立っています。 腎臓で血液から濾し出された老廃物や余分な水分は、尿管を通って膀胱へと運ばれ、一時的に蓄えられます。 膀胱に尿が溜まってくると、その情報は感覚神経によって脳に伝えられます。脳は、膀胱がいっぱいになったことを認識し、私たちは尿意を催します。 尿意を感じても、すぐにトイレに行けない場合もあります。このような時は、脳からの指令によって膀胱の出口にある括約筋が収縮し、尿が漏れるのを防いでくれます。そして、トイレに行ける状況になると、今度は脳から膀胱の筋肉に指令が送られ、膀胱が収縮を始めます。同時に、膀胱の出口にある括約筋は弛緩し、尿は尿道を通って体外へと排出されます。 このように、排尿は意識的な制御と無意識的な反射が複雑に組み合わさって行われています。この精緻なメカニズムによって、私たちの体は健康な状態を保つことができるのです。
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排尿痛:原因と治療法

- 排尿痛とは排尿痛とは、読んで字のごとく、おしっこを出す際に痛みや不快感を伴う症状のことを指します。ありふれた症状であり、多くの人が経験するものではありますが、その裏側には実に様々な原因が隠れている可能性があります。痛みの感じ方は人それぞれで、焼けるような熱さを感じる灼熱感や、針で刺されたような鋭い痛み、鈍く重い痛みなど、症状は多岐に渡ります。また、痛みが出始めるタイミングも、おしっこの始めだけ、途中だけ、終わりのみなど様々です。さらに、痛みの強さも個人差があり、我慢できないほどの激しい痛みを感じることもあれば、軽い違和感程度の場合もあります。このように、排尿痛は痛みの種類、出現するタイミング、痛みの強さなど、症状が多岐にわたるため、自己判断は大変危険です。原因を特定し、適切な治療を行うためには、自己判断せずに医療機関を受診し、専門医による診察を受けるようにしましょう。医師は、問診や尿検査などを通じて原因を突き止め、適切な治療法を提示してくれます。場合によっては、より専門的な検査や治療が必要となるケースもあります。
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排尿困難:症状、原因、そして治療法について

- 排尿困難の概要排尿困難とは、スムーズに尿が出ない、または尿を出すまでに時間がかかる状態のことを指します。これは年齢や性別を問わず、多くの人が経験する可能性のある一般的な症状です。排尿困難が続くと、日常生活に支障をきたすだけでなく、他の病気のサインである場合もあるため、注意が必要です。排尿困難には、いくつかのパターンがあります。例えば、尿を出すまでに時間がかかる、尿の勢いが弱い、尿が途切れ途切れに出る、残尿感があるなどが挙げられます。これらの症状は、生活に大きな影響を与える可能性があります。例えば、夜中に何度もトイレに行きたくなってしまうため、睡眠不足に悩まされることもありますし、外出を控えるようになることもあります。排尿困難の原因はさまざまですが、大きく分けて前立腺肥大症や尿道狭窄などの器質的な原因と、神経因性膀胱などの機能的な原因の二つに分類されます。前立腺肥大症は、加齢とともに前立腺が大きくなることで尿道が圧迫され、排尿困難を引き起こします。尿道狭窄は、炎症や手術などが原因で尿道が狭くなることで、排尿困難を引き起こします。一方、神経因性膀胱は、脳卒後や脊髄損傷などが原因で、膀胱や尿道の神経がうまく機能しなくなることで、排尿困難を引き起こします。排尿困難の治療法は、その原因や症状の重さによって異なります。例えば、前立腺肥大症による排尿困難であれば、薬物療法や手術療法などが行われます。尿道狭窄による排尿困難であれば、尿道カテーテルの挿入や尿道拡張術などが行われます。また、神経因性膀胱による排尿困難であれば、間欠的自己導尿や薬物療法などが行われます。排尿困難は、日常生活に大きな影響を与える可能性のある症状です。もし、少しでも排尿に異常を感じたら、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。早期に適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、快適な生活を取り戻すことが期待できます。
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知っておきたい排尿障害:症状、検査、治療法

排尿障害は、大きく分けて二つに分類されます。一つは、尿を膀胱にためておくことが困難になる「畜尿障害」です。もう一つは、膀胱にためた尿を体外に排出する際に問題が生じる「排出障害」です。これらの障害は、それぞれ単独で現れる場合もあれば、同時に起こる場合もあります。 畜尿障害は、尿意を感じにくい、我慢するのが難しい、あるいは尿が漏れてしまうといった症状が現れます。一方、排出障害では、尿の勢いが弱くなる、排尿に時間がかかる、残尿感があるといった症状がみられます。 これらの排尿障害の原因は、尿の通り道である下部尿路に存在することが多く、尿道や膀胱、男性であれば前立腺などが挙げられます。このような、下部尿路に原因がある排尿障害は、「下部尿路機能障害(LUTD)」と呼ばれます。LUTDは、加齢や生活習慣、病気など、様々な要因によって引き起こされます。
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腎臓の働きを調べる検査

- 腎臓の働きを調べる検査私たちの体には、不要なものを取り除き、きれいになった血液を再び体内に戻すという重要な役割を担う臓器があります。それが腎臓です。 腎臓は、毎日休むことなく、血液を濾過して老廃物や余分な水分を尿として体外に排出しています。 しかし、様々な原因でこの腎臓の働きが低下してしまうことがあります。 腎機能検査とは、このような腎臓が正常に機能しているかどうかを調べるための検査です。 具体的には、血液や尿を採取して分析し、腎臓が血液をどれくらい濾過できているか、老廃物が体にどれくらい溜まっているかを調べます。 腎機能検査は、腎臓病の早期発見や治療効果の判定に非常に役立ちます。 自覚症状がない段階で腎臓病を発見できる場合もあるため、健康診断などで行われることが一般的です。 腎臓病は初期段階では自覚症状が出にくい病気ですが、放置すると人工透析が必要になるなど、生活の質を大きく低下させてしまう可能性があります。 腎機能検査を受けることで、自分の腎臓の状態を知り、健康維持に役立てることができます。
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生命を支える静かなる働き者:腎臓

私たちの体内を流れる血液は、全身に酸素や栄養を届けるという重要な役割を担っています。それと同時に、細胞が活動した後に排出される老廃物や、体に不要な水分を回収する役割も担っています。その血液をきれいにする働きを担っているのが腎臓です。 腎臓は、そら豆のような形をした臓器で、腰のあたりに左右一つずつ、背中側に位置しています。血液は心臓から送り出されて全身を巡り、腎臓にも絶えず流れ込んでいます。腎臓は、まるでフィルターのように血液中にある老廃物や余分な水分などをこし取ります。こし取られたものは、尿となり体外に排出されます。 腎臓は一日にドラム缶約半分ほどの量の血液を処理しています。そして、老廃物や余分な水分をろ過することで、私たちの体の内部環境を一定に保っています。体内の水分量やミネラルバランスの調整、血液を作るホルモンの分泌など、腎臓は私たちの健康を支えるために重要な役割をたくさん担っているのです。
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よくある病気:尿路感染症について

- 尿路感染症とは?尿路感染症は、尿の通り道である腎臓、膀胱、尿道などに細菌が侵入し、炎症を起こす病気です。誰でもかかる可能性がありますが、男性に比べて尿道が短い女性は、細菌が侵入しやすいため、発症する割合が高くなっています。尿路感染症は、多くの場合、大腸菌などの細菌が尿道から侵入することで発症します。膀胱に炎症が起こると、膀胱炎とよばれ、排尿時の痛みや残尿感、頻尿などの症状が現れます。また、尿が白く濁ったり、血が混じったりする血尿がみられることもあります。さらに、発熱や悪寒、背中や腰の痛みなどの症状が現れることもあります。膀胱炎を放置すると、細菌が膀胱から腎臓にまで侵入し、腎盂腎炎を引き起こすことがあります。腎盂腎炎になると、高熱や吐き気、嘔吐などの症状が現れ、重症化すると入院が必要になることもあります。尿路感染症は、抗生物質などの薬物療法によって治療を行います。症状が改善しても、自己判断で服用を中止せず、医師の指示に従ってしっかりと治療することが大切です。また、日頃から、水分を十分に摂ることや、トイレを我慢しないことなどで、尿路感染症を予防することができます。
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静かに進行する脅威:腎不全とは

私たちの体には、不要なものを体の外に出す働きをする器官がいくつかあります。その中でも特に重要なものの1つが「腎臓」です。腎臓は腰の少し上、背骨の両側に位置する2つのそら豆のような形をした臓器です。毎日休むことなく働き続け、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として体の外に出すという重要な役割を担っています。 腎臓の働きを、水道の浄水場に例えてみましょう。浄水場は、川の水からゴミや泥を取り除き、きれいな飲み水に変える役割を担っています。腎臓も同様に、体中を巡ってきた血液から、老廃物や余分な塩分、水分などを取り除き、きれいにして再び体内に戻します。この働きによって、私たちの体の水分量や塩分のバランス、そして血液のpHが一定に保たれているのです。 もしも腎臓の働きが低下してしまうと、体内に老廃物が溜まり、様々な症状が現れます。腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、初期段階では自覚症状が出にくいのも特徴です。そのため、健康診断などで定期的に腎臓の状態をチェックすることが大切です。日頃から、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけ、腎臓に負担をかけすぎないように意識することが、健康維持のために非常に重要と言えるでしょう。
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残尿感:排尿後も残る違和感

- 残尿感とは残尿感とは、その名の通り、排尿後も膀胱に尿が残っているように感じられる状態を指します。トイレに行っても、スッキリとした感覚が得られず、まだ尿が残っているような、出し切れていないような感覚に悩まされることがあります。健康な状態であれば、排尿後は膀胱は空になり、スッキリとした感覚を得られます。しかし、様々な要因によって、膀胱に尿が残ってしまったり、膀胱がうまく収縮せずに排尿がうまくいかなかったりする場合があります。その結果、排尿後も膀胱に尿が残っているような感覚、つまり残尿感を覚えるのです。残尿感は、頻尿や尿意切迫感、排尿痛などの症状を伴うこともあります。また、日常生活においても、常にトイレのことが気になったり、外出や旅行に不安を感じたりするなど、生活の質を低下させる可能性があります。残尿感は、加齢や生活習慣、 underlying disease など、様々な要因で起こる可能性があります。そのため、自己判断で放置せず、気になる症状がある場合は、医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。医師は、症状や診察結果に基づいて、原因を特定し、適切な治療法を提案します。場合によっては、生活習慣の改善指導や投薬治療などが行われます。
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膀胱訓練で快適な生活を取り戻す

- 膀胱訓練とは膀胱訓練とは、過活動膀胱などによって生じる頻尿や尿失禁の症状を改善するために行われる訓練です。 具体的には、尿意を感じてもすぐにトイレに行かずに、ある程度の時間我慢することで膀胱に尿をためる力を強化します。この訓練を行うことで、膀胱がより多くの尿を蓄えられるようになり、結果としてトイレに行く回数や尿意の切迫感を減らす効果が期待できます。 また、トイレに行くタイミングをある程度コントロールできるようになるため、日常生活における安心感や活動性の向上にもつながります。膀胱訓練は、医師や専門の理学療法士の指導の下で行われることが一般的です。尿意を我慢する時間や排尿のタイミングなどを、個々の症状や膀胱の状態に合わせて調整していくことが大切です。訓練を始める際には、尿意を我慢しすぎて膀胱に負担をかけたり、尿路感染症のリスクを高めたりしないよう、専門家の指示を仰ぎましょう。膀胱訓練は、薬物療法とは異なり、副作用の心配がほとんどない点も大きなメリットです。 訓練の効果には個人差がありますが、根気強く続けることで、頻尿や尿失禁の症状を改善し、より快適な日常生活を送ることに役立ちます。
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排尿のしくみ:反射の観点から

- 排尿反射とは私たちは日頃、特に意識することなく、体内に溜まった尿を一定の時間ごとに排泄しています。この尿の排出をスムーズに行うために、体には「排尿反射」と呼ばれる機能が備わっています。排尿反射とは、膀胱に尿が溜まり、内圧が高くなることで始まる一連の反応のことです。膀胱の壁には、尿が溜まってくると伸びる性質を持つセンサーがあります。このセンサーが尿による刺激を受けると、その情報はまず脊髄に伝えられます。脊髄に到達した情報は、そのまま脳へと伝えられます。脳はこの情報に基づいて、「今は排尿に適した状況かどうか」を判断します。もし、周囲の状況が排尿に適していると判断されれば、脳から膀胱に「尿を排出してよい」という指令が出されます。この指令は再び脊髄を通り、膀胱へと伝えられます。指令を受けた膀胱は筋肉を収縮させ、それと同時に尿道の括約筋が緩むことで、尿は体外へと排出されます。このように、排尿反射は、膀胱、脊髄、脳といった複数の器官が関与する複雑なメカニズムによって制御されています。そして、私たちがこの複雑なメカニズムを意識することなく、日々、自然に排尿できているのは、この精巧な反射機構のおかげと言えるでしょう。
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自動性膀胱:脊髄損傷との関係

- 自動性膀胱とは自動性膀胱は、尿をためて、排出するという膀胱本来の機能が、神経の異常によって損なわれてしまう病気です。本来、健康な状態では、膀胱に尿がたまると、その情報が脳に伝えられます。脳は、今が排尿に適切なタイミングかどうかを判断し、適切なタイミングであれば、膀胱の筋肉を収縮させ、尿道括約筋を緩めるように指令を出します。その指令に従って膀胱の筋肉が収縮し、尿道括約筋が緩むことで、私たちはスムーズに排尿することができます。しかし、脳と膀胱をつなぐ神経経路が、病気や怪我などによって損傷を受けてしまうと、このスムーズな排尿のサイクルが乱れてしまいます。その結果、脳からの指令が膀胱に届かなくなり、膀胱は脳からの指令を待たずに、勝手に収縮と弛緩を繰り返してしまうようになります。これが自動性膀胱と呼ばれる状態です。自動性膀胱は、脳と脊髄をつなぐ橋と呼ばれる部位や、脊髄の上部が損傷を受けた場合に多く見られます。交通事故や脳卒中などが原因で、これらの部位が損傷してしまうと、自動性膀胱を発症する可能性が高まります。
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自律性膀胱:脊髄損傷との深い関係

- 自律性膀胱とは人間の身体は、通常、尿が溜まると膀胱から脳へ信号が送られ、脳からの指令を受けて尿を排出する仕組みになっています。 このような複雑な連携によって、私たちは意識的に排尿をコントロールすることができます。しかし、事故や病気などにより、脳から膀胱への神経経路が損傷してしまうことがあります。この状態を「自律性膀胱」と呼びます。自律性膀胱になると、脳と膀胱の連携がうまくいかなくなるため、様々な排尿障害が現れます。 膀胱に尿が溜まっても脳に情報が伝わらず、尿意を感じにくくなってしまうケースや、逆に、膀胱が過敏に反応してしまい、少しの尿量でも頻繁に尿意を感じてしまうケースもあります。 また、脳からの指令が膀胱に届かないため、尿を排出することが難しくなることもあります。 その結果、尿を長時間我慢してしまう、残尿感が続く、尿漏れが起こるなど、日常生活に支障をきたす可能性があります。自律性膀胱は、原因となる病気や損傷の程度によって症状は異なり、その程度も人によって様々です。
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尿道カテーテル:役割と種類

- 尿道カテーテルとは尿道カテーテルとは、自力で尿を排出することが難しい患者さんに対して、尿道を通して膀胱内に細い管を挿入し、尿を体外に導くための医療器具です。人間の体内には、腎臓で作られた尿を膀胱へと運ぶ管である尿道が存在します。通常、膀胱に尿が溜まると、私たちは自然な尿意を感じ、自分の意思で尿を排出することができます。しかし、病気や怪我、手術の影響など様々な理由により、この尿の排出が困難になる場合があります。このような場合に用いられるのが尿道カテーテルです。尿道カテーテルは、主にシリコンやラテックスといった柔らかく、体になじやすい素材で作られた細い管状の形をしています。カテーテルの先端は膀胱内にとどまりやすくするためにバルーン状になっており、挿入後にこのバルーンに水などを注入することで、カテーテルが不用意に抜けてしまうのを防ぎます。尿道カテーテルは、患者さんの状態や目的に合わせて、短期間だけ使用するものと、長期間にわたって使用するものがあります。短期間の使用としては、手術中や手術後の短期間、尿路結石の治療時などが挙げられます。一方、長期間の使用としては、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの病気、あるいは寝たきり状態などにより、長期にわたり自力排尿が困難な場合などが考えられます。尿道カテーテルを使用することで、患者さんは尿閉による苦痛や膀胱への負担を軽減し、快適な生活を送ることができます。しかし、カテーテルの挿入や留置には、尿路感染症などの合併症のリスクも伴います。そのため、医師や看護師の指導のもと、適切な管理を行うことが重要です。
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尿道カルンクル:知っておきたい女性の病気

- 尿道カルンクルとは? 尿道カルンクルは、女性の尿道口にできる、やわらかい良性の腫瘍です。尿道口とは、膀胱に溜まった尿が体外へ排出される際に通る穴のことを指します。「腫瘍」と聞くと、がんのような悪性の病気を想像して不安になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、尿道カルンクルは悪性のものではなく、体に深刻な害を及ぼすことはほとんどありません。 尿道カルンクルは、見た目はつやのある赤いできもののように見え、いちごに似ていることから「尿道肉阜」とも呼ばれます。大きさは数ミリ程度のものから、1センチを超えるものまで様々です。 閉経後の女性に多くみられるのも特徴ですが、若い女性に見られることもあります。はっきりとした原因は解明されていませんが、女性ホルモンの減少や尿道口への刺激などが関係していると考えられています。 多くの場合、痛みやかゆみなどの自覚症状はみられません。しかし、尿道口付近に違和感を感じたり、排尿時に痛みを感じたりする場合もあります。また、まれに出血を伴うこともあります。 基本的には経過観察となりますが、症状が気になる場合には治療を行うこともあります。治療法としては、女性ホルモン含有の軟膏を塗ったり、手術で切除したりする方法などがあります。
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射精のメカニズムと精通

- 射精とは射精とは、男性が性的な興奮状態に達したとき、ペニスから精液が体外へ勢いよく放出される現象を指します。これは男性生殖機能の重要な一部であり、子孫を残すために欠かせないプロセスです。射精は、性的な刺激によって交感神経が刺激されることで起こります。交感神経が刺激されると、精巣で作られた精子が精管を通って尿道へ送り込まれます。同時に、前立腺や精嚢などの器官からも分泌液が尿道へ放出されます。これらの分泌液と精子が混ざり合ったものが精液です。精液は、膀胱から尿が排出されるのを一時的に止める筋肉の働きによって、尿道を通って体外へ排出されます。このとき、尿道括約筋と呼ばれる筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、精液は断続的に勢いよく放出されます。射精は、男性にとって快感を伴う生理現象ですが、必ずしも性行為の最終目的ではありません。射精の有無に関わらず、性行為を通じてパートナーとの親密な時間を共有することが大切です。また、射精に関する知識を深め、自分の体と向き合うことは、性生活をより豊かにするために重要です。
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意外と知らない尿路損傷:原因と症状

- 尿路損傷とは尿路損傷とは、体の中で尿が作られてから体外に排出されるまでの道筋である「尿路」の一部が傷つくことを指します。この尿路は、尿を作る腎臓、尿を膀胱まで運ぶ尿管、尿を貯めておく膀胱、そして尿を体外に排出する尿道から成り立っています。尿路損傷は、これらのどの部位で起こることもあります。尿路損傷の原因として最も多いのは、交通事故や高いところからの転落などによる強い衝撃です。また、お腹の手術中に誤って尿路を傷つけてしまうことも少なくありません。尿路損傷の症状は、損傷の程度や部位によって大きく異なります。比較的軽い損傷の場合、血尿が見られる程度で、痛みなどの自覚症状がないこともあります。一方、重症の場合には、お腹や腰に強い痛みを感じたり、尿が漏れてきたりすることがあります。尿路損傷は、早期に発見して適切な治療を行えば、多くの場合、後遺症を残さずに治すことができます。しかし、発見や治療が遅れると、尿毒症などの重い合併症を引き起こす可能性があります。そのため、尿路損傷が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。
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尿路ストーマ:人工的に作られた尿の出口

- 尿路ストーマとは尿路ストーマとは、病気や怪我などが原因で、膀胱や尿道が本来の役割を果たせなくなった際に、腎臓でつくられた尿を体の外に出すために、お腹に人工的に作られた出口のことを指します。通常、尿は腎臓で作られた後、膀胱に一時的に溜められ、尿道を通って体外に排出されます。しかし、膀胱がんや尿道がん、あるいは事故による損傷などにより、この尿の経路が正常に機能しなくなることがあります。このような場合に、尿を体外に排出するための代替的な経路として、尿路ストーマが作られます。具体的には、お腹に小さな開口部を作り、そこに尿管と呼ばれる、腎臓から膀胱へと尿を運ぶ管をつなぎます。これにより、尿は膀胱を通ることなく、お腹に設置されたストーマと呼ばれる袋に直接排出されるようになります。尿路ストーマには、その形状や位置によっていくつかの種類があります。代表的なものとしては、お腹の右側に作られることが多い「右片尿路ストーマ」や、左右両側に作られる「両側尿路ストーマ」などが挙げられます。どの種類のストーマが適しているかは、患者さんの状態や生活習慣などを考慮して決定されます。尿路ストーマの設置は、患者さんの生活に大きな変化をもたらします。そのため、医師や看護師などの医療従事者から、ストーマの管理方法や日常生活における注意点について、丁寧に指導を受けることが重要です。
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点滴静注腎盂造影:腎臓の形態と機能を調べる検査

- 点滴静注腎盂造影とは点滴静注腎盂造影(DIP)は、腎臓の働きや尿の通り道である尿路の形を詳しく調べるための検査です。 検査ではまず、血管に点滴の針を刺し、そこから造影剤と呼ばれる薬を注入します。 この造影剤は、レントゲン写真に白く映し出される性質があります。 造影剤が血液に乗って腎臓に到達すると、腎臓は血液から老廃物などを濾過して尿を生成し、尿路を通して体外へ排出する働きをします。 点滴静注腎盂造影では、造影剤を注入してから決められた時間ごとに複数回レントゲン撮影を行うことで、腎臓が造影剤をどのように尿へ排泄していくのかを観察します。 この検査によって、腎臓の大きさや形、体の中での位置などを詳しく知ることができます。 また、尿が腎臓から膀胱までスムーズに流れているか、尿路が狭くなっていたり、詰まっていたりしないかなども調べることができます。 点滴静注腎盂造影は、腎臓や尿路の病気の診断に非常に役立つ検査と言えるでしょう。
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尿路結石:その原因と症状

- 尿路結石とは尿路結石とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道に石のような塊ができてしまう病気です。この石は、尿に含まれるカルシウムやシュウ酸、尿酸などの成分が、様々な原因で結晶化し、大きくなることで形成されます。結石の大きさは様々で、砂粒のように小さなものから、数センチメートルにもなるものまであります。小さな結石は、自覚症状がないまま自然に排出されることもありますが、大きな結石は尿の通り道を塞いでしまい、激しい痛みを引き起こすことがあります。尿路結石は、男性に多く発症する病気として知られています。これは、男性ホルモンの影響や、女性に比べて尿道が長く、尿が滞りやすいという身体的な特徴が関係していると考えられています。ただし、女性でも発症する可能性は十分にあります。また、尿路結石は、一度発症すると再発しやすいという特徴も持っています。これは、体質や生活習慣が結石のできやすい状態になっていることが多いためです。再発を予防するためには、食生活の見直しや水分を十分に摂るなど、生活習慣を改善することが大切です。
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