てんかん:脳の電気信号の乱れが引き起こす発作
病院での用語を教えて
先生、「てんかん」って脳波がおかしくなる病気って習ったんですけど、痙攣とは違うんですか?
体の健康研究家
良い質問ですね。確かに脳波の異常は「てんかん」の特徴の一つですが、痙攣とは少し違います。痙攣は、筋肉が勝手に縮んでしまう現象のことです。てんかんでは、脳の過剰な興奮によって痙攣が繰り返し起こるんです。
病院での用語を教えて
じゃあ、痙攣が起きれば「てんかん」なんですか?
体の健康研究家
そうとも限りません。例えば、熱が出た時に痙攣を起こす子供もいますが、これは「てんかん」とは診断されないことが多いです。「てんかん」と診断されるには、脳の過剰な興奮が原因で、痙攣が繰り返し起こることが重要なんです。
てんかんとは。
「てんかん」という病気について説明します。「てんかん」は、脳の表面にある神経細胞が過度に興奮してしまうことで起こり、体がかたくなる、ふるえるといった発作が繰り返し起こる、長く続く病気です。ただし、急に起こる筋肉の収縮である「痙攣」とは意味が異なるので注意が必要です。痙攣は一度だけの場合や、脳波の検査で異常があっても実際には症状が出ていない場合は、「てんかん」とは診断されません。
てんかんとは
– てんかんとはてんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することによって起こる病気です。この過剰な興奮は、脳波の異常として記録され、様々な症状を引き起こします。この症状を「発作」と呼びます。発作には、意識を失って全身が硬直したり、手足が痙攣する「大発作」や、一瞬意識がぼーっとするだけの「欠神発作」など、様々な種類があります。発作の症状は、脳のどの部分が過剰に興奮するかによって異なります。てんかんは決して珍しい病気ではなく、世界中で約5000万人が罹患していると推定されています。日本では人口の約1%、およそ100万人がてんかんを抱えていると考えられており、誰にでも起こりうる病気と言えます。てんかんの原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷、脳血管障害などが原因で発症する場合もあれば、原因が特定できない場合もあります。 てんかんは、適切な治療を行うことで発作をコントロールし、普通の生活を送ることが可能な病気です。てんかんの治療には、薬物療法や外科療法など、様々な方法があります。
項目 | 内容 |
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定義 | 脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することによって起こる病気 |
症状(発作) |
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患者数 |
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原因 |
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治療法 |
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てんかんの原因
てんかんは、脳内の神経細胞が過剰に興奮し、発作と呼ばれる様々な症状を引き起こす病気です。その原因は完全には解明されていませんが、脳の損傷、遺伝、感染症、代謝異常など、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
脳卒中や頭部外傷、脳腫瘍などによって脳が損傷を受けると、その影響で神経細胞の働きが変化し、てんかん発作が起こりやすくなることがあります。また、出生時の酸素不足や、脳の形成異常といった生まれつきの脳の異常も、てんかんの原因となりえます。
遺伝的な要因も、てんかんの発症と深く関わっています。一部のてんかんは、特定の遺伝子の異常が原因で起こることが知られており、家族内で発症するケースも少なくありません。さらに、はしかや風疹などの感染症が、脳炎や脳症を引き起こし、その結果としててんかんを発症することもあります。
このように、てんかんの原因は多岐にわたるため、その発症メカニズムを解明するには、まだ多くの研究が必要です。しかし、近年では、画像診断技術や遺伝子解析技術の進歩により、てんかんの原因究明に向けた研究が大きく進展しています。
てんかんの原因 | 詳細 |
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脳の損傷 | 脳卒中、頭部外傷、脳腫瘍などが原因で神経細胞の働きが変化する |
遺伝 | 特定の遺伝子の異常が原因となる場合があり、家族内で発症することもある |
感染症 | はしか、風疹などが脳炎や脳症を引き起こし、てんかんを発症することがある |
代謝異常 | 詳細な記述は本文にないため、割愛 |
出生時の要因 | 出生時の酸素不足や脳の形成異常などが原因となる |
てんかんの診断
てんかんは、脳の神経細胞が過剰に興奮し、発作と呼ばれる様々な症状を引き起こす病気です。てんかんの診断には、いくつかの重要な段階があります。
まず初めに、患者本人やその家族から、発作に関する詳細な情報を得ることが重要となります。いつ、どこで、どのような状況で発作が起きたのか、発作中の様子、発作の前兆、発作後の状態などを詳しく聞き取ります。これは問診と呼ばれ、診断の糸口を見つけるための非常に大切なプロセスです。
次に、神経学的検査を行います。これは、医師が患者の神経の状態を調べる検査です。具体的には、視力、聴力、 reflexes 、筋力、感覚、 координация などをチェックします。これにより、神経系の異常の有無や程度を評価することができます。
そして、てんかんの診断に最も重要な検査が脳波検査です。脳波検査は、頭皮に電極を付けて脳の電気的な活動を記録する検査です。てんかんの場合、脳波に特有の異常な波形が記録されることが多く、診断を確定するための重要な手がかりとなります。
さらに、場合によっては、MRIなどの画像検査が必要となることもあります。MRI検査では、脳の断層写真を得ることができ、脳腫瘍やくぼみなど、てんかんの原因となる可能性のある構造的な異常がないかを調べることができます。
これらの検査結果を総合的に判断し、てんかんの診断を確定します。てんかんの治療は、薬物療法を中心に行われますが、適切な治療を行うためには、正確な診断が不可欠です。
診断段階 | 内容 | 目的 |
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問診 | 患者や家族から発作の様子(発作の時間・場所・状況、発作中の様子、前兆、発作後の状態など)を詳しく聞き取る。 | 診断の糸口を見つける。 |
神経学的検査 | 視力、聴力、反射、筋力、感覚、協調運動などを調べる。 | 神経系の異常の有無や程度を評価する。 |
脳波検査 | 頭皮に電極を付けて脳の電気的な活動を記録する。 | てんかん特有の異常な波形を検出する。 |
画像検査(MRIなど) | 脳の断層写真を得る。 | 脳腫瘍やくぼみなど、てんかんの原因となる可能性のある構造的な異常がないかを調べる。 |
てんかんの治療
てんかんは、脳の神経細胞の過剰な興奮によって発作が繰り返し起こる病気です。てんかんの治療では、発作をコントロールして日常生活への影響を最小限に抑えることを目指します。
主な治療法としては、薬物療法、外科療法、食事療法などがあります。
薬物療法は、抗てんかん薬を用いて発作を抑制する方法です。てんかんと診断された方の多くは、まず薬物療法を試みます。抗てんかん薬には様々な種類があり、医師は、患者さんの症状や体質に合わせて、適切な薬剤を選択し、その量を調整します。
外科療法は、てんかんの原因となっている脳の部位を手術で切除する方法です。薬物療法を試しても発作が十分にコントロールできない場合に検討されます。
食事療法では、ケトン食療法などが知られています。これは、脂肪を多く含み、糖質を極端に制限した食事を摂ることで、体内のケトン体を増加させ、発作を抑制する方法です。
てんかんの治療法は日々進歩しており、近年では新しい薬や治療法も開発されています。てんかんの治療は、医師と患者さんがよく相談し、それぞれの状況に合わせて、最適な方法を選択していくことが重要です。
治療法 | 概要 | 備考 |
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薬物療法 | 抗てんかん薬を用いて発作を抑制 | 多くの患者が最初に試みる。医師が患者に合わせて薬剤を選択・調整。 |
外科療法 | てんかんの原因部位を手術で切除 | 薬物療法で効果が不十分な場合に検討。 |
食事療法 | ケトン食療法などにより発作を抑制 | 脂肪が多く、糖質を制限した食事。 |
てんかんと生きる
てんかんは、脳の神経細胞の活動が一時的に乱れることで、様々な症状を引き起こす慢性的な病気です。この病気は、長く付き合っていく必要があり、場合によっては長期間にわたる治療や、日常生活での注意が必要になります。
てんかん発作は、意識を失って倒れてしまうような大きなものから、一瞬意識が飛ぶ、体の一部がぴくぴく動くなど、症状は様々です。発作の症状や程度は人によって異なり、発作が起こる頻度も人それぞれです。
てんかんと診断された場合、医師の指示に従って適切な治療を受けることが大切です。治療には、薬物療法が中心となります。てんかんの薬は、発作を抑えたり、発作の頻度を減らしたりする効果があります。薬の効果や副作用には個人差があるため、自分に合った薬を見つけることが重要です。また、薬は自己判断で中止したり、量を変更したりすることは大変危険なので、必ず医師に相談しましょう。
てんかん発作をコントロールするためには、規則正しい生活習慣を送り、十分な睡眠をとることが重要です。また、ストレスはてんかん発作の誘因となる可能性があるため、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。十分な休養や趣味の時間、リラックスできる空間などを生活に取り入れ、心身ともに健康な状態を保つよう心がけましょう。
てんかんに対する偏見や差別をなくし、患者さんが安心して生活できる社会を作ることも重要です。てんかんは、適切な治療や生活管理を行うことで、多くの人が社会生活を送ることができます。正しいてんかんの知識を持ち、偏見や差別をなくしていくことが、患者さんが安心して暮らせる社会につながります。
項目 | 内容 |
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定義 | 脳の神経細胞の活動が一時的に乱れることで、様々な症状を引き起こす慢性的な病気 |
症状 | 意識消失を伴うものから、一瞬意識が飛ぶ、体の一部がぴくぴく動くなど、症状は様々。個人差が大きい。 |
治療 | 薬物療法が中心。個人に合った薬を医師と相談して見つける。規則正しい生活習慣、ストレス管理も重要。 |
社会生活 | 適切な治療や生活管理を行うことで、多くの人が社会生活を送ることができる。 |