全身に血栓が広がる恐怖:播種性血管内凝固症候群(DIC)

血液

全身に血栓が広がる恐怖:播種性血管内凝固症候群(DIC)

病院での用語を教えて

先生、播種性血管内凝固症候群(DIC)って、どんな病気のことですか?

体の健康研究家

簡単に言うと、体のあちこちの血管の中で小さな血の塊がたくさんできてしまう病気だよ。そのせいで、血液がうまく流れなくなって、色々な臓器が傷ついてしまうんだ。難しい言葉で言うと『播種性』は『種をまくように広がる』、『血管内』は『血管の中』、『凝固』は『血液が固まる』、『症候群』は『いくつかの症状が集まったもの』という意味があるんだよ。

病院での用語を教えて

どうして血の塊がたくさんできてしまうのですか?

体の健康研究家

実は、DIC は、それ自体が病気なのではなく、重い病気のサインとして現れることが多いんだ。例えば、ひどい感染症や大きな怪我、やけど、がんなどが原因で起こることが知られているよ。

播種性血管内凝固症候群(DIC)とは。

「播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)」は、病気のせいで体中の細い血管に小さな血の塊がたくさんできてしまう病気です。この病気になると、血液が固まりやすくなってしまい、血管の中で線維素というものが固まってしまいます。その結果、血を止めるために必要なもの(血小板や凝固因子)が減ってしまい、出血しやすくなってしまいます。さらに、一度固まった線維素が溶ける働きも強くなってしまうため、ますます出血しやすくなってしまうのです。 この病気の原因となる病気はたくさんあります。例えば、血液の癌である白血病、体のあちこちにできる悪性腫瘍、体の中でバイ菌が増えてしまう病気(敗血症)などの重い感染症、怪我、やけど、体の冷えすぎ、自分の免疫の力が強すぎる病気、急に血液の流れが悪くなる病気、赤ちゃんがお腹の中にいるときにはがれてしまう胎盤早期剥離などがあります。

播種性血管内凝固症候群(DIC)とは

播種性血管内凝固症候群(DIC)とは

– 播種性血管内凝固症候群(DIC)とは播種性血管内凝固症候群(DIC)は、血液が固まることと出血することが同時に起こる、命に関わる危険性の高い病気です。私たちの体には、血管が傷ついて出血すると、その傷口を塞いで出血を止める働きが備わっています。これは、血液の中に含まれる小さな粒々が集まって、網の様に固まることで起こります。

しかしDICでは、この血液を固まらせる働きと、出血を止める働きのバランスが崩れてしまいます。 体のあちこちの血管の中で、小さな血液の塊が無数にできてしまうのです。 この様子は、まるで種を蒔くように広がることから、「播種性」という言葉が使われています。

そして、このように小さな血液の塊が無数にできることで、血液を固めるために必要な成分が大量に使われてしまい、今度は逆に、出血しやすくなってしまうのです。出血が止まらなくなったり、皮膚に紫色の斑点が出たり、臓器の働きが悪くなるなど、様々な症状が現れます。 DICは、がんなどの病気や、手術、けがなどをきっかけに発症することが多く、緊急の治療が必要となります。

項目 内容
定義 血液凝固と出血が同時に起こる命に関わる病気
メカニズム
  • 血管内に多数の小さな血栓(血液の塊)ができる(播種性)
  • 血栓形成により血液凝固因子が消費され、出血傾向になる
症状
  • 出血傾向(止血困難など)
  • 皮膚の紫斑
  • 臓器機能障害
原因
  • がん
  • 手術
  • けが
治療 緊急治療が必要

DICを引き起こす原因

DICを引き起こす原因

播種性血管内凝固症候群(DIC)は、それ自体が一つの病気として発生するのではなく、他の病気や状態がきっかけとなって引き起こされる二次的な病気です。
DICを引き起こす原因は非常に多岐にわたりますが、いずれも体に大きな負担がかかる状況で発症しやすくなるという特徴があります。
例えば、細菌やウイルスによる重症感染症にかかると、体内には病原体が侵入し、増殖します。体がこれに対抗しようと免疫反応を起こす過程で、血液凝固系が過剰に活性化され、DICを引き起こすことがあります。
また、がん細胞が血管内に侵入し、増殖する過程でも、血液凝固系を活性化させる物質が産生され、DICの原因となることがあります。
その他にも、大規模な外傷や広範囲の熱傷、出血を伴う手術、敗血症性ショックや心原性ショックといったショック状態など、様々な要因がDICの引き金となりえます。
このように、DICは多くの場合、生命に関わる重篤な病態の合併症として発症し、急速に症状が進行することが多いため、早期の診断と治療が極めて重要となります。

原因 詳細
感染症 細菌やウイルス感染による免疫反応の過剰活性化
悪性腫瘍 がん細胞の血管内侵入・増殖による凝固系活性化物質の産生
大規模な外傷 組織損傷による凝固系活性化
広範囲熱傷 組織損傷、体液喪失による凝固系活性化
出血を伴う手術 組織損傷、体液喪失による凝固系活性化
ショック状態(敗血症性ショック、心原性ショックなど) 血圧低下、組織灌流低下による凝固系活性化

DICの症状

DICの症状

播種性血管内凝固症候群(DIC)は、血液の凝固異常によって全身の血管内に小さな血栓が多数できる病気です。そして、この病気の症状は大きく分けて二つあります。

一つ目は、血管内にできた血栓が臓器への血流を阻害することによって起こる臓器障害です。例えば、脳の血管に血栓ができると意識障害、肺の血管に血栓ができると呼吸が苦しくなる、腎臓の血管に血栓ができると腎臓の働きが低下し、尿が出なくなるといった症状が現れます。

二つ目は、血液中の血小板や凝固因子が消費されることによって起こる出血傾向です。皮膚や粘膜からの出血、鼻血、歯茎からの出血など、比較的軽いものから、消化管出血や脳出血といった命に関わる重篤なものまで、その症状は様々です。

DICは非常に進行が早く、適切な治療が行われないと、多くの臓器が機能不全に陥り、死に至る危険性も高い病気です。そのため、早期にDICと診断し、迅速に治療を開始することが重要となります。

分類 症状 詳細
臓器障害 意識障害 脳の血管に血栓
呼吸困難 肺の血管に血栓
尿量減少 腎臓の血管に血栓
出血傾向 皮膚や粘膜からの出血 比較的軽い症状
鼻血、歯茎からの出血 比較的軽い症状
消化管出血、脳出血 重篤な症状

DICの診断

DICの診断

播種性血管内凝固症候群(DIC)は、血液凝固系が過剰に活性化されることで、全身の血管内に小さな血栓が多数作られる病気です。この小さな血栓は、臓器や組織への血流を阻害し、臓器障害を引き起こす可能性があります。DICはそれ自体が独立した病気ではなく、他の病気の合併症として発症することがほとんどです。そのため、DICの診断には、血液検査の結果だけでなく、症状や基礎疾患などを総合的に判断することが重要となります。

血液検査では、血小板数、フィブリノーゲン、Dダイマーなどの値を測定します。血小板は血液凝固に重要な役割を果たす成分ですが、DICでは血小板が過剰に消費されるため、血小板数は減少する傾向があります。フィブリノーゲンは、血液凝固の過程でフィブリンという網状の構造を作るために必要なタンパク質ですが、DICではフィブリノーゲンも消費されるため、その値は減少します。一方、Dダイマーは、フィブリンが分解される過程で生じる物質です。DICではフィブリンの生成と分解が亢進しているため、Dダイマーは上昇する傾向があります。

このように、血液検査の結果はDICの診断に重要な手がかりを与えますが、確定診断のためには、症状や基礎疾患などを考慮する必要があります。DICは緊急性の高い病態であるため、早期診断と迅速な治療開始が非常に重要となります。

検査項目 DICにおける変化 理由
血小板数 減少 血小板の過剰消費
フィブリノーゲン 減少 フィブリノーゲンの消費
Dダイマー 上昇 フィブリンの生成と分解の亢進

DICの治療

DICの治療

播種性血管内凝固症候群(DIC)は、さまざまな原因によって血液凝固系が過剰に活性化し、全身の血管内で小さな血栓が多数作られる病気です。この小さな血栓によって、臓器の障害や出血を引き起こすため、迅速な治療が必要となります。DICの治療で最も重要なのは、その根本原因となっている病気の治療を行うことです。例えば、重症な感染症が原因の場合は、原因となる細菌を退治するために抗菌薬を投与します。悪性腫瘍が原因の場合は、腫瘍を取り除く手術、あるいは抗がん剤による治療を検討します。

DICの症状を抑えるためには、輸血療法や凝固因子製剤の投与、抗凝固療法などが行われます。輸血療法では、減少した血小板を補うために血小板輸血、あるいは血液凝固因子を補うために新鮮凍結血漿を投与します。凝固因子製剤は、特に減少しているフィブリノーゲンなどを補充する目的で投与されます。抗凝固療法は、ヘパリンなどの薬を用いて血液を固まりにくくすることで、血栓の形成を抑えます。DICの治療は、その状態や症状の重さによって大きく異なるため、専門医による適切な診断と治療が何よりも重要です。

DICの治療 詳細
根本原因の治療
  • 重症感染症の場合:抗菌薬による原因菌の治療
  • 悪性腫瘍の場合:手術や抗がん剤治療
対症療法
  • 輸血療法:血小板輸血、新鮮凍結血漿の投与
  • 凝固因子製剤投与:フィブリノーゲンなどの補充
  • 抗凝固療法:ヘパリンなどによる血栓形成抑制

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