血液が固まる病気:血栓とは

血液

血液が固まる病気:血栓とは

病院での用語を教えて

先生、「血栓」ってなんですか?

体の健康研究家

「血栓」は簡単に言うと、血管の中で血液が固まってしまったもののことだよ。

病院での用語を教えて

血管の中で血液が固まるんですか?どうしてですか?

体の健康研究家

怪我をして出血したとき、血液が固まって血が止まるよね?あれと同じように、体の中で出血が起きた時や、血液の流れが悪くなった時に、血液が固まってしまうんだ。

血栓とは。

医学や健康について使われる言葉である「血栓」とは、血液が固まってしまった塊のことを指します。

血栓の概要

血栓の概要

– 血栓の概要私たちの体内を循環している血液は、怪我をした時などに傷口をふさぐ重要な役割を担っています。通常、出血すると血液中の成分が反応し、複雑な過程を経て血液が凝固し、出血を止める仕組みになっています。 しかし、この血液凝固のメカニズムが、怪我をしていない状態でも過剰に働いてしまうことがあります。その結果、血管の中で血液が固まってしまう現象を、血栓と呼びます。血栓は、それができる場所によって、大きく動脈血栓と静脈血栓に分けられます。動脈は心臓から全身に血液を送り出す血管である一方、静脈は全身から心臓へ血液を送り返す血管です。動脈血栓は、動脈硬化などにより血管の内壁が損傷し、そこに血小板やフィブリンなどが集積して形成されます。動脈血栓は、心臓の冠動脈で発生すると心筋梗塞、脳の血管で発生すると脳梗塞を引き起こすなど、生命に関わる重大な病気を引き起こす可能性があります。一方、静脈血栓は、血液の流れが滞りやすい足の静脈にできやすいという特徴があります。飛行機のエコノミークラスなど、長時間同じ体制で座り続けることで足の静脈に血栓ができることがあり、エコノミークラス症候群とも呼ばれます。静脈血栓は、肺の血管に詰まると肺塞栓症を引き起こすことがあり、こちらも命に関わる危険性があります。このように、血栓は発生する場所や原因によって様々な病気を引き起こす可能性があり、注意が必要です。

項目 動脈血栓 静脈血栓
定義 動脈にできる血栓 静脈にできる血栓
原因 動脈硬化などによる血管内壁の損傷 血液の流れの滞り
できやすい場所 心臓の冠動脈、脳の血管など 足の静脈など
引き起こされる病気 心筋梗塞、脳梗塞など エコノミークラス症候群、肺塞栓症など

血栓の種類

血栓の種類

私たちの体内を流れる血液は、血管内で固まってしまうことがあります。これが血栓です。血栓には、できる場所や原因によっていくつかの種類があります。

大きく分けると、動脈血栓と静脈血栓の二つに分類されます。動脈血栓は、心臓から送り出されたばかりの、酸素を多く含んだ血液が流れる動脈で発生します。動脈は全身に酸素を届けるという重要な役割を担っているので、ここで血栓ができると、血液の流れが滞り、酸素が行き渡らなくなってしまいます。その結果、心臓や脳などに深刻なダメージを与え、命に関わる危険性も高まります。

一方、静脈血栓は、全身を巡った血液が心臓へと戻る際に通る静脈で発生します。静脈血栓は、動脈血栓と比べて血流が緩やかなため、足の血管に発生しやすくなります。特に、長時間座り続ける飛行機のエコノミークラスでの移動中に発症することがあるため、「エコノミークラス症候群」として広く知られています。静脈血栓は、足の血管でできた後、血流に乗って肺に到達してしまうと、肺の血管を詰まらせてしまうことがあります。これは肺塞栓症と呼ばれ、呼吸困難などを引き起こし、重症化すると命に関わる危険性もあります。

種類 発生場所 特徴 危険性
動脈血栓 酸素を多く含んだ血液が流れる動脈 全身に酸素を届ける動脈で発生するため、血液の流れが滞り、酸素不足に陥る。 心臓や脳などに深刻なダメージを与え、命に関わる危険性が高い。
静脈血栓 全身を巡った血液が心臓へと戻る際に通る静脈 血流が緩やかで、足の血管に発生しやすい。長時間座り続けることで発症リスクが高まる。 足の血管でできた血栓が、血流に乗って肺に到達すると、肺塞栓症を引き起こし、呼吸困難などを引き起こす。重症化すると命に関わる危険性もある。

血栓の危険因子

血栓の危険因子

血管の中に血液のかたまりである血栓ができてしまうことは、誰にでも起こりうることです。しかし、生活習慣や持病などによって、そのリスクが高まってしまう場合があります。今回は、血栓のリスクを高める要因について詳しく解説していきます。

まず、長時間同じ姿勢を続けることが挙げられます。デスクワークなどで長時間座りっぱなしの状態や、病気や怪我などで寝たきりになっている状態は、血流が滞りやすくなるため、血栓のリスクが高まります。また、手術後も同様で、特に大きな手術を受けた後は、体が安静状態になりがちで、血流が悪くなってしまうため注意が必要です。

妊娠中は、お腹の中で赤ちゃんが成長するにつれて、子宮が大きくなり、周りの血管を圧迫するため、血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。さらに、妊娠中は血液が固まりやすくなる性質があり、これも血栓のリスクを高める要因となります。

肥満、喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病も、血栓のリスクを高める要因となります。これらの病気は、動脈硬化を進行させるため、血管の内側が傷つきやすく、血栓ができやすくなってしまうのです。

これらの要因に心当たりがある方は、日頃から血栓予防を心がけることが大切です。具体的には、定期的に体を動かす、水分をこまめにとる、禁煙する、バランスの取れた食事を心がける、などがあります。また、医師に相談して、弾性ストッキングや抗凝固薬などの予防策を検討することも有効です。

血栓リスクを高める要因 具体的な例・詳細
長時間同じ姿勢 デスクワーク、寝たきり、手術後など
妊娠 子宮の増大による血管の圧迫、血液が固まりやすい状態
生活習慣病 肥満、喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症
(動脈硬化の進行により血管が傷つきやすくなる)

血栓の症状

血栓の症状

– 血栓の症状について血栓は、血液中にできる血の塊であり、その症状は発生場所や大きさによって大きく異なります。大きく分けて、動脈にできる動脈血栓と、静脈にできる静脈血栓の二つがあります。動脈血栓は、主に心臓から全身に血液を送る動脈に発生します。動脈は酸素を多く含んだ血液を運ぶ役割を担っているため、動脈血栓ができると、体の各器官に必要な酸素が行き渡らなくなり、深刻な事態を引き起こす可能性があります。例えば、心臓の血管に血栓ができると激しい胸の痛みを伴う狭心症や心筋梗塞、脳の血管に血栓ができると、ろれつが回らなくなる、身体の一部が麻痺するといった脳梗塞の症状が現れます。また、血栓が詰まることで、突然意識を失うこともあります。一方、静脈血栓は、主に全身から心臓に戻る血液が流れる静脈に発生します。静脈血栓は、足のふくらはぎなどに発生することが多く、痛みや腫れ、熱感、皮膚の赤みなどの症状が現れます。静脈血栓は、肺に移動して肺塞栓症を引き起こすこともあり、息切れや胸の痛み、呼吸困難などの症状が現れます。血栓は、放置すると命に関わる危険性もあります。少しでも気になる症状があれば、速やかに医療機関を受診することが重要です。

項目 動脈血栓 静脈血栓
発生場所 心臓から全身に血液を送る動脈 全身から心臓に戻る血液が流れる静脈
主な症状 ・激しい胸の痛み(狭心症・心筋梗塞)
・ろれつが回らなくなる、身体の一部が麻痺する(脳梗塞)
・突然意識を失う
・足のふくらはぎなどの痛み、腫れ、熱感、皮膚の赤み
・息切れ、胸の痛み、呼吸困難(肺塞栓症)

血栓の治療

血栓の治療

– 血栓の治療血液の流れが悪くなり、血管内で血液が固まってしまう病気を血栓症といいます。血栓症は、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こす可能性があるため、早期の治療が重要です。血栓症の治療には、主に薬物療法が行われます。血液をサラサラにする薬には、血小板の働きを抑え、血栓ができるのを防ぐ薬と、血液を固まりにくくする薬の2種類があります。これらの薬は、血栓の種類や症状、患者の状態に合わせて使い分けられます。また、出来てしまった血栓を溶かす薬が使われることもあります。血栓溶解療法と呼ばれるこの治療法は、発症から時間が経っていない場合に有効とされています。薬物療法に加えて、カテーテル治療が行われることもあります。カテーテル治療は、足の付け根などの血管から細い管(カテーテル)を挿入し、血栓を吸引したり、薬剤を注入したりする治療法です。カテーテル治療は、薬物療法だけでは効果が不十分な場合や、緊急性の高い場合に行われます。さらに、血栓の大きさや場所によっては、手術が必要になることもあります。手術では、血栓を取り除いたり、血管を広げたりすることで、血流を改善します。血栓症の治療法は、患者の状態に合わせて選択されます。そのため、医師とよく相談し、自分に合った治療法を受けることが大切です。

治療法 詳細 備考
薬物療法 – 血小板の働きを抑え、血栓ができるのを防ぐ薬
– 血液を固まりにくくする薬
– 血栓を溶かす薬(血栓溶解療法)
血栓の種類や症状、患者の状態に合わせて使い分けられる。
血栓溶解療法は発症から時間が経っていない場合に有効。
カテーテル治療 – 血栓を吸引する
– 薬剤を注入する
薬物療法だけでは効果が不十分な場合や、緊急性の高い場合に行われる。
手術 – 血栓を取り除く
– 血管を広げる
血栓の大きさや場所によっては必要になる。

血栓の予防

血栓の予防

– 血栓の予防血栓は、血管の中に血液の塊ができてしまう病気で、脳梗塞や心筋梗塞など、命に関わる恐ろしい病気を引き起こすことがあります。しかし、日々の生活習慣を変えることで、血栓のリスクを下げることができるケースも少なくありません。まず、たばこは血管を傷つけ、血液をドロドロにしやすくするため、禁煙することが大切です。また、適度な運動は、血液の循環を良くし、血栓を予防する効果があります。ウォーキングや軽い体操など、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。食生活も、血栓予防に重要な役割を果たします。塩分の多い食事は高血圧を招き、血管に負担をかけるため、塩分控えめを心がけましょう。また、脂肪分の多い食事は血液をドロドロにしやすいため、バランスの取れた食事を心がけ、野菜果物などを積極的に摂るようにしましょう。水分不足は血液を濃縮させ、血栓のリスクを高めるため、こまめな水分補給も大切です。デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、1時間に一度は立ち上がって軽い運動をするなど、血流が滞らないように工夫しましょう。長時間の飛行機の移動などでは、弾性ストッキングを着用することで、足の血液の循環を助けることができます。旅行前に医師に相談し、必要であれば処方してもらうと良いでしょう。血栓は、日々の生活の中で予防できる要素が多くあります。健康的な生活習慣を心がけ、血栓のリスクを減らしていきましょう。

項目 詳細
禁煙 たばこは血管を傷つけ、血液をドロドロにするため。
適度な運動 血液の循環を良くし、血栓を予防する。(例:ウォーキング、軽い体操)
塩分控えめな食事 塩分の多い食事は高血圧を招き、血管に負担をかけるため。
バランスの取れた食事 脂肪分の多い食事は血液をドロドロにするため、野菜、果物、魚などを積極的に摂取する。
こまめな水分補給 水分不足は血液を濃縮させ、血栓のリスクを高めるため。
定期的な運動 デスクワーク時などは、1時間に一度は立ち上がって軽い運動をするなど、血流が滞らないようにする。
弾性ストッキングの着用 長時間の飛行機の移動などでは、足の血液の循環を助ける。(医師に相談)

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