プライマリーナーシング:一貫した看護の提供

看護技術

プライマリーナーシング:一貫した看護の提供

病院での用語を教えて

先生、『プライマリーナーシング』って、どんな看護のやり方ですか?

体の健康研究家

いい質問だね。『プライマリーナーシング』は、患者さんが入院してから退院するまで、一人の看護師さんが責任を持って担当する看護のやり方だよ。患者さん一人ひとりに寄り添った看護ができるのが特徴なんだ。

病院での用語を教えて

へえー、患者さんの入院から退院まで、ずっと同じ看護師さんが見てくれるんですね!でも、大変じゃないですか?

体の健康研究家

確かに、責任も大きくなるし、大変な面もあるね。でも、その分、患者さんと深く関わることで、より質の高い看護を提供できたり、看護師自身も成長できたりするメリットもあるんだよ。

プライマリーナーシングとは。

「プライマリーナーシング」って何かご存知ですか? これは、患者さんが入院してから退院するまで、一人の看護師さんがずっと担当する看護のやり方のことです。1970年代にアメリカのミネソタ大学病院で初めて試されました。日本でも、この方法を取り入れている病院があります。

この方法には、良い点と難しい点があります。

良い点は、
* その患者さんに合った細やかな看護ができること、
* 患者さんとの信頼関係が築きやすく、責任感を持って看護にあたれること、
* 看護師さん自身の能力アップにつながること、
* 仕事のやりがいを感じやすいことなどが挙げられます。

一方、難しい点は、
* 一人の看護師さんが担当する患者さんの人数が増えてしまうこと、
* 看護師さん一人ひとりの責任が大きくなること、
* 他の看護師さんと患者さんの情報を共有する機会やコミュニケーションが減ってしまうこと、
* 看護師さんの能力に差が出やすくなってしまうことなどが考えられます。

ちなみに、看護のやり方には、プライマリーナーシング以外にも、「チームナーシング」や「モジュールナーシング」などがあります。

プライマリーナーシングとは

プライマリーナーシングとは

– プライマリーナーシングとは

病院に入院すると、検査や治療、食事や身の回りの世話など、様々な場面で看護師と接する機会があります。このような状況下で、患者さん一人ひとりに、より質の高い看護を提供するために生まれたのがプライマリーナーシングという看護方式です。

プライマリーナーシングでは、入院から退院まで、患者さん一人ひとりに担当の看護師がつきます。担当看護師は、患者さんの病気や症状、生活習慣、価値観などを理解し、患者さんにとって最適な看護計画を立てます。そして、計画に基づいて、患者さんやその家族とのコミュニケーションを密にとりながら、責任を持って看護を提供していきます。

この看護方式は、1970年代にアメリカのミネソタ大学病院で初めて導入されました。当時は、入院期間が長期化する傾向にあり、入院中に担当する看護師が頻繁に変わることが問題視されていました。そこで、患者さんとの継続的な関係を重視し、質の高い看護を提供するために、プライマリーナーシングが導入されたのです。

プライマリーナーシングでは、患者さんとの信頼関係を築くことができるため、安心して治療や療養に専念することができます。また、担当看護師が変化を早期に発見し、対応することで、合併症の予防や早期発見にもつながります。

項目 内容
定義 患者さん一人ひとりに、入院から退院まで担当看護師がつき、責任を持って看護を提供する看護方式。
目的 患者さんにより質の高い看護を提供すること。
担当看護師の役割 – 患者さんの病気や症状、生活習慣、価値観などを理解する。
– 患者さんにとって最適な看護計画を立てる。
– 患者さんやその家族とのコミュニケーションを密にとりながら、計画に基づいて看護を提供する。
歴史 – 1970年代にアメリカのミネソタ大学病院で初めて導入。
– 当時は入院期間が長期化する傾向にあり、入院中に担当する看護師が頻繁に変わることを問題視されていた。
メリット – 患者さんとの信頼関係を築くことができる。
– 患者さんは安心して治療や療養に専念できる。
– 担当看護師が変化を早期に発見し、対応することで、合併症の予防や早期発見につながる。

プライマリーナーシングのメリット

プライマリーナーシングのメリット

プライマリーナーシングとは、一人の患者さんに対して、入院から退院まで一人の看護師が担当として責任を持って看護を提供する看護提供方式です。従来の方式では、日勤・夜勤や病棟内の受け持ち区域などによって、患者さん一人に対して複数の看護師が交代で看護にあたっていました。しかし、プライマリーナーシングでは、一人の看護師が継続して担当することで、患者さんの性格や生活背景、病気の経過や治療に対する思いなどを深く理解することができます。その結果、患者さん一人ひとりの状態やニーズに合わせた、よりきめ細やかで質の高い看護を提供することが可能になります。

また、患者さんにとって、顔なじみの看護師が常に側にいてくれることは、安心感と信頼感に繋がり、不安や悩みを相談しやすくなります。看護師は、患者さんとの信頼関係を基盤に、病気の治療だけでなく、精神的なケアや生活指導など、多岐にわたるサポートを行うことができます。さらに、看護師自身にとっても、担当する患者さんの入院生活全体に関わることで、責任感とやりがいを感じながら、主体的に仕事に取り組むことができます。患者さんの状態の変化にいち早く気づき、適切な対応を取ることで、患者さんの回復を促し、より良い看護を提供できたという達成感を味わうことができます。

項目 従来の看護方式 プライマリーナーシング
担当看護師 複数人 一人
看護師と患者の関係性 日勤・夜勤や病棟内で交代するため、患者との関係が浅くなりがち 一人の看護師が継続して担当するため、患者と深く繋がれる
看護の特徴 標準化された看護を提供 患者の状態やニーズに合わせた、きめ細やかで質の高い看護を提供
患者側のメリット 安心感と信頼感を得られ、不安や悩みを相談しやすい
看護師側のメリット 責任感とやりがいを感じながら、主体的に仕事に取り組める
患者さんの回復を促し、より良い看護を提供できたという達成感を味わえる

プライマリーナーシングのデメリット

プライマリーナーシングのデメリット

プライマリーナーシングは、一人の看護師が患者さんの入院から退院までを一貫して担当することで、より深く患者さんを理解し、個別的なケアを提供できるという利点があります。しかし、導入にあたってはいくつかの課題も存在します。

まず、プライマリーナーシングでは、担当看護師の負担が大きくなる可能性があります。従来の看護体制では、複数の看護師で患者さんのケアを分担していましたが、プライマリーナーシングでは、入院期間全体を一人で担当するため、必然的に業務量が増加します。患者さんの容態によっては、夜勤や休日出勤なども増える可能性があり、担当看護師の精神的・肉体的負担は大きくなることが懸念されます。そのため、負担軽減のための体制作りが重要となります。例えば、担当看護師をサポートする補助的な役割の看護師を配置したり、業務を分担したりするなどの工夫が必要です。

また、プライマリーナーシングでは、担当看護師以外の看護師との情報共有や連携を密に行う必要があります。担当看護師が不在の間も、他の看護師が患者さんの状態を把握し、適切なケアを提供できるよう、情報共有をスムーズに行う必要があります。そのため、電子カルテの導入や定期的なカンファレンスの開催など、円滑なコミュニケーション体制を構築することが重要となります。

プライマリーナーシングを成功させるためには、これらの課題を克服し、患者さんにとっても看護師にとっても、より良い医療体制を構築していく必要があります。

項目 内容
メリット 看護師が患者を深く理解し、個別的なケアを提供できる
課題
  • 担当看護師の負担増加 (業務量増加、夜勤・休日出勤の可能性)
    • 対策: 補助看護師の配置、業務分担
  • 担当看護師以外の看護師との情報共有・連携の必要性
    • 対策: 電子カルテ導入、定期的なカンファレンス開催

プライマリーナーシングの現状

プライマリーナーシングの現状

日本の医療現場では、チーム全体で患者さんの看護を行うチームナーシングや、看護師の専門性を生かしたモジュールナーシングといった看護方式が主流となっています。その一方で、特定の看護師が継続して担当患者さんを受け持つ、プライマリーナーシングは、まだ広く普及しているとは言えません。

しかし、近年、患者さん一人ひとりのニーズに合わせた、より質の高い医療を提供する「患者中心の医療」への関心が高まっています。このような流れの中で、継続的な関係構築と、きめ細やかなケア提供を可能にするプライマリーナーシングは、改めて注目されています。 特に、長期にわたる治療やケアが必要となる慢性疾患や終末期医療の現場において、その効果が期待されています。

プライマリーナーシングでは、担当看護師が、患者さんの病気や治療に関することだけでなく、生活習慣や価値観、思いなどを深く理解した上で、ケアを提供します。そして、入院時から退院後まで、一貫して患者さんとその家族を支えていきます。

プライマリーナーシングを導入することで、患者さんとの信頼関係を築きやすくなるだけでなく、患者さん自身が、自身の健康に関与していく意識を高めることにも繋がります。また、担当看護師は、患者さんの変化にいち早く気づくことができ、質の高いケアを提供することに繋がります。さらに、他の医療従事者との連携もスムーズになり、より良いチーム医療の実現にも貢献すると考えられます。

看護方式 特徴 メリット デメリット
チームナーシング チーム全体で患者さんの看護を行う ・多くの医療従事者の視点からケアを提供できる
・情報共有や連携がしやすい
・患者との関係が断片的になりやすい
・責任の所在が不明確になりやすい
モジュールナーシング 看護師の専門性を生かした看護を行う ・専門的な知識や技術を生かしたケアを提供できる
・効率的なケア提供が可能
・患者との関係が断片的になりやすい
・全体的な視野でのケアが不足する可能性
プライマリーナーシング 特定の看護師が継続して担当患者を受け持つ ・患者との信頼関係を築きやすい
・患者一人ひとりのニーズに合わせたケアを提供できる
・患者自身の健康への関与を促せる
・他の医療従事者との連携がスムーズになる
・看護師の負担が大きくなる可能性がある
・担当看護師が不在時の対応が難しい
・プライマリー看護師の育成が必要

まとめ

まとめ

– まとめプライマリーナーシングは、従来の看護体制とは異なり、担当看護師が患者一人ひとりの入院から退院までの看護を責任を持って担当する体制です。この体制によって、患者との信頼関係を築きやすく、質の高い個別ケアを提供できるというメリットがあります。患者自身も、自分のことをよく理解している看護師に相談できるため、安心感を得られます。しかし、プライマリーナーシングを導入するには、いくつかの課題も存在します。まず、十分な数の看護師を確保する必要がある点が挙げられます。一人の看護師が複数の患者を受け持つ従来の体制と比べて、プライマリーナーシングではより多くの看護師が必要となるため、人材不足が深刻な医療現場では導入が難しい場合があります。また、看護師の教育体制の整備も欠かせません。患者一人ひとりの状態を的確に把握し、適切なケアを提供するためには、高度な知識や技術、そして責任感が求められます。このように、プライマリーナーシングはメリットだけでなく、導入における課題も存在します。そのため、医療機関はそれぞれの状況に合わせて、メリットとデメリットを十分に理解した上で、導入を検討していく必要があります。例えば、段階的に導入を進める、特定の病棟でのみ導入するなど、それぞれの医療機関の状況に合わせた柔軟な対応が求められます。

メリット デメリット
  • 患者との信頼関係を築きやすい
  • 質の高い個別ケアを提供できる
  • 患者に安心感を与える
  • 十分な数の看護師を確保する必要がある
  • 看護師の教育体制の整備が必要である

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