原因不明の発熱、その名は不明熱
病院での用語を教えて
先生、「不明熱」って聞いたことあるんだけど、どういう病気なんですか?
体の健康研究家
良い質問ですね。「不明熱」は、簡単に言うと、原因がはっきりしない熱が長く続く状態のことです。具体的には、高い熱が3週間以上も続いたり、何度も熱が出たりするのに、検査をしても原因がわからない場合を指します。
病院での用語を教えて
3週間も熱が続くのに、原因がわからないなんてことがあるんですね。怖い…
体の健康研究家
そうですね。原因を突き止めるのが難しい病気の一つなんです。ただし、「不明熱」にもいくつかの種類があって、患者さんの状態によって、さらに詳しく調べていく必要があるんですよ。
不明熱とは。
『不明熱』っていう言葉、お医者さんとか健康についてで使われるんだけど、これは原因がよくわからないのに高い熱が長く続く状態のことなんだって。具体的にどんな感じかっていうと、まず熱が3週間以上も下がらない。しかも、38度以上の熱が何回も出たりするんだ。それから、病院に行ったり入院したりして、血液検査とか色んな検査をしても、熱の原因がさっぱりわからない。こういう場合に『不明熱』って言うんだって。
で、この『不明熱』なんだけど、今はもっと細かく分けられるようになってるんだ。昔からのタイプの『不明熱』や、白血球が減ってる時の『不明熱』、入院中に起きる『不明熱』、それから、『HIV』っていう病気の人に見られる『不明熱』って具合にね。
不明熱とは何か
体温が上がり、体がだるくて熱っぽさを感じると、誰でも不安になりますよね。多くは風邪やインフルエンザといった、原因がはっきりとした病気であることが多いですが、中には原因が分からず、高い熱が長く続くことがあります。これが「不明熱」と呼ばれるものです。
不明熱とは、医学的には「原因不明の発熱」を意味し、文字通り、検査をしても熱の原因が特定できない状態を指します。一般的には、38度以上の発熱が3週間以上続き、1週間入院して検査を続けても原因が分からない場合に、不明熱と診断されます。
風邪やインフルエンザなどは、ウイルス検査で原因ウイルスが特定でき、比較的短期間で解熱することがほとんどです。しかし、不明熱は原因が特定できないため、治療法も原因に対するものとは限りません。場合によっては、対症療法で熱を下げながら、経過観察を行うこともあります。
原因不明の熱が続くという状況は、患者にとって大きな不安や負担となる可能性があります。不明熱は、比較的まれな病気ではありますが、その背後には、感染症、膠原病、悪性腫瘍など、様々な病気が隠れている可能性も考えられます。そのため、自己判断はせず、医療機関を受診し、医師の診断を受けることが重要です。
項目 | 説明 |
---|---|
定義 | 検査をしても熱の原因が特定できない状態 |
診断基準 | 38度以上の発熱が3週間以上続き、1週間入院して検査を続けても原因が分からない場合 |
原因 | 特定できないが、感染症、膠原病、悪性腫瘍などの可能性も |
治療法 | 原因に対するものとは限らず、対症療法で熱を下げながら経過観察を行うことも |
不明熱の診断基準
体温が上がり、体がだるい、食欲がないなど、風邪のような症状が長引くと、誰でも不安な気持ちになるでしょう。医療現場では、このような原因不明の発熱を診断する上で、「不明熱」という診断基準を設けています。
まず、発熱が3週間以上続くことが、不明熱と診断される上での前提条件となります。3週間という期間は、一般的な風邪やインフルエンザなどの感染症が治癒するまでの期間をはるかに超えているため、他の病気が潜んでいる可能性が高いと判断されます。
さらに、何度か38度以上の高熱が出ることも重要な判断基準となります。高熱は体の防御反応として起こることもありますが、繰り返し高熱が出る場合は、体に何らかの異常が起きているサインかもしれません。
そして、最も重要なのが、様々な検査を行っても原因が特定できないという点です。具体的には、まず、患者さんは、症状が出てから3回以上、医療機関を受診し、診察や検査を受けます。それでも原因がわからない場合は、入院してさらに詳しい検査を行います。血液検査や画像検査など、様々な角度から原因を突き止めようとしますが、それでも原因が特定できない場合に、初めて「不明熱」と診断されるのです。
このように、「不明熱」と診断されるには、厳密な基準が設けられています。原因不明の発熱が続く場合は、自己判断せず、医療機関を受診し、医師の診断を仰ぐようにしましょう。
不明熱の診断基準 | 詳細 |
---|---|
発熱期間 | 3週間以上続く |
発熱の程度 | 何度か38度以上の高熱が出る |
検査結果 | 様々な検査(診察、血液検査、画像検査など)を行っても原因が特定できない |
不明熱の種類
体温が平熱以上に上昇した状態を発熱といいますが、発熱の原因がはっきりとしない場合、「不明熱」と診断されます。不明熱と一言でいっても、その原因や背景は実に様々で、患者さんの状態や発熱のパターンも千差万別です。そのため、原因究明のためにも、不明熱はいくつかの種類に分類されています。
古くから知られる「古典的な不明熱」は、1961年にピータースドルフとビーソンという二人の医師によって提唱された定義に基づいています。このタイプの不明熱は、3週間以上にわたって体温が38度以上の状態が続き、なおかつ入院後1週間の検査を行っても原因が特定できない場合を指します。原因としては、細菌やウイルス、真菌などによる感染症や、癌などの悪性腫瘍、そして関節リウマチなどの膠原病などが考えられます。
一方、近年増加傾向にあるのが、免疫力が低下した状態の人にみられる不明熱です。例えば、臓器移植後や抗がん剤治療中など、免疫抑制剤を使用している場合や、エイズなどの免疫不全症が原因で免疫力が低下していると、通常では感染症を起こさないような弱い病原体によって発熱することもあります。
また、入院中に初めて発熱がみられ、その原因が入院する前に遡れない場合、「院内感染による不明熱」の可能性があります。院内には様々な病原体が存在するため、抵抗力の弱い患者さんでは感染症のリスクが高まります。
さらに、エイズの原因ウイルスであるHIVに感染した患者さんにみられる不明熱もあります。HIVは免疫細胞を破壊してしまうため、様々な感染症にかかりやすくなるだけでなく、悪性腫瘍の発生リスクも高まります。
このように、不明熱は原因や背景によっていくつかの種類に分類され、それぞれ異なる特徴を持っています。そのため、適切な治療を行うためには、それぞれのタイプの不明熱の特徴を理解し、原因を特定するための詳細な検査が必要です。
不明熱の種類 | 特徴 | 原因 |
---|---|---|
古典的な不明熱 | 3週間以上にわたり体温が38度以上、入院後1週間の検査でも原因不明 | 細菌、ウイルス、真菌、悪性腫瘍、膠原病など |
免疫力低下に伴う不明熱 | 免疫抑制剤の使用や免疫不全症により免疫力が低下した人に発生 | 日和見感染など |
院内感染による不明熱 | 入院中に初めて発熱がみられ、入院前の原因に遡れない | 院内に存在する様々な病原体 |
HIV感染に伴う不明熱 | HIV感染による免疫力低下により発生 | 様々な感染症、悪性腫瘍など |
不明熱の原因
体温が長く続くにも関わらず、その原因が特定できない状態を不明熱と呼びます。不明熱を引き起こす原因は実に様々であり、医師は患者さんの症状や検査結果を総合的に判断して診断を進めていきます。
まず、考えられる原因の一つに感染症が挙げられます。感染症は、目に見えない小さな生き物である細菌やウイルス、カビの一種である真菌、そして体内に住み着く寄生虫など、様々な病原体によって引き起こされます。これらの病原体が体に侵入することで、発熱などの症状が現れることがあります。
次に、悪性腫瘍も原因として考えられます。悪性腫瘍は、体の一部で細胞が異常に増殖し続ける病気です。白血球が腫瘍化する白血病や、リンパ節に腫瘍ができるリンパ腫などは、発熱を伴うことがあります。
さらに、膠原病も忘れてはなりません。膠原病は、体が自分自身の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。関節に炎症が起こる関節リウマチや、皮膚や内臓に炎症が起こる全身性エリテマトーデスなどは、高熱が続くことがあります。
その他にも、服用した薬剤の副作用によって発熱する場合や、原因がはっきりと特定できない炎症性疾患が隠れている場合もあります。このように、不明熱の原因は多岐にわたるため、自己判断はせずに、医療機関を受診し、医師の診察を受けることが重要です。
不明熱の原因 | 詳細 |
---|---|
感染症 | 細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などによる感染 |
悪性腫瘍 | 白血病、リンパ腫など、細胞が異常に増殖する病気 |
膠原病 | 関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど、自己免疫疾患 |
薬剤の副作用 | 服用した薬によって発熱 |
炎症性疾患 | 原因が特定できない炎症 |
不明熱の検査
体温が一定期間以上にわたり高い状態が続き、その原因がはっきりとしない状態を不明熱と呼びます。不明熱の原因を突き止めるためには、医師による詳細な問診や診察に加えて、様々な検査が必要となります。
まず初めに、血液検査、尿検査といった基本的な検査が行われます。血液検査では、炎症の程度や貧血の有無、肝臓や腎臓の機能などを調べます。尿検査では、尿路感染症や腎臓の病気など、尿に関する異常がないかを調べます。これらの検査で何らかの異常が見つかった場合、それを手がかりに、さらに詳しい検査が行われます。
次に、画像検査を行います。画像検査には、レントゲン、CT検査、MRI検査などがあり、体の内部の状態を詳しく調べることができます。レントゲン検査は、主に肺や心臓、骨などの異常を調べるために用いられます。CT検査は、レントゲンよりも詳細な体の内部の情報を断層画像として得ることができ、臓器や血管などの異常を調べます。MRI検査は、磁場と電波を用いて体の内部を画像化する検査で、脳や脊髄、筋肉、関節などの異常を調べます。これらの画像検査によって、炎症や腫瘍、骨折などの有無を調べます。
これらの検査に加え、原因究明のために組織の一部を採取して調べる生検を行うこともあります。生検は、腫瘍や炎症が疑われる部分の細胞や組織を採取し、顕微鏡で観察することで、病気の診断を確定する検査です。
さらに、状況によっては、骨髄検査や腹腔鏡検査といった、より専門的な検査が必要となることもあります。骨髄検査は、骨髄液を採取して血液の病気やがんなどの有無を調べる検査です。腹腔鏡検査は、お腹に小さな穴を開けて腹腔鏡と呼ばれるカメラを挿入し、臓器の状態を直接観察する検査で、原因不明の腹痛や腫瘍の診断などに用いられます。
これらの検査結果と、医師による診察 findings を総合的に判断することで、不明熱の原因となる病気を特定し、適切な治療法を決定します。不明熱は、比較的ありふれた症状である一方、その背後には様々な病気が潜んでいる可能性があります。自己判断は危険ですので、医療機関を受診し、医師の指示に従うようにしてください。
検査の種類 | 目的 | 詳細 |
---|---|---|
血液検査 | 炎症の程度、貧血、肝臓・腎臓機能の確認 | 炎症反応、貧血の有無、肝機能、腎機能などを評価します。 |
尿検査 | 尿路感染症、腎臓の病気の確認 | 尿中の白血球、赤血球、細菌などを検出します。 |
レントゲン検査 | 肺、心臓、骨の異常確認 | 主に肺結核、肺炎、心臓肥大、骨折などを発見します。 |
CT検査 | 臓器、血管の異常確認 | レントゲンよりも詳細な断層画像から、腫瘍、炎症、出血などを発見します。 |
MRI検査 | 脳、脊髄、筋肉、関節の異常確認 | 脳腫瘍、脳梗塞、脊髄損傷、靭帯損傷などを発見します。 |
生検 | 組織の異常確認 | 採取した組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無などを確認します。 |
骨髄検査 | 血液の病気、がんの有無の確認 | 骨髄液中の細胞を採取し、白血病、悪性リンパ腫などを診断します。 |
腹腔鏡検査 | 臓器の状態の直接観察 | 腹腔内に挿入したカメラで、臓器の腫瘍、炎症、出血などを確認します。 |
不明熱の治療
不明熱の治療は、その原因によって大きく異なります。原因を特定することが何よりも重要であり、検査の結果に基づいて適切な治療法が選択されます。
まず、細菌やウイルスなどの感染症が疑われる場合には、原因となる病原体に合わせて抗菌薬や抗ウイルス薬などが処方されます。例えば、細菌感染が疑われる場合には、広範囲の細菌に効果のある抗菌薬が使用され、その後の培養検査の結果によって、より適切な種類の抗菌薬に変更されることがあります。
次に、悪性腫瘍が原因で発熱している場合には、腫瘍の種類や進行度に応じて、手術、化学療法、放射線療法などを組み合わせた治療が行われます。腫瘍によって体力が著しく低下している場合には、集中的な栄養療法や支持療法なども併用して、治療による負担を軽減することが重要です。
また、関節リウマチなどの膠原病が原因で発熱している場合には、炎症を抑えるためにステロイド薬や免疫抑制薬などが用いられます。これらの薬は、症状をコントロールするために長期にわたって服用する必要があり、副作用にも注意が必要です。
一方で、様々な検査を行っても原因が特定できない原因不明熱の場合には、解熱鎮痛薬などで症状を和らげながら、経過を観察することがあります。原因不明熱の中には、自然に治癒するものもあるため、安易に薬を処方するよりも、経過観察をしながら慎重に対応することが重要です。
原因 | 治療法 | 備考 |
---|---|---|
感染症 (細菌、ウイルスなど) |
・抗菌薬 ・抗ウイルス薬など ・原因となる病原体に合わせた治療 |
・培養検査の結果によって薬剤を変更する場合あり |
悪性腫瘍 | ・手術 ・化学療法 ・放射線療法 ・栄養療法 ・支持療法など ・腫瘍の種類や進行度に合わせた治療 |
・体力の低下が著しい場合は、負担軽減のための治療も重要 |
膠原病 (関節リウマチなど) |
・ステロイド薬 ・免疫抑制薬など |
・長期服用による副作用に注意が必要 |
原因不明熱 | ・解熱鎮痛薬 ・経過観察 |
・自然治癒する可能性もあるため、安易な薬剤投与は避ける |