知っておきたい失禁の種類と原因
病院での用語を教えて
先生、「失禁」ってどういう意味ですか?よく聞く言葉だけど、よくわからないんです。
体の健康研究家
そうだね。「失禁」は簡単に言うと、自分の意思とは関係なく、おしっこやうんちが出てしまうことなんだよ。
病院での用語を教えて
えー!そんなことってあるんですか?
体の健康研究家
そうなんだ。病気や体の機能が弱くなったりすることで、起こることがあるんだよ。例えば、風邪をひいてトイレに間に合わなかった、なんていうのも軽い失禁と言えるかもしれないね。
失禁とは。
「失禁」という言葉は、医学や健康の分野で使られる言葉で、自分の意思とは関係なく、おしっこやうんちが漏れてしまうことを指します。おしっこが漏れる場合は「尿失禁」、うんちが漏れる場合は「便失禁」と呼びます。一般的に「失禁」というと、このおしっことうんちが漏れることをまとめて指しますが、心の病気の分野では、感情が抑えきれずに出てしまうことを「感情失禁」と呼ぶこともあります。
失禁とは
– 失禁とは失禁とは、自分の意思とは関係なく、尿や便が漏れてしまう状態を指します。通常、私たちは膀胱に尿がたまると、その感覚が脳に伝わります。そして、トイレに行きたいと感じ、適切な場所とタイミングで排尿することができます。これは、脳からの指令によって、膀胱を収縮させる筋肉と、尿道を開閉する筋肉が協調して働くことで成り立っています。
しかし、加齢や病気、出産など、様々な要因によって、この排尿のコントロールがうまくいかなくなることがあります。例えば、膀胱を収縮させる筋肉が弱くなったり、尿道周りの筋肉が緩んでしまったりすると、尿意を感じにくくなったり、咳やくしゃみなど、お腹に力が入った際に尿が漏れてしまうことがあります。これが尿失禁です。
便の場合も同様に、通常は直腸に便がたまると、その感覚が脳に伝わります。そして、便意を感じ、適切な場所とタイミングで排便することができます。しかし、直腸や肛門の周りの筋肉が弱くなったり、神経が障害を受けたりすると、便意を感じにくくなったり、便を我慢することが難しくなったりします。これが便失禁です。
失禁は、日常生活に支障をきたすだけでなく、精神的な負担も大きいものです。一人で悩まずに、医療機関に相談することをおすすめします。
通常の排泄の仕組み | 失禁の原因 | 失禁の症状 | |
---|---|---|---|
尿失禁 | 膀胱に尿がたまると脳に伝わり、膀胱を収縮させる筋肉と尿道を開閉する筋肉が協調して排尿する | 加齢、病気、出産などにより膀胱や尿道周りの筋肉が弱くなる | 尿意を感じにくくなる 咳やくしゃみなどで尿が漏れる |
便失禁 | 直腸に便がたまると脳に伝わり、便意を感じて排便する | 直腸や肛門の周りの筋肉が弱くなる 神経が障害を受ける |
便意を感じにくくなる 便を我慢することが難しくなる |
尿失禁の種類
尿失禁は、実に多くの人が経験する症状ですが、その種類や原因はさまざまです。大きく分けて四つの種類があり、それぞれ異なるメカニズムで起こります。
まず、「腹圧性尿失禁」は、その名の通り、お腹に圧力がかかった際に尿が漏れてしまう状態を指します。くしゃみや咳、重いものを持ち上げる動作、運動など、日常生活の些細な動作で起こることが特徴です。
次に、「切迫性尿失禁」は、強い尿意に我慢できずに尿が漏れてしまうことを言います。突然、激しい尿意に襲われ、トイレに駆け込もうとしても間に合わないケースが多く見られます。
三つ目は、「溢流性尿失禁」と言い、膀胱に尿が過剰に溜まり、その結果、溢れ出るように尿が漏れてしまう状態です。常に少量の尿漏れが続く、残尿感があるといった症状が現れます。
最後に、「機能性尿失禁」は、認知症や身体的な障害などによって、トイレに行くこと自体が困難なために起こる尿失禁です。
このように尿失禁には様々な種類があり、その原因や症状も多岐にわたります。自己判断せず、まずは専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
尿失禁の種類 | 説明 |
---|---|
腹圧性尿失禁 | お腹に圧力がかかった際(くしゃみや咳、運動など)に尿が漏れる |
切迫性尿失禁 | 強い尿意に我慢できずに尿が漏れる |
溢流性尿失禁 | 膀胱に尿が過剰に溜まり、溢れ出るように尿が漏れる |
機能性尿失禁 | 認知症や身体的な障害などによって、トイレに行くことが困難なために起こる |
便失禁の種類
便失禁は大きく分けて二つの種類に分類されます。一つは「機能性便失禁」、もう一つは「便意喪失性便失禁」です。
機能性便失禁は、認知症や老化による身体機能の衰えなどが原因で起こります。具体的には、便意は感じるものの、トイレまで我慢ができなかったり、移動が困難で間に合わなかったりする場合に起こります。
一方、便意喪失性便失禁は、直腸に便が溜まってもその感覚が弱くなり、便意を感じにくくなることが原因で起こります。そのため、便が漏れていることに気づかない場合もあります。
どちらの便失禁も、生活の質を著しく低下させてしまう可能性があります。もし、便失禁の症状が見られる場合は、一人で悩まずに、医療機関に相談することをお勧めします。
分類 | 原因 | 詳細 |
---|---|---|
機能性便失禁 | 認知症や老化による身体機能の衰え | 便意は感じるが、トイレまで我慢できなかったり、移動が困難で間に合わなかったりする。 |
便意喪失性便失禁 | 直腸に便が溜まっても感覚が弱くなる | 便意を感じにくくなり、便が漏れていることに気づかない場合もある。 |
失禁の原因
– 失禁の原因失禁は、年齢を重ねること、出産、体重の増加、病気など、実にさまざまな原因で起こります。加齢によって、膀胱や腸の筋肉が衰え、尿や便をためておく力、そして、排泄を我慢する力が低下してしまうことがあります。 特に高齢になると、このような変化が顕著に現れることがあります。出産は、特に経腟分娩の場合、骨盤の底にある筋肉の集まりである骨盤底筋群がダメージを受けやすく、尿漏れのリスクが高まります。 骨盤底筋群は、膀胱や子宮などを支える役割を担っており、出産時に大きな負担がかかります。体重が増加すると、お腹にかかる圧力が高まり、膀胱や腸への負担も大きくなるため、失禁のリスクが高まります。 特に、肥満の方は注意が必要です。また、糖尿病は、神経の働きに影響を与えるため、膀胱の感覚が鈍くなったり、尿意を感じにくくなったりすることがあります。 その結果、尿漏れが起こりやすくなることがあります。さらに、脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患も、脳からの排泄のコントロール信号がうまく伝わらなくなるため、失禁を引き起こすことがあります。男性の場合、前立腺肥大症によって尿道が圧迫され、尿が出にくくなることがあります。 その結果、膀胱が過剰に活動してしまい、尿漏れが起こる場合があります。このように、失禁の原因は多岐にわたります。もし、尿漏れや便漏れが気になる場合は、一人で悩まずに、医療機関を受診して、適切なアドバイスや治療を受けるようにしましょう。
原因 | 説明 |
---|---|
加齢 | 膀胱や腸の筋肉が衰え、尿や便をためておく力、排泄を我慢する力が低下する。 |
出産 | 骨盤底筋群がダメージを受け、尿漏れのリスクが高まる。 |
体重増加 | お腹にかかる圧力が高まり、膀胱や腸への負担が大きくなる。 |
糖尿病 | 神経の働きに影響を与え、膀胱の感覚が鈍くなったり、尿意を感じにくくなる。 |
脳卒中、パーキンソン病などの神経疾患 | 脳からの排泄のコントロール信号がうまく伝わらなくなる。 |
前立腺肥大症(男性) | 尿道が圧迫され、尿が出にくくなり、膀胱が過剰に活動する。 |
失禁の治療法
失禁の治療は、その原因や症状の程度、そして失禁の種類によって一人一人に合った治療法を選択することが重要です。
もし、症状が軽い場合は、生活習慣の見直しや運動療法などのセルフケアで症状が改善する可能性があります。
具体的には、一日の水分摂取量を適切に調整すること、尿意を感じたら我慢せずにトイレに行くこと、そして便秘を解消することなどが効果的です。
また、骨盤底筋体操も、骨盤底筋を鍛えることで膀胱を支える力を強化し、尿漏れを防ぐ効果が期待できます。
しかし、これらのセルフケアを試みても効果が見られない場合や、中等度以上の失禁の場合は、医師による治療が必要となります。
薬物療法では、膀胱の筋肉の緊張を和らげ、尿意を抑える薬や、尿道を収縮させて尿漏れを防ぐ薬などが処方されます。
さらに、手術療法では、尿道を持ち上げて支える手術や、人工尿道括約筋を埋め込む手術など、様々な方法があります。
重要なのは、自己判断せずに、まずは医師に相談し、適切な治療法を見つけることです。
失禁の程度 | 治療法 | 具体的な方法 |
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軽度 | セルフケア |
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薬物療法 |
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中等度以上 | 手術療法 |
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