皮膚排泄ケア:看護師の重要な役割
病院での用語を教えて
先生、「皮膚排泄ケア」って、具体的にどんなことをするんですか? 難しい言葉が多くて、よくわからないんです…
体の健康研究家
そうだね。「皮膚排泄ケア」は、傷や手術で作った排泄口(おしっこやうんちが出てくるところ)の周りの皮膚を清潔に保つケアのことだよ。例えば、褥瘡(床ずれ)ができてしまった時のケアや、人工肛門の周りの皮膚を清潔に保つことなどが含まれるんだ。
病院での用語を教えて
なるほど!傷のケアだけじゃなくて、排泄口の周りのケアも含まれているんですね。具体的にどんなことをするんですか?
体の健康研究家
そうだね。傷口を清潔に保つための洗浄や消毒、薬を塗ったり、特別なシートを貼ったりするケアもあるよ。排泄口の周りには、排泄物が漏れて皮膚が炎症を起こしやすいため、皮膚の状態をよく観察して、適切なケアをすることが大切なんだ。
皮膚排泄ケアとは。
「皮膚排泄ケア」は、医療や健康の分野で使われる言葉で、床ずれなどの傷や、人工肛門や人工膀胱といったストーマ、そして尿や便がもれてしまう失禁といった、体の排泄に関するケア全体を指します。傷を意味する英語の「Wound」、ストーマを意味する「Ostomy」、失禁を意味する「Continence」のそれぞれの頭文字をとって「WOCケア」と呼ばれることもあります。
皮膚排泄ケアは、看護師の仕事の中でも特に重要なものの一つとされています。看護師の専門性を高めるための資格として、日本看護協会が認定しているものの一つに「皮膚・排泄ケア認定看護師」があります。これは、救急看護師と並んで、日本で最も早く認定が始まった専門分野です。
元々は、ストーマの手入れをする専門家たちの活動から始まりました。ストーマの周りは、排泄物や漏れ出たものによって皮膚のトラブルが起きやすい場所です。そこで、ストーマのケアとその周りのスキンケアを中心に、床ずれなどの傷の管理まで範囲を広げて確立されたのが、現在の皮膚排泄ケアという分野です。
「皮膚・排泄ケア認定看護師」は、1997年から日本看護協会が認定を行っています。担当する範囲は、「床ずれなどの傷の管理とストーマ、失禁などの排泄の管理」や「患者さんとその家族が自分で行う管理やケア」です。2017年7月時点での認定看護師の数は2,286人で、最も多い感染管理認定看護師(2,529人)に次いで2番目に多い認定数となっています。
皮膚排泄ケアとは
– 皮膚排泄ケアとは皮膚排泄ケアとは、皮膚のトラブルや排泄に関するケア全般を指します。具体的には、寝たきりなどによって体重がかかる部分が圧迫されてしまうことで起こる床ずれや、怪我などによって皮膚が傷ついた状態である創傷、手術によって腹部に作られた人工肛門や人工膀胱であるストーマ、そして、自分の意思とは関係なく尿や便が漏れてしまう失禁などが挙げられます。これらの症状は、患者さん自身の生活の質を大きく左右する可能性があります。例えば、床ずれや創傷があると痛みを伴うだけでなく、そこから細菌が入り込み、感染症を引き起こす可能性もあります。また、ストーマや失禁は、患者さんに精神的な苦痛や恥ずかしさを感じさせてしまう可能性があります。看護師は、患者さんがこれらの症状を抱えながらも、できるだけ快適に過ごせるように、適切なケアを提供する必要があります。具体的には、床ずれや創傷の予防と治療、ストーマの管理、失禁のケアなどを行います。これらのケアを通して、患者さんの身体的な負担を軽減するだけでなく、精神的なサポートも行うことが重要です。皮膚排泄ケアは、患者さんの尊厳を守り、その人らしい生活を支える上で非常に重要な役割を担っています。
皮膚排泄ケアの対象 | 具体的な症状 | 起こりうる問題 |
---|---|---|
寝たきりなどによる皮膚への圧迫 | 床ずれ | 痛み、感染症のリスク |
怪我などによる皮膚の損傷 | 創傷 | 痛み、感染症のリスク |
手術による排泄口の設置 | ストーマ(人工肛門、人工膀胱) | 精神的な苦痛、羞恥心 |
尿や便の漏出 | 失禁 | 精神的な苦痛、羞恥心 |
WOCケアとの関係
皮膚から体外へ便や尿が排出されることを「皮膚排泄」と言います。この皮膚排泄のケアは、創傷(Wound)、ストーマ(Ostomy)、失禁(Continence)のそれぞれの頭文字をとって「WOCケア」と呼ばれることがあります。
では、なぜ皮膚排泄ケアは「WOCケア」と呼ばれるのでしょうか。それは、皮膚排泄に深く関わる「創傷」「ストーマ」「失禁」の3つの要素に対して、総合的にケアを行う必要があるからです。
例えば、創傷がある場合、その部位は皮膚のバリア機能が低下しており、感染や炎症を起こしやすくなっています。また、ストーマを造設している場合は、人工的に排泄口を設けているため、周囲の皮膚は常に便や尿にさらされ、炎症や皮膚障害のリスクが高まります。さらに、失禁がある場合も、皮膚が長時間、尿や便に接触することで、皮膚の炎症やびらんを引き起こす可能性があります。
このように、「創傷」「ストーマ」「失禁」はそれぞれ密接に関係しており、皮膚排泄ケアにおいては、これら3つの要素を総合的に考慮したケアが不可欠と言えるでしょう。それぞれの状態に合わせた適切なケアを行うことで、皮膚トラブルを予防し、患者さんのQOL(生活の質)向上を目指します。
要素 | 皮膚排泄ケアとの関連 |
---|---|
創傷(Wound) | 皮膚のバリア機能低下による感染・炎症リスク増加 |
ストーマ(Ostomy) | 人工排泄口周囲の皮膚への便・尿接触による炎症・皮膚障害リスク増加 |
失禁(Continence) | 皮膚への尿・便の長時間接触による炎症・びらんリスク増加 |
歴史的背景
– 歴史的背景
皮膚排泄ケアは、本来、ストーマケアを行う専門職の分野から発展しました。ストーマとは、手術により腹部などに人工的に作られた排泄口のことです。ストーマ周囲の皮膚は、排泄物やその漏出によって刺激を受けやすく、炎症やかぶれなどの皮膚トラブルが生じやすいという特徴があります。そのため、ストーマケアの現場では、ストーマの管理と並行して、皮膚を保護し清潔に保つためのスキンケアが非常に重要視されてきました。
当初はストーマケアの一環として行われていたスキンケアですが、その技術や知識は、次第に他の医療現場にも応用されるようになります。特に、寝たきりなどで長時間同じ姿勢を強いられる患者さんに多く見られる褥瘡(床ずれ)は、皮膚排泄ケアの知識と技術を用いることで予防や改善が期待できることが明らかになりました。
こうして、ストーマケアから始まったスキンケアは、褥瘡などの創傷管理にも応用され、専門性を高めながら発展を遂げ、今日の皮膚排泄ケア領域として確立しました。今では、皮膚排泄に関連するあらゆる問題に対応する包括的なケアとして、医療現場において重要な役割を担っています。
皮膚・排泄ケア認定看護師
日本の看護の現場では、患者さんの皮膚や排泄に関するケアの質を高めるために、様々な取り組みが行われています。その中でも、日本看護協会が1997年から認定している「皮膚・排泄ケア認定看護師」は、質の高いケアを提供できる専門性の高い看護師として、重要な役割を担っています。
皮膚・排泄ケア認定看護師は、救急看護と並んで最も早く始まった認定制度であり、その歴史と実績は、多くの患者さんの生活の質の向上に貢献してきました。
認定看護師は、「褥瘡」と呼ばれる、寝たきりなどで体が圧迫されることでできる傷や、そのほかの傷の管理、人工的に排泄するための「ストーマ」や、尿や便が漏れてしまう「失禁」に関する排泄の管理など、専門的な知識と技術を必要とする分野を担当します。
さらに、患者さんやその家族が、自分自身で体の状態を管理し、ケアを行うことができるように、「自己管理」や「セルフケア」についても、指導や支援を行います。
このように、皮膚・排泄ケア認定看護師は、患者さんが尊厳を保ちながら、その人らしい生活を送ることができるように、専門的な立場から、きめ細やかなケアを提供しています。
認定看護師 | 役割 | 具体的なケア内容 |
---|---|---|
皮膚・排泄ケア認定看護師 | 質の高い皮膚・排泄ケアを提供できる専門性の高い看護師 |
|
認定看護師の現状
– 認定看護師の現状2017年7月時点で、傷や褥瘡の予防、治療、ケアなどを行う皮膚・排泄ケア認定看護師は2,286人と、病院などにおける感染症対策の専門家である感染管理認定看護師(2,529人)に次いで2番目に多い認定数となっています。これは、近年、医療現場において、患者さんの日常生活の質(QOL)向上のために、皮膚・排泄ケアの重要性に対する認識が高まっていることを示しています。高齢化社会の進展に伴い、寝たきりや要介護の状態にある高齢者が増加しています。このような方々は、皮膚トラブルや排泄に関する問題を抱えやすく、専門的なケアの必要性が高まっています。皮膚・排泄ケア認定看護師は、豊富な知識と経験に基づき、褥瘡の予防や治療、失禁ケア、人工肛門・人工膀胱のケアなど、幅広い分野で専門的な看護を提供しています。また、チーム医療においても、医師や薬剤師、理学療法士など、他の医療従事者と連携し、患者さん一人ひとりに合わせた最適なケアを提供する役割を担っています。今後、ますます高齢化が進む中で、皮膚・排泄ケア認定看護師の需要はさらに高まると予想されます。患者さんの生活の質を維持・向上するため、専門性の高い看護師の育成がますます重要となるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
皮膚・排泄ケア認定看護師とは | 傷や褥瘡の予防、治療、ケアなどを行う専門性の高い看護師 |
現状 | 2017年7月時点で2,286人と感染管理認定看護師に次いで2番目に多い認定数 |
背景 |
|
役割 |
|
今後の展望 | 高齢化の進展により、需要が高まり、専門性の高い看護師の育成が重要となる |