「せ」

脳・神経

思考と行動の司令塔:前頭葉

私たちの脳は、まるで精巧な機械のように、多くの部位が複雑に連携し合って様々な機能を果たしています。その中でも、額のすぐ後ろに位置する前頭葉は、人間の思考や行動を司る最高司令官と例えられます。 前頭葉は、脳全体の約3分の1を占める、最も大きく発達した領域です。この領域は、まるで巨大なオーケストラを統率する指揮者のように、他の脳の部位からの情報を統合し、思考、判断、計画、実行といった高度な認知機能をコントロールしています。 具体的には、何かを考えたり、計画を立てたり、問題を解決したりする際には、前頭葉が中心的な役割を担います。また、周囲の状況を理解し、適切な行動を選択するのも前頭葉の重要な機能です。さらに、喜怒哀楽といった感情をコントロールし、社会的な場面で適切な行動をとる際にも、前頭葉は深く関わっています。 このように、前頭葉は、私たちが人間らしく思考し、行動するために欠かせない、非常に重要な役割を担っているのです。
外科

脊椎麻酔:その仕組みと効果

- 脊椎麻酔とは脊椎麻酔は、手術や処置の際に体の特定の部分の感覚を一時的に麻痺させる方法で、局所麻酔の一種です。正式には「脊髄くも膜下麻酔」と呼ばれ、その仕組みは、背中の腰の部分に針を刺し、脊髄を包む膜の一つであるくも膜下腔という場所に麻酔薬を直接注入することによって行われます。脊椎麻酔の最大の利点は、手術部位だけにピンポイントで効果があることです。そのため、全身麻酔と比べて体への負担が少なく、術後の回復も早い傾向があります。また、意識がはっきりしているため、医師と会話しながら手術を受けることも可能です。この麻酔法は、主に下半身の手術に用いられます。例えば、帝王切開、股関節や膝関節の人工関節置換術、前立腺や子宮などの骨盤内手術などが挙げられます。また、下肢の骨折や手術後、あるいは慢性疼痛の治療にも用いられることがあります。しかし、脊椎麻酔は全ての患者さんに行えるわけではありません。出血傾向がある方や、特定の薬を服用している方、あるいは感染症がある方などは、この麻酔法が適さない場合があります。医師は、患者さんの状態を総合的に判断し、最適な麻酔方法を選択します。
その他

染色体異常:数の異常と構造の異常

私たちの体は、ごく小さな単位である細胞が集まってできています。細胞の一つ一つには核と呼ばれるさらに小さな構造があり、この核の中に、私たちの姿形や性質などに関する情報である遺伝情報が大切に保管されています。この遺伝情報を担っている物質がDNAです。 DNAは、デオキシリボ核酸と呼ばれる非常に長い糸状の物質で、もし伸ばすと全長2メートルにもなります。そのままではとても小さな核の中に収まりきらないため、普段は糸巻きのようにタンパク質に巻き付いたり折り畳まれたりしてコンパクトに収納されています。そして、細胞が分裂する時には、DNAはさらにギュッと凝縮されて棒状の姿に変身します。これが染色体です。 染色体は、遺伝情報を次の世代の細胞に正確に伝えるために非常に重要な役割を担っています。染色体を作るタンパク質は、DNAを保護したり、遺伝情報の読み出しを調節したりするなど、様々な働きをしています。染色体の数や形は生物の種類によって異なっており、私たち人間の場合には、1つの細胞の中に46本の染色体を持っています。
その他

命に関わる感染症:敗血症とは

- 敗血症とは敗血症は、体の中に侵入した細菌やウイルス、真菌といった微生物が引き起こす感染症に対して、体が過剰に防御反応を起こしてしまうことで発症する、深刻な病気です。 通常、私たちの体は、これらの微生物が体内に入ると、免疫システムが働き、撃退しようとします。しかし、この免疫反応がコントロールを失い、過剰に働いてしまうことがあります。その結果、全身に激しい炎症が広がり、様々な臓器に悪影響を及ぼしてしまうのです。敗血症の初期症状としては、高熱や chills(悪寒)、心拍数の増加、呼吸数の増加などが挙げられます。 また、感染源となる傷口の発赤や腫れ、痛みなどがみられることもあります。 さらに症状が進行すると、意識レベルの低下や血圧の低下、尿量の減少、皮膚の斑点などの症状が現れることもあります。 敗血症は、早期に発見し、適切な治療を行えば救命できる可能性が高い病気です。 しかし、発見や治療が遅れると、多臓器不全やショック状態に陥り、命に関わる危険性も高まります。 少しでも敗血症の疑いがある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
検査

赤血球沈降速度:炎症を測る指標

- 赤血球沈降速度とは赤血球沈降速度(せっけっきゅうちんこうそくど)は、一般的に赤沈や血沈と略され、血液検査の項目の一つです。 この検査では、採血した血液を細いガラス管に入れ、垂直に立てて1時間放置します。そして、その間に赤血球が沈んでいく速さを測定します。 健康な状態では、赤血球はゆっくりと沈んでいきます。しかし、体内で炎症が起きている場合、赤血球は互いにくっつきやすくなり、塊となった状態で速く沈んでいきます。これは、炎症によって血液中のタンパク質のバランスが崩れ、赤血球の表面の電荷が変化することが原因です。赤沈は、炎症の程度を大 crude に把握する検査であり、その値が速いほど、体内で炎症が起きている可能性が高いことを示唆します。 ただし、赤沈だけで、どの部位にどのような炎症が起きているかを特定することはできません。具体的な病気の診断には、他の検査結果や症状と合わせて総合的に判断する必要があります。赤沈は、関節リウマチや血管の炎症など、様々な病気の診断や経過観察に用いられます。 また、原因不明の発熱や炎症症状がある場合にも、有用な検査となります。
脳・神経

身体の司令塔:脊髄の役割と重要性

私たちの体の中心部、背骨の内部には、脳から続く重要な器官が存在します。それが脊髄です。まるで脳からの指令を全身に伝える電線のように、神経細胞が集まって太い束状になっています。 脊髄は、脳からの指令を体の各部へと伝達する役割を担っています。例えば、手を動かそうと考えた時、その指令は脳から脊髄を通って腕の筋肉へと伝わり、実際に手が動くのです。また、反対に、皮膚に触れた感覚や体の位置情報なども、脊髄を通じて脳へと送られます。 このように、脊髄は脳と体をつなぐ情報伝達の要と言えるでしょう。脊髄は、私たちが意識的に行う動作だけでなく、呼吸や心臓の動きなど、生きていく上で欠かせない体の機能にも深く関わっています。もし、脊髄が損傷してしまうと、脳からの指令が伝わらなくなったり、体からの情報が脳に届かなくなったりするため、体の麻痺や感覚障害といった重い症状が現れることがあります。
脳・神経

脊髄空洞症:その原因と症状について

- 脊髄空洞症とは脊髄空洞症は、脳と脊髄を満たし、保護する液体である脳脊髄液の流れが妨げられることで発症する病気です。 通常、脳脊髄液は脳から脊髄へとスムーズに流れていますが、何らかの原因で流れが滞ると、脊髄の中心部に空洞が形成されてしまいます。 この空洞は徐々に大きくなり、周囲の神経を圧迫することで様々な神経症状を引き起こします。脊髄空洞症は比較的稀な病気で、はっきりとした原因は解明されていません。 しかし、先天的な脊髄の形成異常や、髄膜炎などの感染症、腫瘍、外傷などが関係していると考えられています。初期の段階では、自覚症状が現れないことも多く、健康診断などで偶然発見されることもあります。 症状が現れる場合、その種類や程度は患者さんによって大きく異なります。 代表的な症状としては、手足のしびれや感覚の低下、筋力低下、歩行障害、排尿・排便障害などが挙げられます。 これらの症状は、空洞の位置や大きさ、神経への圧迫の程度によって異なります。脊髄空洞症は、自然に治癒することはほとんどありません。 症状が進行すると日常生活に支障をきたす可能性もあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
皮膚科

全身性硬化症:皮膚や内臓に影響する難病

- 全身性硬化症とは全身性硬化症という病気の名前を耳にしたことがある方は、それほど多くないかもしれません。全身性硬化症は、皮膚や内臓が硬くなるという特徴を持つ、国が指定する難病の一つです。 この病気の原因は、免疫の異常によって自分の体の組織を攻撃してしまう、「自己免疫疾患」の一種だと考えられています。免疫細胞が誤って自分の体の細胞を攻撃してしまうことで、全身の結合組織で炎症が起こり、コラーゲンという繊維成分が過剰に作られてしまいます。 コラーゲンは、皮膚や血管、内臓など、体のあらゆる場所に存在する、組織と組織を結びつける役割を持つ大切なタンパク質です。しかし、全身性硬化症では、このコラーゲンが過剰に作られ、蓄積してしまうことで、組織が硬くなってしまいます。 初期症状としては、指先が冷たくなったり、白くなったりするレイノー現象や、皮膚が硬くなるといった症状が現れます。 病気が進行すると、全身の様々な臓器に影響が及びます。例えば、食道が硬くなって飲み込みにくくなる、肺が硬くなって呼吸困難になる、心臓の機能が低下する、腎臓の機能が低下するなど、生命に関わるような重篤な症状が現れることもあります。 全身性硬化症は、根本的な治療法が確立されていない難病です。 そのため、症状を和らげ、病気の進行を遅らせることを目的とした治療が行われます。
アレルギー

全身性エリテマトーデス:若年女性に多い難病

- 全身性エリテマトーデスとは私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵が侵入してくると、それらを排除して体を守る「免疫システム」が備わっています。通常、このシステムは正常に機能し、私たちを病気から守ってくれています。しかし、全身性エリテマトーデス(SLE)では、この免疫システムに異常が生じます。 本来、外部の敵を攻撃するはずの免疫システムが、自分自身の正常な細胞や組織を誤って攻撃してしまうのです。その結果、全身の様々な臓器、例えば皮膚、関節、腎臓、心臓、肺、脳などに炎症が起こり、様々な症状が現れます。この病気は、患者さんによって症状の出方や重症度が大きく異なり、ある人は皮膚に赤い発疹が現れるだけかもしれませんが、別の人は関節の痛みや腎臓の障害など、複数の症状を併発することもあります。そのため、全身性エリテマトーデスは「百面相の病気」とも呼ばれています。
皮膚科

全身性硬化症:皮膚や内臓が硬くなる病気

- 全身性硬化症とは全身性硬化症は、皮膚や内臓など、体の様々な場所に硬化(線維化)が起こる病気です。線維化とは、本来は柔軟性のある組織が、コラーゲンというたんぱく質が過剰に作られることで、硬くなってしまう現象です。この線維化は、血管や内臓など、全身の結合組織で起こる可能性があります。健康な状態では、結合組織は体の組織や器官を支え、弾力性を与える役割を果たしています。しかし、全身性硬化症を発症すると、この結合組織が硬くなってしまい、本来の機能を果たせなくなります。その結果、皮膚の硬化や色素沈着、関節の痛み、指先の潰瘍、臓器の機能障害など、様々な症状が現れます。全身性硬化症は、国の指定難病に認定されている希少疾患です。厚生労働省の研究班の報告によると、国内の患者数は約2万2千人と推定されています。原因は未だ解明されておらず、根本的な治療法は確立されていません。しかし、早期に診断し、症状に合わせた適切な治療を行うことで、病気の進行を遅らせ、生活の質を維持することが可能です。
資格・職種

セラピストという仕事:癒しを提供する専門家

- セラピストとは心身の癒しや健康増進を目的としたサービスを提供する専門家を指します。彼らは、マッサージやアロマセラピー、カウンセリングなど、様々な手法を用いて、人々の抱える問題や悩みに寄り添います。医療行為とは異なり、病気の診断や治療は行いませんが、心身のバランスを整え、健康的な状態へと導く役割を担います。具体的には、ストレスや anxiety(不安)を抱える人に対し、リラックスできる施術や心のケアを提供したり、身体の不調を訴える人に対し、マッサージによって血行促進や筋肉の緊張を和らげるなどのサポートを行います。セラピストは、クライアントの身体や心の状態、生活習慣などを丁寧にヒアリングし、その人に合った最適な施術方法を選択します。また、施術の効果を高めるため、日常生活におけるアドバイスを行うこともあります。近年、ストレス社会といわれる現代において、セラピストの需要はますます高まっています。心身のバランスを崩しやすい現代人にとって、専門家のサポートを受けながら、健康的な状態を維持することは重要性を増していると言えるでしょう。
アレルギー

全身に広がる免疫の誤作動:全身性自己免疫疾患とは

私たちは、日常生活で目に見えない多くの病原体と接しています。空気中や物に触れることで、体内に細菌やウイルスなどの異物が侵入しようと常しています。このような脅威から体を守るために、体内には免疫システムという精巧な防御システムが備わっています。 免疫システムは、まるで国を守る軍隊のように、体内をくまなくパトロールしています。様々な種類の細胞が協力し、体内へ侵入を試みる病原体や、体内で発生した異常な細胞などを監視しています。この監視システムの中の中心的な役割を担うのが、白血球です。 白血球には、いくつかの種類があり、それぞれが特化した役割を持っています。例えば、体内をパトロール中に怪しい侵入者を見つけると、攻撃を開始します。さらに、侵入者を記憶し、次に同じ侵入者がやってきた時に備えます。この記憶機能により、一度撃退した病原体に対しては、より迅速かつ効果的に対処できるようになります。この働きをするのが抗体と呼ばれるタンパク質です。抗体は、特定の侵入者を認識して結合し、その働きを抑制したり、他の免疫細胞による攻撃を誘導したりします。 このように、免疫システムは、常に体を守り、健康を維持するために休むことなく働いています。免疫システムの働きのおかげで、私たちは健康な生活を送ることができるのです。
資格・職種

心の支え手:精神保健福祉士の役割

- 精神保健福祉士ってどんな資格?精神保健福祉士は、心の病を抱えている人やその家族を支え、より良い生活を送るお手伝いをするための国家資格です。 社会福祉士や介護福祉士と並んで「三福祉士」の一つとされ、精神保健福祉士法という法律に基づいて活動しています。では、具体的にどのようなサポートをしているのでしょうか? 精神保健福祉士は、心の病を抱える人が安心して社会生活を送れるように、医療、福祉、教育、司法など、様々な分野と連携を取りながら活動します。 例えば、病院で患者さんの相談に乗ったり、退院後の生活を支えるためのアドバイスを行ったりします。また、地域に出向いて、患者さんの家族の相談に乗ったり、就労支援施設などと連携して社会復帰のお手伝いをすることもあります。心の病は、目に見えにくく、周囲の理解を得にくいという現状があります。 そのため、精神保健福祉士は、患者さん本人だけでなく、その家族や周囲の人々に対して、病気に対する正しい知識や理解を広める役割も担っています。精神保健福祉士は、心の病を抱える人々が、自分らしく生き生きと暮らせる社会の実現を目指す、重要な役割を担う専門家と言えるでしょう。
脳・神経

体内の万能選手!セロトニンについて解説

- セロトニンとは?セロトニンは、体内で自然に作り出される化学物質の一つで、別名5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)とも呼ばれます。 神経伝達物質として特に有名で、脳内の神経細胞の間で情報を伝える役割を担っています。神経細胞は、体中に張り巡らされたネットワークのようなもので、電気信号によって情報をやり取りしています。しかし、神経細胞と神経細胞の間にはわずかな隙間が存在し、電気信号はそのままでは伝えることができません。そこで活躍するのがセロトニンです。セロトニンは、情報の発信元の神経細胞から放出されると、受信側の神経細胞にある特定の受容体と結合します。この結合によって、電気信号に代わる化学的な信号が生まれて、情報が伝達されるのです。 セロトニンは、気分、感情、睡眠、食欲などを調整するなど、私たちの体と心の健康に深く関わっています。 セロトニンが不足すると、気分が落ち込みやすくなったり、イライラしやすくなったり、睡眠の質が低下したりするなど、様々な影響が現れることがあります。
泌尿器

生体腎移植:希望の光となる選択

- 生体腎移植とは腎臓は、私たちの体にとって重要な役割を担う臓器の一つです。老廃物や毒素を血液からろ過し、尿として体の外に排出する働きをしています。しかし、様々な病気によって腎臓の機能が低下し、最終的にほとんど機能しなくなってしまう状態を末期腎不全といいます。末期腎不全になると、腎臓の働きを補うために、人工的に血液をきれいにする透析治療が必要となります。 生体腎移植とは、この末期腎不全の患者さんに対して、機能しなくなった腎臓の代わりに、健康な人から提供された片方の腎臓を移植する手術のことです。健康な人の腎臓は二つあり、片方の腎臓だけでも十分に体内の老廃物や毒素を処理することができます。提供された腎臓は、患者さんの下腹部に埋め込まれ、血管や尿管と繋げられます。 腎臓移植を行うことで、多くの患者さんは透析治療から解放され、より自由な生活を送ることができるようになります。特に生体腎移植は、提供される腎臓が健康な状態であるため、移植後の腎機能の回復が良く、長期的な予後にも優れているという利点があります。 生体腎移植は、患者さんの生活の質を大きく向上させる可能性を秘めた治療法と言えます。
検査

赤沈 – 体内の炎症を調べる検査

- 赤沈とは赤沈とは、赤血球沈降速度の略称であり、血液検査の際に測定される項目の一つです。この検査では、採取した血液を細いガラス管に入れ、一時間静置します。すると、赤血球は自身の重さによって徐々に管の下へと沈んでいきますが、この沈む速さを測定するのが赤沈です。 赤沈の測定結果は、mm/hr(ミリメートル毎時)という単位で表されます。これは、一時間あたりに赤血球が何ミリメートル沈降したかを表しています。赤沈の値が大きい場合は、体内で炎症反応が起きている可能性を示唆しています。 なぜなら、炎症が起こると血液中のタンパク質が増加し、赤血球同士がくっつきやすくなるからです。赤血球がくっつき合って塊になると、重くなって沈降する速度が速くなるため、赤沈の値が大きくなります。ただし、赤沈はあくまでも炎症の有無を調べるための目安となる検査であり、これだけで具体的な病気を診断することはできません。赤沈の値が高い場合は、医師の診察を受け、他の検査結果と合わせて総合的に判断する必要があります。

生物学的製剤:生物由来の革新的治療薬

- 生物学的製剤とは 従来の医薬品とは異なる製造方法によって作られる生物学的製剤は、医療の世界に新たな可能性をもたらしています。従来の医薬品、例えば解熱鎮痛剤などが化学合成によって作られるのに対し、生物学的製剤は私たちの体の中に存在する細胞を利用して作られます。 生物学的製剤の多くは、タンパク質や核酸といった私たちの体内で重要な役割を担う物質からできています。これらの物質は、もともと体内で作られるものなので、体内での働きが良く知られています。そのため、生物学的製剤は従来の医薬品よりも高い効果と副作用の少なさが期待されています。 生物学的製剤は、がんや関節リウマチなどの難病の治療薬として開発が進み、多くの患者さんに福音をもたらしています。従来の医薬品では効果が得られなかったり、強い副作用が出てしまったりするケースでも、生物学的製剤を用いることで症状の改善や進行の抑制が期待できる場合があります。 生物学的製剤は、これからの医療においてますます重要な役割を担っていくと考えられます。
資格・職種

専門看護師:高度な看護で社会に貢献

- 専門看護師とは看護師の世界には、特定の分野において高度な知識と技術を身につけた、「専門看護師」という資格が存在します。彼らは、複雑な健康上の問題を抱え、より専門的なケアを必要とする患者さんやそのご家族にとって、心強い味方となります。専門看護師は、豊富な経験に加え、大学院レベルの高い教育を受けることで、専門知識や判断能力、指導力を磨きます。そして、がん看護、精神看護、地域看護、集中ケア、救急看護、手術看護、慢性疾患看護、小児看護、老年看護、母性看護、皮膚・排泄ケア看護、糖尿病看護、摂食・嚥下障害看護といった、13の専門分野において、それぞれの専門性を活かした看護を提供します。例えば、がん看護の専門看護師は、がんと診断された患者さんやそのご家族に対し、病気や治療に関する情報提供、治療に伴う副作用や症状の緩和ケア、社会福祉制度の活用支援など、幅広いサポートを行います。また、精神看護の専門看護師は、心の病を抱える患者さんの社会復帰を支援するために、患者さんやご家族へのカウンセリングや、社会生活を送る上で必要なスキルを指導します。このように、専門看護師は、それぞれの専門分野において、患者さんの抱える様々な問題に寄り添いながら、質の高い看護を提供することで、患者さんやご家族の生活の質向上に大きく貢献しています。そして、他の医療従事者と連携し、チーム医療の一員として活躍することで、より質の高い医療の提供にも貢献しています。
その他

成長ホルモン:体の成長を支える大切な物質

- 成長ホルモンとは私たちの体には、様々な働きを調節するホルモンと呼ばれる物質が存在します。その中でも、成長ホルモンは骨や筋肉の成長、そして代謝など、体の様々な機能に重要な役割を果たしています。成長ホルモンは、脳の下にある「下垂体前葉」という小さな器官から分泌されます。 その名の通り、体の成長に欠かせないホルモンです。特に子供の頃に活発に分泌され、骨の成長を促すことで身長を伸ばす、成長期になくてはならない働きをしています。しかし、成長ホルモンの役割は子供の成長だけに留まりません。大人になってからも、成長ホルモンは分泌され続け、骨や筋肉の量を維持したり、エネルギー代謝を調節したりと、健康を維持するために重要な役割を担っています。成長ホルモンの分泌量が不足すると、子供の成長障害や大人の代謝異常などを引き起こす可能性があります。反対に、過剰に分泌されると、巨人症や末端肥大症などの病気を引き起こす可能性があります。このように、成長ホルモンは私たちの体の成長と健康維持に欠かせない大切なホルモンと言えるでしょう。
資格・職種

専門看護師:高度な知識と技術で看護を支える

- 専門看護師とは 近年、医療は目覚ましい進歩を遂げていますが、それと同時に、病気の種類や治療法も複雑化し、患者さん一人ひとりに寄り添った高度な看護の必要性が高まっています。このような状況の中、質の高い看護を提供するために、特定の専門分野において深い知識と高度な技術を身につけた看護師がいます。それが「専門看護師」です。 専門看護師は、がん看護や精神看護、集中ケア、小児看護など、現在13の専門分野において活躍しています。彼らは、それぞれの専門分野において、豊富な経験と最新の知識に基づいた高度な看護実践能力を有しています。 具体的には、患者さんの抱える複雑な症状や副作用、療養生活上の問題に対して、専門的なアセスメントを行い、個別的なケアを提供します。また、医師や他の医療スタッフ、患者さんの家族との連携を図りながら、患者さんが安心して治療や療養生活を送れるよう、多職種チームの中心的役割を担います。 専門看護師になるためには、日本看護協会が実施する厳しい認定審査に合格する必要があります。審査では、5年以上の実務経験に加え、専門分野における大学院レベルの教育課程を修了していることなどが求められます。 専門看護師は、その高い専門性と倫理観に基づき、患者さん中心の質の高い看護を提供することで、日本の医療現場における重要な役割を担っています。今後、ますますその役割が期待されています。
生活習慣病

生活習慣病:その予防と対策

- 生活習慣病とは生活習慣病とは、毎日の暮らしの中で身についた習慣が原因で発症する病気の総称です。現代社会において患者数は増加の一途を辿っており、誰もが注意すべき病気と言えるでしょう。生活習慣病の特徴は、初期段階では自覚症状がほとんど現れないことです。そのため、気づかないうちに病気が進行し、ある日突然、心臓病や脳卒中などの命に関わる病気を引き起こす危険性があります。自覚症状としては、動悸や息切れ、めまい、手足のしびれなどがありますが、これらは一過性のものとして軽視されがちです。しかし、生活習慣病は決してあきらめるべき病気ではありません。日々の生活習慣を改善することで、予防や改善が可能な病気でもあります。具体的には、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、禁煙、節酒など、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。生活習慣病は、かつては成人病と呼ばれていました。しかし、現代では、食生活の欧米化や運動不足、ストレスの増加などにより、若年層での発症も増えています。自分自身の生活習慣を見直し、健康的な生活を送るように心がけましょう。
その他

生体侵襲:身体への影響とは?

- 生体侵襲とは何か私たちの身体は、常に外部からの様々な影響を受けています。暑さ寒さといった気温の変化や、ウイルスや細菌などの病原体の侵入、そして、食事や運動なども身体にとっては外部からの刺激です。これらの刺激は、多かれ少なかれ身体に変化を引き起こします。 この外部からの力や刺激によって、身体に何らかの変化が生じることを、「生体侵襲」と呼びます。生体侵襲というと、手術や注射のように、身体を傷つけるような行為をイメージするかもしれません。 確かに、これらの医療行為は、直接的に身体に変化をもたらすため、生体侵襲にあたります。 しかし、生体侵襲は、必ずしも身体を傷つける行為だけを指すのではありません。 例えば、激しい運動も、筋肉や骨に負担をかけ、身体に変化をもたらすため、生体侵襲の一つといえます。また、精神的なストレスも、ホルモンバランスを乱したり、自律神経に影響を与えたりすることで、身体に変化を引き起こすため、生体侵襲に含まれます。生体侵襲は、その程度によって、身体への影響も異なります。軽い運動や軽いストレスであれば、身体への影響も一時的なもので、すぐに回復します。 しかし、大手術や強い精神的なショックなどは、身体に大きな負担をかけ、回復にも時間がかかります。 生体侵襲は、避けて通れないものもありますが、その程度を理解し、身体への負担をできるだけ減らすように心がけることが大切です。
消化器

周期的な痛み、疝痛とは?

- 疝痛の概要 疝痛は、急激な腹痛を特徴とするありふれた症状です。この痛みは、お腹の中を何かがぎゅっとつかむような、締め付けられるような感覚と表現されることが多く、一般的には「さしこみ」とも呼ばれています。 疝痛を引き起こす原因は様々で、消化器系や泌尿器系など、様々な臓器の病気が考えられます。たとえば、腸の動きが悪くなったり、胆石が胆管につまってしまったり、尿管結石が尿の流れをせき止めたりすることなどが原因となることがあります。 痛みの特徴は原因によって異なり、痛む場所、痛みの強さ、持続時間などが異なります。そのため、疝痛の症状が現れた場合には、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診することが重要です。医師は、問診や診察、検査などを通じて、痛みの原因を特定し、適切な治療を行います。
資格・職種

専門看護師:高度な知識と技術で患者を支える

- 専門看護師とは専門看護師は、特別な知識や技術を身につけることで、複雑な病気や問題を抱える患者さんやその家族に対して、より質の高い看護を提供できる看護師のことを指します。 看護師としての経験を積み重ねた上で、大学院の修士課程や専門看護師養成課程などでさらなる研鑽を積むことで、高度な知識や技術を習得します。 専門看護師には、がん看護や精神看護、地域看護など、13の専門分野があります。それぞれの分野において、深い知識と豊富な経験に基づいた質の高い看護を提供することが求められます。 専門看護師の資格を得るためには、日本看護協会が実施する専門看護師認定審査に合格する必要があります。この資格は、国際的にはCNS(Certified Nurse Specialist)と表記され、世界共通の資格として認められています。 専門看護師は、患者さん一人ひとりに寄り添いながら、その人らしい生活を送れるように、そして、その家族が安心して生活を続けられるように、きめ細やかな看護を提供していきます。
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