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肝膿瘍治療のキホン:経皮経肝膿瘍ドレナージとは?

- 肝臓に膿が溜まる病気、肝膿瘍の治療肝臓に膿が溜まる病気、肝膿瘍は、かつては外科手術で膿を取り除くのが主流でした。しかし近年、体に負担の少ない治療法として、経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)が広く行われるようになっています。PTADは、皮膚を小さく切開し、肝臓まで針を刺して膿を排出する治療法です。具体的には、超音波やCTなどの画像診断装置を用いながら、肝臓内の膿瘍に正確に針を刺します。そして、膿を体外に排出するための細い管(ドレーン)を留置します。ドレーンは、膿が排出されなくなるまで、数日から数週間、挿入されたままになります。PTADは、外科手術に比べて、入院期間が短く、体への負担が少ないことから、多くの患者さんにとって第一選択となる治療法となっています。また、高齢者や合併症のある患者さんなど、外科手術が難しい場合にも、有効な治療法となります。しかし、PTADが適応とならない場合もあります。例えば、膿瘍が大きく、PTADだけでは十分に膿を排出できない場合や、膿瘍が胆管や血管と複雑に絡み合っている場合は、外科手術が必要となることがあります。肝膿瘍の治療法は、患者さんの状態や膿瘍の大きさ、位置などによって異なります。そのため、医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが重要です。
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エネルギー源 ケトン体の役割

- ケトン体とは私たちの体は、普段は食事から摂取した糖質を分解してできるブドウ糖を主なエネルギー源としています。しかし、飢餓状態や重度の糖尿病など、ブドウ糖が不足するような状況下では、体は別のエネルギー源を必要とします。このような状況下で、体内で脂肪が分解される過程で生成されるのがケトン体です。ケトン体は、具体的にはアセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸という3つの物質の総称です。これらの物質は、ブドウ糖が利用できない状況下において、脳や筋肉など、体の様々な組織や器官にエネルギーを供給する重要な役割を担います。ケトン体は、肝臓で脂肪酸から合成されます。そして、血液によって全身に運ばれ、ブドウ糖の代わりにエネルギー源として利用されます。特に、ブドウ糖をエネルギー源として利用することが難しい脳にとっては、ケトン体は非常に重要なエネルギー源となります。このように、ケトン体は、ブドウ糖が不足するような緊急事態において、私たちの体を支える重要な役割を担っているのです。
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経皮経肝的胆嚢ドレナージ:胆嚢炎の画期的治療法

- 胆嚢炎とは胆嚢炎とは、肝臓の下にある洋ナシ型の臓器である胆嚢に炎症が起こる病気です。胆嚢は、肝臓で作られる消化液である胆汁を濃縮して貯蔵し、食事の際に十二指腸へ送り出す役割を担っています。 この胆嚢に炎症が起きる原因として最も多いのが、胆石が胆嚢と十二指腸をつなぐ胆嚢管を詰まらせてしまうことです。胆石は、コレステロールなど胆汁の成分が結晶化してできた小さな石のようなもので、胆嚢内にできることが多いです。胆石が胆嚢管を塞いでしまうと、胆汁が胆嚢から排出されずに溜まってしまい、細菌が繁殖しやすくなります。そして、この細菌が炎症を引き起こし、胆嚢炎を発症するのです。胆嚢炎の典型的な症状は、みぞおちから右の肋骨の下あたりにかけて起こる激しい痛みです。この痛みは、食事の後、特に脂肪分の多い食事をした後や夜間に強くなる傾向があります。また、吐き気や嘔吐、発熱、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる黄疸などの症状が現れることもあります。胆嚢炎は、放置すると胆嚢が壊死したり、炎症が周囲の臓器に広がったりするなど、重症化する可能性があります。そのため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。

細胞の会話を紐解く:ケミカルメディエーター

私たちの体は、想像を絶するほど多くの細胞が集まってできています。それぞれの細胞は、まるで巨大な組織の中で働く人々のように、それぞれの役割を忠実に果たしています。しかし、細胞たちがただ黙々と働くだけでは、私たちの体はうまく機能しません。なぜなら、細胞同士が互いに連携し、情報を共有することで、はじめて私たちの体は統一のとれた動きができるからです。細胞同士が情報をやり取りする際に活躍するのが、「ケミカルメディエーター」と呼ばれる物質です。これは、細胞から分泌され、他の細胞にメッセージを伝える役割を担っています。 ケミカルメディエーターには、ホルモンや神経伝達物質など、様々な種類が存在します。例えば、私たちが甘いものを食べると、血糖値が上昇します。すると、すい臓からインスリンというケミカルメディエーターが分泌され、血液中を運ばれて体の細胞に届けられます。このインスリンが「血糖値を下げるように」というメッセージを細胞に伝えることで、血糖値は正常な範囲に戻るのです。 このように、ケミカルメディエーターは、まるで体中の細胞をつなぐメッセンジャーのように、私たちの体の活動を陰ながら支えているのです。 これらの物質の働きによって、細胞は互いに連携し、組織や器官、そして体全体が調和を保ちながら、生命活動を行うことができるのです。もし、ケミカルメディエーターの分泌や働きに異常が生じると、様々な病気の原因となることがあります。
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経皮経肝的胆嚢ドレナージとは?

食べ物を消化するためには、様々な器官が連携して働いています。食べ物を細かく分解する消化液の一つに、胆汁があります。胆汁は肝臓で作られ、胆管という管を通って十二指腸に送られます。 胆汁は、脂肪の消化吸収を助ける重要な役割を担っています。しかし、常に一定の量だけ分泌されているわけではありません。食事の時間以外など、胆汁が必要とされない時は、胆嚢という器官に一時的に蓄えられます。胆嚢は肝臓の下側に位置する洋ナシ型の小さな器官で、胆汁を濃縮する働きも持っています。そして、再び脂肪の消化が必要になると、胆嚢は収縮し、濃縮された胆汁を十二指腸に送り出します。 このように、胆汁の流れは私たちの体にとって非常に重要です。もし、胆石や腫瘍などによって胆管が詰まってしまうと、胆汁の流れが滞り、様々な病気を引き起こす可能性があります。例えば、胆嚢に炎症が起こる胆嚢炎や、胆汁が逆流することで皮膚や白目が黄色くなる黄疸などが挙げられます。胆汁の流れをスムーズに保つためには、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、胆石の発生を予防することが大切です。
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免疫の指揮官 ケモカイン

- ケモカインとは何か私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵が侵入してくると、それらを排除しようとする防御システムが備わっています。 この防御システムで中心的な役割を担っているのが免疫細胞です。 免疫細胞は、体の中を常に巡回して外敵を探しており、見つけると攻撃を仕掛けて排除します。 では、免疫細胞はどのようにして外敵がいる場所にたどり着くのでしょうか? その道案内役を担っているのが、「ケモカイン」と呼ばれる小さなタンパク質です。 ケモカインは、組織や細胞から分泌され、免疫細胞の表面にある受容体と結合します。 すると、免疫細胞はケモカインの濃度の濃い方向へと移動し、結果として外敵の侵入場所や炎症が起こっている場所に集まってくるのです。 ケモカインは、免疫細胞を適切な場所に誘導することで、効率的に外敵を排除するために重要な役割を担っています。「ケモカイン」という名前は、「走化性」を意味する chemotaxis と、「細胞間の情報伝達を担うタンパク質」を意味する cytokine という二つの言葉を組み合わせたものです。 その名の通り、ケモカインは化学物質による誘導作用を持つサイトカインの一種と言えるでしょう。
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経皮経肝的胆嚢ドレナージとは?

- はじめに胆嚢は、肝臓の下に位置する洋ナシ型の小さな臓器で、肝臓で生成された消化液である胆汁を蓄える役割を担っています。胆汁は通常、胆嚢から胆管を通って十二指腸に排出され、脂肪の消化吸収を助けます。 しかし、胆石や腫瘍などによって胆管が閉塞されると、胆汁が胆嚢に過剰に溜まり、胆嚢が炎症を起こしてしまうことがあります。これが「胆嚢炎」と呼ばれる病気です。胆嚢炎は、激しい腹痛や発熱、吐き気などを引き起こし、放置すると命に関わる危険性もあります。 胆嚢炎の治療法としては、胆嚢を切除する手術が一般的ですが、高齢や合併症などの理由で手術が難しい患者さんも少なくありません。そこで、近年注目されているのが、「経皮経肝的胆嚢ドレナージ」という治療法です。 これは、皮膚を小さく切開し、肝臓を経由して胆嚢に細い管(ドレナージカテーテル)を挿入し、胆汁を体外に排出する治療法です。胆嚢ドレナージによって胆嚢内の圧力を下げ、炎症を抑えることで、患者さんの症状を和らげることができます。 今回は、この「経皮経肝的胆嚢ドレナージ」について、詳しく解説していきます。
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