「か」

外科

ガス壊疽:脅威の感染症

- ガス壊疽とはガス壊疽は、体内に侵入した特定の種類の細菌が原因で発症する、深刻な感染症です。主に、土壌などに広く生息するクロストリジウム属の細菌が、傷口などから体内に入り込むことで感染します。 この細菌は、酸素が少ない環境を好み、筋肉や皮下組織といった体の深い部分で増殖する特徴があります。そして、増殖する過程で、組織を壊死させる毒素と、特徴的な悪臭を放つガスを発生させることが、ガス壊疽の大きな特徴です。 ガス壊疽は急速に進行し、発症すると、患部が腫れ上がり、激しい痛みを伴います。 皮膚の色は、時間の経過とともに赤紫色から青黒く変化し、触ると皮下にガスが溜まっているため、パチパチという音がする場合もあります。 ガス壊疽は、命に関わることもあるため、早期の診断と治療が非常に重要です。
呼吸器

人工呼吸器の様々な換気モード:患者さんの呼吸を支える技術

- 換気モードとは呼吸器が必要なほど呼吸機能が低下した患者さんにとって、人工呼吸器はまさに命綱です。人工呼吸器は、自発的に呼吸することが難しい、あるいは不可能な患者さんの代わりに、肺に空気を入れたり出したりする機械です。この人工呼吸器の働き方を細かく設定するのが「換気モード」です。簡単に言えば、換気モードは「人工呼吸器が呼吸のどの部分を、どのようにサポートするか」を決める指示書のようなものです。呼吸は、息を吸い込む「吸気」と、息を吐き出す「呼気」という二つの動作を繰り返すことで成り立っています。換気モードは、この吸気と呼気のどちらを、どの程度の強さで補助するか、また、患者さんが自発的に呼吸しようとしたときにどのように反応するかなどを細かく調整することができます。例えば、ある換気モードは、あらかじめ設定した圧力で常に呼吸を補助し、患者さんの自発呼吸を制限するのに対し、別の換気モードは、患者さんが自発的に呼吸しようとするときにのみサポートし、自発呼吸を促すように設計されています。このように、様々な換気モードが存在し、患者さんの病状や呼吸状態に合わせて、最適なモードを選択することが重要となります。適切な換気モードを選択することで、患者さんの呼吸を効果的にサポートし、回復を促すことができるのです。
看護技術

看護の質を高めるカギ!~看護サマリーの効果と課題~

- 看護サマリーとは何か看護サマリーとは、患者さんの重要な情報を分かりやすくまとめた書類のことです。患者さんが入院中に受けた医療や看護の内容が記録されており、病院内の関係者以外でも、患者さんの診療に携わる人が誰でも見られるようになっています。このサマリーは、患者さんが他の病院へ転院する場合や、退院して自宅療養に移る場合などに作成されます。例えば、入院中に使用していた薬の名前や量、あるいは日常生活で注意すべきことなどが具体的に書かれています。これは、患者さんが転院先や自宅でも安心して治療や療養を続けられるように、そして、次の担当者へ重要な情報が正しく伝わるように作成されます。看護サマリーには、「看護要約」や「退院時サマリー」、「退院時要約」など、様々な呼び方があります。いずれも内容はほぼ同じで、患者さん一人ひとりに合わせた医療や看護を提供するために欠かせない情報共有ツールと言えるでしょう。 看護師が中心となって作成しますが、医師や薬剤師、理学療法士など、他の医療従事者も情報を書き加えることがあります。このように、看護サマリーは患者さんの円滑な治療と療養を支える上で、重要な役割を担っていると言えるでしょう。
その他

カルテ:医療の記録

- カルテとは病院で診察を受けると、医師の傍らには必ずと言っていいほど置かれている記録があります。これは「カルテ」と呼ばれ、患者一人ひとりの診療内容を記録した、いわば医療の現場における履歴書といえます。カルテには、患者さんの訴える症状、医師が診察によって確認した身体所見、そして行われた検査の結果や診断名が詳細に記録されます。さらに、どのような治療を行ったのか、薬はいつからどれだけの量を処方したのか、といった情報も克明に記されていきます。カルテは、過去の診療記録を医師や他の医療従事者が共有することで、患者さんにとってより適切な医療を提供することを目的としています。例えば、以前と同じ症状で受診した場合、カルテを見返すことで、前回はどのような治療を行い、その結果どうなったのかを瞬時に把握することができます。また、複数の医療機関を受診する場合でも、カルテの内容を共有することで、重複した検査や投薬を避けることができ、よりスムーズな診療連携が可能となります。このようにカルテは、患者さんの健康を守る上で欠かせない、非常に重要な役割を担っているのです。
外科

手足に関節が腫れる?それはガングリオンかも

- ガングリオンとはガングリオンとは、関節付近にできる軟らかい腫瘤のことです。腫瘍というと悪い病気のように聞こえますが、ガングリオンは良性なので心配ありません。多くは手首にできますが、足首や指の関節にできることもあります。ガングリオンは、関節を包む組織や腱鞘(けんしょう)と呼ばれる腱を包む組織から、ゼリー状の液体が漏れ出てきて、それが風船のように膨らむことでできます。中身は透明か少し黄色っぽいゼリー状の液体で、触るとぷにぷにした感触があります。なぜガングリオンができるのか、その原因はまだはっきりとは解明されていません。しかし、関節を酷使したり、手首を捻ったりするような怪我がきっかけでできることが多いと考えられています。また、同じ場所に繰り返しガングリオンができる人もいます。多くの場合、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。そのため、小さく目立たない場合は、特に治療を行わずに様子を見ることも多いです。しかし、神経を圧迫することで痛みやしびれが出現したり、関節の動きが悪くなったりすることがあります。また、見た目が気になるという方もいます。ガングリオンは自然に消えることもありますが、再発することも少なくありません。症状が気になる場合や、大きくなって見た目が気になる場合は、病院を受診して治療について相談してみましょう。
呼吸器

咳が止まらない?それは乾性咳嗽かも

- 乾性咳嗽とは 乾性咳嗽は、医学用語では「かんせいがいそう」と読みますが、普段は「乾いた咳」と表現する方が馴染み深いでしょう。その名の通り、咳をしても痰が出ない咳のことを指します。風邪の初期症状として、多くの方が経験するのではないでしょうか。 咳は本来、体内に侵入した異物や、体内で発生した不要な分泌物を排出するための、人間の持つ自然な防御反応です。しかし乾性咳嗽の場合、この咳反射が過敏になってしまっている状態を指します。つまり、本来排除する必要のないものに対しても、体が過剰に反応して咳をしてしまっている状態と言えるでしょう。 乾性咳嗽は、風邪の初期症状以外にも、様々な原因で引き起こされます。例えば、空気の乾燥や、タバコの煙、ハウスダストなども、咳の原因となることがあります。また、喘息や逆流性食道炎などの病気によって、乾性咳嗽が引き起こされることもあります。 乾性咳嗽が長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
血液

まぶたの裏側が白い?それは貧血のサインかも!

皆さんは、朝起きた時や体調が悪い時に、鏡を見て顔色が悪いと感じたことはありませんか? 実は、顔色の変化は、体からの重要なサインかもしれません。 健康な人のまぶたの裏側、専門的には眼瞼結膜と呼ばれる部分は、毛細血管が網目のように張り巡らされ、血液の色が透けて薄いピンク色をしています。しかし、貧血の状態になると、血液中の赤血球が減少し、全身に酸素を十分に送り届けることができなくなります。 すると、体は酸素を生命維持に必要な臓器に優先的に送ろうとするため、まぶたの裏側のような末梢の毛細血管には、十分な血液が行き渡らなくなります。その結果、まぶたの裏側は、健康的なピンク色ではなく、白っぽく、場合によっては黄色みがかった白色に見えるようになります。これが眼瞼結膜が貧血の状態を表すサイン、つまり眼瞼アネミアと呼ばれる状態です。 ただ、まぶたの裏側の色の変化は、貧血以外にも、睡眠不足や疲労、目の疲れなどでも起こることがあります。しかし、特に朝起きた時にまぶたの裏側が白っぽく見える場合は、貧血のサインかもしれませんので、医療機関を受診し、医師に相談することをお勧めします。
目・眼科

眼球偏位:目の位置異常とその原因

- 眼球偏位とは? 眼球偏位とは、片目または両方の目が正面から逸れてしまう状態を指します。通常、私たちは両目でまっすぐ前を見ることができ、脳は左右の目から送られてくる視覚情報を一つにまとめて処理することで、立体的に物事を認識しています。 しかし、眼球偏位が起こると、この目の動きがうまくいかなくなり、目が内側、外側、上側、下側など、様々な方向にずれてしまいます。その結果、左右の目から送られてくる視覚情報にずれが生じ、脳がうまく情報を処理できなくなるため、様々な視覚障害が現れます。 代表的な症状としては、物が二重に見えてしまう複視が挙げられます。これは、左右の目で見ているものがずれているために、脳が二つの像として認識してしまうために起こります。また、視線が定まらず、視野が狭くなってしまうこともあります。さらに、眼球偏位を隠そうと無意識に頭を傾けたり、顔をしかめたりするため、肩こりや頭痛を引き起こすこともあります。 眼球偏位は、生まれたときから症状が現れている先天的なものと、後 acquired天的に発症するものがあります。原因は様々で、視神経や筋肉、脳などに異常がある場合や、糖尿病などの基礎疾患が原因となることもあります。治療法としては、眼鏡やプリズム眼鏡を用いて視線のずれを矯正する方法や、手術によって眼球の位置や眼筋を調整する方法などがあります。
目・眼科

眼を守る眼帯:その役割と注意点

眼帯は、病気や怪我をした目を保護するために用いられる医療器具です。目の上に直接装着することで、外部からの刺激や衝撃から目を守ります。また、眼帯の下に薬を塗ったガーゼなどを挟むことで、薬の効果を高めたり、目の乾燥を防いだりする効果もあります。 眼帯は、目を覆うことで、異物や衝撃から目を保護します。また、目を動かさなくすることで、眼球の安静を保ち、炎症の悪化を防ぎます。さらに、眼帯をすることで、まぶたが閉じやすくなるため、涙の蒸発を防ぎ、目の乾燥を防ぐ効果もあります。 眼帯は、目の手術後や、角膜損傷、結膜炎、眼内炎などの目の病気の治療にも用いられます。また、弱視の治療として、健全な方の目に眼帯を装着し、弱視の目を強制的に使う訓練にも用いられます。 眼帯は、ドラッグストアや薬局などで購入できます。眼帯には、ガーゼを固定するためのテープが付いているものや、伸縮性のある素材でできているものなど、さまざまな種類があります。眼帯を使用する際は、医師や薬剤師の指示に従って、正しく使用してください。
目・眼科

視覚の窓:眼球の構造

私たちが普段、当たり前のように景色や人物を認識できるのは、眼球という器官のおかげです。眼球は、顔面に開いた眼窩と呼ばれる骨のくぼみに収まっており、周囲を骨で守られています。ちょうど、カメラのレンズが本体に守られているのと同じようなイメージです。 眼球は光を捉え、それを電気信号に変換して脳に送ることで視覚を生み出します。この働きは、カメラがレンズを通して光を取り込み、それを画像データに変換する仕組みと似ています。 眼球の動きは、上下左右、斜めなど、6本の眼筋によって細かくコントロールされています。これらの筋肉が連携して動くことで、私たちは視界を自由に動かし、さまざまな方向を見ることができるのです。まるで、精密機械のように動く眼球と眼筋の働きによって、私たちは周囲の状況を瞬時に把握し、安全を確保したり、美しい景色を楽しんだりすることができるのです。
検査

重篤な患者の心臓の状態を把握する『ガンツ』

- ガンツとはガンツとは、正式にはスワン・ガンツカテーテルと呼ばれる、心臓の働きを詳しく調べるための医療機器です。カテーテルとは、細い管状の医療器具のことで、血管などに挿入して使用します。スワン・ガンツカテーテルは、心臓カテーテル検査という検査の中で用いられ、心臓の働きを評価するために、心臓内に直接挿入する特殊なカテーテルです。心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。しかし、心臓の病気や体の状態によっては、そのポンプとしての機能が低下してしまうことがあります。スワン・ガンツカテーテルを用いることで、心臓内の圧力や血液量を直接測定することができます。具体的には、心臓の各部屋の圧力、肺動脈の圧力、心臓から送り出される血液の量などを測定します。これらの情報は、心臓のポンプとしての機能を評価する上で非常に重要となります。スワン・ガンツカテーテルを用いた検査は、心臓の病気の診断や治療方針の決定に大きく役立ちます。特に、心不全やショック状態など、心臓の機能が低下している患者さんでは、その状態を正確に把握し、適切な治療を行うために欠かせない検査となっています。
外科

潜む脅威:化膿性脊椎炎とは

- 脊椎を蝕む細菌感染症化膿性脊椎炎は、血液の流れに乗って細菌が脊椎に侵入し、炎症を引き起こす病気です。この病気は、肺炎や尿路感染症など、体の別の場所で起きた感染が原因となる場合があります。また、医療行為で使用するカテーテルから感染することもあります。感染の初期段階では、椎体と呼ばれる骨の周辺に位置する椎体終板に細菌が侵入し、膿が溜まった状態(膿瘍)を作ります。その後、椎体と椎体の間にあるクッションの役割を果たす椎間板を介して感染が広がっていきます。そして、最終的には骨髄にまで炎症が及ぶ骨髄炎を引き起こします。化膿性脊椎炎は、体の部位によって発症しやすい場所が異なり、胸椎と腰椎で発症することが多く、頸椎での発症は稀です。もし、化膿性脊椎炎が重症化すると、脊椎周辺の筋肉や、神経の通り道である脊柱管にまで膿瘍が拡大する可能性があります。その結果、麻痺などの重い合併症を引き起こす可能性があります。特に頸椎に感染した場合、気管や食道を圧迫するリスクがあり、非常に危険な状態となることがあります。高齢者や糖尿病患者、癌や血液疾患の治療を受けている方など、免疫力が低下している人は化膿性脊椎炎のリスクが高いため、特に注意が必要です。
検査

診断の境界線:カットオフ値とは?

健康状態を調べるために、病院では様々な検査が行われています。血液検査では、血液中の成分を調べることで、貧血や炎症の有無、肝臓や腎臓の機能などを評価することができます。レントゲンやCT、MRIなどの画像診断は、骨や臓器の状態を詳しく映し出すことで、骨折や腫瘍の有無などを確認することができます。また、遺伝子の情報を調べる遺伝子検査は、生まれつき病気にかかりやすい体質かどうかなどを知ることができます。これらの検査は、それぞれ異なる方法で体内の情報を収集し、病気の診断や治療方針の決定に役立っています。検査の結果は、数値や画像として表されますが、これらの結果だけでは、病気の確定診断はできません。例えば、ある特定の病気の可能性を示唆するような血液検査データが出たとしても、その病気特有のものではない場合もあります。そのため、検査結果を解釈する際には、患者の症状や診察所見なども合わせて総合的に判断する必要があります。また、検査結果には、測定誤差や個人差なども考慮する必要があります。そのため、検査結果を理解する際には、医療従事者に相談し、自身の状態について詳しく説明を受けることが重要です。医師は、専門知識と経験に基づいて、検査結果が意味するところを分かりやすく説明し、患者さんの疑問や不安に答えてくれます。
目・眼科

眼底検査:眼の奥からわかる健康状態

- 眼底検査とは何か眼底検査は、眼科で行われる一般的な検査の一つです。人間の目は、カメラに例えられることがあります。カメラのレンズに当たる部分が水晶体、フィルムに当たる部分が網膜と呼ばれています。眼底検査は、瞳孔という眼の奥にある小さな入り口から、眼底と呼ばれる部分を観察する検査です。眼底には、カメラのフィルムに相当する、光を感知する網膜や、情報を脳に伝える視神経といった、視覚にとって重要な組織が存在します。眼底検査では、これらの組織の状態を詳しく調べることで、様々な病気の兆候を発見することができます。例えば、網膜に異常が見られる病気としては、糖尿病網膜症、網膜剥離、加齢黄斑変性などがあります。また、視神経に異常が見られる病気としては、緑内障、視神経萎縮などがあります。これらの病気は、放置すると失明に至る可能性もあるため、早期発見、早期治療が非常に重要です。眼底検査は、痛みや discomfort を伴わない検査です。検査時間は5分程度で、点眼薬を使用して瞳孔を開いてから行います。検査後は、しばらくの間、まぶしさが残ることがありますので、車の運転は控えるようにしてください。眼底検査を受けることで、自覚症状のない病気の早期発見につながることがあります。定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けるようにしましょう。
目・眼科

眼を見ればわかること:眼底検査のススメ

- 眼底検査とは?眼底検査は、眼の奥にある眼底を調べる検査です。眼底は、カメラで例えるとフィルムに相当する場所で、光を感知して映像として脳に伝えるために重要な役割を担っています。ここには、視力に直接関わる網膜や、脳と目を繋ぐ視神経など、多くの重要な組織が集まっています。眼底検査では、瞳孔を通して特殊なレンズを用いて眼底を観察します。検査は、比較的簡単に行うことができ、痛みもほとんどありません。眼底の状態を詳しく調べることで、様々な目の病気を早期に発見することができます。例えば、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症といった、失明に繋がる可能性のある病気も、眼底検査によって早期発見・治療が期待できます。眼底検査は、目の病気だけでなく、全身の健康状態を知る上でも役立ちます。高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、自覚症状が現れにくい病気ですが、眼底の血管の状態に変化が現れることがあります。そのため、眼底検査を受けることで、これらの病気の早期発見や、重症化の予防に繋がる可能性があります。このように、眼底検査は、私たちの視力と健康を守る上で非常に重要な検査です。定期的に眼底検査を受けることで、安心して生活を送れると言えるでしょう。
看護技術

回復期:病気からの復活を支える大切な期間

病気は、その経過によって大きく三つの段階に分けられます。まず、発症直後で、最も症状が激しく、命の危険さえ伴う可能性のある時期を急性期と呼びます。この山場ともいえる急性期を乗り越えると、次の段階である回復期に入ります。回復期に入ると、症状は落ち着きをみせ、危険な状態からは脱します。この時期は、低下した身体の機能を回復させることに専念できる時期といえます。そして、回復期は、その後の人生を健やかに過ごすため、また、社会復帰を果たすために非常に重要な時期となります。ただし、病気によっては、完全に回復せず、長期間にわたって症状が続く慢性期に移行する場合もあります。慢性期は、急性期のような命の危険は少ないものの、病気と長く付き合っていくための工夫や、生活の質を維持するための努力が必要となります。
外科

変形した足の親指:外反母趾について

- 外反母趾とは足の親指が小指の方へ曲がってしまう、つまり足の親指が体の外側へ向かって曲がってしまうことを外反母趾と呼びます。この変形は、親指の向きが変わるだけでなく、足の構造全体に影響を及ぼし、様々な症状が現れる原因となります。外反母趾になると、見た目に変化が生じるだけでなく、歩行時に痛みが生じたり、足に疲れを感じやすくなったりします。また、症状が悪化すると、膝や腰に負担がかかり、日常生活に支障をきたす場合もあります。外反母趾は、足の指の付け根にある関節が変形することで起こります。この関節は、足の親指が適切な方向に曲がるのを助ける役割を担っていますが、靴による圧迫や遺伝などの要因により、関節に負担がかかり続けると変形してしまうのです。外反母趾の初期症状としては、足の親指の付け根の出っ張りが挙げられます。また、足の親指が人差し指の方へ曲がっていく、靴を履くと足の親指の付け根が痛む、などの症状が現れることもあります。外反母趾は進行性の病気であるため、早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。症状が軽い場合は、ストレッチや足に合った靴選びなどのセルフケアである程度改善できる可能性があります。しかし、症状が進行している場合は、手術が必要となるケースもあります。外反母趾は、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性のある病気です。足の痛みや変形を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
アレルギー

免疫の異常が招く関節の痛み: 関節リウマチ

- 関節リウマチとは関節リウマチは、本来は細菌やウイルスなどの外敵から体を守るはずの免疫の働きに異常が生じ、自分自身の関節組織を攻撃してしまうことで発症する病気です。 免疫の異常によって関節の内側にある滑膜に炎症が起こり、関節が腫脹したり、痛みが生じたりします。 この病気は、進行すると日常生活に大きな影響を及ぼします。 初期には朝起きた時や長時間同じ姿勢を続けた後に、関節のこわばりを感じることが多く見られます。 症状が進むと、関節の痛みは強くなり、安静時にも感じるようになります。 さらに進行すると、関節が変形し、日常生活における動作に支障をきたすようになり、衣服の着脱や歩行、食事など、基本的な動作さえ困難になることもあります。関節リウマチは、早期に発見し、適切な治療を開始することが非常に大切です。 早期に治療を開始することで、炎症を抑え、関節の破壊を遅らせ、病気の進行を抑制することができます。 関節リウマチの疑いがある場合は、放置せずに、早めに医療機関を受診し、専門医の診断を受けるようにしましょう。
検査

ガストロ検査:消化管を視る検査

「ガストロ」という言葉を耳にしたことがありますか? 病院で耳にすることはあっても、日常生活ではあまり馴染みがないかもしれませんね。 「ガストロ」は、正式には「ガストログラフィン」と呼ばれるお薬を使った検査のことを指します。 「ガストログラフィン」は、バリウムのようにレントゲン写真に写りやすい性質を持つ液体で、これを飲むことで、レントゲン写真に消化管がはっきりと写し出されるのです。 つまり、「ガストロ検査」とは、「ガストログラフィン」を使って、食道、胃、十二指腸などの消化管の状態を詳しく調べる検査のことを言います。 この検査では、消化管の形や動きを観察することで、潰瘍やポリープ、腫瘍などの病気がないか、また炎症が起きていないかなどを調べることができます。 「ガストロ」という言葉は、医療現場では日常的に使われていますが、一般的にはあまり知られていない言葉の一つと言えるでしょう。
目・眼科

難病:カーンズ・セイヤー症候群を知る

- カーンズ・セイヤー症候群とは?カーンズ・セイヤー症候群は、眼球の動きをコントロールする筋肉や、視力に重要な役割を果たす網膜という部分に異常が生じる病気です。 私たちの体を作っている細胞の一つ一つには、エネルギーを作り出す工場のような役割を持つ「ミトコンドリア」という小さな器官が存在します。カーンズ・セイヤー症候群は、このミトコンドリアの働きが、遺伝子の変化によって低下してしまうことが原因で起こります。ミトコンドリアは、特に多くのエネルギーを必要とする臓器、例えば心臓、筋肉、脳などに多く存在します。カーンズ・セイヤー症候群では、眼球の動きや視力に関わる組織でミトコンドリアの機能が低下するため、眼球運動障害や網膜の異常といった症状が現れると考えられます。この病気は、10代で発症することが多いものの、非常にまれな病気であるため、診断が難しい場合もあります。また、現在のところ、カーンズ・セイヤー症候群は、親から子に遺伝する病気ではないと考えられています。そのため、家族に患者さんがいる場合でも、その家族が必ずしもこの病気を発症するわけではありません。
目・眼科

眼圧:目の健康のバロメーター

- 眼圧とは眼球は、あたかもボールのように丸い形をしていますが、これは内部の圧力によって保たれています。この眼球内部の圧力のことを、眼圧と呼びます。人間の眼は、常に一定の圧力を保つことで、正常な機能を果たしています。では、なぜ眼球内に圧力が生まれるのでしょうか?それは、眼球内で、房水と呼ばれる透明な液体が常に循環し、一定量を保っているためです。房水は、眼球内の組織に栄養を供給したり、老廃物を排出したりする役割を担っています。この房水の分泌と排出のバランスが崩れると、眼圧に影響を及ぼします。眼圧は、眼の健康状態を保つ上で、非常に重要な要素です。眼圧が高すぎる状態が続くと、視神経に負担がかかり、視野が狭くなったり、視力が低下したりする緑内障という病気を引き起こす可能性があります。一方、眼圧が低すぎる場合は、眼球が萎縮したり、視力に影響が出たりすることがあります。眼圧は、健康診断などでも測定されることがあります。これは、自覚症状がない段階で、眼の病気を早期発見するためです。眼圧の値は個人差がありますが、一定の範囲内に保たれていることが大切です。
目・眼科

眼球を守る三層構造:眼球外壁

私たちがものを見ることができるのは、眼球という精巧な器官のおかげです。この眼球は、カメラに例えると分かりやすくなります。 まず、眼球は大きく二つに分けることができます。カメラ本体に相当する「眼球外壁」と、レンズやフィルムに相当する「眼球内容物」です。 眼球外壁は、眼球の外側を構成する構造です。これは、カメラでいうと外側のケースにあたり、眼球の形状を保ち、内部を保護する役割を担っています。具体的には、強膜、角膜、脈絡膜、虹彩、毛様体などの組織から成り立っています。 一方、眼球内容物は、眼球内部を満たす構造です。これはカメラ内部のレンズやフィルム、センサーにあたり、光を感知し、映像として脳に伝える役割を担います。具体的には、水晶体、硝子体、網膜などの組織から成り立っています。 このように、眼球は外壁と内容物という二つの要素が組み合わさることで、私たちに外界の景色を見せてくれるのです。
目・眼科

眼窩を守る堅牢な壁:眼窩外壁

- 眼窩の構造眼窩は、顔面に左右対称に位置する骨で囲まれた空洞で、その内部に眼球を保護するように収めています。 ちょうど頭蓋骨が脳を守るように、眼窩は眼球とその周囲の組織を外部からの衝撃や圧力から保護する役割を担っています。眼窩は、例えるなら部屋のような構造をしています。天井に当たる部分が上壁、床に当たる部分が下壁、鼻側に面した部分が内側壁、そして顔の外側に面した部分が外側壁と呼ばれ、これらの壁が組み合わさって眼窩空間を形成しています。それぞれの壁は複数の骨によって構成されています。上壁は主に前頭骨と蝶形骨という骨から成り、その薄さから衝撃に弱く骨折しやすいという特徴があります。下壁は上顎骨、口蓋骨、頬骨という3つの骨からなり、上壁同様に薄いため骨折のリスクが高い部分です。内側壁は涙骨、篩骨、上顎骨の一部から成り、非常に薄い骨でできているため、強い衝撃によって骨折しやすく、眼窩周囲の組織に影響が及ぶ可能性があります。外側壁は頬骨と蝶形骨の一部からなり、他の壁と比べて厚く頑丈なため、外部からの衝撃に強いという特徴があります。また、眼窩は単なる閉鎖された空間ではなく、視神経や血管、神経などが通るための通路も備えています。特に重要なのが視神経管と呼ばれる開口部で、眼球と脳を繋ぐ視神経の通り道となっています。このように、眼窩は複雑な構造を持つことで、眼球を安全に保護し、その機能を正常に保つための重要な役割を果たしているのです。
外科

知っていますか? 現代人の多くが抱える「亀背」のリスク

- 姿勢が悪くなる「亀背」とは?「亀背(きはい)」とは、背骨が後ろ側に弯曲し、背中が丸まって猫背になっている状態を指します。その名の通り、まるで亀の甲羅のように背中が丸まっていることから、この名前が付けられました。近年、デスクワークやスマートフォンの普及により、前かがみの姿勢で長時間過ごす人が増えています。その結果、老若男女問わず、亀背の症状に悩む人が増加傾向にあります。亀背は、単に見た目の問題だけではありません。背中が丸まった状態が続くことで、肩や首、腰などに負担がかかり、肩こりや腰痛の原因となります。また、猫背によって胸郭が圧迫されることで、呼吸が浅くなり、呼吸機能の低下にもつながる可能性があります。さらに、内臓が圧迫されることで、消化不良などの内臓への負担も懸念されます。亀背は、放置すると悪化する可能性もあるため、日頃から正しい姿勢を意識することが大切です。具体的には、座っている時は、背筋を伸ばし、顎を引いて、目線は真っ直ぐ前に向けるように心がけましょう。また、適度な運動やストレッチを行い、背骨の柔軟性を保つことも重要です。
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