「か」

看護技術

ガーグルベースン: ベッドサイドの必需品

- ガーグルベースンとはガーグルベースンは、寝たままの状態でも楽にうがいができるように設計された、湾曲した形状をした洗面器のような道具です。ベッドの上や横に置いても安定するため、患者さんの負担を軽減することができます。主に、医療機関や介護施設で、口内を清潔に保つ必要がある方や、嘔吐しやすい方のために使用されます。口をすすいだ水や嘔吐物を安全に受け止めることができるため、周囲を汚さずに済み、衛生的です。また、患者さん自身も、周りを気にすることなく落ち着いてうがいをすることができます。近年では、在宅介護の現場でもガーグルベースンの利用が広がっています。自宅で介護を行う際にも、患者さんの負担を軽減し、衛生的な環境を保つために役立つアイテムとして注目されています。ガーグルベースンは、素材や大きさ、形状もさまざまです。患者さんの状況や用途に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
歯科・口腔

意外と知らない?顎の下にある唾液腺「顎下腺」

私たちの口の中には、唾液を分泌する器官である唾液腺が存在します。唾液腺は、大きく分けて3つと、それ以外にも小さなものが多数存在します。耳の下あたりにあるのが耳下腺、顎の下にあるのが顎下腺、舌の下にあるのが舌下腺です。その他に、口唇、頬粘膜、舌などにも小さな唾液腺は数多く存在します。 唾液腺から分泌される唾液は、食事の際に食べ物を湿らせて飲み込みやすくしたり、消化酵素によって食べ物の消化を助けたりするなど、重要な役割を担っています。また、口の中を清潔に保つことで、細菌の増殖を抑え、口臭や虫歯などの予防にも役立っています。さらに、食べ物の味を感じやすくする役割も担っており、私たちが食事を楽しむためにも欠かせないものです。このように、唾液腺と唾液は、健康な生活を送る上で非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
呼吸器

静かなる脅威:間質性肺炎を知る

- 呼吸の陰に潜む病気「間質性肺炎」。あまり聞き慣れない病名かもしれません。しかし、近年、患者数が増加傾向にある病気の一つです。私たちが、当たり前のように行っている呼吸。その陰で、肺では、体中に酸素を送り込むために、休むことなく働いています。 肺の中に、「肺胞」と呼ばれる小さな袋がたくさんあり、ここで、血液中に酸素を取り込み、代わりに二酸化炭素を排出するという、ガス交換が行われています。「間質性肺炎」は、この肺胞の周囲にある「間質」と呼ばれる組織に炎症が起こる病気です。間質は、肺胞を支え、その形を保つ役割を担っています。この間質に炎症が起こると、肺が硬くなり、酸素を十分に取り込めなくなります。初期症状としては、「息切れ」や「乾いた咳」がみられます。しかし、これらの症状は、他の病気でもみられることがあり、また、初期の段階では自覚症状がほとんどない場合もあるため、発見が遅れてしまうこともあります。間質性肺炎の原因は、様々です。喫煙、ハウスダスト、カビ、ウイルス感染、薬の副作用などが挙げられますが、原因が特定できない場合もあります。間質性肺炎は、放置すると、肺の線維化が進み、呼吸不全に至ることもあります。早期発見、早期治療が重要となる病気です。
耳鼻科

聴覚の要:蝸牛の役割

私たちの耳の奥には、音の世界への入り口である鼓膜が存在します。鼓膜のさらに奥、まるで秘密の部屋のように隠されているのが内耳と呼ばれる場所で、その中に蝸牛は静かに佇んでいます。その名の通り、小さなカタツムリのような形をした蝸牛は、聴覚にとって非常に重要な役割を担っています。 蝸牛は、ただ小さな空間を満たしているだけではありません。その内部はリンパ液と呼ばれる液体で満たされており、音の振動が伝わると、まるでさざ波のように、リンパ液が優しく揺れ動きます。このリンパ液の動きが、蝸牛の内部にぎっしりと並んだ有毛細胞を刺激します。 有毛細胞は、その名の通り、表面に非常に繊細な毛のような構造を持っています。リンパ液の動きによってこの毛が揺れると、音の振動は電気信号に変換されます。まるで、風のささやきを言葉に変換する通訳者の役割を、有毛細胞は担っているのです。 こうして蝸牛の中で生まれた電気信号は、聴神経を通じて脳へと届けられます。脳は、届けられた信号を瞬時に分析し、私たちはそのおかげで、鳥のさえずりや、風の音、そして何よりも大切な家族の声を聞き取ることができるのです。
呼吸器

過呼吸:その原因と対処法

- 過呼吸とは過呼吸とは、呼吸の回数が増えたり、深く呼吸をしすぎたりすることで、体の中の二酸化炭素が必要以上に出ていってしまう状態を指します。私たちは普段、息を吸うことで酸素を体に取り込み、息を吐くことで二酸化炭素を体外に出しています。この一連の呼吸運動によって、体の中の酸素と二酸化炭素のバランスが保たれています。 しかし、過呼吸になると、このバランスが崩れてしまい、血液中の二酸化炭素の濃度が異常に低くなってしまうのです。二酸化炭素は、私たちの体にとって不要なものと思われがちですが、実は体の機能を正常に保つために重要な役割を担っています。 血液中の二酸化炭素が減ってしまうと、体が酸性に傾き、様々な症状が現れます。 めまいや息苦しさ、手足のしびれなどは、過呼吸によって起こる代表的な症状です。過呼吸は、精神的なストレスや不安、パニックなどによって引き起こされることが多いとされています。 過呼吸発作は、周囲の人にとっては、落ち着いていないように見えるかもしれませんが、本人にとっては非常に苦しい状態です。 適切な対処法を知っておくことが重要です。
呼吸器

気管カニューレ:呼吸を支える大切な管

気管カニューレとは 気管カニューレは、呼吸に問題を抱えている患者さんの気道を確保し、呼吸を助けるための医療器具です。 普段私たちが呼吸する際には、鼻や口から空気を吸い込み、気管を通って肺に空気が送られます。しかし、病気や怪我などによって、この空気の通り道である気道が狭くなったり、塞がったりしてしまうことがあります。 このような場合に、首の前方に気管切開と呼ばれる小さな手術で穴を開け、そこに気管カニューレと呼ばれる管を挿入します。 気管カニューレは、この気管切開孔から直接気管に空気を送り込み、肺にまで到達させる役割を担います。 また、気管カニューレを通して、痰や分泌物を吸引することも可能です。 気道が狭くなっている患者さんの場合、痰がうまく排出されずに呼吸困難に陥ることがありますが、気管カニューレを用いることで、こうした症状を和らげることができます。 気管カニューレは、呼吸を助けるだけでなく、肺炎などの合併症を防ぐ上でも非常に重要な役割を果たします。
呼吸器

咳 reflex:体の防御反応

咳とは、誰もが経験する、ごくありふれた体の反応です。医学用語では「咳嗽」と書きますが、これは、呼吸をするために空気の通り道となっている気道に、不要なものが溜まった時に、それを体外に排出するために起こる、生まれつきの大切な防御反応です。 私たちは呼吸をする際に、空気と一緒に、ごく小さな埃や、目には見えないウイルスや細菌などを体内に取り込んでいます。これらは通常、鼻や口、気道の粘膜に付着し、体内に入るのを防いでいます。しかし、過剰な埃やウイルス、細菌などが体内に入り込んだり、気道に炎症が起こったりすると、それを体外に排出するために、私たちの体は咳という反応を起こします。 咳は、肺に溜まった空気を、勢いよく吐き出すことで、異物を体外へ排出します。この時、同時に気道に溜まった痰と呼ばれる粘液も一緒に排出されます。痰には、埃やウイルス、細菌などが含まれており、咳によってこれらを体外に出すことで、呼吸器の健康を守っているのです。 咳は、たばこなどによる刺激や、喘息などの病気の症状として現れることもあります。咳が長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
消化器

下腹部痛:その原因と対処法

- 下腹部痛とは下腹部痛とは、読んで字のごとく、おへその下あたりに感じる痛みのことを指します。私たちが日々経験するお腹の痛みの代表格とも言えるでしょう。多くの場合、一時的な食べ過ぎや消化不良、便秘などが原因で起こり、数時間から長くても数日中には自然と治まることがほとんどです。しかし、だからと言って安心はできません。痛みが長引いたり、日常生活に支障が出るほどの強い痛みがある場合は注意が必要です。下腹部痛は、実は様々な病気が隠れている可能性があり、自己判断で放置すると重い病気を見逃し、症状が悪化する危険性もあるからです。例えば、虫垂炎のように緊急手術が必要な病気もあれば、過敏性腸症候群のように、ストレスや生活習慣の乱れが原因で起こる病気もあります。また、女性の場合は、生理痛や子宮内膜症、卵巣嚢腫など、女性特有の病気が原因で下腹部痛が起こることも少なくありません。自己判断で市販薬を服用したり、無理をして日常生活を送ったりするのではなく、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。適切な検査と診断を受けることで、原因を特定し、適切な治療を受けることができます。そして、健康な状態を取り戻し、安心して日常生活を送ることができるのです。
産婦人科

かゆみの原因?外陰真菌症について解説

- 外陰真菌症とは?外陰真菌症は、女性の外陰部に真菌(一般的にカビと呼ばれる微生物)が感染することで起こる病気です。 この病気は、外陰部のかゆみを主な症状とするため、外陰部掻痒症とも呼ばれます。外陰真菌症の原因となる真菌の中で最も多いのはカンジダという種類です。カンジダは、健康な人の口の中や消化管、膣などにもともと存在している常在菌ですが、体の抵抗力が落ちたり、ホルモンバランスが乱れたりすると、過剰に増殖してしまい、外陰真菌症を引き起こします。外陰真菌症は、性感染症ではありませんが、性交渉によって感染することがあります。また、免疫力の低下や抗生物質の使用、糖尿病などの基礎疾患によって発症しやすくなることもあります。外陰真菌症の主な症状としては、強いかゆみ、外陰部のヒリヒリ感、腫れ、発赤などがあります。また、おりものの量が増えたり、性交痛を感じたりすることもあります。これらの症状は、生理前や妊娠中に悪化することがあります。外陰真菌症は、適切な治療を行えば、多くの場合、完全に治癒する病気です。自己判断で市販薬を使用するのではなく、医療機関を受診し、医師の診断と適切な治療を受けるようにしましょう。
皮膚科

乾癬:皮膚の病気について

- 乾癬とは乾癬は、皮膚に赤い斑点ができ、その上に白いカサカサしたものが付着する病気です。この白いカサカサしたものを鱗屑(りんせつ)と呼びます。乾癬は、かゆみを生じる場合もありますが、症状の出方は人によって大きく異なります。ある人は皮膚の一部に小さな赤い斑点が現れるだけですが、別の人は体全体に広範囲にわたって症状が現れることもあります。また、爪が変形したり、関節に痛みが出たりすることもあります。乾癬の原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫の異常が大きく関わっていると考えられています。本来、免疫は体外から侵入してきた細菌やウイルスから体を守る働きをしています。しかし、乾癬の場合、この免疫システムが何らかの原因で自分の体の皮膚を攻撃してしまうため、炎症が起こり、皮膚が異常に増殖してしまうのです。その結果、赤い斑点や鱗屑といった症状が現れると考えられています。乾癬は感染する病気ではありませんので、他の人にうつる心配はありません。しかし、見た目の問題から、精神的なストレスを感じてしまう方も少なくありません。乾癬は慢性的な病気であり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです。そのため、症状をコントロールし、日常生活に支障が出ないようにすることが重要になります。医師の指示に従って適切な治療を継続していくことが大切です。
産婦人科

カンガルーケア:母子の絆を育む温かな接触

- カンガルーケアとはカンガルーケアとは、お母さんと赤ちゃんの肌を直接触れ合わせることで、赤ちゃんをお母さんの体温で温め、安心感を与える育児法です。お母さんは上半身の衣服を脱ぎ、赤ちゃんを裸のまま自分の胸元に抱っこします。まるでカンガルーがお腹の袋で赤ちゃんを育てるように、お母さんの胸元にぴったりと寄り添う赤ちゃんの様子から、この名前が付けられました。カンガルーケアは、特に早産で生まれた赤ちゃんや、低体重で生まれた赤ちゃんに対して、多くの利点をもたらします。お母さんの体温で温められることで、赤ちゃんの体温は安定し、呼吸や心拍も落ち着きやすくなります。また、お母さんの心臓の音を間近で聞くことで、赤ちゃんは安心感に包まれ、落ち着いて眠りにつくことができます。さらに、カンガルーケアは、母乳育児を促進する効果も期待できます。肌と肌の触れ合いは、お母さんの体内での母乳分泌を促し、赤ちゃんにとっても、自然な形で母乳を飲むことができるようになります。カンガルーケアは、特別な器具や技術を必要としない、お母さんと赤ちゃんにとって自然で優しいケアの方法です。肌と肌で触れ合い、温もりを分かち合うことで、親子の絆を育むだけでなく、赤ちゃんの成長と発達をサポートします。
皮膚科

寒冷蕁麻疹とその対処法

- 寒冷蕁麻疹とは 寒冷蕁麻疹は、冷たい空気や水、物に触れることで皮膚に蕁麻疹が出る、少し変わったアレルギー反応です。蕁麻疹は一時的に皮膚が赤く腫れ上がり、かゆみも伴います。かゆみを我慢できずに掻いてしまうと、さらに症状が悪化してしまうこともあります。 この寒冷蕁麻疹は、他の蕁麻疹と異なり、寒さに触れた部分だけに症状が現れるのが特徴です。例えば、冷たい水に手を浸けると、手だけに蕁麻疹が出ますし、冷たい風に当たると、顔や首など、風に当たった部分だけに蕁麻疹が現れます。 症状は数分から数時間で治まることが多いですが、中には数日続く場合もあります。原因はまだはっきりとは解明されていませんが、寒さによって皮膚にある肥満細胞という細胞からヒスタミンなどの物質が放出されることで起こると考えられています。 寒冷蕁麻疹は、気温が急激に下がる冬場や、プールなど冷たい水に入る際に発症しやすい傾向があります。また、冷たい飲み物やアイスクリームなどを口にした際に、口の中や喉に症状が現れることもあります。
皮膚科

疥癬とは?症状と予防について解説

- 疥癬を引き起こす原因疥癬は、ヒゼンダニという、とても小さなダニが肌に寄生することで起こる皮膚の病気です。このダニは、肉眼で見るのが難しいほど小さく、皮膚の表面に存在するのではなく、肌に小さなトンネルを掘って潜り込みます。そして、そのトンネルの中で卵を産み付けて繁殖します。ヒゼンダニは、人の皮膚を栄養源として生きています。そして、ダニそのものだけでなく、ダニが産み落とす卵や糞便が、人の皮膚にアレルギー反応を引き起こします。これが、激しいかゆみを伴う赤い発疹として現れます。疥癬は、感染した人との直接的な皮膚接触によって感染します。また、感染者が使用した衣類や寝具などを介して、間接的に感染することもあります。そのため、家族間や共同生活をする人々の間で流行しやすく、特に高齢者施設や保育園などでは集団感染が起こる可能性があります。疥癬は、適切な治療を行えば治癒する病気です。ただし、強い痒みがあるため、皮膚を掻きむしってしまうことで症状が悪化したり、細菌感染を起こしたりすることもあります。そのため、早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
呼吸器

過換気症候群:その症状と対処法

- 過換気症候群とは 過換気症候群とは、呼吸の調整が一時的にうまくいかなくなり、必要以上の酸素を体に取り込んでしまうことで、様々な体の症状が現れる状態を指します。 息を吸ったり吐いたりする行為は、通常無意識に行われています。しかし、強い不安やストレスを感じると、この呼吸の調節が乱れてしまうことがあります。その結果、必要以上に深く速い呼吸を繰り返してしまう状態が、過換気症候群です。 過換気症候群になると、息苦しさや胸の痛み、動悸、めまい、手足の痺れなど、様々な症状が現れます。また、重症になると、意識が遠のいたり、失ってしまうこともあります。 過換気症候群は、精神的なストレスや不安、パニック発作などをきっかけに起こることが多く、特に若い世代に多く見られる傾向があります。 もし、過換気症候群と思われる症状が現れた場合は、まずは落ち着いてゆっくりと呼吸をするように心がけましょう。周囲の人が過換気症候群を起こした場合は、落ち着いて呼吸を促したり、楽な姿勢を取らせてあげましょう。症状が改善しない場合は、医療機関を受診する必要があります。
その他

寛解とは?病気の経過を理解する

寛解期とは、ある種の治療によって病気の兆候が一時的に軽くなったり、消えたりした状態を指します。これは、病気そのものが完全に治癒したわけではなく、症状が表面に出ていない状態を表す言葉です。 例えば、風邪をひいて熱や咳が出た時、薬を飲むとこれらの症状が治まることがあります。しかし、症状が治まったとしても、体内から風邪のウイルスが完全に消え去ったわけではありません。この、熱や咳が治まって楽になっている状態が、まさに寛解期にあたります。 寛解期は、病気の種類や状態、患者さんによって期間が大きく異なります。数日から数年と、その期間は様々です。また、寛解期であっても、病気の再発の可能性は常に存在します。そのため、定期的な検査や医師の診察を受けるなど、健康管理を継続していくことが重要です。
呼吸器

呼吸の仕組み:外呼吸と内呼吸

私たちが生きていく上で、呼吸は欠かせません。息を吸ってはき出すという動作を、意識することなく繰り返していますが、この呼吸こそが、私たちの生命を支える重要な役割を担っています。呼吸の中でも特に重要なのが、「外呼吸」と呼ばれるものです。 外呼吸とは、体外から空気中の酸素を取り込み、体内で不要になった二酸化炭素を排出する、いわばガス交換のことです。このガス交換は、私たちの胸の中にある重要な臓器、肺で行われています。 肺の中には、「肺胞」と呼ばれる小さな袋状の組織が無数に存在しています。肺胞の壁は非常に薄く、その薄い壁を通して、酸素と二酸化炭素が効率よく交換されます。 新鮮な酸素は、肺胞から毛細血管へと移動し、血液によって全身の細胞へと届けられます。細胞は、酸素を使って栄養分を分解し、エネルギーを生み出します。この時、細胞内で不要になった二酸化炭素は、血液によって再び肺胞へと運ばれ、息を吐く際に体外へと排出されます。 このように、外呼吸は、私たちの体内の細胞へ酸素を供給し、不要な二酸化炭素を排出するという、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。
呼吸器

終末期に見られる呼吸困難:下顎呼吸

- 下顎呼吸とは下顎呼吸とは、呼吸困難に陥った際に、なんとか呼吸を続けようとして、あごを上下に動かしながら口をパクパクと開ける呼吸法のことです。その様子がまるで水面で呼吸をする魚に似ていることから、「魚口呼吸」や「死戦期呼吸」と呼ばれることもあります。健康な状態では、呼吸は主に横隔膜の動きによって行われますが、病気などで横隔膜が十分に機能しなくなった場合、代わりに首や肩、胸などの筋肉を使って呼吸をするようになります。 これが、あごと口を大きく動かす呼吸、すなわち下顎呼吸につながります。下顎呼吸は、肺炎や心不全、喘息発作など、さまざまな病気によって引き起こされる可能性があります。 特に、意識レベルの低下に伴って見られることが多く、重症な状態を示唆している場合も少なくありません。そのため、下顎呼吸が見られた場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。
皮膚科

カポジ肉腫:HIV感染と関連するがんで知られる病気

- カポジ肉腫とはカポジ肉腫は、皮膚や粘膜に赤い斑点や腫瘍ができる悪性腫瘍です。1872年、ハンガリーの皮膚科医であるモーリッツ・カポジによって初めて報告されました。この病気は、血管やリンパ管の内側を覆っている細胞から発生し、免疫力の低下した人に発症しやすいという特徴があります。カポジ肉腫は、発症する原因によって大きく四つの型に分類されます。* -古典型- 主に高齢の男性に発症し、足や脚に紫色の斑点や腫瘍が現れます。進行は緩やかで、生命に関わることは稀です。* -アフリカ型- アフリカの特定の地域で多く見られ、若年層にも発症します。皮膚だけでなく、リンパ節や内臓にも腫瘍ができることがあり、進行が早く重症化するケースもあります。* -免疫不全関連型- 臓器移植後やHIV感染者など、免疫力が低下している人に発症します。皮膚や粘膜、内臓など全身に腫瘍ができる可能性があり、進行も早い傾向にあります。* -その他の型- 免疫抑制剤の使用や、特定の遺伝子変異によって発症することがあります。カポジ肉腫の治療法は、腫瘍の大きさや部位、患者の全身状態、発症型によって異なります。手術、放射線療法、化学療法、免疫療法など、様々な治療法を組み合わせて行われます。早期発見、早期治療が重要となるため、皮膚や粘膜に異常を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
その他

知っておきたい病気:カルチとは

- カルチってどんな病気?カルチという言葉を耳にしたことはありますか? 実は、カルチとは、悪性腫瘍の中でも「がん」と呼ばれる病気のことを指します。 私たちの体は、たくさんの細胞が集まってできています。通常、細胞は分裂して新しい細胞を作り出すことで、組織を新しくしたり、傷を治したりします。 しかし、ある時を境に、この細胞分裂がコントロールを失い、際限なく増え続ける細胞が出てくることがあります。 この異常な細胞の塊が「腫瘍」であり、特に周囲の組織に広がり破壊しながら増殖していくものを「悪性腫瘍」、つまり「がん」と呼ぶのです。では、カルチは具体的にどのような「がん」なのでしょうか? 実は、体の表面や内臓の表面を覆っている「上皮細胞」から発生するがんのことを、医学用語で「カルシノーマ(Carcinoma)」と呼び、これが「カルチ」の由来となっています。 上皮細胞は、皮膚、口の中、胃、腸、肺、肝臓など、体の様々な場所で見られ、それぞれの場所で重要な役割を担っています。そのため、カルチが発生する部位も多岐にわたり、皮膚がん、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんなど、多くの種類のがんがカルチに分類されます。 カルチは、がんの中でも比較的多く見られるタイプであり、早期発見・早期治療が重要です。
皮膚科

傷口の守護者:痂皮の役割

私たちの体は、常に周囲の環境にさらされており、日常生活の中で小さな傷は避けられません。例えば、何かに擦れたり、物を触って切ったり、熱いものにうっかり触れてしまったりと、皮膚に損傷が生じることがあります。このような場合、損傷した皮膚からは血液が流れ出てきます。 出血は、体にとって大切な血液が外に流れ出てしまうだけでなく、傷口から細菌などの異物が侵入しやすくなるため、体にとって危険な状態です。そこで、傷口を塞ぎ、外部からの細菌の侵入を防ぐために重要な役割を果たすのが痂皮です。 痂皮は、血液中の血小板や凝固因子が傷口に集まり、複雑な反応を起こすことで形成されます。この反応によって、血液中のフィブリンというタンパク質が網目状に固まり、傷口を覆うことで出血を止めます。これがかさぶたとなって、傷口を保護する役割を果たします。痂皮の下では、新しい皮膚細胞が活発に作られ、傷口を修復していきます。 痂皮は自然に剥がれ落ちますが、無理に剥がすと、せっかく修復された皮膚を傷つけてしまい、細菌感染のリスクを高める可能性があります。痂皮が剥がれた後も、完全に皮膚が再生するまでには時間がかかります。 傷跡を残さないためには、皮膚の再生を促すために傷口を清潔に保ち、保湿することが大切です。
看護技術

カットダウン:緊急時の血管確保

- カットダウンとはカットダウンとは、手術などにおいて、静脈に薬剤や栄養剤などを投与したり、血液を採取したりするために、皮膚やその下の組織を切開して血管を露出させ、そこにカテーテルと呼ばれる細い管を挿入する医療行為です。点滴のように針を血管に刺して行う方法とは異なり、カットダウンではメスを用いて皮膚を切開します。そのため、血管が細かったり、深い場所にあったりする場合でも、確実に血管にカテーテルを挿入することができます。カットダウンは、緊急を要する状況など、通常の方法では血管確保が難しい場合に有効な手段です。例えば、大量出血やショック状態などにより、通常の点滴では十分な効果が得られない場合や、新生児や乳幼児のように血管が非常に細い場合などに用いられます。しかし、カットダウンは皮膚を切開するため、感染症のリスクを伴います。また、神経や血管を傷つける可能性もゼロではありません。そのため、カットダウンは他の方法では対応が難しい場合にのみ、熟練した医師によって行われます。
皮膚科

傷口の保護膜:瘡蓋の役割

- 瘡蓋ってなに?瘡蓋(かさぶた)は、すり傷や切り傷など、皮膚にできた傷口を保護するために自然にできるものです。まるで傷口に蓋をするようにして、細菌やウイルスなどの外敵から守る役割を担っています。色は赤褐色や黒っぽいことが多く、これは瘡蓋の中に血液の色素が含まれているためです。触ると硬く感じますが、これは傷口が治る過程で線維という成分が新しく作られるためです。瘡蓋ができる前は、傷口は痛みやヒリヒリ感がありますが、瘡蓋ができると、これらの不快な症状は感じにくくなります。これは、瘡蓋が傷口を覆うことで、外部からの刺激を和らげてくれるからです。このように、瘡蓋は傷口を外部環境から守り、体が本来持つ自然治癒力を高めるために重要な役割を果たしているのです。
呼吸器

人工呼吸器の呼吸の補助の仕方:換気モードとは?

- 換気モードとは人工呼吸器が必要な患者さんにとって、呼吸を助ける機械の設定は非常に重要です。この設定のことを「換気モード」と呼びます。人工呼吸器は、肺に空気を入れるための医療機器ですが、その方法は一つではありません。患者さんの状態や治療の目的によって、最適な換気モードは異なります。換気モードは、大きく分けて「容積モード」と「圧力モード」の二つに分類されます。容積モードは、一回に送り込む空気の量をあらかじめ設定する方法です。設定した量の空気が確実に肺に送り込まれるため、安定した換気が可能です。一方、圧力モードは、一回の呼吸で肺にかける圧力を設定する方法です。設定した圧力まで空気が送り込まれるため、患者さんの呼吸努力に合わせて換気量を調整することができます。それぞれの換気モードには、さらに細かい設定項目があります。例えば、呼吸の速さや吸気時間、呼気時間の調整などが可能です。これらの設定を適切に行うことで、患者さんの呼吸状態を改善し、回復を促すことができます。換気モードの選択は、医師や呼吸療法認定士などの専門家が行います。患者さんの病態、呼吸状態、血液ガスの値などを総合的に判断し、最適な換気モードを選択します。人工呼吸器は、患者さんの命を預かる重要な医療機器であるため、専門家の知識と経験に基づいた適切な設定が不可欠です。
皮膚科

顔の左右対称のシミ、肝斑とは?

- 肝斑の概要肝斑は、顔面に現れる色素斑の一種です。左右対称にできることが特徴で、まるで蝶が羽を広げたような形に現れることもあります。特に頬骨の高い位置、額、鼻の下、あごなどによく見られ、輪郭がぼんやりとしていることが多いです。色は、薄い褐色から濃い褐色まで、個人差があります。肝斑の原因は完全には解明されていませんが、紫外線、女性ホルモン、遺伝などが関係していると考えられています。そのため、20代後半から40代の女性に多く見られます。妊娠や経口避妊薬の使用がきっかけで発症したり、悪化したりすることもあります。肝斑自体は、健康に害を与えるものではありません。しかし、見た目の問題から、自分に自信が持てなくなったり、精神的なストレスを抱えたりする方も少なくありません。そのため、気になる場合は、皮膚科専門医を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。治療には、トラネキサム酸やビタミンCなどの内服薬や、ハイドロキノンやトレチノインなどの外用薬が用いられます。また、レーザー治療が行われることもあります。肝斑の治療には、根気強く続けることが大切です。
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