血管炎

小児科

子どもの血管に起こる炎症:川崎病について

川崎病は、1967年に日本で初めて報告された、全身の血管に炎症が起こる病気です。年間約1万5千人もの子供が発症しており、乳幼児、特に1歳前後の赤ちゃんに多くみられます。原因はまだはっきりとは解明されていませんが、細菌やウイルス感染などの後、免疫の異常が関わって発症すると考えられています。 川崎病は、全身の血管に炎症が起こるため、様々な症状が現れます。主な症状としては、高熱が5日以上続くこと、目の充血、唇や口の中の変化、発疹、首のリンパ節の腫れなどがあります。これらの症状は、全ての子に当てはまるわけではなく、症状の出方も様々です。 川崎病は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。早期に治療すれば、ほとんどの場合、後遺症を残さずに治癒します。しかし、治療が遅れると、心臓の冠動脈に瘤(こぶ)ができるなど、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、お子さんに川崎病が疑われる症状がみられる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
血液

血管炎症候群:全身に及ぶ血管の炎症

- 血管炎症候群とは何か 私たちの体は、まるで網の目のように血管が張り巡らされています。この血管は、体中に酸素や栄養を届けるという、人間が生きていく上で欠かせない重要な役割を担っています。同時に、老廃物を回収し、体の外へと運び出すのも血管の大切な仕事です。 血管炎症候群とは、この血管に炎症が起きる病気の総称です。血管は、体の隅々まで血液を送り届けるための重要な通路です。しかし、様々な原因で血管の壁に炎症が起きることがあります。炎症によって血管の壁が厚くなったり、血管の内側が狭くなったりすると、血液の流れが悪くなってしまいます。 血液の流れが悪くなると、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、臓器や組織の働きが低下してしまいます。また、血管が詰まったり破れたりすると、生命に関わる深刻な事態を引き起こす可能性もあります。 血管炎症候群は、原因や症状、進行の程度などによって様々な種類に分類されます。血管の炎症は、動脈だけでなく、静脈や毛細血管など、あらゆる種類の血管で起こる可能性があります。 血管炎症候群は、比較的まれな病気ですが、命に関わることもあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
アレルギー

膠原病:全身に影響を及ぼす疾患群

- 膠原病とは膠原病とは、体の中で重要な役割を果たしている結合組織が、自分自身の免疫システムによって攻撃されてしまう病気の総称です。特に、結合組織の主成分である膠原線維が標的となることから、膠原病と名付けられました。膠原線維は、骨や軟骨、皮膚、血管、内臓など、体のあらゆる場所に存在し、組織の強度や弾力性を保つ働きをしています。例えるなら、建物を支える鉄骨のようなものです。この膠原線維が炎症を起こしたり、破壊されたりすることで、様々な臓器に障害が生じ、多岐にわたる症状が現れるのが膠原病の特徴です。膠原病には、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症など、多くの種類が存在します。それぞれの病気によって、主に障害を受ける臓器や症状、経過は大きく異なります。膠原病の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関係していると考えられています。また、膠原病は、比較的若い世代、特に20代から40代の女性に発症しやすいことも特徴の一つです。膠原病は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、症状の進行を抑え、日常生活を維持することができる病気です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
その他

膠原病類縁疾患:古典的膠原病との関連

- 膠原病とは膠原病は、体の様々な部位で炎症を引き起こす病気の総称です。 私たちの体は、臓器や組織を支え、結びつける役割を持つ結合組織で構成されています。膠原病は、この結合組織や血管の壁に炎症が起こり、組織が硬くなってしまう「線維素様変性」と呼ばれる変化を特徴とします。1942年、ポール・クレンペラーという医師によって提唱された膠原病は、当初、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、結節性多発動脈周囲炎、リウマチ熱の6つの病気を「古典的膠原病」として定義しました。膠原病は、免疫の異常が原因と考えられています。 本来、免疫は細菌やウイルスなどの外敵から体を守る仕組みですが、膠原病では、この免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃してしまうのです。 その結果、炎症が慢性化し、様々な臓器に障害を引き起こします。膠原病の症状は、発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感など、風邪に似た症状で始まることが多いです。 また、皮膚の発疹や脱毛、口内炎、胸膜炎、心膜炎など、様々な症状が現れることもあります。膠原病は、早期発見・早期治療が大切です。 早期に適切な治療を開始することで、症状をコントロールし、病気の進行を抑えることが期待できます。
血液

顕微鏡的多発血管炎:小さな血管の大きな炎症

- 顕微鏡的多発血管炎とは顕微鏡的多発血管炎という病名は、あまり聞き馴染みがないかもしれません。この病気は、体中に張り巡らされた細い血管に炎症が起こることで、様々な症状が現れます。「多発血管炎」という名前が示すように、炎症は体の複数の血管に生じます。しかし、肉眼では確認できないほど小さな血管で炎症が起こるため、「顕微鏡的」という言葉が付け加えられています。顕微鏡的多発血管炎は、免疫システムの異常が原因と考えられていますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。本来、免疫システムは細菌やウイルスなどの外敵から体を守る働きをしています。しかし、顕微鏡的多発血管炎を発症すると、この免疫システムが誤って自分の体の血管を攻撃してしまうのです。その結果、血管の壁が炎症を起こし、血液の流れが悪くなったり、血管が破れて出血したりすることがあります。顕微鏡的多発血管炎は、放置すると重症化することもあるため、早期発見・早期治療が重要です。症状としては、発熱、体重減少、倦怠感、筋肉痛、関節痛など、風邪に似た症状が現れることがあります。また、血管の炎症が起こる場所によっては、皮膚の紫斑、咳や息切れ、腹痛、腎機能障害などの症状が現れることもあります。もし、これらの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
アレルギー

IgA血管炎:知っておきたいこと

- IgA血管炎とはIgA血管炎は、以前はヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)という名前で知られていました。この病気は、身体の様々な部位に見られる毛細血管、細動脈、細静脈といった細い血管に炎症を起こす病気です。具体的には皮膚や関節、腸、腎臓などに影響を与えます。では、なぜ血管に炎症が起きるのでしょうか?私たちの体には、免疫グロブリンA(IgA)と呼ばれる抗体が備わっています。IgA血管炎の場合、このIgAが何らかの原因で血管の壁に沈着してしまうのです。その結果、血管壁に炎症が引き起こされ、様々な症状が現れます。IgA血管炎は、主に5歳から15歳くらいまでの子供に多く発症する病気として知られていますが、大人になってから発症することもあります。また、男女差で見ると、男性にやや多く発症する傾向があると言われています。IgA血管炎の主な症状としては、紫色の斑点状の発疹が足やお尻に出現すること、関節の痛みや腫れ、腹痛、血尿などが挙げられます。これらの症状は、血管に炎症が起きた場所や程度によって様々です。IgA血管炎は、原因がはっきりとは解明されていないため、根本的な治療法はまだ確立されていません。しかし、多くの場合、症状は自然に軽快していきます。症状が重い場合には、医師の指示のもと、薬物療法などの対症療法が行われます。
血液

ANCA関連血管炎:知っておきたいこと

- ANCA関連血管炎とはANCA関連血管炎という言葉は、あまり馴染みがないかもしれません。これは、自分の免疫の働きが誤ってしまい、自分の体の血管に炎症を起こしてしまう病気です。ANCAとは、「抗好中球細胞質抗体」の略称で、この抗体が自分の体の細胞を攻撃してしまうことが原因です。私たちの体の中には、血管が網の目のように張り巡らされています。この血管に炎症が起きると、血液の流れが悪くなり、体の様々な場所に影響が出てしまいます。症状は実に様々で、発熱やだるさ、関節の痛み、体重減少など、風邪によく似た症状が出ることもあります。さらに厄介なことに、ANCA関連血管炎は、放っておくと重い病気につながる可能性があります。炎症が強くなると、腎臓、肺、神経など、生命維持に欠かせない臓器にまで障害が及んでしまうことがあるのです。ANCA関連血管炎は、早期発見、早期治療が何よりも大切です。原因不明の体調不良が続く場合は、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
血液

命を脅かす血管の炎症:結節性多発動脈炎

私たちの体の中に張り巡らされた血管は、心臓から送り出された血液を全身に届けるという大切な役割を担っています。その中でも、心臓から送り出された血液を体の各器官へと運ぶのが動脈と呼ばれる血管です。この動脈に炎症が起こり、様々な体の不調を引き起こす病気が、結節性多発動脈炎です。 結節性多発動脈炎は、全身の中規模の動脈に炎症を引き起こします。炎症によって血管の壁がもろくなったり、血管が狭くなったりすることで、血液の流れが悪くなってしまいます。その結果、体の様々な場所に十分な血液が行き渡らなくなり、臓器に障害が生じるのです。 結節性多発動脈炎は、国の指定難病に認定されている病気です。これは、患者数が少なく、原因がまだよくわかっていないこと、そして治療法が確立されていないことを意味します。多くの患者さんが、原因不明の体の痛みや発熱、倦怠感などの症状に悩みながら、長く辛い闘病生活を送っています。
循環器

側頭動脈炎:巨細胞が織りなす血管の炎症

- あまり聞き馴染みのない病気?側頭動脈炎側頭動脈炎、この病名を耳にしたことがあるでしょうか?おそらく、多くの人にとってあまり聞き馴染みがない病気かもしれません。しかし、これは私たちが普段何気なく触れている、こめかみの少し上を通る血管、側頭動脈に起こる炎症性疾患なのです。側頭動脈炎は、中高年以降、特に50歳以上の人に多く発症する病気です。男女差はありますが、女性に多く見られ、また、北欧系の人に発症が多いという報告もあります。具体的な原因は未だ解明されていませんが、免疫の異常が関係していると考えられています。自覚症状としては、こめかみ周辺の痛みや頭痛が挙げられます。その他、発熱や食欲不振、体重減少、視力障害などの症状が現れることもあります。特に、視力障害は放置すると失明に至る可能性もあるため、早期発見と適切な治療が重要となります。側頭動脈炎は、比較的稀な病気ではありますが、決して他人事ではありません。もし、こめかみ周辺に原因不明の痛みや、その他関連する症状が現れた場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
アレルギー

アレルギー性紫斑病:原因と症状

- アレルギー性紫斑病とはアレルギー性紫斑病は、体の免疫システムが過剰に反応してしまうことで、血管に炎症を引き起こす病気です。主に乳幼児から小学校低学年くらいまでのお子さんに多く見られます。-# 症状最も特徴的な症状は、皮膚に現れる赤い斑点です。この斑点は、触ると少し盛り上がっていることが多く、医学的には「触知可能な紫斑」と呼ばれます。紫斑は、血管に炎症が起こり、そこから血液が漏れ出すことで生じます。斑点は、おしりや足に特に多く見られ、左右対称に現れることが多いのも特徴です。皮膚の症状に加えて、関節痛や腹痛を伴うこともあります。関節痛は、主に膝や足首などの大きな関節に起こります。腹痛は、吐き気や嘔吐、下痢などを伴うこともあり、まれに出血が見られることもあります。さらに、腎臓に炎症が起こる場合もあり、血尿やタンパク尿などの症状が現れることがあります。腎臓の症状は、放置すると重症化する可能性もあるため、注意が必要です。-# 原因アレルギー性紫斑病の明確な原因は、まだはっきりと解明されていません。しかし、ウイルスや細菌感染、薬剤、食物などがきっかけとなって発症すると考えられています。また、家族にアレルギー疾患を持つ人がいる場合は、発症するリスクが高まるという報告もあります。-# 治療多くの場合、アレルギー性紫斑病は数週間から数か月で自然に治癒します。症状が軽い場合は、安静にして様子を見ることになりますが、症状が重い場合は、医師の指示に従って薬物療法などを行います。
循環器

巨細胞性動脈炎:知っておきたい血管の病気

- 巨細胞性動脈炎とは巨細胞性動脈炎は、体の比較的大きな動脈に炎症が起こる病気です。炎症によって動脈の壁が厚く硬くなるため、血液の流れが悪くなったり、血管が狭くなったりすることがあります。この病気は、特に頭部や首の動脈に発生しやすく、こめかみ付近を通る側頭動脈や、目に血液を送る眼動脈が影響を受けやすいとされています。そのため、放置すると失明の危険性もある病気です。 巨細胞性動脈炎の主な症状としては、激しい頭痛、こめかみの痛み、視力障害などがあります。また、発熱、倦怠感、食欲不振、体重減少などの全身症状が現れることもあります。 原因は明らかになっていませんが、免疫の異常が関わっていると考えられています。高齢者に多くみられ、特に50歳以上の女性に多い病気です。早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。治療は通常、ステロイド薬を用いて炎症を抑えます。早期に治療を開始することで、症状の改善や重症化の予防が期待できます。
アレルギー

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症:あまり知られていない病気について

- 病気の概要好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、あまり知られていない病気です。これは、体の様々な臓器に炎症を引き起こす、稀な自己免疫疾患です。 自分の免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃してしまうことで、血管、肺、皮膚、神経などに炎症が起こります。 そのため、様々な症状が現れます。この病気は、以前はアレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)と呼ばれていました。 EGPAは、血液中の白血球の一種である好酸球が増加することが特徴です。 好酸球は、通常、寄生虫感染やアレルギー反応に対して働きますが、EGPAでは、何らかの原因で過剰に増加し、炎症を引き起こすと考えられています。EGPAの症状は、炎症が起こる臓器やその程度によって異なります。 初期症状としては、喘息のような咳や息切れ、鼻炎などがみられます。 病気が進行すると、血管の炎症による臓器障害や、神経障害によるしびれや麻痺などが現れることもあります。EGPAは、稀な病気であるため、診断が難しい場合もあります。 血液検査や画像検査、組織検査などを行い、他の病気との区別を行います。 治療法としては、ステロイド薬や免疫抑制剤などが用いられます。早期に診断し、適切な治療を行うことで、症状を抑え、病気の進行を遅らせることができます。
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