炎症

脳・神経

髄膜炎:脳と脊髄を守る膜の炎症

- 髄膜炎とは私たちの脳と脊髄は、髄膜と呼ばれる薄い膜で覆われています。この髄膜は、外部からの衝撃をや病原菌から脳や脊髄を守る、いわば鎧のような役割を担っています。 髄膜炎は、この重要な髄膜に炎症が起こる病気です。髄膜炎の原因として最も多いのは、細菌やウイルスなどの病原体による感染です。その他、真菌や寄生虫、特定の薬剤や病気によって引き起こされることもあります。髄膜炎は、初期症状として発熱、頭痛、吐き気など、風邪に似た症状が現れることが多く、注意が必要です。症状が進むにつれて、首の硬直、意識障害、けいれん、光過敏など、より重い症状が現れることもあります。乳幼児の場合は、これらの典型的な症状が現れにくく、機嫌が悪い、ミルクの飲みが悪いといった症状が見られることもあります。髄膜炎は、重症化すると命に関わる可能性もある病気です。特に細菌性髄膜炎は、早期に適切な治療を行わないと、後遺症が残ったり、最悪の場合死に至ることもあります。そのため、髄膜炎の疑いがある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。早期に診断し、適切な治療を開始することで、重症化を防ぐことができます。
血液

体内を守る警報システム:白血球走化因子

私たちの体は、まるで複雑な迷路のような構造をしています。その迷路の中を常に巡回し、外敵から身を守る勇敢な兵士たちがいます。それが、白血球です。白血球は、細菌やウイルスといった外敵を見つけると、攻撃を仕掛けて私たちの体を守ってくれます。しかし、広大な体の中をどのようにしてパトロールし、外敵を見つけることができるのでしょうか? 実は、白血球には、「白血球走化因子」という特別な信号物質を感知する能力が備わっています。この信号物質は、体内で炎症が起きた際に、その場所から発信されます。例えるならば、火災現場からサイレンが鳴り響くように、炎症部位から白血球走化因子が放出されるのです。 白血球は、この信号物質を頼りに、まるで地図を読むようにして炎症部位へと向かうことができます。そして、信号が強い場所、つまり炎症が最も激しい場所に集まり、集中的に外敵を攻撃します。 このように、白血球走化因子は、白血球を必要な場所に誘導する、いわば「体内の道案内人」のような役割を果たしているのです。この巧妙なシステムのおかげで、私たちの体は、外敵から効率的に身を守ることができるのです。
血液

免疫の主役!好中球の役割とは?

私たちの体内には、体外から侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体から身を守る、免疫と呼ばれるシステムが備わっています。その免疫システムにおいて、最前線に立って病原体と戦っているのが白血球です。白血球は血液中に存在し、全身をくまなくパトロールして、体に害を及ぼす敵を見つけ次第攻撃を仕掛けます。 白血球は、大きく3つの種類に分けられます。細胞の中に顆粒と呼ばれる小さな袋状の構造を持つ顆粒球、顆粒を持たない単球、そしてリンパ球です。さらに顆粒球は、顆粒の染色性によって、好中球、好酸球、好塩基球の3つに分類されます。 この中で、好中球は白血球全体の約50~70%を占める、まさに免疫の主力部隊といえるでしょう。好中球は、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入してくると、すぐにその場所に駆けつけ、病原体を自身の細胞内に取り込んで殺菌します。また、好中球は、死んだ細胞や体内の老廃物を処理する役割も担っています。このように、好中球は、私たちの体が健康な状態を保つために、非常に重要な役割を担っているのです。
血液

慢性疾患と貧血の関係

- 慢性疾患に伴う貧血とは 慢性疾患に伴う貧血とは、文字通り、長く続く病気が原因で起こる貧血のことです。 私たちの体内では、赤血球という細胞が、体中に酸素を届ける重要な役割を担っています。この赤血球が、慢性疾患に伴う貧血では数が減ってしまったり、正常に働かなくなったりします。その結果、様々な症状が現れます。 例えば、少し体を動かしただけで息が切れたり、疲れやすくなったり、心臓がドキドキするといった症状を感じます。 慢性疾患に伴う貧血は、決して珍しい病気ではありません。様々な病気が原因で起こる可能性があり、多くの人に見られます。ですから、この貧血について正しく理解し、注意を払うことが大切です。
その他

免疫の司令塔:サイトカイン

私たちの体の中では、無数の細胞たちが絶え間なく会話をして、組織や器官の働きを調整しています。この細胞間のコミュニケーションを支える重要な役割を担っているのが、サイトカインと呼ばれる小さなタンパク質です。 サイトカインは、細胞から分泌されると、血液やリンパ液などの体液に乗って他の細胞へと届けられます。まるで手紙をポストに投函するように、細胞はサイトカインを分泌することで、離れた場所にいる細胞にメッセージを送ることができるのです。 細胞の表面には、特定のサイトカインとだけ結合する受容体と呼ばれるタンパク質が存在します。受容体にサイトカインが結合すると、細胞内にシグナルが伝わり、様々な反応を引き起こします。これは、手紙を受け取った人がその内容に従って行動を起こす様子に似ています。 サイトカインが伝えるメッセージは実に多岐に渡り、免疫反応の調節、炎症の促進、細胞の増殖や分化の制御など、私たちの体の様々な機能に影響を与えています。例えば、風邪を引いたときに発熱するのは、免疫細胞がサイトカインを分泌して体温を上げるように指令を出すためです。また、怪我をしたときに傷口が赤く腫れるのも、サイトカインが炎症反応を引き起こすためです。 このように、サイトカインは細胞間のコミュニケーションを円滑に行うためのメッセンジャーとして、私たちの体の健康維持に欠かせない役割を担っているのです。
目・眼科

身近な目の病気:結膜炎

- 結膜炎とは目の表面は、白目と呼ばれる白い部分と、黒目と呼ばれる中央の黒い部分で構成されています。この白目の部分を覆っている薄い膜を結膜と呼びますが、この結膜に炎症が起こる病気を結膜炎と言います。結膜炎になると、目が充血して赤く見えたり、場合によってはピンク色に見えることもあります。結膜炎は、細菌やウイルス、アレルギー物質などが原因で起こることが多く、症状としては、目が赤くなることに加えて、痛みやかゆみ、異物感、目やになどの症状が現れます。また、涙が過剰に出る、光がまぶしく感じるといった症状が出ることもあります。結膜炎は、原因や症状によっていくつかの種類に分けられます。例えば、細菌性の結膜炎は、細菌感染によって引き起こされ、黄色や緑色の目やにが多く出るのが特徴です。一方、ウイルス性の結膜炎は、ウイルス感染によって引き起こされ、透明な水のような目やにが出ることが多いです。また、アレルギー性結膜炎は、花粉やダニなどのアレルギー物質によって引き起こされ、激しいかゆみや充血を伴うことが多いです。結膜炎は、適切な治療を行えば、ほとんどの場合、数日から1週間程度で治癒します。しかし、症状が重い場合や、適切な治療を行わないと、視力に影響が出る可能性もありますので、注意が必要です。もし、結膜炎が疑われる場合は、自己判断せずに、早めに眼科を受診するようにしましょう。
検査

CRP値でわかる体の炎症

- CRPとはCRPは、C反応性蛋白(しーはんのうせいたんぱく)を省略した呼び方で、血液の中に存在する蛋白質の一種です。このCRPは、普段は私達の体の中にごく少量しか存在していません。しかし、体内で炎症が起こったり、組織の損傷が起こると、肝臓で作られ、血液中に放出されて急激に増加します。 CRPは、炎症や組織の損傷に反応して増加するため、体の状態を知るための重要な指標となります。例えば、風邪などの感染症、関節リウマチなどの自己免疫疾患、心筋梗塞などの病気になると、CRPの値が上昇します。検査は血液検査で行われ、採血した血液中のCRP濃度を測定します。CRPの値が上昇している場合は、炎症や組織の損傷が suspected されている可能性があり、医師は他の検査結果と合わせて、診断を行います。CRPは、病気の診断だけでなく、治療の効果判定や再発の兆候を捉えるためにも用いられます。このように、CRPは、様々な病気と関連して変化する指標であり、健康状態を把握する上で非常に重要なものです。
検査

赤血球沈降速度:炎症を測る指標

- 赤血球沈降速度とは赤血球沈降速度(せっけっきゅうちんこうそくど)は、一般的に赤沈や血沈と略され、血液検査の項目の一つです。 この検査では、採血した血液を細いガラス管に入れ、垂直に立てて1時間放置します。そして、その間に赤血球が沈んでいく速さを測定します。 健康な状態では、赤血球はゆっくりと沈んでいきます。しかし、体内で炎症が起きている場合、赤血球は互いにくっつきやすくなり、塊となった状態で速く沈んでいきます。これは、炎症によって血液中のタンパク質のバランスが崩れ、赤血球の表面の電荷が変化することが原因です。赤沈は、炎症の程度を大 crude に把握する検査であり、その値が速いほど、体内で炎症が起きている可能性が高いことを示唆します。 ただし、赤沈だけで、どの部位にどのような炎症が起きているかを特定することはできません。具体的な病気の診断には、他の検査結果や症状と合わせて総合的に判断する必要があります。赤沈は、関節リウマチや血管の炎症など、様々な病気の診断や経過観察に用いられます。 また、原因不明の発熱や炎症症状がある場合にも、有用な検査となります。

免疫抑制薬:その役割と注意点

- 免疫抑制薬とは私たちの体には、細菌やウイルスといった外敵が侵入してきた際に、それらを排除して体を守る「免疫システム」が備わっています。通常、このシステムは体にとって非常に重要な役割を果たしています。しかし、免疫システムが何らかの原因で正常に機能しなくなった場合、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことがあります。これは、まるで本来守るべき味方を誤って攻撃してしまうようなもので、自己免疫疾患や移植拒絶反応といった深刻な病気を引き起こします。免疫抑制薬は、過剰に働きすぎた免疫システムを抑え、正常な状態に近づけることで、自己免疫疾患や移植拒絶反応などの症状を和らげることを目的とした薬です。免疫抑制薬には、作用の仕組みや対象となる免疫細胞の種類などが異なる様々な種類があります。例えば、ステロイド薬は免疫細胞全体に作用し、炎症を抑える効果があります。一方、特定の免疫細胞の働きだけを抑える薬や、免疫細胞が活性化するのを妨げる薬など、より選択的に免疫システムに作用する薬も開発されています。免疫抑制薬の使用は、自己免疫疾患や移植後の患者さんにとって、病気の管理や健康な生活を送る上で非常に重要です。しかし、免疫システムの働きを抑えるということは、感染症に対する抵抗力が弱まるというリスクも伴います。そのため、免疫抑制薬の使用は必ず医師の指示に従い、定期的な検査や生活上の注意点を守ることが大切です。
消化器

命に関わる胆管の炎症:急性胆管炎

- 急性胆管炎とは急性胆管炎は、生命にかかわる可能性もある危険な病気です。胆汁の流れが悪くなることで細菌感染を起こし、胆管に強い炎症を引き起こします。胆汁は、肝臓で作られる消化液で、脂肪の分解を助ける重要な役割を担っています。肝臓で作られた胆汁は、いったん胆嚢に蓄えられ、その後、胆管と呼ばれる管を通って十二指腸に送られます。ところが、この胆管が胆石や腫瘍などによって塞がってしまうと、胆汁の流れが滞ってしまいます。すると、胆汁が溜まり、そこに細菌が繁殖しやすくなるのです。細菌が繁殖すると、胆管に炎症が起こり、これが急性胆管炎の始まりです。急性胆管炎になると、発熱、腹痛、黄疸といった症状が現れます。特に右上腹部には激しい痛みが生じることが多く、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。また、重症化すると意識障害やショック状態に陥ることもあり、迅速な治療が必要です。急性胆管炎は、早期に発見し、適切な治療を行えば、多くの場合、治癒する病気です。しかし、放置すると重症化し、命に関わる危険性も高まります。そのため、腹痛や発熱、黄疸などの症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。
その他

医療現場で使われる「pus」ってなに?

傷口を見たときに、黄色や緑っぽいどろっとした液体が出ているのを見たことはありませんか?これは「膿(うみ)」と呼ばれるもので、医学用語では「pus(パス)」と表現します。 医療現場では、日本語よりも英語表記の「pus」の方が頻繁に使われます。これは、カルテなどに記載する際にもそのまま「pus」と記されることが一般的です。 では、この「膿」は一体何なのでしょうか? 膿は、体内に侵入した細菌やウイルスと戦うために集まった白血球や、その戦いで死んでしまった細胞、そして組織の残骸などが混ざり合ってできたものです。つまり、膿は体が細菌と戦っている証拠とも言えます。 膿が出ること自体は、必ずしも悪いことではありません。しかし、大量の膿が溜まったり、体の深い部分に膿が溜まってしまうと、周囲の組織を圧迫したり、炎症が広がってしまう可能性があります。そのため、膿が出た場合は、自己判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。

免疫抑制薬:その役割と注意点

- 免疫抑制薬とは私たちの体は、細菌やウイルスなどの病原体が侵入してくると、それらを排除しようと攻撃する仕組みが備わっています。これを免疫と呼びます。免疫は、健康な体を維持するために非常に重要な働きをしています。しかし、時にこの免疫システムが過剰に働きすぎたり、誤って自分自身の細胞を攻撃してしまうことがあります。これが、自己免疫疾患や移植臓器への拒絶反応です。免疫抑制薬は、このような免疫システムの過剰な反応を抑え、病気の症状を和らげるために用いられる薬です。具体的には、免疫細胞の増殖や働きを抑えたり、免疫反応を引き起こす物質の産生を抑えることで効果を発揮します。免疫抑制薬は、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患、臓器移植後、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患など、様々な病気の治療に用いられています。免疫抑制薬は、感染症にかかりやすくなる、悪性腫瘍のリスクが高まるなど、いくつかの副作用も知られています。そのため、医師は、患者さんの病気の状態や体質などを考慮して、慎重に免疫抑制薬を選択し、使用していく必要があります。また、患者さん自身も、免疫抑制薬を使用する際には、医師から十分な説明を受け、正しく理解しておくことが大切です。
その他

医療現場で使われる「pus」ってなに?

「pus」って、日本語では「膿(うみ)」のことです。 怪我をした後などに、傷口から白や黄色っぽい、どろっとしたものが出てきた経験はありませんか?それが膿です。 膿は、傷口に細菌などが感染することで起こる炎症反応の一つです。 体の中に侵入してきた細菌やウイルスと戦ってくれた白血球の死骸や、細菌と戦ったときに生じた老廃物などが混ざり合って、あの独特の色や粘り気を生み出しています。 医学の世界では、カルテなどに記録をつけるときに、専門用語として「pus」が使われることがあります。 しかし、患者さんに説明する際は、より分かりやすいように「膿」という言葉を使うことが多いです。

免疫抑制薬:その役割と注意点

- 免疫抑制薬とは私たちの体は、常に細菌やウイルスなどの外敵の侵入から身を守るために働いています。その防御システムの中心的な役割を担っているのが免疫です。免疫は、体内に侵入してきた異物を攻撃し、排除することで健康を維持しています。 しかし、この免疫システムが何らかの原因で過剰に働いてしまうことがあります。その結果、本来は攻撃する必要のない自分の体の一部を攻撃してしまうことがあります。これが自己免疫疾患と呼ばれる病気です。 自己免疫疾患には、関節リウマチや炎症性腸疾患など、様々な種類があります。これらの病気では、免疫細胞が自分の体の組織を攻撃することで、関節に痛みや腫れが生じたり、消化管に炎症を起こしたりします。 また、臓器移植の際にも、免疫システムが過剰に働くことで問題が起こることがあります。移植された臓器は、たとえ適合性を厳密に検査したとしても、体にとっては「異物」と認識されてしまいます。そのため、免疫細胞が移植された臓器を攻撃し、拒絶反応と呼ばれる現象が起こります。 免疫抑制薬は、このような免疫システムの過剰な反応を抑える働きを持つ薬です。自己免疫疾患の治療では、免疫抑制薬を用いることで、過剰に働く免疫細胞の働きを抑え、自己組織への攻撃を抑制することができます。これにより、病気の症状を和らげ、進行を遅らせる効果が期待できます。 また、臓器移植の際にも、免疫抑制薬は重要な役割を担います。移植された臓器への拒絶反応を抑えることで、臓器が体にとって「異物」と認識されるのを防ぎ、臓器が正常に機能するよう促します。 このように、免疫抑制薬は、免疫システムの過剰な反応を抑えることで、自己免疫疾患や臓器移植に伴う問題を解決する重要な役割を担っています。
その他

炎症反応の司令塔:炎症性サイトカイン

- 炎症性サイトカインとは 私たちの体は、細菌やウイルスなどの病原体が侵入してくると、これらを排除し体を守るために防御反応を起こします。この防御反応は「炎症反応」と呼ばれ、発熱、痛み、腫れ、赤みなどの症状を伴います。そして、この炎症反応において中心的な役割を担うのが、「炎症性サイトカイン」と呼ばれるタンパク質です。 炎症性サイトカインは、免疫細胞から分泌され、細胞間の情報伝達を司る重要な役割を担っています。例えるなら、体内で起こる炎症という戦場において、司令塔から各部隊へ指示を出す役割を担っているのが炎症性サイトカインと言えるでしょう。 炎症性サイトカインは、種類によって作用が異なり、標的となる細胞も異なります。例えば、TNF-αやIL-1βといった炎症性サイトカインは、血管内皮細胞に作用し、白血球を炎症部位に呼び寄せます。また、IL-6は肝臓に作用し、発熱を引き起こす物質の産生を促します。 炎症反応は、本来、体を守るための重要な反応です。しかし、炎症性サイトカインが過剰に産生されたり、慢性的に分泌され続けたりすると、関節リウマチや炎症性腸疾患などの自己免疫疾患、アレルギー疾患、動脈硬化症、糖尿病などの生活習慣病など、様々な病気の原因となることが知られています。そのため、炎症性サイトカインの働きを適切に制御することが、これらの病気の予防や治療に繋がると考えられています。
アレルギー

ヒスタミン: 体内の多機能メッセンジャー

- ヒスタミンとは私達の体の中には、様々な機能を調整するために、ごく微量でありながら重要な働きをする物質がたくさん存在します。その中の一つがヒスタミンと呼ばれる物質です。ヒスタミンは、体内の様々な細胞で作られ、必要に応じて放出されます。ヒスタミンは、細胞間のコミュニケーションを司るメッセンジャーのような役割を担っています。特定の細胞から放出されたヒスタミンは、別の細胞の表面にあるヒスタミン受容体と呼ばれる場所に結合することで、その細胞に情報を伝達します。ヒスタミンが特に重要な役割を担っているのが、炎症反応やアレルギー反応です。例えば、私達の体が、体に害を与える可能性のある細菌やウイルスに感染すると、ヒスタミンが放出されます。ヒスタミンは、血管を広げて血液の流れを良くすることで、免疫細胞が患部に到達しやすくなるように働きかけます。また、ヒスタミンには、神経を刺激してかゆみを引き起こす作用もあり、これは、異物を体外に排出しようとする体の防御反応の一つです。一方、アレルギー反応は、本来無害な花粉やダニなどの物質に対して、体が過剰に反応してしまうことで起こります。この場合もヒスタミンが放出され、くしゃみ、鼻水、皮膚の発疹など、様々な不快な症状を引き起こします。ヒスタミンは、炎症やアレルギー以外にも、胃酸の分泌や神経伝達など、様々な生理機能に関わっています。このように、ヒスタミンは私達の体にとって非常に重要な役割を担っている物質と言えるでしょう。

免疫の立役者:CCL2 chemokine

- CCL2とは私たちの体は、常に細菌やウイルスなどの外敵の侵入の脅威にさらされています。 これらの外敵から身を守るために、私たちの体には免疫システムが備わっています。免疫システムは、様々な種類の細胞が連携して働くことで、外敵を排除し、私たちの健康を守っています。その中でも、免疫細胞と呼ばれる細胞は、体内をパトロールし、外敵を見つけ次第攻撃する役割を担っています。CCL2は、この免疫細胞の働きを調整する上で、非常に重要な役割を担うタンパク質の一つです。正式名称は「CCケモカインリガンド2」と言い、ケモカインと呼ばれる、細胞の動きをコントロールするタンパク質の一種です。 CCL2は、体内で炎症反応が起こると、免疫細胞を炎症部位に誘導する信号として働きます。例えば、風邪を引いて喉が炎症を起こすと、CCL2が分泌され、その信号を受け取った免疫細胞が喉の炎症部位に集まってきます。そして、集まってきた免疫細胞が、炎症の原因となっているウイルスなどを攻撃し、排除することで、私たちは病気から回復することができます。このように、CCL2は免疫細胞を必要な場所に誘導することで、私たちの体を病気から守るために重要な役割を担っているのです。
その他

医療現場で使われる「pus」って何?

病院で働く医療従事者同士が専門用語を用いてコミュニケーションを取ることは、患者さんの情報を正確かつ迅速に共有する上で非常に重要です。その専門用語の一つに、「pus(ぱす)」という言葉があります。これは、日本語では「膿」という意味を持つ医学用語です。「膿」は、細菌やウイルス感染によって引き起こされる炎症反応によって生じる、白っぽい黄色や緑色の粘り気のある液体のことを指します。 医療現場では、この「pus」は頻繁に登場する言葉です。なぜなら、「膿」の有無や色、量などは、患者さんの体の状態や病気の進行度合いを把握するための重要な指標となるからです。例えば、傷口に「膿」が溜まっている場合は、感染症が疑われますし、「膿」の色が緑色っぽい場合には、特定の種類の細菌感染の可能性も考えられます。 このように、「pus」は医療従事者にとって、患者さんの状態を正確に把握し、適切な治療方針を決定するために欠かせない医学用語の一つなのです。患者さん自身も、もし医療従事者から「pus」という言葉を使った説明を受けた際には、ためらわずに質問するようにしましょう。
その他

身近な病気、関節炎について

- 関節炎とは関節炎とは、骨と骨をつなぐ関節に炎症が起こる病気です。関節は、滑らかな動きを助けるクッションのような役割を担っていますが、この関節に炎症が起こると、様々な症状が現れます。代表的な症状として、痛み、腫れ、こわばりなどが挙げられます。炎症が強い場合には、関節周辺が熱を持ち、赤くなることもあります。これらの症状は、朝起きた時や長時間同じ姿勢を続けた後などに強く現れる傾向があります。関節炎は、加齢に伴い発症リスクが高くなるため、高齢者の多くが悩まされている病気として知られています。しかし、若い世代でも発症する可能性は十分にあり、決して他人事ではありません。関節炎には、遺伝や生活習慣、免疫異常など、様々な要因が複雑に関係していると考えられています。関節炎は進行性の病気であるため、早期発見・早期治療が重要となります。関節に違和感を感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。関節炎の治療には、薬物療法、リハビリテーション、手術療法など、様々な方法があります。症状や進行度合い、患者さんの状態に合わせて、最適な治療法が選択されます。
血液

免疫の主役:顆粒球の役割

- 顆粒球とは私たちの体内には、細菌やウイルスなどの病原体から身を守る「免疫」というシステムが備わっています。その免疫システムにおいて、最前線で活躍する重要な役割を担っているのが白血球です。白血球は、血液中に存在する細胞の一種で、体内をパトロールし、病原体を見つけると攻撃して排除します。 顆粒球は、この白血球の一種で、細胞内に小さな顆粒と呼ばれる袋状の構造を多数持っていることが特徴です。この顆粒の中には、病原体を撃退するための様々な物質が蓄えられています。顕微鏡で観察すると、顆粒球の細胞質には、まるで小さな粒を散りばめたように顆粒が存在している様子がよくわかります。 顆粒球は、さらに、顆粒の染色性や働きによって「好中球」「好酸球」「好塩基球」の3種類に分類されます。 * 好中球は、顆粒球の中で最も数が多く、細菌や真菌を貪食することで感染防御に重要な役割を果たします。 * 好酸球は、寄生虫感染やアレルギー反応に関与し、寄生虫の排除やアレルギー症状の抑制に働きます。 * 好塩基球は、炎症反応に関与し、ヒスタミンなどの化学物質を放出して炎症を引き起こします。 このように、顆粒球は、それぞれの種類によって異なる役割を担い、私たちの体を病原体から守るために活躍しています。
血液

血管炎症候群:全身に及ぶ血管の炎症

- 血管炎症候群とは何か 私たちの体は、まるで網の目のように血管が張り巡らされています。この血管は、体中に酸素や栄養を届けるという、人間が生きていく上で欠かせない重要な役割を担っています。同時に、老廃物を回収し、体の外へと運び出すのも血管の大切な仕事です。 血管炎症候群とは、この血管に炎症が起きる病気の総称です。血管は、体の隅々まで血液を送り届けるための重要な通路です。しかし、様々な原因で血管の壁に炎症が起きることがあります。炎症によって血管の壁が厚くなったり、血管の内側が狭くなったりすると、血液の流れが悪くなってしまいます。 血液の流れが悪くなると、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、臓器や組織の働きが低下してしまいます。また、血管が詰まったり破れたりすると、生命に関わる深刻な事態を引き起こす可能性もあります。 血管炎症候群は、原因や症状、進行の程度などによって様々な種類に分類されます。血管の炎症は、動脈だけでなく、静脈や毛細血管など、あらゆる種類の血管で起こる可能性があります。 血管炎症候群は、比較的まれな病気ですが、命に関わることもあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
その他

免疫の指揮役:CXCケモカイン

私たちの体には、体内に入ってきた harmful な細菌やウイルスなどの異物から体を守る、免疫という優れたシステムが備わっています。この免疫システムは、様々な種類の細胞が互いに協力し合うことで、私達の体を守っています。その中でも、免疫細胞は体内をパトロールし、異物を発見すると攻撃をしかけるという重要な役割を担っています。 ケモカインは、このような免疫細胞を必要な場所に誘導する、いわば「道案内」のような役割をする小さなタンパク質です。ケモカインは、感染や炎症が起こっている場所から放出され、まるで信号のように遠くの免疫細胞を呼び寄せます。免疫細胞は、このケモカインの信号を感知し、濃度の濃い方向へと移動することで、的確に感染部位や炎症部位に到達することができます。 ケモカインは、免疫細胞の種類によって異なる組み合わせで受容体と結合することで、特定の免疫細胞だけを誘導することができます。これは、例えば、ある特定の細菌に効果的な免疫細胞だけを感染場所に呼び寄せるなど、より効率的かつ的確な免疫応答を引き出すために非常に重要な仕組みです。このように、ケモカインは、私達の体を守る免疫システムにおいて、なくてはならない重要な役割を担っているのです。
検査

健康のバロメーター!CRP値を読み解こう

- CRPって何?CRPは、C反応性タンパク質(C-reactive protein)を省略した呼び方です。これは、私達の血液の中に常にわずかに存在しているタンパク質の一種です。普段は肝臓で作られており、血液中に一定量を保っています。CRPが特に注目されるのは、体の中で炎症や組織の損傷が起こった時です。例えば、風邪をひいたり、怪我をしたり、肺炎や膀胱炎などの病気を発症したりすると、体の中ではそれに対抗しようと炎症反応が起きます。すると、CRPは肝臓で盛んに作られ、血液中のCRP濃度が急上昇するのです。このCRPの量を調べることで、体の中でどれくらい炎症が起きているのかを知ることができます。CRPの値が高いほど、炎症の程度が強いと判断されます。そのため、CRPは医療現場において、炎症反応の程度を測る指標、すなわち炎症マーカーとして広く用いられています。CRP検査は、採血によって行われ、比較的短時間で結果が得られます。検査結果を参考に、医師は患者さんの病状を把握し、適切な治療法を決定します。ただし、CRPは様々な要因で変動するため、CRP値だけで病気を診断することはできません。医師は、CRP値だけでなく、他の検査結果や症状なども総合的に判断して診断を行います。
その他

肉芽腫:免疫の戦場

「肉芽腫」という名前には「腫」という字が含まれていて、腫瘍と混同されがちですが、実際には全く異なるものです。腫瘍は、細胞が制御を失って無限に増殖してしまう病気ですが、肉芽腫は、私たちの体を病気から守る免疫システムが、体にとって有害な異物に対して起こす反応の結果として現れます。 肉芽腫は、例えるなら、敵を囲んで戦う、免疫細胞が集まってできた砦のようなものです。この砦の中心となるのは、マクロファージと呼ばれる白血球です。マクロファージは、体内に侵入してきた細菌や異物を食べて消化してくれる、いわば体の掃除屋さんのような役割を担っています。 肉芽腫は、このマクロファージに加えて、リンパ球などの様々な免疫細胞が集まってできています。これらの免疫細胞たちは、力を合わせて、体にとって有害な異物と戦い、排除しようとします。 肉芽腫は、感染症だけでなく、膠原病や特定の薬剤への反応など、様々な原因で発生する可能性があります。肉芽腫自体は病気ではありませんが、その原因や部位によっては、治療が必要になる場合があります。もし、医師から肉芽腫と診断された場合には、その原因や治療法について、よく相談することが大切です。
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