緊急時の命の選別:トリアージナースの役割
大規模な地震や津波、大事故など、私たちの想像をはるかに超えるような災害が発生した場合、病院には同時に多くの傷病者が搬送されてきます。このような切迫した状況下では、医療スタッフ、医療設備、医薬品など、限られた医療資源を最大限に活用し、一人でも多くの命を救うために、治療の優先順位を決定するという、大変辛い選択を迫られることになります。
このような極限状態の中で、治療の緊急性と重要性を判断し、適切な処置を行う場所へと傷病者を振り分ける、極めて重要な役割を担うのが、トリアージナースです。トリアージナースは、災害現場や病院に到着した直後の傷病者に対し、呼吸状態、脈拍、意識レベルなどを素早く評価し、その重症度に応じて、赤、黄、緑、黒の4色のタグを付けます。深刻な外傷や容態が急変し、一刻を争う重症者は赤タグ、骨折など重症ではあるものの、緊急性は低いと判断された場合は黄タグ、軽症の場合は緑タグ、そして、救命の可能性が極めて低い、あるいはすでに亡くなっている場合は黒タグを付けます。
このように、トリアージは、限られた医療資源の中で、より多くの命を救うために、非常に重要な役割を担っています。災害医療の現場では、医師や看護師をはじめとする多くの医療従事者が、それぞれの専門知識と技術を駆使して、全力を尽くしています。その中でもトリアージナースは、まさに命の選別という、極めて困難な任務を遂行する、災害医療の現場における影の立役者と言えるでしょう。