新生児

小児科

赤ちゃんの不思議な動き:非対称性緊張性頸反射

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ自分の意思で体を動かすことはできません。しかし、周りの環境からの刺激に対して、決まったパターンで反応を示すことがあります。これは「原始反射」と呼ばれるもので、赤ちゃんが生まれながらに持っている、生きていくために必要な体の反応です。 原始反射には、例えば、何かが口に触れると吸い付くような動きをする「吸てつ反射」や、指で赤ちゃんの掌を刺激するとぎゅっと握り返す「把握反射」など、様々な種類があります。これらの反射は、赤ちゃんが外界の刺激に反応し、周囲と関わっていくための第一歩と言えるでしょう。 原始反射は、赤ちゃんの発達段階を知る上で重要な指標となります。医師は、赤ちゃんの月齢に合わせた原始反射が現れているかどうか、また、適切な時期に消失していくかどうかを観察することで、神経系が順調に発達しているかを判断します。そして、もしも反射に異常が見られる場合には、発達の遅れや脳機能の障害などの可能性も考え、より詳しい検査が必要となることもあります。
小児科

新生児呼吸窮迫症候群:小さな命を脅かす呼吸の危機

新生児呼吸窮迫症候群(しんせいじこきゅうきゅうはくしょうこうぐん)は、生まれたばかりの赤ちゃんに見られる、命に関わることもある呼吸器の病気です。この病気は、赤ちゃんの肺が十分に成熟していないために起こります。 人の肺の中には、肺胞(はいほう)と呼ばれる小さな空気の袋がたくさんあります。肺胞の表面は、サーファクタントと呼ばれる物質で覆われており、このサーファクタントが、肺胞が呼吸によってしぼんでしまうのを防いでいます。 新生児呼吸窮迫症候群は、このサーファクタントが不足しているために起こります。サーファクタントが不足すると、肺胞がうまく膨らまなくなり、赤ちゃんは呼吸するのが苦しくなります。 新生児呼吸窮迫症候群は、特に妊娠37週未満で生まれた赤ちゃん、つまり早産児に多く見られます。これは、サーファクタントが妊娠後期に多く作られるようになるためです。早産であればあるほど、発症のリスクは高くなります。 新生児呼吸窮迫症候群は、呼吸が速くなったり、呼吸をする際に胸がへこんだり、皮膚の色が悪くなったりといった症状が現れます。重症化すると、命に関わることもあります。治療には、酸素吸入や人工呼吸器などを使用します。また、サーファクタントを補充する治療法もあります。
小児科

先天性股関節脱臼:赤ちゃんの股関節の病気

生まれて間もない赤ちゃんに見られる病気の一つに、先天性股関節脱臼というものがあります。これは、赤ちゃんの股関節が本来あるべき場所からずれてしまっている状態を指し、医学的には発育性股関節形成不全(DDH)とも呼ばれます。股関節が完全に外れてしまっている場合だけでなく、外れやすい不安定な状態も含まれます。この先天性股関節脱臼は、比較的多くの赤ちゃんに見られる病気であり、特に女の子に多く発症する傾向があります。 この病気の原因は、まだはっきりと解明されていませんが、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。一つは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間の姿勢です。逆子や骨盤位と呼ばれる姿勢でいた場合、股関節に負担がかかりやすく、発症のリスクが高まると言われています。また、女の子は男の子に比べて、股関節を柔らかくするホルモンの影響を受けやすいため、発症率が高いと考えられています。さらに、家族に股関節脱臼の経験者がいる場合も、発症する可能性が高まるとされています。 先天性股関節脱臼は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。そのため、赤ちゃんを出産した際には、股関節の検査を受けることが推奨されています。治療法としては、股関節を正常な位置に戻すための装具を装着したり、場合によっては手術を行ったりします。早期に発見し、適切な治療を行うことで、後遺症を残さずに治癒できる可能性が高まります。
小児科

GCU:小さく生まれた赤ちゃんのための大切な場所

新生児集中治療室(NICU)は、お母さんのお腹の中で予定日まで育つことができなかった赤ちゃんや、生まれてすぐに病気や障がいを持った赤ちゃんが、高度な医療機器と専門スタッフによる治療やケアを受けることができる、病院の中でも特に設備の整った場所です。NICUでは、赤ちゃんの呼吸や体温、栄養状態などを24時間体制で注意深く見守りながら、成長をサポートします。 そして、NICUでの治療を終え、容体が安定し、さらに成長するために移されるのが、GCU(Growing Care Unit)です。GCUは、NICUよりも少しだけ医療機器やスタッフの数が少なく、赤ちゃん自身の力で成長できる環境が整えられています。GCUに移った後も、医師や看護師、保育士などの専門スタッフが、赤ちゃんの発達段階に合わせて、授乳や呼吸、排泄などのサポートを行いながら、成長を見守っていきます。 GCUは、赤ちゃんにとってはNICUを卒業し、自宅に帰るための準備段階であり、ご家族にとっては、赤ちゃんとの生活に向けて、授乳や沐浴、オムツ交換などの方法を学ぶ大切な場所でもあります。GCUでの生活を通して、赤ちゃんは心身ともに成長し、ご家族は赤ちゃんとの生活に自信と喜びを感じながら、退院の日を迎えることができるようになります。
産婦人科

母と子の命を守る砦:総合周産期母子医療センターとは

妊娠から出産、そして産後すぐまでの期間は、『周産期』と呼ばれ、お母さんと赤ちゃんにとって、まさに命を繋ぐ大切な時期です。この時期には、予想外のことが起こる可能性もあり、高度な医療が必要となる場合もあります。そこで、お母さんと赤ちゃんの命を守る最後の砦として、重要な役割を担っているのが、『総合周産期母子医療センター』です。 総合周産期母子医療センターは、妊娠22週(妊娠中期)から生後1週間未満までの周産期に、特に手厚い医療を提供する専門医療機関です。ここでは、合併症を抱えている妊婦さんや、双子などの多胎妊娠、あるいは早産など、リスクの高いお産にも対応できるよう、24時間体制で専門の医師や助産師、看護師が常駐しています。 施設内には、お母さんと赤ちゃんの安全を守るため、高度な医療機器や設備が整っています。例えば、お母さんのお腹の中で赤ちゃんの状態を詳しく調べる超音波診断装置や、早産で生まれた赤ちゃんの呼吸を助ける人工呼吸器など、最先端の医療技術が導入されています。 総合周産期母子医療センターは、単に出産を扱う場ではなく、周産期におけるあらゆるリスクを予測し、対応することで、お母さんと赤ちゃんの未来を守っています。そして、安心して出産し、新しい命の誕生を喜び合える社会の実現を目指しています。
皮膚科

蒙古斑:日本人によく見られる生まれつきのアザ

- 蒙古斑とは?蒙古斑とは、生まれたばかりの赤ちゃんの皮膚に見られる、青みがかったアザのことです。お尻や腰のあたりに現れることが多く、まるで誰かに強くこねられたような跡に見えることもあります。色は薄い青色から濃い灰色まで、大きさも人それぞれです。 一見すると心配になるかもしれませんが、蒙古斑は病気ではありません。痛みやかゆみなどの症状も全くなく、赤ちゃん自身は気にしていません。 蒙古斑ができる原因は、皮膚にメラニン色素を作る細胞が集まっているためです。 メラニン色素は、肌や髪の色を決める役割をしています。 蒙古斑は成長とともに薄くなり、ほとんどの場合、小学校に上がる頃までには目立たなくなります。 治療の必要もなく、特別なケアも必要ありません。しかし、まれに大人になっても消えずに残ってしまうこともあります。
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