指定難病

その他

全身に影響を及ぼす難病:サルコイドーシス

- サルコイドーシスとはサルコイドーシスは、原因がまだはっきりと分かっていない、全身の様々な臓器に影響を及ぼす病気です。あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、国が「指定難病」としている重要な病気の一つです。この病気は、顕微鏡で観察すると「サルコイド肉芽腫」と呼ばれる特徴的な小さな炎症組織が、体の様々な場所に現れることが特徴です。この肉芽腫は、小さな塊のように見えるのですが、これは体の中に侵入してきた異物を排除しようとして、免疫細胞が集まってできるものです。サルコイドーシスは、20歳から40歳代の比較的若い世代に発症することが多く、特に女性に多くみられます。また、日本では特定の遺伝子を持つ人に発症しやすいという報告もあります。症状は、肉芽腫ができる場所や大きさによって様々です。初期には、発熱、咳、倦怠感、体重減少など、風邪に似た症状が現れることがありますが、自覚症状がないまま健康診断で発見されることもあります。進行すると、息切れや胸の痛み、視力障害、皮膚病変など、様々な症状が現れることがあります。サルコイドーシスは、現在のところ完全に治すことができる治療法は見つかっていません。しかし、多くの場合、自然に治癒することもあります。症状が重い場合や、重要な臓器に影響が出ている場合は、ステロイド薬などの薬物療法が行われます。
脳・神経

もやもや病:原因不明の難病

- もやもや病とはもやもや病は、脳の血管に異常が生じる病気です。 私たちの脳は、常にたくさんの酸素を必要としています。酸素を脳に届けるために、心臓から送り出された血液は、太い血管から枝分かれしながら脳全体に行き渡ります。この血管の中で、特に重要な役割を担っているのが「ウィリス動脈輪」と呼ばれる部分です。ウィリス動脈輪は、脳の底部に位置し、まるで環状道路のように主要な血管を繋いでいます。 もやもや病では、このウィリス動脈輪の周辺にある血管が、狭くなったり詰まったりしてしまいます。すると、脳の細胞に十分な血液が行き渡らなくなり、様々な症状が現れます。 私たちの体は、不足した血液を補おうとする働きがあります。そのため、もやもや病になると、脳は細い血管を新たに作り出して、血液を届けようとします。しかし、この新たに作られた血管は非常に脆く、破れやすいという特徴があります。 この脆い血管は、まるで煙や霧のように見えることから、「もやもや血管」と呼ばれ、病名もこの特徴的な血管の姿に由来しています。もやもや血管は、脳血管造影検査という特殊なレントゲン検査を行うことで、確認することができます。
脳・神経

重症筋無力症:体の信号の異常が招く筋力低下の謎

- 重症筋無力症とは重症筋無力症は、体の筋肉が異常に疲れやすく、力が入りにくくなる病気です。その名の通り、重症化すると日常生活に大きな支障をきたすことがあります。 この病気は、筋肉を動かす指令を脳から伝える神経と筋肉の接合部である神経筋接合部において、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きが阻害されることで発症すると考えられています。通常、私達が体を動かそうとすると、脳から神経を通じて筋肉へ指令が送られます。この指令を筋肉に伝える役割を担っているのが、神経筋接合部から放出されるアセチルコリンという物質です。ところが、重症筋無力症の患者さんの場合、このアセチルコリンの働きを阻害する物質(抗アセチルコリン受容体抗体)が体内で作られてしまいます。その結果、神経からの指令が筋肉にうまく伝わらなくなり、筋力低下や疲労が生じると考えられています。具体的には、まぶたが垂れ下がる、ものが二重に見える、うまく話せなくなる、飲み込みにくくなる、首が支えられない、腕が上がらない、呼吸が苦しいなどの症状が現れます。これらの症状は、時間帯や体調によって変動することが多く、朝起きた時は症状が軽くても、夕方や疲れているときには悪化しやすい傾向があります。また、症状が現れる部位や程度は患者さん一人ひとり異なり、同じ症状が続くことは稀です。
循環器

巨細胞性動脈炎:知っておきたい血管の病気

- 巨細胞性動脈炎とは巨細胞性動脈炎は、体の比較的大きな動脈に炎症が起こる病気です。炎症によって動脈の壁が厚く硬くなるため、血液の流れが悪くなったり、血管が狭くなったりすることがあります。この病気は、特に頭部や首の動脈に発生しやすく、こめかみ付近を通る側頭動脈や、目に血液を送る眼動脈が影響を受けやすいとされています。そのため、放置すると失明の危険性もある病気です。 巨細胞性動脈炎の主な症状としては、激しい頭痛、こめかみの痛み、視力障害などがあります。また、発熱、倦怠感、食欲不振、体重減少などの全身症状が現れることもあります。 原因は明らかになっていませんが、免疫の異常が関わっていると考えられています。高齢者に多くみられ、特に50歳以上の女性に多い病気です。早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。治療は通常、ステロイド薬を用いて炎症を抑えます。早期に治療を開始することで、症状の改善や重症化の予防が期待できます。
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