循環器疾患

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心臓手術後のリスク:低心拍出量症候群

- 低心拍出量症候群とは 心臓は、まるで体中に血液という大切な栄養を届けるポンプのような役割を担っています。この心臓の働きが悪くなり、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を低心拍出量症候群(LOS)と呼びます。 私たちの体は、心臓から送り出される血液によって酸素や栄養を受け取っています。しかし、心臓の手術後や、心筋梗塞などが原因で心臓のポンプ機能が低下すると、必要な量の血液が体内を巡らなくなってしまいます。 その結果、全身の臓器や組織は酸素不足や栄養不足に陥り、様々な症状が現れます。 息切れや動悸、疲れやすくなるなどの症状が現れることもあれば、重症化すると意識障害に陥ることもあります。 低心拍出量症候群は、命に関わる危険性もあるため、早期の発見と適切な治療が重要となります。
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完全置換型人工心臓:心臓移植を待つ希望

- 完全置換型人工心臓とは 人間の心臓は、全身に血液を送り出すために休むことなく動き続けている、とても重要な臓器です。しかし、病気や怪我などによって心臓の機能が低下してしまうことがあります。心臓の機能が低下すると、体全体に十分な血液を送ることができなくなり、生命維持が困難になる場合もあります。このような場合に、心臓の代わりとなる医療機器として用いられるのが「完全置換型人工心臓」です。 完全置換型人工心臓は、機能しなくなった心臓を完全に取り出し、その場所に埋め込む人工臓器です。人工心臓は体内埋め込み型のポンプで、血液を循環させるという心臓本来の役割を担います。この人工心臓によって、心臓の機能が低下した患者さんの生命を維持し、生活の質を向上させることが期待できます。英語では「Total Artificial Heart」といい、TAHと略されることもあります。 完全置換型人工心臓は、主に重症心不全の患者さんに対して使用されます。重症心不全とは、心臓の機能が著しく低下し、薬物治療などの一般的な治療法では効果が期待できない状態を指します。従来の治療法では救命が難しい場合でも、完全置換型人工心臓を移植することで、患者さんの生命を救い、生活の質を向上させることが期待できます。
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心臓のポンプ機能が低下する病気:うっ血性心不全

うっ血性心不全とは 心臓は、私たちの体にとって重要な臓器であり、休むことなく全身に血液を送り続けています。この血液は、酸素や栄養を体の隅々まで運び、老廃物を回収するという重要な役割を担っています。しかし、さまざまな要因によって心臓の機能が低下することがあります。これが、うっ血性心不全と呼ばれる状態です。 うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送ることができなくなる病気です。心臓の収縮力が弱まったり、心臓の壁が硬くなって拡張しにくくなることで、心臓から送り出される血液量が減少します。その結果、息切れや動悸、むくみなどの症状が現れます。 うっ血性心不全は、高血圧や心臓弁膜症、心筋梗塞など、さまざまな心臓病が原因で起こります。また、糖尿病や慢性腎臓病などの病気も、うっ血性心不全のリスクを高めることが知られています。 うっ血性心不全は、命に関わることもある病気です。そのため、早期発見、早期治療が非常に重要となります。息切れやむくみなどの症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
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聴診で聞こえる「クリック音」とは?

私たちの体の中心で、休みなく働き続ける心臓。全身に血液を送るポンプとしての役割を担うこの臓器は、健康な状態であれば規則正しいリズムを刻んでいます。この生命のリズムとも例えられる音は、心臓の弁が開閉する際に発生するもので、聴診器を用いることで聞くことができます。 「ドクン、ドクン」と規則正しく聞こえるこの音は、心臓が正常に機能していることを示すサインです。聴診は、心臓の状態を把握するための基本的な診察方法であり、医師はこの音に耳を傾けることで、様々な情報を得ています。 音のリズムや強さ、音色が通常とは異なる場合、心臓の弁に異常がある可能性があります。例えば、弁が狭くなっていたり、逆に弁がうまく閉じなかったりすると、血液の流れが乱れ、雑音が発生することがあります。この雑音は、心臓の病気の兆候である可能性があり、医師は聴診によって得られた情報に基づいて、さらなる検査の必要性を判断します。 心臓の音は、私たちの健康状態を映し出す鏡のようなものです。日頃から自分の心臓の音に耳を傾け、体の異変にいち早く気付くことが大切です。

高血圧治療薬ARB:その作用機序と効果

- ARBとはARBは、アンジオテンシンII受容体拮抗薬の略称です。高血圧の治療薬として広く使われている薬の一種です。 私たちの体内では、血圧を上げる物質が常に作られており、その一つにアンジオテンシンIIというものがあります。ARBは、このアンジオテンシンIIが血管を収縮させるのを阻害することで、血管を拡張させて血圧を下げる効果があります。 ARBは、単独で処方されることもあれば、他の種類の降圧剤と組み合わせて処方されることもあります。高血圧のタイプや重症度、他の病気の有無などによって、医師が最適な薬を選択し、処方します。 ARBは、比較的副作用が少ない薬とされていますが、人によっては、空咳や胃腸の不調、低血圧などの副作用が現れることがあります。服用中に何か異常を感じた場合は、自己判断せずに、すぐに医師や薬剤師に相談することが大切です。
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命を脅かす心筋梗塞とは?

私たちの心臓は、全身に血液を送るポンプの役割をしています。心臓自身も筋肉でできており、他の筋肉と同じように、動くためには酸素と栄養が必要です。心臓が必要とする酸素と栄養は、冠動脈という血管を通して運ばれてきます。 しかし、生活習慣の乱れや加齢などが原因で、血管の内側に脂肪などが溜まってしまう動脈硬化が起こることがあります。動脈硬化が進むと血管の内側は狭くなり、血液の流れが悪くなってしまいます。さらに、血管の内側が傷ついてしまうと、そこに血の塊(血栓)ができてしまうことがあります。 もし冠動脈で血栓ができてしまうと、心臓の筋肉に血液が行き渡らなくなってしまいます。心臓の筋肉は、血液によって運ばれてくる酸素と栄養が得られないと、正常に働くことができず、最悪の場合は心臓が停止してしまいます。これが心筋梗塞です。 心筋梗塞は命に関わる危険な病気です。普段からバランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、血管を健康な状態に保つことが大切です。
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心臓からのSOS?知っておきたい心不全

私たちの体は、心臓がまるで休むことなく動き続けるポンプのように、血液を全身に送り届けることで、生命を維持しています。この血液は、体にとって欠かせない酸素や栄養分を体の隅々まで運び、老廃物を運び出すという重要な役割を担っています。 心臓は、私たちの体にとって、まさに生命の源泉といえるでしょう。 しかし、様々な要因によって、この重要な心臓のポンプ機能が低下してしまうことがあります。これが「心不全」と呼ばれる状態です。 心不全は、心臓の筋肉そのものが弱ってしまう場合、心臓の弁が正常に開閉しなくなる場合、あるいは心臓を包む袋に水が溜まってしまう場合など、さまざまな原因によって引き起こされます。いずれの場合も、心臓は十分な量の血液を送り出すことができなくなり、息切れやむくみ、疲労感といった症状が現れます。 心不全は、決して軽視できる病気ではありません。放置すると命に関わることもあります。 症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
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命に関わる疾患:大動脈解離

- 大動脈解離とは心臓から送り出された血液は、全身に張り巡らされた血管を通って酸素や栄養を届けます。その中でも大動脈は、心臓から直接血液を受け取り、全身に送り出すという重要な役割を担う、最も太い血管です。この大動脈の壁は、いくつかの層が重なってできていますが、何らかの原因によって内側の層が破れることがあります。これが大動脈解離と呼ばれる病気です。大動脈の壁が破れると、血液がその裂け目に入り込み、本来の血液の通り道(真腔)とは別に、壁の層と層の間に新たな血液の通り道(偽腔)ができてしまいます。すると、大動脈の壁は内側から押し広げられるように圧迫され、さらに裂け目が広がってしまう危険性があります。大動脈解離は、突然の激しい胸や背中の痛みを伴うことが多く、放置すると命に関わる恐ろしい病気です。早期発見、早期治療が何よりも重要となるため、少しでも異変を感じたら、ためらわずに医療機関を受診してください。
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静脈瘤:見た目だけじゃない?足の血管の病気

- 足の血管の病気、静脈瘤とは? 私たちの体の中には、心臓から送り出された血液を全身に届け、再び心臓へと戻すための血管が張り巡らされています。心臓から送り出す血管を動脈といいますが、心臓へ血液を戻す血管を静脈といいます。 静脈瘤とは、この静脈、特に足の静脈が太く膨れ上がり、血管が皮膚の上からボコボコと浮き出てしまう病気です。 心臓から最も遠い位置にある足の静脈は、重力に逆らって血液を心臓まで戻さなければいけないため、他の部位に比べて大きな負担がかかっています。そのため、足の静脈では血液が逆流しないように、弁が重要な役割を果たしています。この弁がうまく機能しなくなると、血液が逆流してしまい、静脈内に血液が滞ってしまうのです。これが静脈瘤の主な原因です。 静脈瘤になると、足がむくんだり、だるさや痛みを感じたりすることがあります。また、症状が進行すると、皮膚の色が変化したり、炎症を起こしたりすることもあります。 静脈瘤は、立ち仕事やデスクワークなど、長時間同じ姿勢でいることが多い人に多くみられます。また、妊娠や出産、加齢なども静脈瘤のリスクを高める要因となります。
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命に関わる大動脈解離:その静かな脅威

- 大動脈解離とは私たちの体には、全身に血液を送り出すために休むことなく働き続けている心臓という臓器があります。そして、心臓から送り出された血液を全身に届ける役割を担っているのが動脈と呼ばれる血管です。その中でも特に重要なのが、心臓から直接血液を受け取り、全身へと送り出す役割を担う「大動脈」です。大動脈解離とは、この大動脈の壁の一部が内側から裂けてしまう病気です。大動脈の壁は、内膜、中膜、外膜という三層構造になっています。何らかの原因で内膜に亀裂が生じると、心臓から送り出された血液がその亀裂に入り込み、本来の血液の通り道とは別の空間を作り出してしまいます。この新しくできた空間を「偽腔」、本来の血液の通り道を「真腔」と呼びます。大動脈解離が起こると、胸や背中に激しい痛みを感じることが多く、まるで引き裂かれるような激痛に襲われます。また、脈拍の異常や血圧の低下、呼吸困難、意識障害などの症状が現れることもあります。大動脈解離は、放置すると破裂してしまう危険性があり、命に関わる事態になりかねません。そのため、早期発見と迅速な治療が非常に重要となります。
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