手術中の迅速診断:ゲフリールの役割
- ゲフリールとは手術中に患者さんから取り出した組織の一部を、特殊な方法で凍らせて薄く切り、顕微鏡で観察する検査があります。これをゲフリールと呼びます。ゲフリールはドイツ語で「凍結された」という意味で、まさにその名の通り、組織を凍結させることが特徴です。ゲフリールは、手術中に迅速な診断が必要な場合に非常に役立ちます。例えば、手術中に見つかった腫瘍が悪性かどうかをすぐに判断する必要がある場合などが挙げられます。従来の病理検査では、組織をホルマリンという液体に浸して固めるため、結果が出るまでに数日かかることが一般的でした。しかし、ゲフリールでは組織を凍結させるため、わずか20~30分程度で診断が可能となります。ゲフリールによって得られた診断結果は、手術方針の決定に大きく影響します。もし、悪性腫瘍が疑われた場合、その場で腫瘍を切除する範囲を決定したり、追加の手術が必要かどうかを判断したりすることができます。このように、ゲフリールは患者さんにとってより安全かつ適切な手術を行うために、非常に重要な役割を担っているのです。ただし、ゲフリールは迅速性を重視した検査であるため、従来の病理検査と比較して、診断の精度が若干劣るという側面もあります。そのため、ゲフリールの結果を踏まえて、後日改めて時間をかけて詳細な病理検査が行われることが一般的です。