やけどの基礎知識
病院での用語を教えて
先生、やけどの範囲を判定する方法に9の法則と5の法則があると書いてありますが、大人の場合と子どもの場合で、どうして違う計算方法を使う必要があるんですか?
体の健康研究家
良い質問だね! 実は、大人と子どもでは体のつくり、特に頭の大きさの割合が大きく違うんだ。大人の頭は体全体の約9%だけど、子どもの頭はもっと大きくて、体全体の約18%を占めるんだよ。
病院での用語を教えて
なるほど。それで計算方法も違うんですね。でも、子どもの場合は体の成長段階によっても頭の大きさが変わりそうですけど…
体の健康研究家
その通り! 成長段階によって頭の大きさが変わるので、5の法則は15歳くらいまでを目安にしています。その後は9の法則を使う方がより正確にやけどの範囲を判定できるんだ。
やけどとは。
熱いものに触れて皮膚やその奥が傷つくことを「やけど」と言います。やけどは、高い温度のものに触れた時に起こることが多いですが、低い温度のものでも長時間触れていると起こることがあります。これを「低温やけど」と言います。やけどの程度は、傷の広さと深さで決まります。傷の広さを知る方法として、大人では「9の法則」、子供では「5の法則」というものがあります(図1)。体の30%以上がやけどになると、命に関わることもあるので、全身の状態をよく観察し、治療する必要があります。
やけどとは
やけどは、高温の物体に触れたり、熱湯や薬品、放射線などに触れることで、皮膚や組織が傷つくことをいいます。 日常生活でよく見られる怪我の一つですが、その程度は軽いものから命に関わる重いものまで様々です。
熱い鍋やアイロンなどに触れてしまい、皮膚が赤くなる程度であれば、多くは軽度のやけどです。しかし、熱湯を浴びてしまったり、火災に巻き込まれたりするなど、広範囲にわたって皮膚が損傷した場合には、重度のやけどとなる可能性があります。
やけどの症状は、損傷の程度によって大きく異なります。皮膚が赤くなる、水ぶくれができる、皮膚がむけてしまうといった症状が見られることがあります。重度のやけどの場合には、痛みやしびれだけでなく、体内の水分や電解質のバランスが崩れ、ショック状態に陥ることもあります。
やけどは、適切な処置を速やかに行うことが重要です。もしも、やけどをしてしまった場合には、まずは流水で冷やすことが大切です。そして、症状に応じて医療機関を受診するようにしましょう。やけどは、後遺症が残ってしまう可能性もあるため、自己判断せずに、医師の診断を受けることが重要です。
やけどの程度 | 症状 | 例 |
---|---|---|
軽度 | 皮膚が赤くなる、水ぶくれ | 熱い鍋やアイロンに触れてしまった |
重度 | 広範囲の皮膚損傷、痛みやしびれ、ショック状態(場合によっては) | 熱湯をかぶる、火災に巻き込まれる |
やけどの原因
私たちが日常生活で負ってしまうやけどは、高温なものに触れてしまうことが主な原因です。熱い鍋やフライパンに触れてしまったり、アイロンやヘアドライヤーといった高温になる電化製品にうっかり触れてしまったりすることで、皮膚にダメージを受けてしまいます。また、ストーブなどの火や、沸騰したお湯、高温の蒸気などもやけどの原因となります。熱いものに触れた時だけでなく、長時間日光に当たり続けることでも、皮膚は軽い火傷のような状態になることがあります。
やけどは熱だけでなく、電気、薬品、放射線によっても引き起こされます。電気によるやけどは、感電によって起こります。電気は体の中を流れようとする性質があるため、体内に大きな電流が流れると、その熱によって組織が損傷を受けます。薬品によるやけどは、酸性やアルカリ性の強い薬品が皮膚に触れることで起こります。これらの薬品は皮膚を溶かしてしまう性質があり、重度のやけどになることもあります。放射線によるやけどは、太陽光線や放射線治療などによって引き起こされます。放射線は細胞を破壊する性質があり、皮膚がんのリスクを高めることもあります。
原因 | 説明 |
---|---|
高温なものによるやけど | 熱い鍋やフライパン、アイロン、ヘアドライヤー、火、沸騰したお湯、高温の蒸気などが原因となり、皮膚にダメージを与える。また、長時間の日光浴も軽い火傷の状態を引き起こす。 |
電気によるやけど | 感電によって体内を流れる電流の熱によって組織が損傷を受ける。 |
薬品によるやけど | 酸性やアルカリ性の強い薬品が皮膚に触れることで、皮膚が溶けてしまい、重度のやけどになることもある。 |
放射線によるやけど | 太陽光線や放射線治療などの放射線によって細胞が破壊され、皮膚がんのリスクが高まることもある。 |
やけどの深さ
やけどは、皮膚が熱や薬品、放射線などに触れることで起こる損傷です。やけどの重症度は、損傷を受けた皮膚の深さによって大きく異なり、一般的に1度、2度、3度の3段階に分類されます。
1度のやけどは、皮膚の最も外側の層である表皮だけに損傷が及びます。この段階のやけどでは、皮膚が赤くなり、熱く感じたり、ヒリヒリするなどの症状が現れます。日焼けなどは、1度のやけどに分類されます。
2度のやけどは、表皮だけでなく、その下の層である真皮にも損傷が達します。1度のやけどよりも症状は重く、皮膚が赤く腫れ上がるだけでなく、水ぶくれができたり、強い痛みを伴います。
3度のやけどは、皮膚のすべての層が損傷を受け、さらにその下の皮下組織や筋肉、骨にまで達することがあります。皮膚は白く変色したり、焦げたりします。神経も損傷しているため、痛みを感じなくなることもあります。
やけどの深さや範囲によって適切な治療法は異なるため、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。
やけどの深さ | 症状 |
---|---|
1度 | 皮膚の表皮のみ損傷 赤み、熱感、ヒリヒリ感 例:日焼け |
2度 | 表皮と真皮まで損傷 赤み、腫れ、水ぶくれ、強い痛み |
3度 | 皮膚のすべての層と、皮下組織、筋肉、骨にまで損傷 皮膚の変色、焦げ、痛みを感じないことも |
やけどの範囲
火傷を負った際、その範囲を正確に把握することは、治療方針を決定する上で非常に重要となります。火傷の範囲は、体全体の表面積における火傷の割合で評価され、一般的に「9の法則」と「手のひら法則」という二つの方法が用いられます。
「9の法則」は、成人の体の各部位を9%またはその倍数で表し、容易に計算できるように工夫された方法です。具体的には、頭部と体幹前面、体幹後面はそれぞれ9%、両腕はそれぞれ9%、両足はそれぞれ18%、そして陰部は1%とされています。例えば、腕全体と体幹前面に火傷を負った場合は、9% + 9% = 18%となり、体表面積の18%が火傷を負ったと判断できます。
一方、「手のひら法則」は、手のひらの大きさが、おおよそ体表面積の1%に相当するという経験則に基づいた簡便な方法です。火傷部位に自分の手のひらを重ねていき、その枚数でおおよその火傷範囲を把握します。
火傷の範囲が広いほど、体内の水分や電解質のバランスが乱れやすく、感染症のリスクも高まり、重症化する危険性が高まります。そのため、広範囲の火傷の場合、迅速な医療処置が必要不可欠となります。
法則 | 説明 | 算出方法 |
---|---|---|
9の法則 | 体の各部位を9%またはその倍数で表す。 |
|
手のひら法則 | 手のひらの大きさが体表面積の約1%に相当することを利用する。 | 火傷部位に自分の手のひらを重ねていき、その枚数で判断する。 |
やけどの治療
火傷の治療は、その程度によって大きく異なります。皮膚が赤くなる程度の軽い火傷であれば、すぐに冷水で十分に冷やし、清潔なガーゼなどで保護することで、多くの場合、自然に治癒していきます。しかし、皮膚に水ぶくれができたり、皮膚がめくれてしまったりするような深い火傷の場合、自己判断での治療は大変危険です。医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要になります。
医療機関では、火傷の程度や範囲、原因などに合わせて、適切な治療が行われます。痛みを和らげるために、痛み止めが処方されることがあります。また、細菌感染を防ぐために、抗生物質を内服したり、塗り薬を使用したりすることもあります。火傷の範囲が広い場合や、深い火傷の場合には、入院治療が必要となることがあります。入院治療では、集中的な治療が行われ、皮膚の再生を促すために、皮膚移植などの外科手術が必要となる場合もあります。
火傷は、適切な治療を行えば、多くは後遺症を残さずに治癒します。しかし、深い火傷や広範囲の火傷の場合、瘢痕と呼ばれる傷跡が残ってしまうことがあります。瘢痕は、皮膚の変形や関節の動きの制限などを引き起こす可能性があり、場合によっては、美容的な問題となることもあります。火傷を負ってしまった場合には、できるだけ早く医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
火傷の程度 | 症状 | 治療法 | 備考 |
---|---|---|---|
軽い火傷 | 皮膚が赤くなる | * 冷水で冷やす * 清潔なガーゼなどで保護 |
自然に治癒することが多い |
深い火傷 | * 水ぶくれができる * 皮膚がめくれる |
* 医療機関を受診 * 痛み止め、抗生物質 * 入院治療、皮膚移植など |
* 自己判断での治療は危険 * 瘢痕が残る可能性あり |