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聴診で聞こえる異常音「ラ音」とは?

- ラ音とはどんな音?聴診器を用いて肺の音を聴くことを「胸部聴診」と言いますが、ラ音とは、この胸部聴診を行った際に、気管や気管支に異常があると聞こえる雑音のことを指します。健康な状態では、空気はスムーズに肺の中を出入りするため、呼吸音は比較的静かです。しかし、気管や気管支に炎症が起こったり、痰が詰まったりすると、空気の通り道が狭くなってしまいます。その結果、呼吸と共に「ゼーゼー」「ゴロゴロ」といった雑音が聞こえるようになります。これがラ音です。ラ音は、例えるならば、マジックテープをはがすときのような音と表現されることが多く、その特徴的な音から、ベルクロラ音と呼ばれることもあります。ラ音は、喘息や気管支炎、肺炎など、様々な呼吸器疾患の可能性を示唆する重要なサインです。ただし、ラ音は病気の状態だけでなく、年齢や体質などによっても聞こえ方が異なる場合があります。そのため、自己判断はせず、ラ音が聞こえる場合には、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
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肺の奥を覗く:気管支肺胞洗浄とは

私たちは、生きていくために欠かせない呼吸を、日々無意識に行っています。空気は、鼻や口から体内に吸い込まれ、喉を通って気管へと送られます。気管は、まるで木の幹のように、左右の肺へと枝分かれし、さらに細かく枝分かれを繰り返しながら、気管支と呼ばれる細い管へと変化していきます。そして、その行き着く先にあるのが、ブドウの房のように無数に集まった小さな袋状の構造を持つ肺胞です。 肺胞は、薄い膜でできた非常に繊細な器官であり、その表面積はテニスコート一面分に相当するとも言われています。この広大な表面積を介して、体内に取り込まれた空気中の酸素と、血液中の二酸化炭素が交換されています。このガス交換こそが、呼吸の最も重要な役割といえるでしょう。 気管支肺胞洗浄は、この肺胞という奥深い場所の状態を調べるための検査です。気管支鏡という細い管を鼻や口から挿入し、肺胞まで到達させます。そして、肺胞内に生理食塩水を注入し、その後、吸引して回収します。回収した液体を調べることで、肺胞に存在する細胞の種類や数、炎症の程度などを評価することができます。これは、肺の病気の診断や治療効果の判定に非常に役立ちます。
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身体の守護者:肋骨の役割と構造

私たちの胸部には、心臓や肺といった重要な臓器を保護するために、かごのような骨組みが存在します。これが肋骨です。肋骨は左右に12本ずつ、合計24本あり、背中側では背骨、胸側では胸骨という骨と繋がっています。 肋骨は、その形状から「あばら骨」と呼ばれることもあり、緩やかにカーブを描いた弓のような形をしています。この弓形が、鳥かごのように胸部全体を覆うことで、外部からの衝撃から臓器を守っているのです。 また肋骨は、呼吸をする際にも重要な役割を担っています。息を吸うと肋骨は上に持ち上がり、胸郭と呼ばれる胸部の空間が広がります。逆に息を吐くと肋骨は下がり、胸郭は縮小します。この肋骨の動きによって肺に空気が出入りし、私たちは呼吸をすることができるのです。 このように肋骨は、私たちの身体にとって非常に重要な役割を果たしています。身体を支える支柱としての役割と、呼吸を助ける役割、そして心臓や肺を守る役割を同時に担っているため、肋骨はまさに「縁の下の力持ち」といえるでしょう。
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肺の音の謎:捻髪音

病院で診察を受ける際、医師が胸に当てるあの冷たい道具、聴診器。患者さんにとっては馴染み深い光景ですが、あの時医師は一体何を聴いているのでしょうか?もちろん心臓の音を聴いているのですが、それだけではありません。聴診器を通して、医師は肺から聞こえるかすかな音にも耳を澄ませているのです。 私たちが呼吸をする時、空気の通り道である気道は開き、そして閉じます。この開閉運動によって、実は様々な音が生まれているのです。健康な状態であれば、それは「スー」「フー」といった風の音のように聞こえます。しかし、もしも肺に病気があればどうでしょうか。例えば、風邪をひいて気管支に炎症が起きていれば、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音が混ざることがあります。さらに、肺炎などで肺に水が溜まっている場合は、「ゴロゴロ」という音が聞こえることもあります。 このように、呼吸音は、肺の状態を知るための重要な手がかりとなります。聴診器を通して、呼吸の音の種類や強さ、聞こえる場所などを注意深く観察することで、医師は肺の病気を診断し、適切な治療法を選択することができるのです。
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ラッセル音:肺の音の秘密

私たちは普段、日常生活の中で呼吸の音を意識することはほとんどありません。健康な状態であれば、呼吸は静かで穏やかに行われるからです。しかし、肺に何らかの異常が生じると、呼吸に伴って普段は聞こえない音が聞こえることがあります。これらの音は「副雑音」と呼ばれ、肺の状態を知るための重要な手がかりとなります。 副雑音には様々な種類がありますが、その一つに「ラッセル音」があります。ラッセル音は、粘り気の強い分泌物が気道に詰まっているときに、呼吸に伴って生じる音です。例えるならば、ストローにジュースを少し残した状態で息を吸ったり吐いたりしたときに聞こえる、ブツブツとした音に似たものが、ラッセル音です。 ラッセル音は、肺炎や肺水腫など、気道に分泌物が溜まりやすい病気でよく聞かれます。これらの病気では、炎症によって気道が狭くなったり、分泌物の排出が滞ったりするため、ラッセル音が発生しやすくなります。ラッセル音が聞こえる場合は、医師の診察を受け、適切な治療を受けることが重要です。
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息切れ:その原因と対処法

- 息切れとは息切れは、呼吸が速くなったり、浅くなったり、息苦しさを感じたりする状態を指します。まるで空気が薄い場所にいて、十分に息が吸えないような感覚に襲われることもあります。このような状態は、激しい運動の後や、階段を上った後など、一時的に起こることがあります。これは、体が多くの酸素を必要とするためであり、一時的に呼吸が追いつかなくなることで起こります。しかし、息切れの中には、病気のサインである場合もあります。例えば、心臓病、肺の病気、貧血などが原因で息切れが起こることがあります。これらの病気の場合、息切れは安静時や軽い運動の後にも現れることがあります。また、息切れ以外にも、胸の痛み、動悸、めまい、顔面蒼白などの症状を伴うこともあります。息切れは、日常生活で多くの人が経験するありふれた症状ですが、その原因は様々です。そのため、息切れが続く場合や、強い息切れを感じた場合、気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
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苦痛のサイン:呻吟呼吸について

- 呻吟とは呻吟とは、苦痛や辛さのために、思わず口から洩れ出てしまう声のことです。そして、その声そのものを指す言葉でもあります。私たちは、体に痛みを感じたり、精神的に苦しい状況に置かれたりした時、あるいは、極度の緊張や不安にさいなまれている時などに、無意識のうちに呻吟してしまうことがあります。 呻吟は、人間が生まれながらにして持っている、本能的な反応の一つであると考えられています。言葉を発することができない赤ちゃんでも、お腹が空いたり、痛みを感じたりすると、泣き声とは異なる、苦しそうな声を上げます。これは、周囲に自分の不快な状態を伝えようとする、原始的なコミュニケーションの手段であると言えるでしょう。 大人になっても、病気や怪我を負った時、激しい運動をして体がきつい時、精神的に追い詰められている時など、様々な場面で呻吟が見られます。時には、自分では意識していないうちに呻吟が漏れていることもあり、無意識のうちに自分の置かれている状況を周囲に伝えていると言えるかもしれません。
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肺の機能を調べる検査:肺拡散能検査とは

- 肺拡散能検査とは何か肺拡散能検査は、呼吸において重要な役割を担う肺の機能、「ガス交換能」を評価するための検査です。 ガス交換能とは、息を吸い込んだ際に肺胞に取り込まれた酸素が、どれほど円滑に血液中に移動するかを示す能力を指します。私たちが呼吸によって体内に取り込んだ酸素は、肺胞と呼ばれる小さな袋状の組織で毛細血管へと移動し、血液によって全身に運ばれます。この、肺胞から毛細血管への酸素の移動がスムーズに行われることこそが、効率的な酸素摂取に不可欠です。しかし、肺気腫や間質性肺炎、肺線維症といった病気にかかると、肺胞の壁が厚くなったり、肺胞と毛細血管の間が繊維化したりすることで、酸素の移動が阻害され、ガス交換能が低下してしまいます。 ガス交換能が低下すると、体内に十分な酸素を取り込むことができなくなり、息切れや動悸、倦怠感といった症状が現れます。さらに症状が進行すると、唇や指先が青紫色になるチアノーゼを引き起こすこともあります。肺拡散能検査では、患者さんに少量の一酸化炭素ガスを含む空気を吸ってもらい、そのガスが肺から血液中にどれくらい移動するかを測定します。 一酸化炭素は酸素と同様にヘモグロビンと結合しやすい性質を持つため、この検査によって酸素の移動能力を間接的に評価することができます。この検査は、自覚症状がある場合だけでなく、病気の早期発見や治療効果の判定、手術前の肺機能評価など、様々な目的で実施されます。
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知っておきたい呼吸法:胸腹式呼吸

私たちは、生きていくために常に呼吸を続けています。多くの場合、無意識に呼吸をしていますが、意識的に行う呼吸法には様々な種類があります。それぞれの呼吸法には特徴があり、目的に合わせて使い分けることで、心身に良い影響をもたらすと考えられています。 代表的な呼吸法として、まず胸式呼吸が挙げられます。これは、肋骨を広げるようにして息を吸い込み、吐く時に肋骨を閉じる呼吸法です。比較的短い時間で多くの酸素を取り入れることができるため、運動時などに行うと効果的です。 次に、腹式呼吸があります。これは、お腹を膨らませるようにして息を吸い込み、吐く時にお腹をへこませる呼吸法です。深い呼吸を行うことができるため、リラックス効果やストレス軽減効果が期待できます。 そして、胸腹式呼吸は、胸式呼吸と腹式呼吸を組み合わせた呼吸法です。胸とお腹を同時に使いながら呼吸を行うことで、より多くの酸素を取り入れることができます。深い呼吸と効率的な酸素摂取を両立できるため、健康維持や体力向上に効果的であると言われています。
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肺にできる風船、ブラとは?

ブラとは、肺の中に通常よりも多くの空気が溜まってしまい、呼吸が困難になる病気です。この病気は、嚢胞性肺疾患の一つに分類されます。 私たちの体にとって、肺は空気中から酸素を取り込み、体内で発生した二酸化炭素を排出するための、とても重要な役割を担っています。この肺の一部が、風船のように膨らんでしまうのがブラの特徴です。 肺が膨らむことで、肺の組織が薄く引き伸ばされてしまうため、酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなります。そのため、息切れや呼吸困難といった症状が現れ、日常生活に支障をきたすこともあります。 ブラの原因は、まだ完全には解明されていませんが、喫煙や遺伝などが関係していると考えられています。また、加齢によっても発症リスクが高まると言われています。 ブラは、自然に治ることはほとんどなく、進行性の病気であるため、早期発見と適切な治療が重要です。
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気管支喘息:息苦しさの原因と治療

- 気管支喘息とは気管支喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こる病気です。この炎症は、まるで気道が腫れてしまったような状態を引き起こし、空気の通り道を狭くしてしまいます。その結果、呼吸が困難になり、息苦しさを感じるようになります。気管支喘息の代表的な症状は、発作的に起こる息苦しさです。これは、気道の周りの筋肉が痙攣し、さらに気道が狭くなるために起こります。激しい咳や「ヒューヒュー」と音がする喘鳴を伴うこともあります。これらの症状は、風邪やタバコの煙、ダニや花粉などのアレルゲン、運動、気候の変化など、様々な要因によって引き起こされます。日本では、約500万人もの人が気管支喘息を患っているとされており、決して珍しい病気ではありません。適切な治療や自己管理を行うことで、症状をコントロールし、日常生活を問題なく送ることができます。
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睡眠時無呼吸症候群とCPAP療法

- CPAPとはCPAPは、「経鼻的持続陽圧呼吸療法」を英語で表したContinuous Positive Airway Pressureの頭文字をとった言葉です。この治療法は、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気である、睡眠時無呼吸症候群の治療に広く用いられています。睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が繰り返し止まり、ぐっすり眠れない、日中に強い眠気が起きるなどの症状が現れます。放っておくと、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを高める可能性も指摘されています。CPAP療法では、鼻に装着した専用のマスクを通して空気を送り込みます。この空気の圧力によって、睡眠中に狭くなってしまう気道を広げ、閉塞を防ぐことができます。その結果、呼吸が安定し、睡眠の質が向上するとされています。CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の症状を改善する効果が期待できるだけでなく、日中の眠気や集中力の低下を軽減し、日常生活の質を向上させる効果も期待できます。また、高血圧や心臓病などの合併症のリスクを減らす効果も期待されています。
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気管支鏡検査:肺の奥をのぞく

- ブロンコとは?「ブロンコ」とは、気管支鏡検査の通称で、鼻や口から細い管状の機器を挿入し、肺へと続く空気の通り道(気管や気管支)を直接観察する検査です。 検査には、「気管支ファイバースコープ」という医療機器を用います。この機器の先端には、とても小さなカメラとライトが付いており、気管や気管支の内部を鮮明に映し出すことができます。医師は、モニターに映し出された画像を見ながら、腫瘍や炎症、分泌物の有無など、様々な角度から診断を行います。 ブロンコは、咳や血痰が続く場合の原因究明、肺炎、気管支炎、気管支拡張症といった様々な呼吸器疾患の診断に役立ちます。特に、肺がんの疑いがある場合には、気管支鏡を通して組織を採取する「生検」を行うことで、より確実な診断が可能となります。
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気管支炎を理解する:症状、原因、治療法

- 気管支炎とは気管支炎は、空気の通り道である気管支に炎症が起こり、様々な症状を引き起こす病気です。この炎症によって気管支の壁が腫れ上がり、空気の通り道が狭くなってしまいます。その結果、息が苦しくなったり、咳が出たりといった呼吸の症状が現れます。気管支炎の原因として最も多いのは、風邪などのウイルス感染です。ウイルスが鼻や喉から侵入し、気管支まで到達して炎症を引き起こします。また、ウイルス以外にも、細菌や、ほこり、煙などの刺激物が原因となることもあります。気管支炎になると、咳、痰、息切れ、胸部不快感など、風邪と似たような症状が現れます。咳は最初は乾いた咳が多いですが、その後、黄色や緑色の痰を伴う咳に変わることがあります。また、発熱や鼻水、喉の痛みを伴うこともあります。ほとんどの気管支炎は自然に治りますが、症状が重い場合や長引く場合は、医療機関を受診しましょう。医師の診察を受け、適切な治療を受けることが大切です。
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COPD:知っておきたい肺の病気

- COPDとはCOPDは「慢性閉塞性肺疾患」の略称で、肺の気道と肺胞に異常が起こり、息苦しさや咳などの症状が慢性的に続く病気です。 肺の気道は、空気の通り道となる器官で、空気は気管支を通って肺胞へと送られます。肺胞は、ぶどうの房のように小さな袋が集まった構造をしていて、ここで血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するガス交換が行われています。 COPDを発症すると、これらの気道や肺胞に炎症が起こったり、気道が狭くなったり、肺胞が破壊されたりします。その結果、呼吸をするときに空気の通りが悪くなり、十分な酸素を体内に取り込めなくなるのです。 COPDは進行性疾患であるため、病気が進むと、日常生活でのちょっとした動作でも息切れがするようになります。例えば、階段の上り下りや少し速く歩いただけでも息苦しさを感じるようになり、最終的には安静時にも呼吸困難に陥ることがあります。このような状態になると、日常生活に支障をきたし、生活の質は著しく低下してしまいます。 COPDは決して珍しい病気ではなく、国内では500万人以上が罹患していると推定されています。特に、加齢とともに罹患率が高くなる傾向があり、中高年の喫煙経験者は注意が必要です。
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命を脅かす病気:肺がん

- 肺がんとは肺がんは、呼吸をするために重要な役割を担う肺に発生するがんです。空気の通り道である気管支や、酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞といった、肺を構成する様々な組織の細胞が、何らかの原因でがん細胞へと変化し、制御できないほどに増殖することで発生します。肺は、心臓や大血管など、生命維持に欠かせない臓器と非常に近い場所に位置しています。そのため、肺がんは進行すると、これらの臓器にも影響を及ぼし、呼吸困難や胸の痛み、血痰、咳、体重減少といった様々な症状を引き起こします。さらに、肺がんは他の臓器にも転移しやすい性質を持っています。骨や肝臓、脳など、体の様々な場所に転移することで、さらに深刻な症状を引き起こす可能性があります。肺がんは、早期発見・早期治療が非常に重要です。初期の段階では自覚症状が出にくいため、定期的な健康診断や、少しでも体に異常を感じたら、医療機関を受診することが大切です。
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肺結核:原因、症状、予防法

- 肺結核とは肺結核は、結核菌という細菌が原因で起こる感染症です。結核菌は、主に私たちの呼吸器系、特に肺に感染します。感染すると、咳や痰、発熱といった風邪に似た症状が現れます。これらの症状は比較的軽く、初期段階では見過ごされてしまうこともあります。しかし、適切な治療を行わないと病状が進行し、息切れや胸の痛み、血痰といった深刻な症状が現れることがあります。さらに重症化すると、呼吸困難に陥り、命に関わる危険性も高まります。結核は、空気感染によって広がります。感染者の咳やくしゃみ、つばなどと一緒に結核菌が空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。ただし、結核菌は、一度吸い込んだだけで必ずしも感染するわけではありません。結核菌に感染しても、多くの場合、私たちの免疫システムが働き、菌の増殖を抑え込むため、発病に至らないことが多いです。しかし、免疫力が低下している人や栄養状態が悪い人などは、結核菌に感染しやすく、発病するリスクが高いと考えられます。かつて結核は、「国民病」とも呼ばれ、多くの人々が命を落としてきました。しかし、衛生状態の向上や栄養状態の改善、そして効果的な治療法の開発と普及により、現在では発症数は減少傾向にあります。それでも、結核は決して過去の病気ではありません。早期発見・早期治療が重要であり、少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診することが大切です。
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マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は、「マイコプラズマ ニューモニエ」という微生物が原因で起こる、肺の炎症です。この病気は、一般的には「非定型肺炎」に分類され、特に子供や若い世代に多く発症するという特徴があります。 マイコプラズマ肺炎は、感染力が非常に強く、咳やくしゃみなどの飛沫を介して、人から人へと容易に感染が広がります。感染すると、発熱、咳、痰を伴う場合もあれば、頭痛や倦怠感などの症状が出る場合もあります。症状の現れ方は人によって異なり、軽症で済む場合もあれば、重症化するケースも見られます。 通常、マイコプラズマ肺炎と診断された場合は、医師の指示に従って抗生物質を服用することで症状は改善に向かいます。しかし、重症化すると入院が必要となるケースや、まれに脳炎や心筋炎などの合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。 日頃から、手洗いとうがいを徹底し、外出時にはマスクを着用するなど、感染予防を心がけることが重要です。また、栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠を摂り、免疫力を高めるように心がけましょう。
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誤嚥:食べ物や液体が気管に入ってしまうこと

- 誤嚥とは私たちは普段、食事をするとき、食べ物を口の中でよく噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすくしています。このとき、飲み込んだものは食道という管を通って胃へと送られます。しかし、何らかの原因で、飲み込んだものが食道ではなく、気管の方に誤って入ってしまった場合、これを「誤嚥」と呼びます。気管は空気の通り道であるため、ここに食べ物や飲み物が入ると、むせてしまいます。多くの場合、この反射によって異物を吐き出すことができます。しかし、乳幼児や高齢者、病気などで飲み込む機能が低下している方の場合、うまく吐き出すことができずに、誤嚥性肺炎などの深刻な病気に繋がる可能性があります。誤嚥は誰にでも起こりうることですが、特に注意が必要なのは、乳幼児と高齢者、そして病気などで飲み込む機能が低下している方です。乳幼児は飲み込む機能が未発達なため、注意が必要です。高齢者は、加齢に伴い飲み込む機能が低下しやすくなるため、注意が必要です。また、脳卒中やパーキンソン病などの病気により、飲み込む機能が低下している方も注意が必要です。誤嚥のリスクを減らすためには、食事の際はよく噛んでから飲み込む、姿勢を正して食べる、一口の量を少なくするなどの工夫が大切です。また、周囲の人が誤嚥のリスクを理解し、注意深く見守ることも重要です。
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肺の奥をのぞく:気管支肺胞洗浄とは?

- 気管支肺胞洗浄の目的 呼吸によって体内に取り込まれた空気は、鼻や口から気管を通って肺へと送られます。そして、肺の奥にある無数の小さな袋状の器官である肺胞に到達します。この肺胞こそが、血液中に酸素を取り込み、体内で発生した二酸化炭素を排出する、ガス交換の重要な役割を担う場所です。 気管支肺胞洗浄は、この肺胞の状態を詳しく調べるために行われる検査です。細い管を鼻や口から挿入し、気管支を通って肺胞に到達させます。そして、あらかじめ用意した少量の生理食塩水を肺胞内に注入し、その後、その液体を吸引して回収します。この回収した液体を「肺胞洗浄液」と呼びます。 肺胞洗浄液には、肺胞内に存在する細胞や細菌、異物などが含まれています。そのため、顕微鏡で観察したり、培養検査を行ったりすることで、肺胞に炎症が起きていないか、どのような種類の細胞が増えているのか、感染症の原因となる細菌やウイルスが存在するのかなどを調べることができます。 このように、気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くにある肺胞の状態を直接調べることのできる、非常に有用な検査方法と言えるでしょう。原因不明の咳や呼吸困難、間質性肺炎などの病気の診断、治療効果の判定などに役立てられています。
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世界を脅かす感染症: インフルエンザ

- インフルエンザとはインフルエンザは、インフルエンザウイルスが鼻や喉などの呼吸器系に侵入することで引き起こされる病気です。感染力が非常に強く、毎年冬に流行を繰り返す感染症として知られています。くしゃみや咳などで飛び散った、ウイルスを含む小さな飛沫を吸い込むことで感染します。そのため、人混みでは特に注意が必要です。また、ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ることで間接的に感染することもあります。主な症状としては、発熱、咳、くしゃみ、鼻水、喉の痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感など、いわゆる風邪に似た症状が現れます。一般的に、風邪よりも症状が重く、発熱も高くなる傾向があります。多くの人は安静と十分な水分補給で1週間以内に回復しますが、乳幼児や高齢者、持病のある方などは重症化するリスクが高いため、注意が必要です。肺炎や脳炎などを併発すると、命に関わる危険性もあります。インフルエンザの予防には、こまめな手洗いやうがい、人混みを避けるなどの対策が有効です。また、予防接種も効果的な予防法の一つです。
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肺炎球菌:知っておきたい身近な細菌

肺炎球菌は、私達の身の回りにあるごくありふれた細菌です。普段は、健康な方の鼻や喉にいても、病気を起こすことはほとんどありません。これは、私達の体が持つ抵抗力で、肺炎球菌の増殖を抑えているからです。しかし、体力が低下したり、免疫力が弱まっている時には注意が必要です。肺炎球菌は、この機会をついて体の中で急速に増殖し、肺炎、髄膜炎、敗血症といった深刻な病気を引き起こす可能性があります。これらの病気は、命に関わることもあります。肺炎球菌は、咳やくしゃみによる飛沫感染で人から人へと広がります。特に、高齢者や乳幼児、免疫力が低下している方は、肺炎球菌による感染症にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。日頃から、手洗いとうがいを徹底し、健康的な生活を心がけることが大切です。
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医療現場の必須アイテム:喉頭鏡

- 喉頭鏡声の出口を覗く道具喉頭鏡は、医療現場において、喉の奥深くにある「喉頭」と呼ばれる部分を直接観察するために用いられる医療器具です。喉頭は、鼻や口から吸い込んだ空気が肺へと流れるための重要な通り道であると同時に、声帯をもち、私たちが話す時や歌う時に欠かせない発声にも深く関わっています。この喉頭鏡を用いることで、医師は肉眼では直接見ることのできない喉頭の状態を詳細に把握することができます。具体的には、声帯の動きや粘膜の状態、炎症や腫瘍の有無などを確認することが可能です。このような情報は、病気の診断や治療方針の決定に大きく役立ちます。例えば、声がかすれる、息苦しいといった症状がある場合、喉頭鏡を用いた検査によって、声帯ポリープや喉頭炎などの病気が発見されることがあります。また、気管挿管という、人工呼吸器を装着する際に気管にチューブを挿入する医療行為においても、喉頭鏡は欠かせない道具となっています。このように、喉頭鏡は、呼吸や発声という人間にとって非常に重要な機能を担う喉頭の健康を守る上で、医療現場において無くてはならない存在と言えるでしょう。
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肺の奥を覗く:気管支肺胞洗浄とは

- 気管支肺胞洗浄とは 気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くにある小さな袋状の組織「肺胞」に溜まっているものを採取し、顕微鏡などで詳しく調べる検査です。 肺胞は、私たちが呼吸によって体内に取り込んだ空気中の酸素と、血液中の二酸化炭素を交換するという、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。 この検査では、まず鼻や口から細い管を挿入し、気管支という空気の通り道を進みます。そして、目的の肺胞に到達したら、管の先から少量の生理食塩水を注入します。その後、注入した生理食塩水を吸引して回収し、その中に含まれている細胞や物質を分析します。 気管支肺胞洗浄は、咳や痰では排出されない肺胞内の状態を直接調べることのできる検査であり、原因不明の咳や呼吸困難、肺炎などの呼吸器疾患の診断に役立ちます。具体的には、感染症の原因となる細菌やウイルス、がん細胞、炎症細胞などを特定することができます。また、病気の活動性や治療効果の判定にも有用です。 気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くまで管を挿入するため、患者さんにとって負担が大きい検査です。 検査中は医師や看護師が付き添い、患者さんの状態を注意深く観察しながら行います。また、検査前に十分な説明を受け、不安や疑問を解消しておくことが大切です。
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