側弯症治療の強い味方:ミルウォーキー・ブレース
病院での用語を教えて
先生、「ミルウォーキー・ブレース」って、どんなものですか?
体の健康研究家
良い質問だね。「ミルウォーキー・ブレース」は、背骨が曲がってしまう側弯症の治療に使う装具なんだ。背骨をまっすぐに矯正するために、体幹から頭までを固定するんだよ。
病院での用語を教えて
そうなんですね。どんな時に使うんですか?
体の健康研究家
主に、まだ骨の成長が盛んな思春期で、背骨の曲がり具合が中等度の側弯症の人に使うんだ。成長に合わせて調整しながら、背骨の曲がりがひどくならないように支えるんだよ。
ミルウォーキー・ブレースとは。
「ミルウォーキー・ブレース」は、曲がった背骨をまっすぐにするための道具で、頭から骨盤までを固定します。背骨が曲がると、姿勢が悪くなるだけでなく、息苦しさなど体の不調が現れることがあります。それを防ぐため、ミルウォーキー・ブレースを使って背骨の成長をサポートします。
特に、首、胸、腰の骨が大きく曲がっている場合に使われます。骨の成長が盛んな10代の時期に、曲がりが25度から45度くらいの人に使い、それ以上曲がりがひどくならないようにします。
この道具は、一人ひとりの体に合わせて作られます。金属やプラスチック、革などを使って、骨盤を固定する部分、頭を固定する部分、曲がった背骨を押さえる部分を作ります。
これらの部分を3点で支えることで、曲がった背骨をまっすぐにする力を加えます。
使うときは、まず骨盤をしっかりと固定し、そこから体の前側を通ってあごにかけて金属の板で固定します。さらに、背中側から2本の金属の板を伸ばして、頭を固定する部分につなげます。
この道具は、着けるのが難しく、時間もかかります。また、体の成長に合わせて、長さや形を調整する必要があります。お風呂や運動の時間以外は、基本的にずっと装着します。
ただし、正しく装着しないと、効果が出ないことがあります。また、無理に体をひねると、皮膚が擦れて傷になることがあります。
季節によっては、汗をかきやすく、あせもなどができる可能性もあります。そのため、吸水性の良い下着などを着用する必要があります。
体の成長や変化に合わせて、定期的に病院で診察を受け、道具の点検を受けることが大切です。
ミルウォーキー・ブレースとは
– ミルウォーキー・ブレースとはミルウォーキー・ブレースは、成長期の子供の側弯症の進行を抑えるために使用される装具です。側弯症は、背骨が横に曲がるだけでなく、ねじれも伴う病気です。進行すると、見た目の問題だけでなく、呼吸困難や腰痛など、様々な症状を引き起こす可能性があります。ミルウォーキー・ブレースは、首から骨盤までを覆うように装着するコルセットのような形をしています。プラスチック製の支柱とベルトで構成されており、体の動きを制限することで背骨の湾曲を矯正し、正常な成長を促します。この装具は、特に首、背中、腰の変形が顕著な側弯症の若年患者に適用されます。一般的には、骨の成長が止まる10代後半まで使用されます。装着時間は医師の指示によって異なり、1日に20時間以上装着する場合もあるなど、日常生活で多くの時間を装具と共に過ごすことになります。ミルウォーキー・ブレースは、側弯症の進行を抑制する効果が期待できますが、装着には、皮膚の炎症や筋肉の衰えといったリスクも伴います。そのため、医師の指示に従って正しく装着し、定期的な診察を受けることが重要です。
項目 | 説明 |
---|---|
定義 | 成長期の子供の側弯症の進行を抑えるために使用される装具 |
対象 | 特に首、背中、腰の変形が顕著な側弯症の若年患者 |
形状・構造 | 首から骨盤までを覆うコルセットのような形 プラスチック製の支柱とベルトで構成 |
作用機序 | 体の動きを制限することで背骨の湾曲を矯正し、正常な成長を促す |
装着時間 | 医師の指示による(1日に20時間以上装着する場合もある) |
効果 | 側弯症の進行を抑制 |
リスク | 皮膚の炎症、筋肉の衰え |
対象となる患者
– 対象となる患者
ミルウォーキー・ブレースは、主に骨の成長が完了していない思春期の患者さんの側弯症の治療に使用されます。
思春期は体が大きく成長する時期であり、それと同時に骨も成長します。
ミルウォーキー・ブレースはこの骨の成長する力を利用して、曲がった背骨を矯正する装具です。
そのため、骨の成長がほぼ終わってしまうと、ミルウォーキー・ブレースの効果は期待できません。
ミルウォーキー・ブレースが最も効果を発揮するのは、側弯症の程度が中等度の場合です。
側弯症の程度は、レントゲン写真で計測した「コブ角」という指標で表されます。
コブ角が約25度から45度であれば、ミルウォーキー・ブレースによる治療が適応となる可能性が高いです。
ミルウォーキー・ブレースを装着する期間は、患者さんによって個人差があります。
一般的には、骨の成長が止まるまで、つまり成人になるまで継続して使用します。
装着時間は、医師の指示に従って、1日の中で20時間程度装着することが推奨されています。
項目 | 詳細 |
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対象患者 | 骨の成長が完了していない思春期の患者 |
側弯症の程度 | 中等度(コブ角約25度~45度) |
装着期間 | 骨の成長が止まるまで(成人まで) |
装着時間 | 1日20時間程度 |
構造と素材
ミルウォーキー・ブレースは、一人ひとりの体の形に合わせて作られるため、既製品とは異なり、より体にフィットしやすいという特徴があります。この装具は、主に次の四つの部分で構成されています。
まず、首から頭にかけて支える部分をネックリングと呼びます。これは金属で作られており、首を固定する役割を担います。次に、背中を支える支柱があります。こちらも金属製で、ネックリングと同様に強度が求められる部分です。そして、腰の周りを囲むように装着する骨盤ガードルがあります。これはプラスチックで作られており、腰椎の動きを制限することで、正しい姿勢を保ちます。最後に、胸の高さで胴体部分を支える胸椎パットがあります。こちらもプラスチック製で、脊柱への負担を軽減しながら、側弯症の進行を抑える働きをします。
これらのパーツは、それぞれ強度や柔軟性が考慮された素材でできており、皮製の固定バンドで締め付けることで、体にしっかりと固定されます。このように、ミルウォーキー・ブレースは、様々な素材を組み合わせて作られており、身体への負担を軽減しながら、効果的に側弯症の矯正を行うことができるのです。
部位 | 材質 | 機能 |
---|---|---|
ネックリング | 金属 | 首の固定 |
支柱 | 金属 | 背中の支持 |
骨盤ガードル | プラスチック | 腰椎の動きを制限し、正しい姿勢を保つ |
胸椎パット | プラスチック | 脊柱への負担軽減、側弯症の進行抑制 |
矯正のしくみ
– 矯正のしくみ
ミルウォーキー・ブレースは、体の3つの点で支えることで、曲がった背骨をまっすぐにすることを目的とした装具です。この「3点支持の原理」と呼ばれる方法は、ちょうど傾いた柱を3方向から支えて修正するように、背骨の湾曲を矯正します。
具体的には、まず骨盤を固定する骨盤ガードルを腰に装着します。そして、頭部を支えるネックリングを首に装着します。この2つのガードルによって、体が正しい姿勢を保つように導かれます。そして、これらのガードルをつなぐように、胸椎パットと呼ばれるパッドが、背骨の湾曲に合わせて取り付けられます。
この胸椎パットが、曲がった背骨に優しく圧力をかけることで、背骨を正常な位置に導いていきます。この3点からの持続的な圧力によって、側弯の進行を抑え、背骨の成長を促します。ミルウォーキー・ブレースは、装着している間だけでなく、装着していない間も正しい姿勢を意識させる効果もあります。
部位 | 矯正方法 | 効果 |
---|---|---|
骨盤 | 骨盤ガードルで固定 | 正しい姿勢を保つ |
頭部 | ネックリングで支える | 正しい姿勢を保つ |
背骨 | 胸椎パットで圧力をかける | 湾曲を矯正し、正常な位置に導く、成長を促す |
使用方法
– 使用方法ミルウォーキー・ブレースは、体の成長をコントロールし、背骨の湾曲を矯正するための装具です。その効果を最大限に引き出すためには、正しく装着することが非常に重要です。まず、骨盤ガードルと呼ばれる土台となる部分を体幹にしっかりと固定します。骨盤ガードルは、腰からお尻にかけてしっかりと密着させることで、ブレース全体の安定性を高める役割を担います。次に、顎と首を支えるための金属製の支柱を装着します。この支柱は、顎から胸の前側にかけて一本、そして背中側から二本の計三本の金属の板で構成されています。これらの支柱は、ネックリングと呼ばれるリング状のパーツで固定します。ミルウォーキー・ブレースの装着は複雑で、慣れるまではある程度の時間と手間がかかります。しかし、装着方法をしっかりと理解し、毎日根気強く続けることが、治療の成功へと繋がります。装着時間は、基本的に一日中となります。ただし、入浴時や運動時などは、医師の指示に従って外しても構いません。また、子供の成長は非常に個人差が大きいため、定期的に医師の診察を受け、ブレースの長さやカーブを調整する必要があります。医師の指示に従い、適切な調整を行うことで、より効果的に治療を進めることができます。
項目 | 詳細 |
---|---|
目的 | 体の成長のコントロール、背骨の湾曲矯正 |
装着方法 | 1. 骨盤ガードルを体幹に固定 2. 顎と首を支える金属製の支柱を装着 3. 支柱をネックリングで固定 |
装着時間 | 基本的に一日中(入浴時や運動時は医師の指示に従う) |
その他 | – 装着にはある程度の時間と手間がかかる – 毎日根気強く続けることが重要 – 定期的な医師の診察とブレースの調整が必要 |
使用上の注意
– 使用上の注意ミルウォーキー・ブレースは、脊柱側弯症の進行を抑制するために用いられる装具ですが、安全かつ効果的に使用するためには、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。まず、ミルウォーキー・ブレースは、医師の指示に従って正しく装着することが非常に大切です。誤った装着は、期待される治療効果が得られないばかりか、身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。装着方法に不明な点があれば、必ず医師または装具士に相談し、正しい装着方法を指導してもらいましょう。また、ミルウォーキー・ブレース装着中は、無理な姿勢や動きを避けるように心がけましょう。装具と皮膚が擦れることで、皮膚に赤みやかゆみ、痛みなどが生じることがあります。ひどい場合には、褥瘡(床ずれ)を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。さらに、ミルウォーキー・ブレースを装着していると、季節によっては汗をかきやすくなることがあります。汗によるあせもや皮膚炎を予防するために、吸水性の良い下着を着用する、こまめにシャワーを浴びて清潔を保つなど、皮膚を清潔で乾燥した状態に保つように心がけましょう。そして、治療効果を最大限に引き出し、安心してミルウォーキー・ブレースを使用するためには、定期的な医師の診察と装具の点検が欠かせません。医師の指示に従って、定期的に診察を受け、装具の状態や身体への影響を確認してもらいましょう。これらの注意点を守り、医師や装具士と連携しながら、ミルウォーキー・ブレースを正しく使用することで、脊柱側弯症の進行抑制を目指しましょう。
注意事項 | 詳細 |
---|---|
正しい装着 | 医師の指示に従い正しく装着すること。自己判断は避ける。 |
無理な姿勢や動きを避ける | 装具との摩擦による皮膚トラブル(赤み、かゆみ、痛み、褥瘡)を防ぐ。 |
皮膚の清潔と乾燥を保つ | 汗によるあせもや皮膚炎予防のため、吸水性の良い下着の着用、こまめなシャワーを心がける。 |
定期的な診察と点検 | 医師の指示に従い、定期的な診察と装具の点検を受ける。 |