アデノイド:小児期に腫大しやすい組織

耳鼻科

アデノイド:小児期に腫大しやすい組織

病院での用語を教えて

先生、「アデノイド」ってよく聞くんですけど、何ですか?

体の健康研究家

良い質問だね。「アデノイド」は、鼻の奥、のどの入り口付近にあるリンパ組織の塊のことだよ。正式には「咽頭扁桃」って呼ばれているんだ。

病院での用語を教えて

リンパ組織だと、風邪をひいた時みたいに腫れたりするんですか?

体の健康研究家

そうなんだ。特に小さい子供は、アデノイドが腫れやすいんだ。大きくなると小さくなっていくんだけど、腫れがひどいと鼻呼吸がしにくくなったり、いびきをかいたりするんだよ。

アデノイドとは。

「アデノイド」という医学や健康で使う言葉は、鼻の奥の方にある「咽頭扁桃(いんとうへんとう)」という部分を指す言葉です。これは、鼻と喉の境目あたりにある、喉の扁桃のことです。場合によっては、この咽頭扁桃が病気などで腫れ上がっている状態を指して「アデノイド」と呼ぶこともあります。

アデノイドの位置と役割

アデノイドの位置と役割

– アデノイドの位置と役割

アデノイドは、鼻の奥、喉の入り口の上壁に位置するリンパ組織の塊です。ちょうど口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)の上あたりに位置し、鼻から吸い込んだ空気の通り道に存在しています。

アデノイドは、扁桃腺や口蓋扁桃と同じように、リンパ組織が集まってできています。リンパ組織は、体中に張り巡らされた免疫システムの一部であり、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る重要な役割を担っています。

アデノイドは、鼻から吸い込んだ空気中のウイルスや細菌をキャッチし、免疫反応を引き起こすことで、体を守る役割を担っています。具体的には、アデノイドに侵入してきた病原体に対して、リンパ球などの免疫細胞が攻撃をしかけ、排除しようとします。

このようにアデノイドは、外部から侵入してくる病原体を最初に感知し、撃退するための最前線の防御壁として機能しているのです。

なお、アデノイドは乳幼児期に最も大きく発達し、思春期以降は徐々に縮小していきます。そのため、大人になるとほとんど目立たなくなる場合も多いです。

項目 詳細
位置 鼻の奥、喉の入り口の上壁(口蓋垂の上あたり)
役割 – 鼻から吸い込んだ空気中のウイルスや細菌をキャッチし、免疫反応を引き起こすことで、体を守る。
– 外部から侵入してくる病原体を最初に感知し、撃退するための最前線の防御壁として機能する。
その他 – リンパ組織が集まってできている。
– 乳幼児期に最も大きく発達し、思春期以降は徐々に縮小する。

アデノイドの成長と縮小

アデノイドの成長と縮小

口蓋垂の奥にある、鼻の奥にあるリンパ組織であるアデノイドは、免疫機能において重要な役割を担っています。アデノイドは生まれた時から存在しますが、乳幼児期にかけて急速に成長し始めます。これは、外界からの様々な刺激にさらされるようになり、免疫システムが活発に働くようになるためです。

そして、3歳から5歳頃になると、アデノイドは最も大きくなります。この時期は、子供たちが集団生活を始め、様々な感染症にかかりやすくなる時期と重なります。アデノイドは、鼻や口から侵入してくる細菌やウイルスを撃退する役割を担っており、この時期に大きくなることは、免疫機能を高める上で重要な意味を持っています。

しかし、思春期に差し掛かる頃になると、アデノイドは徐々に縮小し始めます。これは、免疫システムが成熟し、アデノイドの役割が少なくなるためです。最終的には、ほとんど目立たなくなることが一般的です。

ただし、幼児期に繰り返す感染症やアレルギーの影響で、アデノイドが過剰に大きくなってしまう場合があります。これが「アデノイド肥大」と呼ばれる状態です。アデノイド肥大は、鼻づまりやいびき、口呼吸などの症状を引き起こし、睡眠障害や集中力低下、顔つきにも影響を与えることがあります。

年齢 アデノイドの状態 備考
乳幼児期 急速に成長 免疫システムの発達のため
3歳~5歳頃 最も大きくなる 感染症への防御反応
思春期 徐々に縮小 免疫システムの成熟
幼児期に感染症やアレルギーを繰り返した場合 過剰に大きくなる(アデノイド肥大) 鼻づまり、いびき、口呼吸などの症状を引き起こす可能性

アデノイド肥大の症状

アデノイド肥大の症状

– アデノイド肥大の症状アデノイドは、鼻の奥にあるリンパ組織の塊で、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る役割をしています。特に幼児期に発達し、その後徐々に小さくなっていきます。しかし、何らかの原因でアデノイドが過剰に大きくなり、鼻呼吸を妨げるようになると、様々な症状が現れます。これが「アデノイド肥大」です。最も一般的な症状は、鼻呼吸の障害です。アデノイドが肥大すると、鼻腔が狭くなり、空気が通りにくくなります。そのため、鼻で息がしづらく、常に口を開けて呼吸するようになります。また、鼻が詰まったような感じや、鼻声になることもあります。さらに、鼻水が喉に流れる後鼻漏の症状が出ることもあります。アデノイド肥大は、睡眠にも影響を及ぼします。寝ている間も鼻呼吸が苦しいため、大きないびきをかいたり、呼吸が一時的に止まる睡眠時無呼吸症候群を引き起こしたりすることがあります。これらの症状は、日中の眠気や集中力の低下、頭痛などを引き起こし、日常生活に支障をきたすこともあります。その他、アデノイド肥大は、中耳炎や副鼻腔炎などの病気の原因となることもあります。アデノイドが肥大することで、鼻腔と耳管(耳と鼻をつなぐ管)の接続部分が狭くなり、耳の中への空気の流れが悪くなります。そのため、耳の中が負圧になりやすく、細菌が繁殖しやすくなり、中耳炎を起こしやすくなります。また、鼻腔と副鼻腔(鼻の周りの骨の中にある空洞)の接続部分も狭くなるため、副鼻腔炎のリスクも高まります。このように、アデノイド肥大は、様々な症状を引き起こす可能性があります。症状が重い場合や、日常生活に支障をきたす場合には、医師の診察を受け、適切な治療を受けることが大切です。

症状のカテゴリー 具体的な症状 原因・メカニズム 合併症
鼻呼吸の障害 – 鼻詰まり
– 口呼吸
– 鼻声
– 後鼻漏
アデノイドの肥大により鼻腔が狭くなるため。 – 中耳炎
– 副鼻腔炎
睡眠障害 – いびき
– 睡眠時無呼吸症候群
寝ている間も鼻呼吸が苦しいため。 – 日中の眠気
– 集中力の低下
– 頭痛

アデノイド肥大の診断

アデノイド肥大の診断

– アデノイド肥大の診断アデノイド肥大かどうかを調べるには、医師による診察と、場合によっては画像検査を行います。診察では、まず医師が鼻の奥を観察します。そして、指でアデノイドを触って、その大きさや硬さを確認します。鼻の奥を見る際は、鼻鏡と呼ばれる器具を使う場合もあります。画像検査には、レントゲン検査や内視鏡検査などがあります。レントゲン検査では、アデノイドの大きさや形を、ある程度把握することができます。しかし、レントゲン検査では、アデノイドの状態を詳細に知ることはできません。内視鏡検査では、鼻腔から細い管を入れて、アデノイドの状態を直接観察することができます。内視鏡の先にはカメラが付いており、アデノイドの表面の状態や、炎症の程度などを詳しく調べることができます。これらの検査結果に基づいて、医師はアデノイド肥大の診断を下します。

診断方法 説明 備考
医師による診察 – 鼻の奥を観察
– 指でアデノイドを触診
鼻鏡を使用することもある
レントゲン検査 アデノイドの大きさや形を、ある程度把握する アデノイドの状態を詳細に知ることはできない
内視鏡検査 鼻腔から細い管を入れて、アデノイドの状態を直接観察する カメラでアデノイドの表面の状態や、炎症の程度などを詳しく調べることができる

アデノイド肥大の治療

アデノイド肥大の治療

– アデノイド肥大の治療アデノイドが大きくなってしまう病気、アデノイド肥大。その治療は、症状の重さや年齢、体の状態などを総合的に判断して決まります。もし症状が軽い場合は、薬を使って鼻づまりなどの症状を楽にすることがあります。鼻の通りをよくする薬や、炎症を抑える薬などが使われます。しかし、薬を使っても効果が見られない場合や、症状が重い場合は、手術が必要となることがあります。手術では、大きくなったアデノイドを切除します。この手術は全身麻酔で行われ、通常は入院が必要です。手術後は、出血や感染症などのリスクがあるため、医師の指示に従って安静にし、体の回復を待つ必要があります。アデノイド肥大は、放っておくと、いびきや睡眠時無呼吸症候群、中耳炎などを引き起こす可能性があります。そのため、気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

症状の重さ 治療法 補足
軽度 薬物療法 鼻づまり改善薬、炎症を抑える薬
重度
薬物療法で効果がない場合
手術 全身麻酔、入院が必要
術後は医師の指示に従い安静に

アデノイドと扁桃腺

アデノイドと扁桃腺

– アデノイドと扁桃腺アデノイドと扁桃腺は、どちらも私達の体の中に侵入してくる細菌やウイルスから体を守る、いわば門番のような役割を持つ免疫器官です。この2つは、同じようなリンパ組織でできており、喉の奥、鼻の奥と、体の中に入ってくる空気の通り道の近くに並んで位置しています。アデノイドは鼻の奥にあり、正式には咽頭扁桃と呼ばれます。一方、扁桃腺は口蓋扁桃のことで、喉の奥、左右に一つずつ見ることができます。どちらも、空気と一緒に体内へ侵入しようとする細菌やウイルスをキャッチし、免疫反応を起こして体を守る働きをしています。これらの器官は、互いに連携し影響し合いながら免疫機能を担っています。そのため、アデノイドが肥大して大きくなると、扁桃腺も一緒に腫れている場合が多く見られます。反対に、扁桃腺が腫れている場合は、アデノイドも腫れやすくなると考えられています。このように、アデノイドと扁桃腺は、場所も近く、構造も機能も似ているため、互いに密接に関係し合っているのです。

項目 アデノイド 扁桃腺
別名 咽頭扁桃 口蓋扁桃
位置 鼻の奥 喉の奥(左右に1つずつ)
構造 リンパ組織 リンパ組織
機能 細菌やウイルスをキャッチし、免疫反応を起こす 細菌やウイルスをキャッチし、免疫反応を起こす
その他 – 肥大すると扁桃腺も腫れやすい
– 扁桃腺が腫れている場合は、アデノイドも腫れやすい
– アデノイドが肥大すると腫れやすい
– アデノイドが腫れている場合は、扁桃腺も腫れやすい

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