肩こりの原因にも? 僧帽筋の構造と働き

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肩こりの原因にも? 僧帽筋の構造と働き

病院での用語を教えて

先生、「僧帽筋」って、肩こりの時にマッサージするところですよね? なんで「僧帽」っていう名前なんですか?

体の健康研究家

いいところに気がつきましたね! 肩こりの時にマッサージする、あの筋肉です。実は、僧侶が頭にかぶる帽子の形に似ていることから、「僧帽筋」と名付けられたんですよ。

病院での用語を教えて

えー! 本当ですか? どんな帽子か見てみたいです!

体の健康研究家

そうですね。機会があったら、一緒に調べてみましょう。形が似ているだけでなく、僧帽筋も僧侶の帽子も、どちらも大切な役割を持っているんですよ。

僧帽筋とは。

「僧帽筋」は、背中の上の方にあって、肩の動きに関わる筋肉です。僧帽筋は、首の後ろから背中の上の方、そして両肩をつなぐように、ひし形についています。英語では「Trapezius」と言いますが、これは僧帽筋が台形の形をしていることに由来します。日本語の「僧帽筋」という名前は、カトリック教会の一つのグループであるカプチン修道会の修道士がかぶる帽子に似ていることからつけられました。

僧帽筋は、頭の後ろの骨の出っ張り、首の後ろの靭帯、首から背中にかけての骨の出っ張り、背骨の胸の部分の上から12番目の骨の出っ張り、そしてこれらの骨の出っ張りを囲む靭帯から始まります。そして、肩の骨の外側3分の1、肩の先端、肩甲骨の上部にある骨の突起につながっています。

僧帽筋の上部の筋肉繊維は、上から下に向かって走り、その後、横に向かって走っています。下部の筋肉繊維は、下から上に向かって走り、その後、横に向かって走っています。僧帽筋全体としては、肩甲骨と鎖骨の外側部分を背骨の方へ引く働きをしていますが、筋肉繊維の走り方が場所によって違うため、様々な動きができるようになっています。僧帽筋の上部は、肩甲骨と鎖骨を上に引き上げ、中部は肩甲骨を内側に引き寄せ、下部は肩甲骨を内側の下の方へ引き下げます。また、僧帽筋は、息を吸うのを助ける筋肉としても働きます。僧帽筋は、副神経と頚神経叢という神経によってコントロールされていて、前鋸筋と広背筋という筋肉と反対の動きをします。

背中を覆う大きな筋肉

背中を覆う大きな筋肉

首の付け根から肩、背中の上部にかけて大きく広がる僧帽筋は、その名の通り、まるで頭巾のように私たちの背中を覆っている筋肉です。その大きさは、背中側の筋肉の中でも群を抜いており、肩や首を動かす際に重要な役割を担っています。

僧帽筋は、肩甲骨を動かすことで、腕を様々な方向に動かすことを可能にしています。例えば、腕を上げたり、下げたり、回したり、肩をすくめたりする動作など、日常生活の様々な動作に関わっています。また、重い物を持ったり、長時間デスクワークをする際にも、僧帽筋は大きな負担を強いられます。

この筋肉の名前の由来は、カトリック教フランシスコ会の一派であるカプチン修道会の修道士が身につけていた長頭巾とされています。僧帽筋全体の形が、その頭巾にとてもよく似ていたことから、その名が付けられたと言われています。また、英語では「Trapezius」と呼ばれますが、これは僧帽筋の形が台形に似ていることに由来しています。

項目 説明
筋肉名 僧帽筋
部位 首の付け根から肩、背中の上部にかけて広がる
役割 肩甲骨を動かすことで、腕を様々な方向に動かすことを可能にする
(腕を上げたり、下げたり、回したり、肩をすくめる動作など)
特徴 背中側の筋肉の中で最も大きい
重い物を持ったり、長時間デスクワークをする際に負担がかかりやすい
名前の由来 カトリック教フランシスコ会の一派であるカプチン修道会の修道士が身につけていた長頭巾に似ているため
英語名「Trapezius」は、台形に似た形に由来

僧帽筋の起始と停止

僧帽筋の起始と停止

– 僧帽筋の起始と停止について

筋肉は骨と骨にくっついており、体を動かすために重要な役割を担っています。骨と筋肉の連結部分を起始と停止と呼び、一般的に体の中心に近い側を起始、遠い側を停止と呼びます。

僧帽筋は、背中の上部から肩、首にかけて大きく広がる筋肉で、重い物を持ち上げたり、肩をすくめたりする際に働く筋肉です。この僧帽筋も複数の骨から起始し、別の骨に停止しています。

僧帽筋の起始は、後頭骨の外後頭隆起、項靱帯、首筋にある上項線と、そこから続くように背骨である胸椎の第十二胸椎までの棘突起と、その周辺の靭帯まで及びます。つまり、後頭部から背中の真ん中あたりまで、広く起始していると言えます。

一方、僧帽筋の停止は、鎖骨の外側3分の1、肩峰、そして肩甲骨の肩甲棘です。これは、肩から肩甲骨にかけて停止していることを示しています。

このように、僧帽筋は頭蓋骨から背骨にかけて広い範囲から起始し、肩甲骨に停止しており、その特徴的な構造から、肩や首の動きと安定性に大きく貢献しています。

部位 起始 停止
  後頭骨の外後頭隆起
項靱帯
首筋の上項線
第7頚椎(C7)から第12胸椎(T12)までの棘突起
棘上靭帯
鎖骨の外側3分の1
肩峰
肩甲棘

僧帽筋の構造

僧帽筋の構造

肩から背中にかけて広く覆うように位置する僧帽筋は、その名の通り、まるで僧侶が着用する頭巾(ずきん)のような形をしています。この大きな筋肉は、一つの塊のように見えますが、実は上部、中部、下部の3つの部分に分かれており、それぞれ異なる役割を担っています。

まず、首の付け根から鎖骨にかけて広がる上部の筋線維は、下方に向かって斜めに走行しています。この部分は、肩甲骨を上に引き上げる働き、つまり肩をすくめる動作に関与します。次に、背骨から肩甲骨にかけて位置する中部の筋線維は、ほぼ水平方向に走行しており、肩甲骨を背骨に引き寄せる働き、つまり肩甲骨を内側に寄せる動作に関与します。最後に、下部の筋線維は、背骨の下部から肩甲骨に向かって上方へ斜めに走行しており、肩甲骨を下に引き下げる、つまり腕を下げた状態から更に下に引っ張る動作に関与します。

このように、僧帽筋は3つの部分それぞれが異なる方向に筋線維を走行させることで、複雑な動きを可能にしています。これらの筋肉が協調して働くことで、私たちは肩や腕を滑らかに、そして正確に動かすことができるのです。

部位 走行 作用
上部 下方へ斜め 肩甲骨を上に引き上げる(肩をすくめる)
中部 水平方向 肩甲骨を背骨に引き寄せる(肩甲骨を内側に寄せる)
下部 上方へ斜め 肩甲骨を下に引き下げる(腕を下げた状態から更に下に引っ張る)

僧帽筋の働き

僧帽筋の働き

– 僧帽筋の働き私たちの背中の上部にある大きな筋肉である僧帽筋は、肩や首を動かすために重要な役割を果たしています。この筋肉は、その名の通り僧侶が身につける頭巾(ずきん)に形が似ていることから名付けられました。僧帽筋は、大きく分けて上部、中部、下部の3つの部分に分かれており、それぞれ異なる動きに関わっています。まず、僧帽筋の上部は、肩甲骨を上に引き上げる働きをしています。これは、肩をすくめる時や、物を持ち上げる時に腕を上げる動作などに使われます。日常生活では、重い荷物を持つ時や、高いところにある物を取ろうとする時に、この筋肉が活発に働きます。次に、僧帽筋の中部は、肩甲骨を背骨の方に引き寄せる働きをしています。これは、胸を張った姿勢を保ったり、物を引いたりする時に使われます。デスクワークなどで長時間猫背の姿勢が続くと、この部分が常に伸ばされた状態となり、肩こりや首こりの原因になることがあります。最後に、僧帽筋の下部は、肩甲骨を下に引き下げる働きをしています。これは、腕を下に引っ張る動作や、重い物を持ち上げる時に肩関節を安定させるために使われます。スポーツ選手など、腕を激しく使う人にとって、この部分は特に重要です。このように、僧帽筋は3つの部分がそれぞれ異なる動きをすることで、肩や首を滑らかに動かすことを可能にしています。これらの筋肉の働きが弱くなったり、バランスが崩れたりすると、肩こりや首こり、姿勢が悪くなるなどの問題が起こることがあります。日頃からストレッチなどで筋肉をほぐし、健康な状態を保つことが大切です。

部位 働き 日常生活での動作例 関連する問題
上部 肩甲骨を上に引き上げる 肩をすくめる、物を持ち上げる
中部 肩甲骨を背骨の方に引き寄せる 胸を張る、物を引く 肩こり、首こり
下部 肩甲骨を下に引き下げる 腕を下に引っ張る、重い物を持ち上げる時に肩関節を安定させる

僧帽筋と呼吸

僧帽筋と呼吸

肩と首の後ろ側を覆う大きな筋肉である僧帽筋は、肩や首の動きに関わるだけでなく、呼吸にも重要な役割を担っています。特に深い呼吸をする際には、僧帽筋が重要な働きをします。

息を深く吸い込む際には、肺に多くの空気を取り込むために胸郭を広げる必要があります。この時、僧帽筋は肋骨を引き上げるように収縮します。この収縮により、胸郭が上方および後方へと広がり、肺に多くの空気を吸い込むことができるようになります。

つまり、僧帽筋は呼吸補助筋として働き、より深い呼吸を可能にしているのです。このため、猫背や長時間のデスクワークなどで僧帽筋が硬くなってしまうと、呼吸が浅くなってしまう可能性があります。 呼吸が浅くなると、酸素を十分に取り込めなくなり、倦怠感や集中力低下などを引き起こす可能性があります。

深い呼吸をするためには、僧帽筋の柔軟性を保つことが重要です。日頃からストレッチや軽い運動を取り入れることで、僧帽筋の柔軟性を維持し、円滑な呼吸を保ちましょう。

筋肉 機能 深い呼吸における役割 硬さによる影響
僧帽筋 肩や首の動き
呼吸補助
肋骨を引き上げ、胸郭を広げることで、多くの空気を吸込めるようにする 呼吸が浅くなり、倦怠感や集中力低下などを引き起こす可能性

僧帽筋と関連する神経

僧帽筋と関連する神経

体のあらゆる動きは、筋肉が神経からの信号を受け取ることで成り立っています。筋肉が動くために欠かせないこの指令系統において、僧帽筋と呼ばれる大きな筋肉は、副神経と頸神経叢という二つの重要な神経と深く関わっています。

副神経は、脳から伸びる12対の神経の一つで、11番目の脳神経にあたり、首を回したり肩をすくめる動作など、頭や肩の動きに関わる筋肉を支配しています。僧帽筋の上部と下部は、この副神経から直接指令を受けています。

一方、頸神経叢は、首の骨である頸椎から枝分かれした神経の複雑なネットワークです。この神経叢は、首の動きや感覚を司るとともに、僧帽筋の中間部に神経の枝を伸ばし、その動きをコントロールしています。

これらの神経は、事故や病気などによって損傷を受けることがあります。もしも、副神経や頸神経叢が傷つくと、僧帽筋への信号伝達がうまくいかなくなり、肩こりや首の痛みといった症状が現れることがあります。さらに、重症化すると、腕を上げたり、首をスムーズに動かすことが困難になるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。

このように、僧帽筋と神経は密接に関係しており、健康な状態を保つためには、これらの神経を保護することが重要です。

神経 由来 僧帽筋への作用 損傷時の症状
副神経 脳からの12対の神経の一つ(11番目) 僧帽筋の上部と下部を支配し、首を回したり肩をすくめる動きを制御 肩こり、首の痛み、腕の挙上困難、首の運動制限
頸神経叢 首の骨(頸椎)から枝分かれした神経のネットワーク 僧帽筋の中間部を支配し、首の動きや感覚を制御 肩こり、首の痛み、首の運動制限

拮抗筋との関係

拮抗筋との関係

私たちの体は、無数の筋肉の複雑な連携によって支えられています。筋肉は単独で働くのではなく、まるで綱引きのように、互いに力を及ぼし合いながら、滑らかで正確な動きを生み出しています。この、相反する動きをする筋肉の関係を「拮抗」と呼び、一方が縮む時にはもう一方が緩むことで、関節の動きを制御しています。
例えば、腕を曲げる動作を考えてみましょう。この時、力こぶとして知られる上腕二頭筋が収縮します。それと同時に、腕の裏側にある上腕三頭筋は緩むことで、スムーズな動きを可能にしています。もし、どちらかの筋肉だけが働きすぎると、関節の動きが制限されたり、痛みが出たりする可能性があります。
肩の動きにおいても、僧帽筋と、その拮抗筋である前鋸筋、広背筋のバランスが重要です。僧帽筋は肩甲骨を背骨側に引き寄せる働きをします。反対に、前鋸筋は肩甲骨を肋骨に沿って前に押し出し、広背筋は肩甲骨を下に引き下げる役割を担います。これらの筋肉の協調的な作用によって、腕を上げたり、下げたり、回したりといった複雑な動きが可能になるのです。このように、私たちの体は、相反する筋肉の絶妙なバランスによって成り立っていると言えるでしょう。

動作 収縮する筋肉 弛緩する筋肉
腕を曲げる 上腕二頭筋 上腕三頭筋
肩甲骨を背骨側に引き寄せる 僧帽筋 前鋸筋、広背筋
肩甲骨を肋骨に沿って前に押し出す 前鋸筋 僧帽筋
肩甲骨を下に引き下げる 広背筋 僧帽筋

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