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病気の初期段階:急性期とは

病気の経過にはいくつかの段階がありますが、その中でも「急性期」は特に重要な時期です。急性期とは、病気の始まりから、症状が最も激しく現れるまでの期間を指します。この時期は、病気の原因となるものに触れたり、体の中で異変が起きたりすることで、様々な症状が比較的短期間に現れます。 例えば、風邪をひいた時に最初に感じる喉の痛みや、熱っぽく感じる状態などが急性期に当たります。この急性期は、病気の種類や個人差によって期間は異なりますが、一般的には数日から数週間程度で、その後は慢性期や回復期へと移行していきます。 急性期には、症状を抑え、病気の悪化を防ぐための治療が重要となります。安静にして体力を回復させたり、症状を和らげる薬を服用したりするなど、医師の指示に従って適切な処置を受けるようにしましょう。また、十分な栄養と休養を摂ることも、早期回復のために大切です。
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現代人の悩み、腱鞘炎とは?

- 腱鞘炎の概要腱鞘炎とは、文字通り腱を包む鞘の部分に炎症が起きることで発症する病気です。筋肉は骨に付着して体を動かす役割を担っていますが、筋肉の力を骨に伝える役割を担っているのが「腱」と呼ばれる線維状の組織です。腱は全身に存在し、体を滑らかに動かすために欠かせないものです。この腱を包むように存在するのが「腱鞘」と呼ばれる組織です。腱鞘は、腱が滑らか動くように栄養を与えたり、摩擦から保護したりする役割を担っています。 腱鞘炎は、この腱鞘に繰り返し負担がかかり続けることで炎症を引き起こし、様々な症状が現れます。主な症状としては、腱鞘周辺の痛み、腫れ、熱感、動かしにくさなどが挙げられます。 腱鞘炎は、手をよく使う職業や活動、例えばパソコン作業や手芸、スポーツなどによって発症リスクが高まります。また、妊娠中や更年期など、ホルモンバランスの変化によって発症しやすくなることもあります。 腱鞘炎は、適切な治療を行うことで症状を改善し、再発を予防することができます。治療法としては、安静、薬物療法、リハビリテーションなどがあります。症状が重い場合には、手術が必要となることもあります。
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患者の状態を示す『ステーブル』とは?

病院で働く人たちの間でよく使われる言葉に「ステーブル」があります。これは英語の「stable」と同じ意味で、患者さんの状態が「安定している」ということを表しています。 患者さんの状態は、病気や怪我の深刻さ、治療の効果によって常に変化します。例えば、手術後、しばらくは危険な状態が続きますが、その後、徐々に快方に向かい、状態が安定してくるというケースが考えられます。このような場合に、「患者さんは現在、ステーブルな状態です」といったように使われます。 医療現場では、患者さんの状態を的確に伝えることが非常に重要です。「ステーブル」という言葉は、患者さんの状態が危機的な状況ではなく、落ち着いていることを簡潔に伝えることができるため、医療従事者の間で頻繁に使用されています。 ただし、「ステーブル」はあくまでも現時点での状態を表す言葉です。患者さんの状態は常に変化する可能性があり、「ステーブル」だからといって油断は禁物です。医療従事者は、常に患者さんの状態に注意を払い、適切な医療を提供していく必要があります。
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知っておきたい!無症状の感染者「キャリア」

「キャリア」とは、病気の原因となる微生物を体内に持っているにもかかわらず、自分自身が病気にかかっていない状態を指します。例えば、ある種の病気の原因となるウイルスや細菌が体内に侵入してきても、その人自身の免疫力によって微生物が増殖を抑え込まれ、発病しないことがあります。このような場合、一見健康に見えるにもかかわらず、体内に病原体を保有している状態となり、これを「キャリア」と呼びます。 キャリア状態の人は、自覚症状が全くないことが多いため、自分が感染源となっていることに気づかないケースがほとんどです。そのため、知らず知らずのうちに周囲の人々に病気を広げてしまう可能性があります。咳やくしゃみなどを通じて病原体が空気中に拡散したり、接触感染によって他者に感染したりする可能性もあります。 このように、無症状の感染者が存在することで、感染症の予防や対策が非常に難しくなります。感染経路を特定することが困難になるだけでなく、感染拡大を防ぐための対策も取りづらくなるためです。感染症の中には、キャリア状態の人が多い病気も存在し、このような病気の制圧には、早期診断や治療、そして予防ワクチンの普及など、様々な対策を総合的に進めていく必要があります。
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顔の印象を決める!頬骨の役割と構造

顔は様々な骨が組み合わさって構成されていますが、その中でも顔の印象を大きく左右するのが頬骨です。頬骨は眼窩の下、外側に位置し、頬に隆起を作っている骨で、左右に一つずつ、合計二つあります。 この頬骨の高さや形によって、顔立ちの印象は大きく変わります。例えば、頬骨が大きく突出している場合は、顔に立体感が生まれ、彫りの深い印象になります。西洋人に多く見られる特徴で、彫りが深く、顔立ちがはっきりとした印象を与えます。一方、頬骨があまり突出していない場合は、穏やかで優しい印象を与えます。東洋人に多く見られる特徴で、柔らかく親しみやすい印象を与えます。 このように、頬骨は顔の印象を決定づける重要な要素の一つと言えるでしょう。
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進化する医療現場: ケアミックスのススメ

- ケアミックスとはケアミックスとは、急性期治療を終えた患者や、慢性的な病気を持つ患者など、様々な状態の患者に対応できるよう、急性期病棟と慢性期病棟を同じ施設内に併設した病院のことです。従来の病院では、病気や怪我の治療といった急性期の治療が中心でした。そのため、急性期治療を終えた患者は、リハビリテーションや療養といった次の段階のケアを受けるために、他の病院や施設に移らなければなりませんでした。これは、患者にとって大きな負担となるだけでなく、転院による環境の変化が患者のストレスとなり、回復を遅らせてしまう可能性もありました。そこで、近年注目されているのがケアミックス病院です。ケアミックス病院では、急性期病棟と慢性期病棟が併設されているため、患者は同じ病院内で、急性期治療からリハビリテーション、療養まで、一貫した治療と継続的なケアを受けることができます。これは、患者の身体的・精神的負担を軽減するだけでなく、医師や看護師など、顔なじみのスタッフが継続してケアにあたることで、よりきめ細やかで質の高い医療を提供することにもつながります。さらに、ケアミックス病院では、患者一人ひとりの状態やニーズに合わせた医療・介護サービスを提供することを目的としています。そのため、病院内には、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職、そして、栄養士やソーシャルワーカーなど、様々な専門家がチームを組んで患者をサポートします。このように、ケアミックス病院は、患者中心の医療を提供することで、地域社会における医療と介護の質の向上に貢献しています。
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テニスをしない人も注意!テニス肘とは?

- テニス肘ってどんな病気?テニス肘とは、肘の外側が痛む病気で、医学的には『上腕骨外側上顆炎』と呼ばれます。肘の外側には、骨の出っ張った部分(外側上顆)があり、手首や指を伸ばす筋肉(短橈側手根伸筋など)の多くがこの部分に繋がっています。テニス肘は、これらの筋肉に負担がかかり続けることで、筋肉と骨の繋ぎ目に炎症が起き、痛みが生じると考えられています。テニスをする人に多くみられることから「テニス肘」という名前がつきましたが、実際にはテニスをする人だけでなく、誰でもなる可能性があります。例えば、パソコン作業や手作業など、手首を頻繁に使う仕事や日常生活で起こることもあります。主な症状としては、肘の外側の痛みや腫れ、握力の低下などが挙げられます。安静にしていれば痛みは治まることもありますが、悪化すると、ドアノブを回したり、コップを持ったりするなどの簡単な動作でも痛みを感じるようになります。テニス肘は、適切な治療と予防を行うことで改善する病気です。痛みが強い場合は、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
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原因不明の不調、不定愁訴とは?

- 不定愁訴とは 不定愁訴とは、頭痛、疲労感、消化不良、めまいなど、様々な体の不調を訴えるものの、病院で検査を受けても、その原因となる病気が見つからない状態を指します。 例えば、激しい頭痛に悩まされて病院を受診したとします。医師は念のため、頭部のCT検査や血液検査など、様々な角度から原因を探りますが、検査結果には異常が見られず、頭痛の原因を特定できない場合があります。このような場合に、不定愁訴と診断されることがあります。 不定愁訴は、検査で客観的な根拠が見つからないため、周囲から理解を得られにくいという側面があります。「気のせいなのではないか」「もっとしっかり検査してもらった方がいい」などと言われることもあり、患者は大きな不安やストレスを抱えがちです。 不定愁訴の原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、ストレスや不安、生活習慣の乱れ、環境の変化などが関与していると考えられています。そのため、医師は、患者から詳しく話を聞き、生活習慣やストレス状況などを把握した上で、治療方針を決定します。 治療には、薬物療法と並んで、カウンセリングや生活指導など、心と体の両面からのアプローチが重要となります。患者自身が自分の状態を理解し、医師と協力しながら治療を進めていくことが大切です。
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変形性膝関節症:老化に伴う膝の痛み

- 変形性膝関節症とは変形性膝関節症は、膝に起こる病気の1つで、関節を構成する骨の表面を覆っているクッションの役割を果たす軟骨がすり減ったり、関節が滑らかに動くために必要な関節内の液体が減ったりすることで発症します。その結果、関節に炎症が起こり、痛みが生じます。この病気は、中年以降の方に多く見られ、年齢を重ねるごとに発症する確率が高くなることから、一般的には老化現象の一つと考えられています。加齢によって軟骨の修復機能が低下したり、関節を支える筋肉が弱くなることが、発症のリスクを高めると考えられています。変形性膝関節症の主な症状は、痛みです。初期には、立ち上がるときや歩き始めるときに痛みを感じることが多く、安静にしていると痛みが治まることが多いです。しかし、症状が進行すると、安静時にも痛みが続くようになり、夜眠れないこともあります。また、関節の動きが悪くなったり、関節が変形したりすることもあります。変形性膝関節症は、日常生活に支障をきたす病気です。適切な治療や運動療法、体重管理などを行うことで、症状の進行を抑え、日常生活を快適に送ることが可能になります。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、医師に相談することをお勧めします。
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歩行を支える縁の下の力持ち:ハムストリング

- ハムストリングとは「ハムストリング」とは、太ももの裏側、お尻の下から膝の裏にかけて広がる筋肉群のことを指します。 スポーツ選手がよく口にするのを耳にすることがあるかもしれませんが、決して彼らだけが特別に使う筋肉ではありません。 私たちが普段何気なく行っている歩く、走る、階段を上るといった動作にも、このハムストリングは深く関わっています。 ハムストリングは、主に3つの筋肉によって構成されています。 まず、ハムストリングの中で最も大きく、力強い筋肉である「大腿二頭筋」です。 この筋肉は、外側を走行し、膝を曲げたり、足を外側に捻る動きを助ける働きをしています。 次に、大腿二頭筋の内側に位置する「半腱様筋」と「半膜様筋」です。 これらの筋肉は、股関節を後ろに伸ばす動きや、膝を曲げた状態から内側に足を捻る動きをサポートしています。 このように、ハムストリングは複数の筋肉が協調して働くことで、私たちの日常生活を支える様々な動作を可能にしているのです。
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知られざる扁平足の真実

- 扁平足とは?人の足の裏には、土踏まずと呼ばれる、地面から少し浮き上がったアーチ状の部分があります。この土踏まずがあることで、歩く・走るといった動作の際に、地面からの衝撃を吸収したり、バランスを保ったりすることができるのです。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんや小さな子供の場合、この土踏まずがあまりはっきりとしていません。これは、骨や筋肉が未発達であることが原因です。多くの場合、成長とともに自然と土踏まずが形成され、しっかりとしたアーチ構造を持つようになります。しかし、成長しても土踏まずがほとんど見られない、あるいは非常に低い状態である場合があります。これを扁平足と呼びます。扁平足は、必ずしも症状が出るわけではありませんが、人によっては、歩行時や運動時の足の疲れや痛み、姿勢が悪くなるなどの問題が生じることがあります。扁平足の原因は、遺伝的な要因や歩き方の癖、肥満など、様々なものが考えられます。また、加齢やケガ、病気によって後天的に扁平足になることもあります。もし、足の痛みや疲れ、姿勢の悪さなどが気になる場合は、早めに医療機関を受診し、適切なアドバイスや治療を受けるようにしましょう。
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理学療法:身体の機能回復を目指す治療法

- 理学療法とは病気、怪我、加齢などが原因で、身体に障害を持つ方がいらっしゃいます。このような方々に対して、失われた身体機能の回復を支援する治療法、それが理学療法です。理学療法では、まず患者様一人ひとりの身体の状態を詳しく評価することから始めます。具体的には、関節の動きや筋肉の強さ、歩行能力、姿勢などを細かく検査します。そして、日常生活における困りごとなどを伺いながら、患者様の状態や目標に合わせた治療計画を立てていきます。治療計画に基づき、運動療法や物理療法といった様々な手法を用いて、身体機能の回復を目指します。運動療法では、関節の動く範囲を広げたり、筋力や持久力を高めたりする運動を行います。物理療法では、温熱や電気、光線などの物理的な刺激を用いて、痛みや炎症を抑えたり、組織の修復を促進したりします。理学療法の最終的な目標は、患者様が日常生活を自分らしく送れるようにサポートすることです。歩く、立つ、座るといった基本的な動作の回復はもちろんのこと、仕事や趣味など、患者様が望む活動に再び参加できるよう、身体機能の改善だけでなく、精神的なケアにも力を入れています。
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足の指の秘密:足趾の基礎知識

- 足趾とは?私たちが普段何気なく「足の指」と呼んでいる部分は、医学用語では「足趾(そくし)」または「足指(あしゆび)」と呼ばれます。日常生活ではあまり意識することがないかもしれませんが、足趾は歩く、走る、立つといった動作において、非常に重要な役割を担っています。足趾は、親指、人差し指、中指、薬指、小指の5本で構成されています。それぞれの足趾は、複数の小さな骨(骨片)が関節でつながり、靭帯や筋肉によって支えられています。この複雑な構造によって、足趾は地面をしっかりと掴むことができ、歩行時の蹴り出しやバランス調整を可能にしています。親指は、歩行時に地面を蹴り出すために特に重要な役割を担っており、他の4本の指よりも太く、力強い構造となっています。また、他の指と協力して、地面からの情報を感知し、体のバランスを保つ役割も担っています。現代社会では、靴を履くことが当たり前になっていますが、窮屈な靴やハイヒールなど、足に負担をかける靴を履くことで、外反母趾や内反小趾、巻き爪、タコ、魚の目といった足のトラブルを引き起こす可能性があります。健康な歩行を維持し、足のトラブルを防ぐためには、足に合った靴を選び、足の指をしっかりと使って歩くことが大切です。また、足の指を動かす体操などを取り入れ、足趾の柔軟性を保つことも重要です。
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指の曲げ伸ばしの要!近位指節間関節とは

私たち人間は、日常生活において指を器用に動かして様々な動作を行っています。食事の際に箸を使ったり、文字を書いたり、パソコンを操作したりと、指先を使う動作は数え切れないほどあります。このように、指は私たちにとって欠かせない体の部位と言えるでしょう。 ところで、指をスムーズに動かすために重要な役割を果たしているのは何でしょうか?それは関節です。関節は骨と骨とをつなぐ接続部分のことで、体のある部分を曲げたり伸ばしたり回転させたりする運動を可能にしています。指には複数の関節が存在しますが、中でも特に重要なのが「近位指節間関節」と呼ばれる関節です。 この関節は、指の付け根から一つ目の関節にあたり、指を曲げ伸ばしする際に大きな可動域を担っています。例えば、物を握ったり、つまんだりする動作は、この近位指節間関節の働きによって可能になるのです。 今回の記事では、この「近位指節間関節」の構造や機能、役割について、さらに詳しく解説していきます。また、近位指節間関節で起こりうる疾患や、健康を維持するための方法についても触れていきますので、ぜひ最後までお読みください。
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生命の設計図:クロマチンの役割

私たちの体は、約37兆個もの細胞から成り立っており、それぞれの細胞には核と呼ばれる小さな部屋が存在します。この核の中に、生命の設計図とも呼ばれる遺伝情報であるDNAが収納されています。DNAは、私たちの体を作るために必要な情報がすべて記録されている、非常に重要なものです。しかし、もしもDNAがそのままの状態で核の中に存在していたら、それはまるで糸くずが絡み合ったように複雑に絡み合い、必要な情報を読み取ることができません。 そこで、DNAを整理し、収納する役割を担うのがクロマチンです。クロマチンは、ヒストンと呼ばれるタンパク質にDNAを巻き付けることで、コンパクトに収納しています。この様子は、まるで図書館の書庫のようです。図書館にある膨大な量の本を、書庫は種類やテーマごとに分類し、整理整頓することで、必要な時にすぐに取り出せるようにしています。 クロマチンは、DNAを適切に収納するだけでなく、遺伝子の発現を制御する役割も担っています。遺伝子の発現とは、DNAの情報に基づいてタンパク質が作られる過程のことです。クロマチン構造が変化することで、遺伝子の発現がオンになったりオフになったりします。これは、図書館で必要な本が読みたい時にだけ書庫から取り出せるようなもので、状況に応じて必要な情報だけを読み取れるようにしているのです。
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細胞の中の世界:細胞内寄生菌について

私たちの体の中には、たくさんの細胞が存在しています。そして、驚くべきことに、その細胞の中にまで入り込んで暮らしている細菌がいるのです。このような細菌は、細胞内寄生菌と呼ばれ、まるで細胞を自分たちの隠れ家のように利用して増殖していきます。 細胞内寄生菌の中には、細胞の外では生きていけないものもいれば、細胞の外でも増殖できるものもいます。例えば、結核菌のように、細胞の外では生きられない細菌は偏性細胞内寄生菌と呼ばれます。これらの細菌は、生きていくために必要な栄養や環境を宿主の細胞に完全に依存しているため、細胞の外では増殖することができません。 一方、サルモネラ菌のように、細胞の外でも増殖できる細菌は通性細胞内寄生菌と呼ばれます。これらの細菌は、環境に応じて細胞の中と外どちらでも生き延びることができ、宿主の細胞内に入り込んで増殖することで、免疫の攻撃から身を守ったり、栄養を効率的に摂取したりすることができます。 細胞内寄生菌は、私たち人間を含む様々な生物に感染し、時に病気を引き起こすことがあります。これらの細菌がどのようにして細胞に侵入し、細胞の中でどのようにして生き延びているのかを明らかにすることは、感染症の予防や治療法の開発に繋がると期待されています。
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パンデミック:世界規模の感染症に備える

- パンデミックとはパンデミックとは、ある感染症が国境を越えて世界規模に拡大し、多くの人が罹患する可能性がある状態を指します。これは、単に感染者数が多いということではなく、地理的に広範囲にわたって感染が拡大している点が重要です。歴史を振り返ると、人類は幾度となくパンデミックに襲われてきました。14世紀にヨーロッパで猛威を振るったペストや、1918年から1920年にかけて世界中で流行したスペイン風邪などは、パンデミックの典型的な例です。これらの感染症は、多くの人々の命を奪っただけでなく、社会や経済にも深刻な影響を与えました。近年では、2009年に発生した新型インフルエンザや、2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックと認定されました。これらのパンデミックは、私たちの生活に大きな変化をもたらし、医療体制の重要性や国際的な連携の必要性を改めて認識させることになりました。パンデミック発生時には、感染拡大を防ぐために、個人レベルでの予防対策(手洗い、うがい、マスクの着用など)に加え、社会全体で人の移動や集会の制限などの対策を講じることが重要になります。また、ワクチンや治療薬の開発も重要な課題となります。
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HEPAフィルター:その仕組みと重要性

- HEPAフィルターとはHEPAフィルターは、High Efficiency Particulate Air Filterの頭文字をとったもので、日本語では「高効率微粒子空気フィルター」といいます。その名の通り、空気中を漂う目に見えないほど小さな粒子を、高い効率で取り除くことができるフィルターです。0.3マイクロメートルという、髪の毛の太さの約300分の1ほどの大きさの微粒子に対して、99.97%以上の確率で捕集することができます。これは、1万個の微粒子が HEPAフィルターを通過しようとすると、そのうち9,997個以上がフィルターに捕らえられ、通過できるのはわずか3個以下になるということを意味します。この高い捕集性能から、HEPAフィルターは、空気清浄機をはじめ、病院の手術室や、薬品を扱うクリーンルームなど、清潔な空気環境を保つことが特に重要な場所で広く利用されています。HEPAフィルターは、非常に細かい繊維が複雑に絡み合った構造をしています。空気中の微粒子は、この繊維に衝突したり、繊維に引っかかったりすることで捕集されます。フィルターを通過する空気は、微粒子やほこりなどの汚れが取り除かれ、きれいになった状態で排出されます。HEPAフィルターは、私たちの身の回りで、清潔で安全な空気環境を守るために活躍していると言えるでしょう。
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浮腫:むくみの正体

- 浮腫とは浮腫(ふしゅ)は、体の組織と組織の間に、通常よりも多くの水分が溜まってしまう状態のことです。一般的には「むくみ」として知られており、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。指で押すと皮膚がへこみ、しばらくしてから元に戻るのが特徴です。むくみが生じる原因はさまざまです。長時間立ったままでいたり、同じ姿勢を長時間続けたりすることで、足の静脈に血液が滞り、水分が血管の外にしみ出してしまい、むくみが生じることがあります。これを一過性のむくみといい、多くの場合、危険性はありません。一方、病気のサインとしてむくみが現れることもあります。心臓、腎臓、肝臓などの病気が原因で、体内の水分調節機能がうまく働かなくなることで、むくみが生じやすくなります。このような場合は、むくみ以外にも、息切れやだるさ、尿量の減少などの症状が現れることもあります。また、女性ホルモンの影響で、月経前や妊娠中にむくみやすくなることがあります。むくみが気になる場合は、自己判断せずに、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。特に、むくみだけでなく、他の症状も伴う場合は注意が必要です。
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腫瘍とは何か?

- 腫瘍の定義私たちの体は、たくさんの細胞が集まってできています。通常、細胞は体にとって必要な時に必要なだけ分裂し、古くなったり傷ついたりすると、新しい細胞と入れ替わります。ところが、何らかの原因でこの細胞分裂のコントロールが効かなくなり、異常な増殖を繰り返す細胞が現れることがあります。これが腫瘍です。腫瘍は、正常な細胞とは異なる性質を持っています。例えば、正常な細胞は周りの細胞と調和しながら増殖しますが、腫瘍細胞は周りの組織を押しのけるようにして増殖していきます。また、正常な細胞は寿命が来ると自然に消滅しますが、腫瘍細胞は寿命が来ても消滅せずに増殖を続けます。このように、腫瘍はコントロールを失った細胞の塊であるがゆえに、周囲の組織を圧迫したり、破壊したり、正常な機能を阻害したりします。その結果、様々な症状が現れるようになります。腫瘍は大きく分けて、良性腫瘍と悪性腫瘍の二つに分類されます。良性腫瘍は増殖速度が遅く、周囲の組織への浸潤もありません。一方、悪性腫瘍は増殖速度が速く、周囲の組織に浸潤したり、他の臓器に転移したりすることがあります。一般的に、「がん」とよばれるものは悪性腫瘍のことを指します。腫瘍は早期発見、早期治療が大切です。体に異変を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
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悪性腫瘍とがん:マリグナンシーを理解する

- マリグナンシーとは医学の世界では、病気の性質や状態を表すために、専門的な用語が使われています。その中でも、「マリグナンシー」という言葉は、「悪性」を意味し、特に腫瘍の診断において重要な意味を持ちます。私たちは、「悪性腫瘍」や「がん」といった言葉をよく耳にしますが、これらは「マリグナンシー」と深く関わっています。それでは、「マリグナンシー」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか? 簡単に言うと、腫瘍が悪性の性質を持っているかどうかを表す言葉です。腫瘍には、大きく分けて「良性」と「悪性」の二つがあります。良性の腫瘍は、周囲の組織への影響が少なく、増殖速度も緩やかです。一方、悪性の腫瘍は、周囲の組織に浸潤し、破壊しながら増殖していきます。さらに、血液やリンパ液の流れに乗って、遠く離れた臓器にまで移動し、新たな腫瘍を形成することがあります。これを「転移」と呼びます。つまり、「マリグナンシー」は、腫瘍が周囲の組織に浸潤する能力や、転移する能力の高さなどを示す指標となるのです。マリグナンシーの程度が高い腫瘍は、それだけ悪性度が高く、治療が困難になる可能性も高まります。
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身近なウイルス、アデノウイルス

- アデノウイルスとは? アデノウイルスは、私たちの身の回りでよく見られるありふれたウイルスの一つです。感染すると、くしゃみや鼻水、喉の痛み、発熱など、いわゆる風邪に似た症状が現れます。 このウイルスは非常に多くの種類が存在し、現在までに51種類もの型が確認されています。さらに、それぞれの種類によって、引き起こしやすい病気や症状が異なるという特徴も持ち合わせています。例えば、ある型は風邪のような症状を引き起こしやすい一方で、別の型は結膜炎や胃腸炎といった、全く異なる病気を引き起こすことがあります。 アデノウイルスは感染力が非常に強く、幼児から大人まで、年齢に関係なく感染する可能性があります。特に、保育園や幼稚園、学校など、多くの人が集まって生活する場所では、一度感染が広がると集団感染に発展するリスクが高く、注意が必要です。感染経路としては、咳やくしゃみによる飛沫感染、ウイルスが付着した手で口や鼻を触ることによる接触感染の二つが挙げられます。感染を防ぐためには、こまめな手洗いやうがい、咳エチケットなどを心がけ、ウイルスへの曝露をできるだけ減らすことが重要です。
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遺伝子変異:そのメカニズムと影響

- 遺伝子変異とは私たち一人ひとりの体を作るための設計図、それが遺伝子です。この設計図には、体の様々な特徴や機能を決める情報が詰まっています。遺伝情報は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)と呼ばれる4種類の塩基が、まるで文字のように一列に並んで記録されています。 遺伝子変異とは、この塩基配列に変化が起こることを指します。塩基の並び順が変わったり、一部が欠失したり、あるいは余分な塩基が挿入されたりすることで、遺伝子の情報が変わってしまうのです。遺伝子変異は、さまざまな要因によって引き起こされます。例えば、細胞分裂の際にDNAの複製ミスが起こったり、紫外線や放射線などの影響を受けたりすることで、塩基配列が変化することがあります。また、親から受け継いだ遺伝子に、すでに変異が生じている場合もあります。遺伝子変異の中には、私たちの体に影響を及ぼさないものもたくさんあります。しかし、場合によっては、特定の病気のリスクを高めたり、発症時期を早めたりすることがあります。例えば、がん細胞では多くの遺伝子変異が見つかっており、これらの変異ががんの発生や悪性化に繋がると考えられています。一方で、薬の効き方や副作用の出やすさに影響を与える遺伝子変異もあり、オーダーメイド医療への応用が期待されています。
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医療現場で使われるエントラッセンとは?

病院に行くと、医師や看護師が専門用語を当然のように使っていて、何のことか分からなかったという経験はありませんか? 医療現場では、正確に情報を伝えるため、また、迅速に業務を行うために、専門用語や略語が多く用いられています。 今回は、数ある医療用語の中から、「エントラッセン」という言葉を紹介します。 「エントラッセン」は、ドイツ語で「閉じ込める」という意味を持つ言葉です。医療現場では、主に手術の際に臓器を保護するために用いられるガーゼを指します。このガーゼは、手術中に臓器が誤って傷つけられることを防いだり、出血を最小限に抑えたりするために使用されます。 「エントラッセン」は、手術部位に直接触れるため、滅菌処理が施されています。また、体内から取り残しがないよう、ガーゼの枚数を手術の前後で確認するなど、厳格な管理が行われています。 医療ドラマなどで耳にする機会もあるかもしれません。この機会に「エントラッセン」という言葉とその意味を覚えておきましょう。
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