安全な側臥位:患者さんのための基礎知識

看護技術

安全な側臥位:患者さんのための基礎知識

病院での用語を教えて

「側臥位」って、ただ横向きに寝てるってだけじゃないの?どんな点に注意が必要なの?

体の健康研究家

そうだね、一見するとただ横向きに寝ているだけのように見えるけど、実は注意すべき点がいくつかあるんだ。特に、自分で自由に動けない患者さんの場合は、褥瘡(床ずれ)や神経障害のリスクが高まるんだよ。

病院での用語を教えて

そうなんだ!じゃあ、どこが褥瘡になりやすいの?

体の健康研究家

耳、肩、腰の辺り、膝の内側と外側辺りが特に注意が必要だね。手術台の上だと、そのままだと硬いから、褥瘡予防のシートを貼ったり、クッションを敷いたりするんだよ。

側臥位とは。

横向きに寝る姿勢を「側臥位」といいます。自分で体の向きを変えられる人なら心配ありませんが、全身麻酔中や集中治療室にいる人、脳の病気で体が動かしにくい人などは、床ずれや神経の麻痺といった問題が起こる可能性があり注意が必要です。
手術室で横向きに寝てもらう場合、耳、肩、胸の横、お尻、膝の内側や外側が床ずれを起こしやすいため、あらかじめ保護フィルムを貼ったり、柔らかいパッドを敷いたりして予防します。
神経の麻痺を防ぐためには、体の向きや枕の高さを調整して、腕や足の神経が圧迫されないように気を配ります。
病棟では、手術室ほど神経質にならなくてもよいですが、脳卒中の後遺症で体が動かしにくい人の場合は、動かしにくい側を下にしないように注意が必要です。
また、呼吸を機械で助けている人の場合、気道の分泌物を出しやすくするため、横向きに寝てもらうことがあります。肺に重い病気がある人の場合は、より効果を期待して、うつぶせに近い前傾姿勢をとることもあります。

側臥位とは?

側臥位とは?

– 側臥位とは?側臥位とは、身体を横に向けて寝る姿勢のことを指します。 楽な姿勢に思えますが、患者さんの状態によっては注意が必要です。特に、全身麻酔後や集中治療室に入室中の患者さんの場合、意識が朦朧としていたり、身体を動かす力が入らなかったりすることがあります。 また、脳梗塞などで片麻痺のある患者さんの場合も、自分の意思で身体を動かすことが難しい場合があります。 このような場合、長時間同じ姿勢を続けていると、体重で圧迫される部分に負担がかかり続け、血流が悪くなってしまいます。 その結果、皮膚が赤くなったり、水ぶくれができたりする褥瘡(床ずれ)や、神経が圧迫されることによる神経障害などの合併症のリスクが高まります。そのため、患者さんが楽な姿勢だと感じていても、定期的に体位変換を行うことが重要です。 体位変換を行うことで、身体への負担を分散し、褥瘡や神経障害などの合併症を予防することができます。 また、体位変換は、呼吸を楽にしたり、誤嚥を予防したりする効果も期待できます。患者さんの状態に合わせて、適切なケアを行うように心がけましょう。

側臥位の注意点 リスク 予防策 効果
全身麻酔後や集中治療室の患者
・意識が朦朧
・身体を動かす力が入らない
脳梗塞などで片麻痺のある患者
・自分の意思で身体を動かすことが難しい
長時間同じ姿勢による体重圧迫
→血流悪化
定期的な体位変換 ・褥瘡(床ずれ)予防
・神経障害予防
・呼吸が楽になる
・誤嚥予防

手術室での注意点

手術室での注意点

手術室というと、多くの人は手術そのものに意識を向けがちですが、実は手術室の環境は患者さんにとって大きな負担となる可能性があります。その中でも特に注意が必要なのが、手術台の上で長時間同じ体勢を保つことによって起こる体の圧迫です。
手術台は一般のベッドとは異なり、硬い素材で作られています。これは手術の際に医師が患者さんの体を動かしやすくするため、そして清潔を保つために必要なことですが、反面、患者さんにとっては体に負担がかかりやすい環境でもあります。
特に、骨が出っ張っている耳、肩、腰、膝などは、体重で圧迫されてしまいやすく、血行が悪くなってしまいます。その結果、褥瘡と呼ばれる、皮膚や皮下組織が損傷した状態を引き起こすリスクが高まります。
このような事態を防ぐため、手術室では様々な対策が講じられています。例えば、圧迫を受けやすい部分には、あらかじめ柔らかな保護材を貼っておくことで、皮膚への負担を和らげます。また、体位を安定させ、特定の部位への圧力を分散させるために、専用のクッションや枕なども用いられます。
さらに、腕や足の置き方にも注意が必要です。神経が圧迫されると、しびれや麻痺といった神経障害を引き起こす可能性があります。これを防ぐため、看護師は患者さんの腕や足の角度を調整し、血流や神経の通り道を確保します。
このように、手術室では手術の成功だけでなく、患者さんの体への負担を最小限に抑えるための様々な配慮がなされています。

手術室環境の問題点 具体的な内容 対策
体の圧迫
  • 手術台は硬いため、長時間同じ体勢でいると、体重で体の圧迫が起こる
  • 特に、骨が出っ張っている部分(耳、肩、腰、膝など)は圧迫されやすく、血行が悪くなる
  • 褥瘡のリスク増加
  • 圧迫を受けやすい部分に保護材を貼る
  • 体位を安定させ、圧力を分散させるためのクッションや枕を使用する
  • 腕や足の角度を調整し、神経の圧迫を防ぐ

神経障害を防ぐには?

神経障害を防ぐには?

– 神経障害を防ぐには?長時間横向きで寝ている時、腕や足の神経が圧迫されてしまうことがあります。その結果、しびれや麻痺といった神経障害が起こることがあります。このような神経障害を防ぐためには、腕や足の位置を適切に保つことが重要です。例えば、脇の下には腕神経叢と呼ばれる神経の束が通っています。横向きで寝ている際に、この腕神経叢が体の重みで圧迫されてしまうことがあります。これを防ぐためには、脇の下に枕を入れると良いでしょう。枕を入れることで、体の重みから腕神経叢を守ることができます。また、腕の神経は、肘や手首の辺りでも圧迫されやすいです。橈骨神経、尺骨神経、正中神経といった神経は、肘や手首の辺りで体の表面近くを通っているため、注意が必要です。肘を曲げすぎたり、腕をひねったりすると、これらの神経が圧迫されてしまう可能性があります。横向きで寝る際は、肘を軽く曲げる程度にし、腕を体に沿わせるようにして寝るようにしましょう。神経障害は、一度起こってしまうと、回復するまでに時間がかかることがあります。神経障害を防ぐためには、日頃から体の位置に気を配り、神経を圧迫しないように意識することが大切です。

神経障害の原因 予防策
長時間横向きで寝ている時に、腕や足の神経が圧迫される。特に、脇の下(腕神経叢)、肘、手首の神経が圧迫されやすい。 ・脇の下に枕を入れる
・肘を軽く曲げる
・腕を体に沿わせるようにする
・体の位置に気を配り、神経を圧迫しないように意識する

病棟での注意点

病棟での注意点

病院の病棟では、手術室とは異なり、患者さんの安静と療養生活の質を高めることを重視した環境が整えられています。

褥瘡(じょくそう)は、寝たきりなどで長時間同じ体勢を続けることで、体の特定の部位に圧力がかかり続け、血行が悪くなることで発生する皮膚の損傷です。
病棟では、褥瘡を予防するために、特殊な素材で作られたマットレスやクッションなどが使用されています。これらの器具は、体の圧力を分散し、血行を良くする効果があります。そのため、手術室で行われるような、体位を細かく調整する必要性は低くなります。

しかし、脳卒中などに伴い、体の片側に麻痺(まひ)が残ってしまった患者さんの場合、注意が必要です。麻痺があると、体の感覚が鈍くなるため、褥瘡ができても痛みを感じにくく、症状が進行してしまうことがあります。
このような患者さんに対しては、褥瘡予防マットを使用するだけでなく、定期的に体の向きを変えることが重要です。特に、麻痺のある側を上にする体位をとることで、圧迫される時間を減らし、褥瘡の発生を予防することができます。

褥瘡は、一度できてしまうと治癒までに時間がかかるだけでなく、患者さんの生活の質を著しく低下させてしまう深刻な問題です。
病棟では、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、適切な予防対策を講じることが重要です。

場所 特徴 褥瘡予防 対象
手術室 患者の体位を細かく調整する 手術を受ける患者全員
病棟 患者の安静と療養生活の質を高める
体の圧力を分散するマットレスやクッションを使用
・特殊素材のマットレスやクッション
・定期的な体位変換
・安静が必要な患者全員
・特に、麻痺のある患者

呼吸の楽な姿勢

呼吸の楽な姿勢

呼吸が苦しいと感じている患者さんにとって、楽に呼吸ができる姿勢を見つけることはとても重要です。特に、人工呼吸器を使用している患者さんの場合、気道に分泌物が溜まりやすいため、注意が必要です。人工呼吸器を使用している患者さんにとって、仰向けで寝ていると、気道に分泌物が溜まりやすくなってしまい、肺炎などの合併症のリスクが高まります。 そのため、体の向きを変え、特に横向きで寝かせる側臥位をとることで、重力によって分泌物を自然に排出させやすくすることができます。また、肺の病気が重い患者さんでは、肺が圧迫されて呼吸が苦しくなることがあります。このような場合、うつ伏せに近い前傾側臥位をとることで、肺への圧迫を軽減し、呼吸が楽になることがあります。 前傾側臥位とは、うつぶせに寝た状態から、クッションなどを抱きかかえるようにして、上半身を起こした姿勢のことです。ただし、患者さんによって楽な姿勢は異なるため、患者さんの様子をよく観察し、苦しくない体位を一緒に探してあげることが大切です。 また、体位を変えた後も、呼吸状態や顔色、脈拍などを確認し、安全に配慮することが重要です。

体位 効果 対象
側臥位
(横向き)
重力により分泌物を自然に排出させやすくする 人工呼吸器を使用している患者
前傾側臥位
(うつ伏せに近い横向き)
肺への圧迫を軽減し呼吸を楽にする 肺の病気が重い患者

安全な側臥位のために

安全な側臥位のために

– 安全な側臥位のために側臥位は、仰臥位と並んで一般的な体位であり、患者さんにとって楽な姿勢とされています。しかしながら、患者さんの状態によっては、身体の一部に負担がかかり、様々なリスクが生じる可能性があります。医療従事者は、患者さん一人ひとりの状態を注意深く観察し、褥瘡や神経障害、呼吸・循環への影響などを予防するための適切な対策を講じる必要があります。側臥位を安全に保つためには、まず、体圧分散が重要です。長時間同じ体勢を続けることで、特に骨が出っ張っている部分に圧力が集中し、血流が悪くなってしまうことがあります。これを予防するために、クッションや枕などを使い、体重が一点に集中しないように工夫する必要があります。特に、足首や膝、腰、肩、耳などは注意が必要です。次に、身体の軸を意識することも大切です。頭から足先までが一直線になるように身体を支え、背骨に負担がかからないようにする必要があります。枕の高さを調節したり、抱き枕を使用したりすることで、自然な姿勢を保つことができます。また、患者さん自身も、身体に違和感を感じたら、我慢せずにすぐに看護師などに伝えることが重要です。痺れや痛みを感じたら、それは身体からの危険信号です。早期に発見し、体位を変えたり、対策を講じることで、重症化するのを防ぐことができます。医療従事者と患者さんが協力し、安全で安楽な体位を維持することで、患者さんの回復を助け、より良い療養生活を送ることができるように努めましょう。

側臥位の注意点 具体的な対策 観察ポイント
体圧分散
  • クッションや枕を使用し、体重が一点に集中しないようにする
足首、膝、腰、肩、耳など
身体の軸
  • 頭から足先まで一直線になるように身体を支える
  • 枕の高さを調節する
  • 抱き枕を使用する
背骨の負担
患者さん自身の訴え
  • 違和感を感じたら我慢せずに伝える
痺れや痛み

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