褥瘡:予防と対策について
病院での用語を教えて
先生、「DEC(デクビ)」って医学用語を聞いたんですけど、どういう意味ですか?
体の健康研究家
いい質問だね。「DEC」は「デクビタス」の略で、褥瘡(じょくそう)つまり床ずれのことだよ。
病院での用語を教えて
床ずれのことなんですね。どうして「デクビタス」って言うんですか?
体の健康研究家
もともとはドイツ語や英語から来ている言葉で、寝たきりなどで同じ体勢が続くことで、体重で圧迫された部分が血行不良を起こして傷になってしまう状態を表しているんだよ。
DEC(デクビ)とは。
『床ずれ』とは、医学や健康の分野で使われる言葉で、寝たきりなどで長時間、体重がかかった体の部分が圧迫されて、血行が悪くなり、皮膚やその下の組織が壊死してしまうことをいいます。これは、ドイツ語の『Decubitus』や英語の『decubitus』から来ており、『デクビ』とも呼ばれます。
褥瘡とは
– 褥瘡とは褥瘡は、一般的に「床ずれ」として知られる症状です。これは、長時間同じ姿勢を続けることで、特定の部位、特に骨が出っ張っている部分に体重がかかり続け、その部分の血流が悪くなることで発生します。皮膚やその下の組織が、まるで押しつぶされたように傷ついてしまうのです。褥瘡は、寝たきりの方や車椅子を利用している方など、長時間体を動かすことが難しい方に多く見られます。このような状態では、体重がかかりやすいお尻や背中、かかとなどに褥瘡ができやすくなります。また、栄養状態の悪化や、糖尿病などの病気によって、皮膚の抵抗力が弱まっている場合も、褥瘡ができやすくなるため注意が必要です。褥瘡は、初期段階では皮膚が赤くなる、または紫色に変色するなどの症状が現れます。さらに悪化すると、水ぶくれや皮膚のびらん、潰瘍などが生じ、場合によっては、そこから細菌が侵入し、感染症を引き起こすこともあります。感染症を合併すると、発熱や悪寒、患部の痛みや腫れなどの症状が現れ、重症化すると命に関わることもあります。褥瘡を予防するためには、体位変換をこまめに行い、圧迫されている部分を解放することが重要です。また、栄養バランスの取れた食事を心がけ、皮膚を清潔に保つことも大切です。褥瘡が疑われる症状が見られた場合は、自己判断せずに、速やかに医師に相談しましょう。
項目 | 詳細 |
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定義 | 長時間同じ姿勢を続けることで、特定の部位に体重がかかり続け、血流が悪くなることで皮膚や組織が傷つく症状 |
別名 | 床ずれ |
発生しやすい人 | 寝たきりの方、車椅子利用者など、長時間体を動かすことが難しい人 |
好発部位 | お尻、背中、かかとなど、体重がかかりやすい部位 |
リスク要因 |
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初期症状 | 皮膚の赤み、紫色への変色 |
重症化時の症状 |
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予防策 |
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褥瘡の要因
褥瘡は、寝たきり状態などにより長時間同じ姿勢を続けることで、体重によって身体の一部が圧迫されることで発症する皮膚の損傷です。この褥瘡の発生には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。
最も大きな要因は、皮膚への持続的な圧迫による血流の不足です。身体の一部が長時間圧迫されると、その部分への血流が阻害されます。血液は、酸素や栄養を組織に運び、老廃物を運び出す役割を担っているため、血流が不足すると、皮膚やその下の組織が栄養不足に陥り、損傷を受けやすくなります。特に、骨が出っ張っている部分や関節の周りなどは、皮膚が薄く、骨と皮膚の間にクッションとなる組織が少ないため、圧迫の影響を受けやすく、褥瘡が発生しやすい場所と言えます。
また、圧迫に加えて、皮膚への摩擦やずれも褥瘡の原因となります。ベッド上で身体を動かす際や、シーツと体が擦れることによって、皮膚に負担がかかり、皮膚の表面が傷ついたり、剥がれたりすることがあります。このような小さな傷が、褥瘡の発生につながることもあります。
さらに、褥瘡は、身体的な要因だけでなく、栄養状態も深く関わってきます。栄養不良や脱水症状になると、皮膚の抵抗力が低下し、外部からの刺激に対して弱くなるため、褥瘡のリスクが高まります。 バランスの取れた食事や十分な水分摂取は、健康な皮膚を保つためにも重要です。
褥瘡の要因 | 詳細 |
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持続的な圧迫による血流不足 | – 体重で身体の一部が圧迫されることで血流が阻害 – 組織への酸素・栄養供給が不足し、老廃物が蓄積 – 骨が出っ張っている部分や関節周りなどは特に褥瘡が発生しやすい |
皮膚への摩擦やずれ | – ベッド上での体の動きやシーツとの摩擦で皮膚に負担がかかる – 皮膚の表面が傷ついたり剥がれたりすることで褥瘡が発生 |
栄養状態 | – 栄養不良や脱水症状は皮膚の抵抗力を低下させる – バランスの取れた食事と十分な水分摂取が重要 |
褥瘡の段階
– 褥瘡の段階褥瘡は、皮膚への圧迫が原因で血行が悪くなり、皮膚や皮下組織に障害が起こる症状です。その重症度によって段階的に分類され、段階が進むほど治療が困難で長期間を要する傾向があります。早期発見・早期治療が極めて重要です。褥瘡の段階は大きく分けて4段階に分類されます。-第1段階-では、皮膚に赤みが見られるものの、皮膚は傷ついていません。指で押すと赤みは一時的に消えますが、離すと再び赤くなります。痛みやかゆみなどの自覚症状が現れることもあります。-第2段階-では、皮膚が部分的に損傷し、表皮もしくは真皮までの浅い潰瘍が形成されます。水ぶくれや皮膚の剥離が見られることもあります。痛みはさらに強くなり、患部を触ると熱感がある場合もあります。-第3段階-になると、皮膚の損傷がさらに深くなり、皮下組織まで達します。皮膚の下に膿が溜まってしまうこともあり、感染症のリスクが高まります。深いクレーター状の傷になり、悪臭を伴うこともあります。-第4段階-では、皮膚の損傷が筋肉や骨にまで達します。骨や腱が露出することもあります。感染症のリスクが非常に高く、敗血症などの生命に関わる合併症を引き起こす可能性もあります。褥瘡は、適切な予防と早期の治療によって悪化を防ぐことができます。日頃から皮膚の状態をよく観察し、少しでも異常を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
褥瘡の段階 | 症状 |
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第1段階 | 皮膚の赤み(指で押すと一時的に消える)、痛みやかゆみ |
第2段階 | 表皮または真皮までの浅い潰瘍、水ぶくれ、皮膚の剥離、痛み、熱感 |
第3段階 | 皮下組織までの深い損傷、膿の蓄積、感染症リスクの増加、深いクレーター状の傷、悪臭 |
第4段階 | 筋肉や骨にまで達する損傷、骨や腱の露出、感染症リスクの増大、敗血症などの合併症の可能性 |
褥瘡の予防
寝たきりの状態が続くと、体重で圧迫されることで血行が悪くなり、皮膚や皮下組織に障害が起こることがあります。これが褥瘡であり、重症化すると命に関わることもあるため、予防が非常に重要です。
褥瘡の予防において最も大切なのは、こまめな体位変換です。同じ体勢を続けることで、おしりや背中など特定の部位に圧力が集中し、血行不良を引き起こします。
少なくとも2時間ごとに体位を変え、圧力が分散されるようにしましょう。横向きの姿勢だけでなく、背中にクッションなどをあてて30度程度傾けることで、より効果的に圧力を分散できます。
また、体の負担を軽減するために、クッションやマットレスを適切に使用することも大切です。体圧を分散し、体の沈み込みを軽減することで、褥瘡のリスクを減らすことができます。
皮膚の状態にも注意が必要です。皮膚を清潔に保ち、乾燥を防ぐために保湿クリームなどを塗布しましょう。乾燥した皮膚は、わずかな摩擦でも傷つきやすく、褥瘡の原因となります。
さらに、バランスの取れた食事を摂り、十分な水分を摂取することで、皮膚の健康を維持し、褥瘡を予防することができます。栄養状態が悪いと、皮膚の再生能力が低下し、褥瘡のリスクが高まるため注意が必要です。
項目 | 内容 |
---|---|
体位変換 | ・2時間おきに体位を変える ・横向きだけでなく、背中を30度程度傾ける |
体の負担軽減 | ・クッションやマットレスを適切に使用し、体圧を分散 |
スキンケア | ・皮膚を清潔に保つ ・保湿クリームなどで乾燥を防ぐ |
栄養と水分 | ・バランスの取れた食事を摂る ・十分な水分を摂取する |
褥瘡の治療
– 褥瘡の治療褥瘡の治療は、その深さや大きさ、患部の状態、そして患者さんの持病や体力などによって一人ひとり異なります。初期の浅い褥瘡であれば、傷を清潔に保ち、乾燥を防ぎ、皮膚への圧迫や摩擦を取り除くことで、自然に治っていくことが期待できます。具体的には、傷を水道水で洗い流し、清潔なガーゼで優しく水分を拭き取り、傷に合った被覆材(ドレッシング材)で保護します。褥瘡を悪化させる原因となる、体やシーツへの圧迫や摩擦を軽減するために、体位変換をこまめに行ったり、クッションや体圧分散マットレスを使用したりすることも重要です。しかし、褥瘡が進行し、皮膚の深い部分まで達している場合には、自然治癒は難しく、外科的な治療が必要となることがあります。外科的治療では、壊死した組織を取り除き(デブリードマン)、清潔な状態にした上で、皮膚移植などを行い、傷を閉鎖します。褥瘡の治療は、医師や看護師だけでなく、栄養状態の改善に取り組む栄養士、リハビリテーションを担当する理学療法士など、多くの専門家が連携して行うことが重要です。また、患者さん自身も、褥瘡について正しく理解し、積極的に予防や治療に参加することが、より良い治療効果を得るために大切です。
褥瘡の段階 | 治療法 | 具体的な方法 |
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初期の浅い褥瘡 | 保存的治療 (自然治癒の促進) |
– 傷の洗浄 – 保湿 – 被覆材の保護 – 体圧分散、摩擦軽減 |
進行した深い褥瘡 | 外科的治療 | – デブリードマン – 皮膚移植など |
褥瘡の治療には、医師、看護師、栄養士、理学療法士など多くの専門家、そして患者自身の協力が不可欠です。