褥瘡ケアの新しい評価尺度:DESIGN-R®

看護技術

褥瘡ケアの新しい評価尺度:DESIGN-R®

病院での用語を教えて

先生、「DESIGN-R®」って、何のことですか?

体の健康研究家

良い質問だね。「DESIGN-R®」は、簡単に言うと、寝たきりなどで動けない人に出来やすい「床ずれ」の危険性を知るための道具のことだよ。

病院での用語を教えて

道具?どんな道具ですか?

体の健康研究家

実際目に見える道具じゃなくて、観察項目をチェックして点数をつけることで、床ずれになる危険性を評価する表のようなものだよ。これを利用することで、床ずれになる危険性を早く見つけて、予防するのに役立つんだ。

DESIGN-R®とは。

「DESIGN-R®(でざいんあーる)」とは、医療や健康に関わる言葉の一つで、床ずれを評価するための道具です。2008年に、床ずれについて研究している日本の学会から発表されました。

褥瘡とは

褥瘡とは

– 褥瘡とは

褥瘡は、長時間同じ姿勢を続けることで、体重によって特定の部位の皮膚が圧迫され、血行が悪くなることで発生する皮膚の損傷です。

寝たきりの状態や車椅子を長時間利用するなど、身体の向きを変えることが難しい方に多く見られます。

褥瘡は、骨が出っ張っている部分、例えば、仙骨(おしりの部分)、かかと、くるぶし、ひじ、後頭部などにできやすいです。初期症状としては、皮膚が赤くなる、腫れる、熱を持つ、痛みがあるなどが挙げられます。

褥瘡は、放置すると皮膚の深い部分まで損傷が及び、潰瘍になったり、感染症を引き起こしたりする可能性があります。

そのため、褥瘡は早期発見と適切な予防、そして早期の治療開始が非常に重要です。

褥瘡を予防するためには、2時間おきなど、定期的に体位を変えることが重要です。また、皮膚を清潔に保ち、乾燥を防ぐことも大切です。栄養状態を良好に保つことも、褥瘡の予防と治療には重要です。

褥瘡が疑われる場合は、自己判断せずに、早めに医師の診察を受けてください。

項目 内容
定義 長時間同じ姿勢を続けることで、体重によって特定の部位の皮膚が圧迫され、血行が悪くなることで発生する皮膚の損傷
リスクの高い人 寝たきりの状態や車椅子を長時間利用するなど、身体の向きを変えることが難しい方
好発部位 骨が出っ張っている部分(例:仙骨、かかと、くるぶし、ひじ、後頭部など)
初期症状 皮膚の赤み、腫れ、熱、痛みなど
合併症 潰瘍、感染症
予防策
  • 定期的な体位変換(2時間おきなど)
  • 皮膚の清潔保持と乾燥防止
  • 良好な栄養状態の維持

DESIGN-R®の登場

DESIGN-R®の登場

– DESIGN-R®の登場2008年、日本褥瘡学会は、褥瘡ケアの質向上を目指し、新たな評価ツール「DESIGN-R®」を提唱しました。このツールは、従来の方法では困難であった、褥瘡発生のリスクや進行状態を、より客観的に評価することを目的としています。DESIGN-R®は、その名称に「デザイン」という言葉を含んでいるように、単なる評価にとどまらず、褥瘡ケアの計画(デザイン)を立て、実践していくための羅針盤としての役割を担っています。 従来の評価方法では、観察者の主観に頼る部分が大きく、評価結果にばらつきが生じやすいという問題点がありました。しかし、DESIGN-R®では、皮膚の赤みや腫れ、水ぶくれの有無、傷の深さといった項目を、詳細な基準に基づいて数値化することで、より客観的で再現性の高い評価を可能にしました。このツールは、褥瘡の予防と治療の両面において効果を発揮します。リスク評価によって、褥瘡発生の可能性が高い患者さんを早期に発見し、適切な予防策を講じることができます。また、褥瘡がすでに発生している場合には、状態を正確に把握することで、より効果的な治療法を選択することができます。DESIGN-R®の導入は、日本の褥瘡ケアの質向上に大きく貢献しており、多くの医療機関で活用されています。今後も、このツールがより多くの患者さんの健康と生活の質向上に役立つことが期待されます。

項目 内容
ツール名 DESIGN-R®
提唱年 2008年
提唱者 日本褥瘡学会
目的 褥瘡ケアの質向上、褥瘡発生のリスクや進行状態の客観的な評価
特徴 – 褥瘡ケアの計画(デザイン)を立て、実践していくための羅針盤としての役割
– 皮膚の状態を詳細な基準に基づいて数値化することで、客観的で再現性の高い評価が可能
効果 – 褥瘡の予防と治療の両面において効果を発揮
– リスク評価による褥瘡発生の可能性が高い患者さんの早期発見
– 適切な予防策の策定
– 褥瘡発生時の状態把握による効果的な治療法の選択
現状 多くの医療機関で活用

DESIGN-R®の特徴

DESIGN-R®の特徴

– DESIGN-R®の特徴DESIGN-R®は、従来の褥瘡評価方法とは異なる点が多くあります。従来の方法では、褥瘡の大きさや深さを測ることで重症度を判断していました。しかし、DESIGN-R®では、皮膚の色や状態、そこから出ている液体の量など、より詳細な項目を評価します。例えば、皮膚が赤くなっているだけの状態でも、触った時に色が消えない場合は、褥瘡のリスクが高いと判断します。さらに、DESIGN-R®は、患者さん一人ひとりの状態を考慮している点も特徴です。年齢や栄養状態、糖尿病などの基礎疾患は、褥瘡の発症や治癒に大きく影響します。DESIGN-R®では、これらの要素も評価項目に含めることで、より正確に褥瘡のリスクを予測します。このように、DESIGN-R®は、褥瘡の状態を細かく評価し、患者さんの状態を総合的に判断することで、一人ひとりに最適なケアプランの作成を可能にします。これは、褥瘡の予防と治療の質を向上させるために非常に重要な要素と言えるでしょう。

項目 従来の褥瘡評価方法 DESIGN-R®
評価項目 褥瘡の大きさや深さ 皮膚の色、状態、滲出液の量など詳細な項目
患者の年齢、栄養状態、基礎疾患
特徴 皮膚の色が消えないなど、褥瘡リスクを早期に判断
患者一人ひとりの状態を考慮した評価
メリット より正確な褥瘡リスクの予測
一人ひとりに最適なケアプランの作成が可能

DESIGN-R®の使い方

DESIGN-R®の使い方

– DESIGN-R®の使い方DESIGN-R®は、医療現場で働く方が誰でも簡単に使えるように工夫された褥瘡の重症度やリスクを評価するためのツールです。このツールは、複雑な専門用語をなるべく使わず、分かりやすい項目と基準を設定している点が特徴です。褥瘡の評価を行うには、まず患者さんを注意深く観察することから始めます。観察に基づいて、DESIGN-R®に記載されている皮膚の状態、感覚の有無、栄養状態、活動レベル、可動性、失禁の有無といった項目を一つずつ確認していきます。そして、それぞれの項目に対して、患者の状態に最も近い基準を選択し、点数化していきます。全ての項目の点数化が終わったら、その合計点に応じて、褥瘡の重症度やリスクレベルを判定します。点数が高いほど、褥瘡のリスクが高い、あるいは重症であると判断されます。DESIGN-R®を用いて評価した結果は、褥瘡を予防するための具体的な対策を立てる際の重要な判断材料となります。例えば、体位変換の頻度や栄養管理の必要性、使用するマットレスの種類などを検討する際に役立ちます。また、評価結果を記録しておくことで、他の医療従事者と褥瘡に関する情報を共有することにも役立ちます。これは、患者さんに対して、適切で質の高い医療を提供し続けるために非常に大切なことです。DESIGN-R®は、医療現場における褥瘡の予防と治療に大きく貢献する、シンプルながらも効果的な評価ツールと言えるでしょう。

項目 内容
ツール名 DESIGN-R®
目的 褥瘡の重症度やリスクを評価する
特徴 医療現場で働く方が誰でも簡単に使えるように工夫されたツール
複雑な専門用語をなるべく使わず、分かりやすい項目と基準を設定
評価項目 皮膚の状態、感覚の有無、栄養状態、活動レベル、可動性、失禁の有無
使用方法 各項目について患者の状態に最も近い基準を選択し、点数化
合計点に応じて、褥瘡の重症度やリスクレベルを判定
活用方法 褥瘡予防対策(体位変換の頻度、栄養管理の必要性、使用するマットレスの種類など)
他の医療従事者と褥瘡に関する情報を共有

DESIGN-R®の普及と今後の展望

DESIGN-R®の普及と今後の展望

褥瘡の予防と治療に効果的なDESIGN-R®は、その有用性が認められ、多くの医療機関で採用されるようになりました。
病院や診療所における導入事例が増加している背景には、DESIGN-R®がもたらす様々な利点があります。

まず、DESIGN-R®は、褥瘡の発生リスクを評価するための明確な基準を設けています。
これにより、医療従事者間で統一した評価が可能となり、より客観的な判断に基づいたケアを提供することができます。
また、DESIGN-R®は、褥瘡の段階や患者さんの状態に合わせた具体的なケアプランを提示しています。
そのため、経験の浅い看護師でも質の高いケアを提供することが可能になります。
さらに、DESIGN-R®は、記録や報告のための書類作成を簡素化できるという利点もあります。
これは、医療従事者の負担軽減に繋がり、より多くの時間を患者さんのケアに充てることができます。

DESIGN-R®の普及活動は、日本褥瘡学会などの学術団体も積極的に取り組んでいます。
学会が主催する研修会やセミナーには、多くの医療従事者が参加し、DESIGN-R®の使用方法や評価方法などを習得しています。

今後、DESIGN-R®がさらに普及していくことで、日本の褥瘡ケアの質は飛躍的に向上すると期待されています。
統一された基準に基づいた質の高いケアが提供されるようになることで、褥瘡の発生率や重症化率の低下、そして、患者さんの苦痛の軽減に繋がる可能性があります。
また、医療従事者の負担軽減や医療費削減の効果も期待されます。
DESIGN-R®は、日本の褥瘡ケアの未来を明るく照らす希望と言えるでしょう。

項目 内容
DESIGN-R®の利点
  • 褥瘡発生リスク評価の明確な基準
  • 褥瘡の段階・患者状態に合わせた具体的なケアプラン提示
  • 記録・報告書類作成の簡素化
普及活動 日本褥瘡学会などが研修会やセミナーを開催
今後の展望
  • 褥瘡ケアの質向上
  • 褥瘡発生率・重症化率の低下
  • 患者さんの苦痛軽減
  • 医療従事者の負担軽減
  • 医療費削減

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