患者さんの生活の質を高める:WOCナースの役割
病院での用語を教えて
先生、WOCナースって、どんな仕事をする看護師さんですか?
体の健康研究家
WOCナースは、傷や、人工肛門や人工膀胱、そして失禁のケアが専門の看護師さんだよ。褥瘡(じょくそう)って聞いたことあるかな?
病院での用語を教えて
褥瘡は、寝たきりだとできてしまう、お尻などの傷ですよね。WOCナースは、そういった傷の手当てをするんですか?
体の健康研究家
そうだよ。褥瘡の予防や治療、そして人工肛門や人工膀胱、失禁に悩む患者さんのケアもするんだ。専門知識と技術を持った、頼りになる看護師さんなんだよ。
WOCナースとは。
「WOCナース」は、日本看護協会が認める、皮膚や排泄のケアに関する資格を持った看護師さんのことです。具体的には、床ずれなどの傷の手当て、人工肛門や人工膀胱といったストーマの管理、そしておしっこをもらす失禁といった排泄のケアにおいて、専門的な知識と技術を持っています。患者さん自身やその家族が自分でケアできるようにサポートをすることも大切な仕事の1つです。この資格制度は1995年に作られ、翌年から日本看護協会が養成を始めました。そして1997年には、初めてこの資格を持った看護師さんが誕生しました。2018年には約2500人にまで増え、病院で働く人が多いですが、訪問看護の現場など活躍の場は広がりを見せています。
WOCナースってどんな看護師?
近年、看護の現場では、専門性の高い知識や技術を持った看護師が求められています。その中でも、傷や人工肛門・人工膀胱、排泄のケアに特化した看護師を知っていますか?それが、「WOCナース」です。
WOCは、「創傷(Wound)」「ストーマ(Ostomy)」「失禁(Continence)」のそれぞれの頭文字をとった言葉です。つまり、WOCナースとは、傷の手当て、人工肛門や人工膀胱の管理、そして患者さんが抱える排泄の悩みに対して専門的なケアを提供する看護師のことを指します。
WOCナースになるためには、日本看護協会が実施する厳しい試験に合格する必要があります。認定資格を取得したWOCナースは、患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切なケアを提供し、日常生活の向上をサポートするという重要な役割を担っています。
例えば、手術後や事故などで体に傷を負った患者さんに対して、WOCナースは傷の状態を見極め、適切な処置や消毒を行います。また、人工肛門や人工膀胱を造設した患者さんに対しては、使用方法の指導や生活上のアドバイスを行い、患者さんが安心して日常生活を送れるように寄り添います。さらに、排泄に悩みを抱える患者さんに対しては、原因を突き止め、適切なケアやリハビリテーションを提供することで、症状の改善を目指します。
このように、WOCナースは、専門的な知識と技術を駆使して、患者さんの生活の質の向上に大きく貢献しています。
専門分野 | 具体的なケア内容 |
---|---|
創傷(Wound)ケア | ・傷の状態を見極め、適切な処置や消毒を行う |
ストーマ(Ostomy)ケア | ・人工肛門や人工膀胱の使用方法の指導や生活上のアドバイスを行う |
失禁(Continence)ケア | ・排泄の悩みに対する原因の究明、適切なケアやリハビリテーションの提供 |
専門分野は傷、ストーマ、失禁
傷、ストーマ、失禁という三つの分野は、患者さんにとって身体的にも精神的にも大きな負担となる症状を抱えています。これらの症状を専門的にケアするのが、傷・ストーマ・失禁看護認定看護師、通称WOCナースです。
WOCナースが専門とする「創傷ケア」は、床ずれや手術後、やけどなど、様々な原因で生じる傷の治療や予防を行います。適切な処置やケアは、傷の治りを早めたり、感染症を防いだりするだけでなく、患者さんの痛みを和らげることにも繋がります。具体的には、傷の状態に合わせた洗浄方法や薬の選択、消毒、被覆材の選択などを行います。また、患者さん自身や家族に対して、自宅での傷のケア方法についても指導します。
「ストーマケア」は、がんや炎症性腸疾患などの手術によって、お腹に人工的な排泄口(ストーマ)を作った患者さんへのケアを行います。ストーマは、患者さんにとって身体的にも精神的にも大きな負担となるため、ストーマの管理方法や生活上の注意点などを指導し、患者さんが日常生活をスムーズに送れるように支援します。具体的には、ストーマ装具の選択や交換方法、皮膚トラブルの予防や対処法、食事や排泄に関する相談など、多岐にわたるサポートを提供します。
「失禁ケア」は、尿や便が漏れてしまう失禁の症状を持つ患者さんへのケアです。加齢や病気、出産などが原因で起こる失禁は、患者さんの生活の質を著しく低下させる可能性があります。WOCナースは、失禁の原因を特定し、適切なケアやリハビリテーション、生活指導などを通して、患者さんの尊厳を守りながら症状の改善を目指します。具体的には、骨盤底筋体操の指導や膀胱訓練、排泄習慣の改善、生活習慣の改善、薬物療法の調整などを行います。
このように、WOCナースは、専門的な知識と技術に基づいたケアを提供することで、患者さんのQOL(生活の質)の向上に貢献しています。
分野 | ケア内容 | 具体的なケア内容 |
---|---|---|
創傷ケア | 床ずれ、手術後、やけどなど、様々な原因で生じる傷の治療や予防。傷の治癒促進、感染症予防、疼痛緩和を目指す。 | 傷の状態に合わせた洗浄方法や薬の選択、消毒、被覆材の選択、患者さん自身や家族への自宅での傷のケア方法の指導 |
ストーマケア | がんや炎症性腸疾患などの手術によって、お腹に人工的な排泄口(ストーマ)を作った患者さんへのケア。ストーマの管理方法や生活上の注意点などを指導し、日常生活をスムーズに送れるように支援する。 | ストーマ装具の選択や交換方法、皮膚トラブルの予防や対処法、食事や排泄に関する相談 |
失禁ケア | 尿や便が漏れてしまう失禁の症状を持つ患者さんへのケア。加齢や病気、出産などが原因で起こる失禁に対し、尊厳を守りながら症状の改善を目指す。 | 骨盤底筋体操の指導や膀胱訓練、排泄習慣の改善、生活習慣の改善、薬物療法の調整 |
患者さんと家族の支えになる存在
患者さんとそのご家族にとって、病気による体の変化は大きな負担となります。傷や人工肛門、排便のコントロールが難しくなるといった症状は、身体的な苦痛だけでなく、精神的な苦痛ももたらします。そのような状況下で、患者さんとご家族を支える存在こそが、創傷・オストミー・失禁看護認定看護師、私たちです。
私たちは、専門性の高いケアを提供するだけでなく、患者さんの心の支えとなるよう努めています。患者さんの不安や悩みに寄り添い、丁寧に説明したり、相談に応じたりすることで、安心して治療やケアを受けていただけるようにサポートします。
また、患者さんを支えるご家族に対しても、症状やケアに関する正しい知識を提供し、一緒に患者さんを支えていける体制作りを支援します。患者さんとご家族が安心して治療やケアに臨み、その後の人生を前向きに歩んでいけるように、私たちは、専門知識と温かい心を持って、患者さんとご家族に寄り添っていきます。
役割 | 対象 | 具体的な支援内容 |
---|---|---|
創傷・オストミー・失禁看護認定看護師 | 患者 | – 専門性の高いケア – 精神的なサポート(不安や悩みに寄り添う、丁寧な説明、相談対応) |
家族 | – 症状やケアに関する正しい知識の提供 – 患者を支える体制作りを支援 |
チーム医療の中心的な役割
医療現場において、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供するために、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士など、多様な専門性を持つ医療従事者がそれぞれの専門知識や技術を生かし、互いに連携・協働しながら治療にあたる、『チーム医療』が重要視されています。
その中でも、創傷ケアを専門とするWOCナースは、チーム医療において中心的な役割を担っています。例えば、床ずれ(褥瘡)のケアを例に考えてみましょう。床ずれは、寝たきりなどによって長時間同じ体勢を続けることで、体重で血管が圧迫され、皮膚やその下の組織に十分な血液が行き渡らなくなることで起こります。
WOCナースは、医師の診断のもと、患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切な傷の処置方法を選択します。そして、栄養状態の改善のために栄養士と連携し、患者さんの体力を高めるための食事内容や摂取方法を検討します。さらに、理学療法士と協力して、患者さんの身体の動きの制限を和らげ、体位変換を定期的に行うことで、褥瘡の発生を予防したり、悪化を防いだりします。
このように、WOCナースは、専門的な知識や技術を生かして、医師、薬剤師、栄養士、理学療法士など、多職種と連携しながら、患者さんに最適なケアを提供することで、患者さんの生活の質の向上に大きく貢献しています。
専門職 | 連携内容 | 目的 |
---|---|---|
医師 | – 褥瘡の診断 – 処置方法の決定 |
– 適切な医療行為の実施 |
栄養士 | – 栄養状態の評価 – 食事内容・摂取方法の検討 |
– 栄養状態の改善 – 体力向上 |
理学療法士 | – 身体の動きの制限の緩和 – 体位変換の実施 |
– 褥瘡の発生予防 – 褥瘡の悪化防止 |
WOCナースという選択肢
近年、看護師の活躍の場は病院だけでなく、在宅医療や介護施設など、多岐に渡りつつあります。その中でも、専門性の高い看護師として注目されているのが、WOCナースです。
WOCナースは、創傷、ストーマ、尿路変 diversions など、身体に複雑なケアが必要な患者さんに対して、専門的な知識と技術を用いて、その人らしい生活を送れるようサポートする役割を担います。
WOCナースの仕事の大きな魅力は、患者さんの生活の質向上に直接的に関われることです。慢性的な傷やストーマを抱える患者さんにとって、WOCナースは、適切なケアを提供することで、痛みや不快感を和らげ、日常生活を取り戻せるよう支援します。患者さんから直接感謝の言葉を伝えられる機会も多く、看護師としてのやりがいと喜びを強く感じられる仕事と言えるでしょう。
また、WOCナースは常に新しい知識や技術を学び続け、自己成長を実感できることも魅力の一つです。学会や研修会への参加など、学ぶ機会が豊富にあり、スキルアップを目指せる環境があります。
さらに、近年ではWOCナースの需要はますます高まっており、病院だけでなく、訪問看護ステーションや介護施設など、活躍の場は広がっています。患者さんの人生に寄り添い、その人らしい生活を支えたいという強い思いを持った看護師にとって、WOCナースは大きな可能性を秘めた選択肢と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
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定義 | 創傷、ストーマ、尿路 diversions など、身体に複雑なケアが必要な患者さんに対して、専門的な知識と技術を用いて、その人らしい生活を送れるようサポートする看護師 |
魅力 |
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対象となる人 | 患者さんの人生に寄り添い、その人らしい生活を支えたいという強い思いを持った看護師 |