ありふれた病態、腹痛
病院での用語を教えて
先生、『腹痛』って、お腹のどの辺が痛くても腹痛って言うんですか?
体の健康研究家
いい質問だね!実は、おへその上辺りを『心窩部(しんかぶ)』、その下辺りを『臍部(さいぶ)』、おへその両脇を『側腹部(そくふくぶ)』、おへその下を『下腹部(かふくぶ)』って言うんだけど、医学的にはこれらのどこが痛くても『腹痛』って言うんだ。
病院での用語を教えて
へえー!お腹だけでも、そんなにいろんな言い方があるんですね。でも、場所によって病気も違うんじゃないんですか?
体の健康研究家
その通り!痛む場所によって、疑われる病気は違うことが多いんだ。だから、お医者さんに診てもらうときは、なるべく詳しく痛む場所や症状を伝えることが大切なんだよ。
腹痛とは。
お腹の痛みを指す言葉に「腹痛」があります。これは、お腹に感じるあらゆる痛みをひっくるめて表す言葉です。
腹痛とは
– 腹痛とはお腹周辺の痛みを総じて腹痛と呼びます。みぞおちから下の骨盤にかけての広い範囲で感じることがあり、その症状は人によって様々です。鋭く刺すような痛み、鈍く重い痛み、締め付けられるような痛みなど、感じ方は実に多種多様です。腹痛は非常にありふれた症状であり、ほとんどの人が経験するものです。食あたりや便秘、生理痛など、比較的軽度の原因で起こることも少なくありません。しかし、その一方で、腹痛は命に関わるような重篤な病気が隠れているサインである可能性もあるため、注意が必要です。痛みの種類や程度、痛む場所、持続時間、他に症状があるかなどを注意深く観察することで、原因を推測する手がかりになります。例えば、短時間で治まる一時的な痛みである場合、日常生活におけるストレスや疲労、軽い消化不良などが考えられます。反対に、激しい痛みが長く続く場合や、発熱、吐き気、嘔吐、下痢、血便などの症状を伴う場合は、緊急を要する病気が隠れている可能性があります。自己判断は危険ですので、少しでも不安に感じたら、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
腹痛の特徴 | 考えられる原因 | 対応 |
---|---|---|
鋭く刺すような痛み、鈍く重い痛み、締め付けられるような痛みなど様々 | 食あたり、便秘、生理痛、命に関わる病気など | 痛みの種類や程度、痛む場所、持続時間、他に症状があるかなどを観察 |
短時間で治まる一時的な痛み | 日常生活におけるストレスや疲労、軽い消化不良など | 様子見 |
激しい痛みが長く続く、発熱、吐き気、嘔吐、下痢、血便などの症状を伴う | 緊急を要する病気の可能性 | 医療機関を受診 |
腹痛の原因
お腹の痛みは、私たちが日常で経験するよくある症状の一つですが、その原因は実に様々です。大きく分けて、お腹の中の臓器に原因がある場合、お腹の外側の筋肉や神経などに原因がある場合、そして心の問題が原因で起こる場合があります。
まず、お腹の中の臓器が原因で痛む場合、胃腸炎や胃潰瘍、胆石症、虫垂炎など、様々な病気が考えられます。胃腸炎では、吐き気や下痢を伴うことが多く、胃潰瘍では、空腹時にみぞおちのあたりが痛むのが特徴です。胆石症では、脂肪分の多い食事を摂った後に、右の肋骨の下あたりに激しい痛みが生じることがあります。また、虫垂炎では、お腹の右下が痛むのが特徴ですが、初期はみぞおち周辺の痛みや吐き気などの症状が現れる場合もあり、注意が必要です。
次に、お腹の外側の筋肉や神経に原因がある場合としては、筋肉の炎症や神経痛、帯状疱疹の後遺症である神経痛などが挙げられます。また、ストレスや不安、緊張などの心の問題が原因で、お腹が痛むこともあります。
このように腹痛の原因は多岐に渡るため、自己判断は危険です。痛みの程度や持続時間、他に症状がないかなどをよく観察し、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。
お腹の痛みの原因 | 具体的な病気・状態 | 症状の特徴 |
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お腹の中の臓器 |
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お腹の外側の筋肉や神経 |
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心の問題 |
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腹痛の診断
お腹の痛みは、誰しもが経験するありふれた症状ですが、その原因は多岐にわたります。そのため、正確な診断には、医師による丁寧な問診が何よりも重要になります。
まず、医師は痛みがいつから始まったのか、どのあたりがどのように痛むのかを詳しく尋ねます。痛みが始まった時期や経過、痛みの強さや持続時間、痛みの性質(鋭い痛み、鈍い痛み、締め付けられるような痛みなど)は、原因を推測する上で重要な手がかりとなります。また、痛む場所も重要です。おへその上、おへその下、右下腹部、左下腹部など、痛む場所によって疑われる病気が異なります。
さらに、腹痛以外の症状についても詳しく確認します。発熱、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、血便、体重減少などの有無は、診断の手がかりとなります。これらの情報は、腹痛の原因が消化器系にあるのか、他の臓器や全身性の病気によるものなのかを判断する上で重要です。
問診に加えて、医師は身体診察を行います。お腹を触診することで、痛みの程度や腫れ、圧痛などを確認します。聴診器を用いて腸の音を聴いたり、皮膚や粘膜の状態を観察したりすることもあります。
これらの情報をもとに、さらに詳しい検査が必要かどうかを判断します。血液検査、尿検査、便検査などを行い、炎症の有無や臓器の機能などを調べます。必要に応じて、腹部エコー、腹部CT検査、胃カメラ、大腸カメラなどの画像検査を行い、消化管の状態や腫瘍の有無などを確認します。
腹痛の原因はさまざまであり、自己判断は危険です。我慢せずに、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
診察項目 | 内容 | 診断の手がかり |
---|---|---|
問診 | ・痛みの開始時期、経過、強さ、持続時間、性質 ・痛む場所 ・腹痛以外の症状(発熱、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、血便、体重減少など) |
・痛みの原因 ・消化器系疾患か、他の臓器や全身性疾患か |
身体診察 | ・触診:痛みの程度、腫れ、圧痛など ・聴診:腸の音 ・視診:皮膚や粘膜の状態 |
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検査 | ・血液検査、尿検査、便検査:炎症の有無、臓器の機能など ・腹部エコー、腹部CT検査、胃カメラ、大腸カメラ:消化管の状態、腫瘍の有無など |
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腹痛の治療
お腹の痛みは、誰しもが経験するありふれた症状ですが、その原因は実に様々です。そのため、痛みの原因に合わせた治療を行うことが何よりも重要になります。原因が細菌感染の場合、細菌の増殖を抑えるために、抗生物質が処方されます。細菌の種類や症状の程度によって、適切な種類の抗生物質が選ばれます。また、胃酸の過剰分泌が原因で起こる痛みには、胃酸の分泌を抑える薬が用いられます。この薬は、胃酸の産生を抑えることで、胃の粘膜を保護し、痛みを和らげます。痛みが激しい場合には、痛みを抑える薬が処方されることもあります。これらの薬は、痛みの信号を脳に伝えるのをブロックすることで効果を発揮します。さらに、下痢や嘔吐を伴う場合には、体から水分や電解質が失われている可能性があります。このような場合には、点滴によって水分や電解質を補給する必要があります。点滴によって、失われた水分や電解質を素早く補給することで、体の状態を正常に戻すことができます。お腹の痛みを感じた際は、自己判断で市販薬を服用したり、放置したりせず、必ず医療機関を受診し、医師による適切な診断と治療を受けるようにしてください。
腹痛の原因 | 治療法 |
---|---|
細菌感染 | 抗生物質の投与 |
胃酸の過剰分泌 | 胃酸分泌を抑える薬の投与 |
激しい痛み | 痛み止め薬の投与 |
下痢や嘔吐 | 点滴による水分・電解質補給 |
腹痛と予防
毎日の生活で誰もが経験する可能性のある腹痛ですが、その原因は様々です。そして、その中には、日頃の生活習慣を見直すことで予防できるものも多くあります。
まず、食生活においては、食べ過ぎや飲み過ぎは胃腸に大きな負担をかけてしまいます。これは、胃腸が消化不良を起こし、腹痛や不快感を引き起こす原因となります。食事は腹八分目を心がけ、決まった時間にゆっくりと摂るようにしましょう。また、栄養バランスの取れた食事を心がけることも大切です。
睡眠不足や運動不足も、腹痛を引き起こす要因の一つです。睡眠不足は体の疲労を回復する妨げとなり、ストレスを増加させます。ストレスは自律神経のバランスを崩し、胃腸の働きを乱すため、腹痛の原因となります。十分な睡眠を確保し、適度な運動を取り入れることは、ストレス軽減だけでなく、健康な体作りにも繋がります。
食中毒も、激しい腹痛を引き起こす原因となります。食中毒は、細菌やウイルスに汚染された食品を口にすることで起こります。予防のためには、食品の適切な保管方法や調理方法を守るようにしましょう。食品は十分に加熱し、生ものを扱う際は調理器具を清潔に保つことが重要です。
このように、腹痛の予防には、健康的なライフスタイルを維持することが重要です。規則正しい食生活、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、食中毒予防にも注意することで、腹痛のリスクを減らすことができるでしょう。
腹痛の原因 | 予防法 |
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食べ過ぎ・飲み過ぎ | 腹八分目を心がける 決まった時間にゆっくり食べる 栄養バランスの取れた食事 |
睡眠不足・運動不足 | 十分な睡眠 適度な運動 ストレス軽減 |
食中毒 | 食品の適切な保管 十分な加熱 調理器具の清潔さ |